トピック

ロースペックPCでも使えるゲームキャプチャユニット「アイ・オー・データ GV-US2C/HD」

PS4やiPhone/iPadの動画も簡単にキャプチャ text by 坂本はじめ

アイ・オー・データ「GV-US2C/HD」

 近年ゲームの楽しみ方は多様化しており、プレイ動画や実況動画を動画サイトやSNSなどに配信して、体験や価値観を共有する楽しみ方も一般的になってきている。

 ただし、動画を配信するとなると高性能なPCが必要というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。そこで、そのイメージを覆すキャプチャユニット「アイ・オー・データ GV-US2C/HD」を紹介しよう。

 GV-US2C/HDは、ハードウェアエンコーダーと直感的に操作できるソフトの組み合わせにより、低スペックPCでもゲーム動画の録画や配信が簡単に行えるのが特徴のHDMIキャプチャユニット。2019年6月末の発売が予定されている最新機種で、予価は税込で2万円~2.2万円前後となっている。

 今回は、GV-US2C/HDとCPU性能の低いモバイルノートPCの組み合わせで、ゲーム動画の録画とライブ配信を実行してみた。ゲーム動画の投稿者や配信者を手軽にはじめてみたいユーザーは、ぜひチェックしてもらいたい。

ハードウェアエンコーダー搭載のHDMIキャプチャユニット「GV-US2C/HD」

GV-US2C/HD本体。天板に録画スイッチとインジケーターLEDを搭載している。

 アイ・オー・データ「GV-US2C/HD」は、1080/60p録画に対応したHDMIキャプチャユニット。

 4K/60pパススルーに対応したHDMI出力端子を備えており、同端子とディスプレイを接続することで、表示遅延を気にすることなくゲームを楽しむことができる。

 ゲーム機とPCの間に接続することで録画やライブ配信を行うことができるほか、本体に搭載したハードウェアエンコーダーとSDカードスロットを用いることで、PC不要でゲーム画面をキャプチャする単体録画機能も備えている。

 GV-US2C/HDはUSBバスパワーでの動作に対応しており、PC接続用のUSB 2.0 Type-C端子からの給電で動作可能。また、バスパワー供給が不安定な場合に備え、別売りのACアダプター(USB-ACADP5R)を接続するためのDC入力端子も搭載している。

正面。SDカードスロットの他、ヘッドセット接続端子とパーティーチャット端子(ボイススルー用)を備える。
背面。4Kパススルー対応のHDMI入出力の他、PC接続および給電用のUSB 2.0 Type-C、別売りACアダプタ用のサブ電源入力端子(DC 5V)を搭載。F1/F2ボタンはファームウェア更新用。
右側面。動作モード(REC MODE)とHDCPの切り替えスイッチを搭載。動作モードをCARDに切り替えると、単体録画機能が利用できる。
録画中は本体上部のインジケータLEDが緑色に点滅する。
パススルー機能は最大4K/60p対応。
HDMIケーブル×1、USBケーブル(Type-C to A)×1、USBケーブル(Type-C to C)×1、ボイススルー用オーディオケーブル(3.5mm4極)×1の4本が付属している。

シンプルなインターフェイスでわかりやすい録画・ライブ配信ソフト「I-O DATA HD Live Capture」

録画・ライブ配信ソフト「I-O DATA HD Live Capture」。

 GV-US2C/HDユーザーには、無料の録画・ライブ配信ソフト「I-O DATA HD Live Capture」が提供される。

 シンプルで直感的なインターフェイスが特徴のI-O DATA HD Live Captureは、GV-US2C/HDに入力された映像の録画、TwitchやYouTubeへのライブ配信、スナップショット撮影、保存済み動画ファイルの再生機能などを備えている。

 また、I-O DATA HD Live Captureでは、録画や配信を行う際のエンコード処理をGV-US2C/HD内蔵のハードウェアエンコーダーで行う。これにより、PC側は高負荷なエンコード処理を行う必要がないため、低スペックなPCでも1080/60pでの録画とライブ配信が行える。

映像と音声の設定。録画時の画面解像度や入力ソースの色調整、オーディオミキサーの設定を行う。
録画設定。録画ファイルとスナップショットの保存先や画質を設定できる。録画画質は3段階の設定で、画面解像度に応じたビットレートが適用される。
ライブ配信設定。TwitchとYouTubeアカウントへのログインや、ストリームキーなどを手動設定するCustom RTMPが用意されている。

PS4やNintendo Switchなど多数のゲーム機に対応変換アダプタの利用によりiOSデバイスの録画・ライブ配信も可能

HDMI出力機能を持つ多くのゲーム機での動作が確認されている。

 GV-US2C/HDとI-O DATA HD Live Captureは、PS4やNintendo SwitchといったHDMI出力機能を持つ多くのゲーム機の録画とライブ配信を行える。

