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GAINWARDのエルデンリング“4K”推奨ビデオカードでフィールドを駆けめぐる! 戦闘シーンを含む快適度を徹底チェック

新旧アッパーミドルGPUで比較、高解像度プレイではGeForce RTX 3070 PHOENIX GSが圧倒 text by 芹澤 正芳

 2022年2月25日にフロム・ソフトウェアから発売されたアクションRPGの「エルデンリング」すでに全世界で1,200万本(全プラットフォーム合計)の出荷を突破し、5月中旬の原稿執筆時点でもSteamの売り上げランキングの上位に入っており、その勢いはとどまることを知らない。筆者としても久しぶりに100時間以上プレイしたゲームになり、広大なフィールドの探索、勝ち筋を見付けるために何度も挑む強いボスとの戦闘、レベルを上げても油断するとあっさり倒されてしまうザコ敵との苦闘、ステータスに合った武器や戦灰(特殊な技)の組み合わせを見付けるべく試行錯誤……そのすべてが素晴らしい体験であった。

 そんなエルデンリングのPC版をこれからプレイしたい、すでにプレイしているがビデオカードの性能不足で高解像度でのプレイが厳しい、という人に注目してほしいのがGAINWARDより発売されたエルデンリング推奨ビデオカードの「GeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1」だ。本稿ではその実力を確かめるべく、エルデンリングをさまざまなシチュエーションでプレイ。フルHD、WQHD、4Kそれぞれの解像度でどの程度フレームレートが出るのかテストしていく

GAINWARD「GeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1」。実売価格は95,000円前後

推奨基準をすべてクリア済み。エルデンリングのプレイに最適!

 本製品は、エルデンリングを快適にプレイするための推奨基準項目をクリアしたビデオカード。“4K環境推奨”と銘打ち、高解像度で遊びつくしたいというニーズに応えると言う。まずは基本スペックを見てみよう。

 搭載されているGPUはNVIDIA GeForce RTX 3070だ。RTX 30シリーズの中ではアッパーミドルに位置付けられている高性能モデルで、一般的には、重量級タイトルならWQHD解像度(2,560×1,440ドット)でも最高画質プレイが可能、ゲームによっては4Kでのプレイも視野に入る。本製品のブーストクロックは1,770MHzで、定格の1,730MHzから若干アップされたOCモデルとなっている。メモリバス幅は256bitで、GDDR6 8GBのビデオメモリを搭載。

GPU-Zの画面。ブーストクロックが定格より高い1,770MHzに設定されたオーバークロック仕様だ
TGP(カード電力)は240Wに設定されていた

 カード長は3連ファンということもあり29.4cm、厚みは2.7スロット相当(3スロット分を占有)と大型だ。エルデンリングのために、ビデオカードの交換や増設を考えている場合、手持ちのPCケースに収まるか事前に必ず確認しておこう。また、GeForce RTX 3070は650W以上の電源が推奨されている。電源の出力も合わせてチェックしておきたい。

 3基のファンは、ブレードのそれぞれに溝を作ることで空気の流れをスムーズにし、ファンの振動をノイズを抑制すると言う。実際高負荷時でもハイエンドカードとしては動作音はかなりおとなしい。60℃以下はファンが停止するいわゆる“準ファンレス駆動”にも対応している。

カード長は29.4cm。PCケース側の対応も忘れず確認しておきたい
ファンのブレードに溝を作ることで空気の流れをスムーズにしている
背面には補強用のバックプレートを搭載。後部のハニカム構造の穴から排気することで冷却力を高めている
補助電源は8ピン×2で中央寄りに位置している。コネクタの周囲はスッキリしていてケーブルは挿しやすい

 補助電源は8ピン×2で、ディスプレイ出力はDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1とRTX 30シリーズの標準的構成だ。カードの中央部にはRGB LEDが内蔵されており、同社アプリの「ExperTool」で発光色や発光パターンの制御が可能となっている。

ヒートパイプを備える大型のヒートシンクを採用。ヒートシンクを支えるプレート部のメモリや電源回路部分にはサーマルパッドが貼られている
補助電源のコネクタがカード中央付近にあることからも分かるように、カード全体では30cm近い長さがあるが基板自体はコンパクトサイズだ
中央部にはLEDを内蔵
同社アプリの「ExperTool」で発光パターンや色を調整可能だ

新旧アッパーミドルレンジGPUでテストを敢行。基礎性能でも大きな差

 さて、ここからはベンチマークに移ろう。比較対象として、2世代前のアッパーミドルグレードGPUで、エルデンリングの推奨環境の最低ラインであるNVIDIA GeForce GTX 1070を搭載するビデオカードを用意した。Resizable BARは有効にした状態でテストを行なっている。テスト環境は以下のとおりだ。