 GV-US2C/HDのHDMI出力からゲーム画面をテレビやディスプレイに出力すれば、遅延の気にならない映像を表示でき、ボイススルー機能を活用すればボイスチャットの利用と録音も可能だ。

I-O DATA HD Live Captureで表示したPS4の画面。
PS4でのボイススルー機能利用時の接続例。ヘッドセットとGV-US2C/HD、GV-US2C/HDとPS4コントローラをそれぞれ接続する。

 GV-US2C/HDはiOSデバイスにも対応しており、Lightningコネクタを搭載したiPhoneやiPadとは、Appleの「Digital AVアダプタ」を利用することで接続できる。

 iOSデバイスからの映像出力はミラーリング表示であるため、アプリの操作や画面の閲覧はiOSデバイス本体のディスプレイをそのまま利用できる。

I-O DATA HD Live Captureで表示したiPad Proの画面。
Lightningコネクタを搭載したiPhoneやiPadは、Digital AVアダプタを用いることでHDMI出力が可能となる。

低スペックPCでも録画/配信はばっちり、負荷がかなり軽い「GV-US2C/HD」

 それでは、内蔵ハードウェアエンコーダーの利用による低PC負荷を特徴とする「GV-US2C/HD」と「I-O DATA HD Live Capture」の組み合わせが、実際にどの程度の負荷で録画やライブ配信を行えるのかチェックしてみよう。

 今回はテスト用のPCとして、Skylake世代のモバイルノートPC「VAIO S13 (VJS1311)」のCore i5-6200U搭載モデルを用意した。

 CPUは2コア4スレッドの2.3GHz動作(最大ブースト時2.8GHz)、GPUはIntel HD Graphics 520と、今となっては1080/60pの録画やライブ配信に用いるには心許ないスペックのモバイルノートPCだが、GV-US2C/HDとI-O DATA HD Live Captureで録画・配信を行った際の負荷がどの程度になるのか注目だ。

テスト用PCとして用意した2016年1月発売のモバイルノートPC「VAIO S13 (VJS1311)」。
CPUのCore i5-6200U。TDP 15Wのモバイル向け2コア4スレッドCPUであり、動画の録画や配信に使うには若干心許ない。

1080/60pで録画を実行した際のCPU負荷はわずか14%、ロースペックPCでも安心

録画実行中のI-O DATA HD Live Capture。

 まずはI-O DATA HD Live Captureを使って録画を実行した場合のPCの負荷をみてみよう。なお、GPUによる再生支援機能(DXVA)が利用できるので、テストは有効にした状態で行っている。

 PS4のプレイ動画を1080/60p設定にて、「高画質 (約30Mbps)」と「低画質 (約18Mbps)」の2パターンの画質設定で録画した際のCPU/GPU負荷をチェックしてみたところ、録画実行中のCPU使用率は画質設定に関わらず14%前後、GPUは22%前後で推移していた。

 ハードウェアエンコーダーモデルだけあって負荷は軽く、Intel Core iシリーズのCPUであれば、2コア以上で2.5GHzほどの周波数があれば世代が古いモデルでも問題なく使用できるだろう。

「高画質」設定で録画中のCPU使用率は約14%。GPU使用率は約22%。
「低画質」設定で録画中のCPU使用率も約14%で、GPU使用率は約23%だった。

 また、ハードウェアエンコードモデルなので、キャプチャ画質の違いによるCPUへの負荷は違いが無かった。録画品質は低画質の方が高圧縮となるのでファイルサイズは小さくなるが、CPUへの負荷は変わらないので、ストレージの空き容量にゆとりがあるなら積極的に高画質設定で使用したい。

 ちなみに、録画を行わないで、ゲーム画面(1080/60p)をI-O DATA HD Live Captureに表示させた際の負荷も見てみたが、CPU使用率は約12%程度だった。録画時のCPU負荷と比較するとわかるが、録画を実行することでCPUにかかる追加分の負荷は+2%前後とかなり小さい。

 これは前述の通りI-O DATA HD Live Captureが録画時のエンコード処理にGV-US2C/HD内蔵のハードウェアエンコーダーを利用するためで、PC側の負荷の大部分はI-O DATA HD Live Capture上での映像を表示する処理によるものだ。

録画を実行していない状態。CPU使用率は約12%程度で推移しており、GPU使用率も録画中と大きな変化はない。

ライブ配信時の負荷も軽い、ロースペックPCでも1080/60pで配信可能

 続いて、I-O DATA HD Live Captureのライブ配信機能を利用して、ゲーム動画をYouTubeとTwitchにそれぞれ1080/60pの動画をライブ配信した際のPC負荷を確認してみよう。こちらのテストも再生支援機能(DXVA)を有効にした状態で行っている。

YouTubeへライブ配信中の画面。
Twitchへライブ配信の画面。

 まずはYouTubeへのライブ配信から。

 YouTubeはライブ配信の品質を「高品質」「標準品質」「低品質」の3段階から選択できるが、今回は「高品質」を選択した。下の画像はその際のCPU/GPU負荷だが、CPU使用率は約14%、GPU使用率は約26%と、録画時と同じくかなり低負荷となった。