【検証環境】
CPUIntel Core i9-12900K(16コア24スレッド)
マザーボードInte Z690搭載マザーボード
メモリDDR5-4800メモリ 32GB(PC5-38400 DDR5 SDRAM 16GB×2)
SSDM.2 NVMe SSD(PCI Express 4.0 x4、2TB)
CPUクーラー28cmクラスラジエータ搭載簡易水冷クーラー
電源1,000W電源(ATX、80PLUS Gold)
OSWindows 11 Pro

 エルデンリングに前に、定番3Dベンチマークの「3DMark」から見ていこう。Fire Strike系がDirectX 11ベース、Time Spy系がDirectX 12ベース、Port Royalがレイトレーシングのテストだ。

3DMarkの計測結果

 世代の差は非常に大きく、おおむね2倍以上のスコア差となった。解像度が上がると差が大きくなり、4K解像度でのテストとなるFire Strike Ultraで約3.6倍、同じく4K解像度のTime Spy Extremeで約2.3倍の差と重いテストほど、GeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1のほうが高スコアになる。2世代でここまで性能が変わるのが分かるところだ。

 RTX 30シリーズとGTX 10シリーズの最大の差はレイトレーシング対応だ。GTX 1070はRTコアを備えていないので、Port Royalはとりあえず動くというレベルで、非常に低いスコアしか出ていない。当時は優秀なアッパーミドルGPUだったGTX 1070だが、将来性を考えれば機能面でもこのあたりが交換のタイミングだろう。

肩書どおり4K/最高画質設定でもスムーズなプレイが可能!

 それでは本題のエルデンリングに移ろう。PCゲームはPCの性能が高いほどフレームレート(1秒間の描画コマ数、単位はfps)が向上するパターンも多いが、エルデンリングは最大フレームレートが60fpsが上限となっていることをあらかじめ知っておいてほしい。いくらPCの性能が高くても60fps以上にはならないため、平均fpsが“60”に近ければ快適、最低fpsも“60”に近くなればさらに快適、ということになる。

 テストは、グラフィック設定についてはスクリーンモードは「フルスクリーン」、自動描画調整は「OFF」、品質設定は「最高」に設定。画面解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3パターンで実行している。フレームレート(fps)の計測には、CapFrameXを使用した。エルデンリングにはベンチマーク機能はなく、時間と気象は「晴れの昼」に固定してテストしたが、敵の動きなどは毎回同じではないため、状況により多少のブレがあることはご了承いただきたい。

グラフィック設定は画面のとおり。画面解像度はフルHD、WQHD、4Kの3パターンで試している
時間と気象は「晴れの昼」に固定。雨が降っていた場合は晴れが出るまで時間を進めた上でテストを行なった

 今回テストを実施するにあたり、場所やシチュエーションで描画負荷が変わるかも、という想定のもと、5カ所で移動や戦闘を行なった。まずは、ゲームのスタート地点と言える「祝福:導きのはじまり」から「関門前の廃墟」まで移動するパターン。細かく説明すると、「祝福:導きのはじまり」から「エレの教会」を通過し、近くの池に入って、森に向かい、最後に「関門前の廃墟」に到着というルートをたどっている。水に入ると負荷に大きくなる傾向にあるため、あえて池に入るルートを取り入れた。

祝福:導きのはじまり→関門前の廃墟まで移動
祝福:導きのはじまり→関門前の廃墟まで移動中のフレームレート

 一連のテストを実施しておおよそ結論付けられたのだが、エルデンリングは遠くまで見えるひらけた場所ほど負荷が大きくなる傾向にあるようだ。そのため、原稿の流れとしてはいきなりではあるが、今回試した中でこの条件が一番負荷が大きかった。それでもGeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1なら、WQHDまでほぼ平均60fpsを達成。4Kでも平均46.2fps、最小(1%)でも38.7fpsと十分プレイできるレベル。実際クリアまで遊んでいる筆者でも、4K解像度で違和感なくプレイできた。

 その一方でGTX 1070では、WQHDまでがプレイの限界であることが分かる。4K解像度では動きがガクガクだ。性能差が大きいことが分かる。以降のテストでもGTX 1070は“フルHDならほぼ問題なし、WQHDでも十分プレイ可能、4Kはまるで歯が立たず”という結果になっている。

 続いて、「祝福:関門前」からスタートして「嵐の関門」に入り、戦闘を行なうというもの。トロルが登場し弓兵の数も多い場所だけに、負荷は大きいと見込んだ。

祝福:関門前→嵐の関門で戦闘
祝福:関門前→嵐の関門で戦闘中のフレームレート

 敵の多い場所ではあるが、フレームレートは意外と持ちこたえた。GeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1ならば4Kでも平均51.4fps、最低(1%)も45.0fpsまでしか落ちておらず、十分快適にプレイできるだろう。