YouTubeへライブ配信中のCPU使用率は約14%、GPU使用率は約26%。
YouTubeのライブ配信の設定。
解像度の設定は映像と音声の設定が反映される。

 続いてはTwitchへのライブ配信。

 Twitchについてはデフォルト設定の「標準品質」から変更できなかったので、同設定のまま配信を行った。こちらもCPU使用率は約14%、GPU使用率は約24%とかなり低負荷となった。

Twitchへライブ配信中のCPU使用率は約14%、GPU使用率は約24%。
Twitchのライブ配信の設定。
解像度の設定は映像と音声の設定が反映される。

 結果の通り、GV-US2C/HDとI-O DATA HD Live Captureを組み合わせて使用した際は、録画も配信もかなり低負荷で行えることがわかる。

 特にライブ配信を低負荷で行える点は、ハードウェアエンコーダーを活かしたGV-US2C/HD最大のメリットといえるだろう。

PCやゲーム機に負荷を掛けずにプレイ動画を録画できる「単体録画モード」も

 PCに接続して使用した際に低負荷で利用できるGV-US2C/HDだが、ゲーム画面の録画はPCを使わずに単体で行うこともできる。

 その際、録画データの保存は本体に接続したSDカードに行うかたちになり、128GBのSDカードであれば1080/60pの標準画質で約16時間の動画を保存可能だ。

 なお、録画時の画質設定は、I-O DATA HD Live Captureの「本体設定」で事前に行う必要があるので、画質などの設定を変更したくなった場合はPCに接続する必要がある。設定した画質は本体側に記録されるので、一度設定を作りこんでしまえばPCレスでの運用ができる。

単体録画モードのデータ保存はSDカードに行う。GV-US2C/HDでは最大で128GBのSDXCカードが利用できる。
録画時の画質設定はI-O DATA HD Live Captureの本体設定で行う。
録画準備が完了すると本体天板のLEDが緑色に点灯する。録画ボタンを押すとLEDは緑色の点滅に移行し、録画が開始する。
単体録画モードのGV-US2C/HDとPCを接続した状態で、録画ボタンを約3秒間押し続けるとSDカードリーダーライターモードに移行し、LEDは青色に発光する。

動画編集ソフト「PowerDirector 15 for I-O DATA」が付属OBS StudioやXSplitの利用で本格的なライブ配信も可能

 GV-US2C/HDユーザーには、無料の動画編集ソフト「PowerDirector 15 for I-O DATA」が提供される。これを用いることで、GV-US2C/HDを使ってキャプチャしたプレイ動画に字幕や音声を追加すれば、よりオリジナリティのあるプレイ動画を作成することができる。

無料で利用できる動画編集ソフト「PowerDirector 15 for I-O DATA」。
フル機能エディタでは本格的な動画編集に対応。字幕や音声をプレイ動画に追加できる。

 また、GV-US2C/HDはウェブカメラなどと同じくUSB Video Class(UVC)デバイスとしてPCに認識されるため、OBS StudioやXSplitといった多機能なライブ配信ソフトでも利用できる。アイ・オー・データ側でも動作確認が取られており、すべての動作を保証するものではないが、OBS Studio v23.0.1とXSplit Broadcaster v3.6.1811.2318で正常動作が確認できたと製品サイトで告知されている。

 なお、これらのライブ配信ソフトは高負荷となるため、PC側に相応の性能が要求されるものの、ゲーム画面の上にウェブカメラの画像をオーバーレイ表示するような高度なライブ配信を行える。本格的にライブ配信を楽しみたくなったなら、これらのソフトでGV-US2C/HDを使ってみるのも良いだろう。

OBS Studioにおいて、GV-US2C/HDは映像キャプチャデバイスとして認識される。
OBS Studioを利用すれば、GV-US2C/HDを含む複数の映像ソースから画面を構成できる。

初心者でも気軽に動画投稿やライブ配信に挑戦できるHDMIキャプチャユニット

 高性能なPCがなくても1080/60p動画の録画とライブ配信が可能なGV-US2C/HDは、ゲームプレイ動画の投稿やライブ配信に興味をもったエントリーユーザーへ特におすすめできるHDMIキャプチャユニットだ。

 I-O DATA HD Live Captureを使った手軽な配信から、サードパーティー製ソフトを使った本格的なライブ配信にまで使えるので、ユーザーが初心者からステップアップしても使い続けることができるだろう。

 冒頭でも述べたが、GV-US2C/HDは2019年6月末の発売が予定されており、予価は税込2万~2.2万円前後。取り扱いショップでは予約も行われている。手軽に使えるHDMIキャプチャユニットを探しているのなら、ぜひとも検討してみるべき一台だ。

[提供:アイ・オー・データ]

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