 次は、「祝福:エビ茹でのボロ家」から「バラ教会」まで移動するというもの。湖をずっと移動すると水の処理が連続することになり、負荷が重くなると考えての選択だ。

祝福:エビ茹でのボロ家→バラ教会まで移動
祝福:エビ茹でのボロ家→バラ教会まで移動中のフレームレート

 途中に巨大なエビがいたりと、今回テストした中では比較的負荷が大きいシーンとなったが、それでも最初のテストよりは軽め。GeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1なら、4Kでも平均49.8fps、最小(1%)でも42fpsと極端にフレームレートが落ちるシーンもなかった。

 四つ目からは地下に移ろう。「祝福:王朝廟中腹」からスタートし、その近くで敵の数が多い「モーグウィン王朝廟」で戦闘を行なおうというもの。レベル190に迫る筆者のキャラでも、油断すると速攻でやられてしまう危険な場所なので、安定してテストするため、武器「グランサクスの雷」の戦技でちょっと遠くからダメージを与えて、武器「屍山血河」の戦技で仕留めるというセコイ方法を採用させてもらった(筆者は技量戦士なのである)。

祝福:王朝廟中腹→モーグウィン王朝廟で戦闘
祝福:王朝廟中腹→モーグウィン王朝廟で戦闘中のフレームレート

 意外にも地下は描画負荷は軽め。敵の多い場所で戦闘を行なってもGeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1なら、4Kでも平均60fpsをキープ。余裕でプレイできる。

 最後は同じく地下の「祝福:腐れ湖の岸」から「腐れ湖の中心付近」まで移動するというもの。これも前述の湖と同じく水面の処理が入るため負荷が大きくなるかと予測もしたが、結果は――

祝福:腐れ湖の岸→腐れ湖の中心付近まで移動
祝福:腐れ湖の岸→腐れ湖の中心付近まで移動中のフレームレート

 水面処理の負荷はあまり影響が出ず、ここでもGeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1は、4Kで平均59.4fpsとほぼ60fpsを達成。快適にプレイできた。ついでにボスの竜人兵と戦ってみたがフレームレートが落ち込むようなシーンは見られなかった。

 今回のテストではスタート地点付近が一番負荷が大きく、今までプレイ経験をもとにテストシーンを厳選してきた筆者としてはちょっと悲しい展開ではあったが、GeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1はさすが4K環境推奨モデルというだけのパフォーマンスを示してくれた。それほど描画負荷のない場所なら最大の60fpsをキープできるのは素晴らしいところ。

高負荷時でもしっかり冷える強力なクーラー

 エルデンリングをプレイしたときのGPUクロックと温度の推移をチェックしていこう。4K解像度、最高画質設定で30分間フィールドのあちこちを移動したときのGPUクロックと温度をモニタリングアプリの「HWiNFO64 Pro」で測定した。

プレイ中のGPUクロックの推移
プレイ中のGPU温度の推移

 GPUクロックはほぼ1,950MHz前後で推移。ブーストクロックは1,770MHzなので、ゲームプレイ中はそれ以上のクロックで動作するのが分かる。ところどころクロックが落ちているのはロードが入ったタイミングだ。

 温度は最大でも70.4℃とまったく心配のいらないレベル。17分過ぎにはファンの回転数をアップさせて冷却力を強化し、ブーストクロックを維持しつつ温度を67℃前後まで下げているとファン制御もうまく行なわれている。長時間エルデンリングの世界にどっぷりつかっても安心と言えるだろう。

GeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1は、ファン~ヒートシンク~金属製プレート~基板~樹脂製パックプレート、の5段構成。自重による歪みを抑えつつ大型ヒートシンクと金属プレート、そして3基のファンでガッツリ冷やす構造が十分に性能を発揮している

4Kでエルデンリングをプレイできる喜び

 エルデンリングのフィールドには、“絶景”と言える場所も多く、GeForce RTX 3070 PHOENIX GS 8GB GDDR6 256bit 3-DP HDMI V1を導入すれば、それを4Kの美しい解像度で堪能できるし、フォールドを探索する楽しさも増すというものだ。

 「4Kで高画質プレイ=ハイエンドビデオカードが必要」と思いがちだが、ゲームタイトルによっては、今回検証したように、ワンランク下のアッパーミドルクラスでも4Kで十分に遊べるのである。エルデンリングをこれからプレイする人にも、4K以下の解像度でプレイしている人にもオススメのビデオカードだ。