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ミドルクラスのRadeonどれを買うべき?人気ゲームでRadeon RX 6500 XT/6650 XT/6750 XTを比べてみた

しっかりフレームレートが出て、なおかつ冷えるASUSのDualシリーズ text by 坂本はじめ

 今回は、2022年に新登場となったRadeon RX 6000シリーズGPUの中から、エントリー寄りのモデルからミドルハイまでの3製品をピックアップ。新GPUのゲーミング性能を実際のゲームでテストしながら、各GPUがどのようなユーザーに適しているのかを確かめてみよう。

 テストするGPUは、Radeon RX 6500 XT、Radeon RX 6650 XT、Radeon RX 6750 XTの3モデルで、いずれもASUS Dualシリーズのビデオカードを用意した。VALORANTやエルデンリングなど、最近の注目タイトルでパフォーマンスを計測しているので、ビデオカードの新調を検討しているユーザーはぜひチェックしてほしい。

デュアルファンGPUクーラーを搭載するASUS Dualシリーズ信頼性の高い製造法+出荷前検証で高品質化

性能や価格、品質など様々な面でバランスのとれたビデオカード「ASUS Dualシリーズ」。

 まずは、今回のテストで使用するRadeon RX 6000シリーズ搭載ビデオカード「ASUS Dualシリーズ」について紹介しておこう。

 ASUS Dualシリーズは、ASUSのフラッグシップビデオカードの冷却技術を活用しつつ、コストとパフォーマンスのバランスを重視してデザインされたビデオカードシリーズだ。いずれも2基の冷却ファンを搭載するデュアルファンGPUクーラーを搭載しており、今回テストする製品には上位製品にも採用される「Axial-techファン」が採用されている。

 品質面についても妥協はなく、Radeon RX 6000シリーズを搭載するASUS Dualシリーズでは、製造固定に上位モデルと同じく自動製造技術「オートエクストリームテクノロジー」を採用。実装品質を向上させるとともに、出荷前に144時間の検証プログラムを実施することで安定性と信頼性を確認している。長時間にわたってビデオカードの高負荷状態が続くことの多いゲーミングシーンでの利用でも安心して使えるビデオカード製品のひとつであると言えるだろう。

2基の冷却ファンを搭載したGPUクーラーが特徴のASUS Dualシリーズ。
冷却ファンは上位モデルでも採用されている「Axial-techファン」。外周部のバリアリングが直進性の高い風を作り出すとされている。
自動製造技術の「オートエクストリームテクノロジー」を採用。実装品質を向上させることで信頼性を高めている。
出荷前に144時間の検証プログラムを実施。性能計測や負荷テストを通して安定性や信頼性を確認した上で出荷されている。

3万円台の手頃なビデオカード「ASUS Dual Radeon RX 6500 XT OC Edition」

ASUS Dual Radeon RX 6500 XT OC Edition。

 今回テストする製品の中でもっとも安価な「ASUS Dual Radeon RX 6500 XT OC Edition」は、初めてPCゲームを楽しむユーザーもターゲットにしたGPU「Radeon RX 6500 XT」を搭載するビデオカードだ。実売価格は31,800円前後。

 1,024基のストリーミングプロセッサーと16基のRay Acceleratorを備えるRadeon RX 6500 XTをオーバークロックして搭載しており、ゲームクロックは2,650MHz、ブーストクロックは2,820MHzとなっている。

 VRAMは18Gbps駆動の4GB GDDR6メモリで、メモリインターフェイスは64bit。映像出力端子にHDMI 2.1とDisplayPort 1.4aを各1基ずつ備えており、動作にはPCIe 6ピン×1系統の補助電源を必要とする。占有スロット数は2スロットで、バスインターフェイスはPCIe 4.0 x4。

3万円台と手ごろな価格帯の「ASUS Dual Radeon RX 6500 XT OC Edition」。
背面にはバックプレートを搭載。補助電源コネクタは6ピン×1。
GPUクーラーの占有スロットは2スロット。
映像出力端子はHDMI 2.1とDisplayPort 1.4a。

手堅いミドルクラスの「ASUS Dual Radeon RX 6650 XT OC Edition 8GB GDDR6」

ASUS Dual Radeon RX 6650 XT OC Edition 8GB GDDR6。

 ミドルクラスGPUであるRadeon RX 6650 XTを搭載するのが、「ASUS Dual Radeon RX 6650 XT OC Edition 8GB GDDR6」だ。実売価格は65,800円前後。

 Radeon RX 6650 XTは、2,048基のストリーミングプロセッサーと32基のRay Acceleratorという、Radeon RX 6500 XTの2倍の演算コアを備えるGPUであり、ASUS Dual Radeon RX 6650 XT OC Edition 8GB GDDR6においては、ゲームクロックが2,447MHz、ブーストクロックは2,669MHzにオーバークロックされている。

 VRAMは17.5Gbps駆動の8GB GDDR6メモリで、メモリインターフェイスは128bit。映像出力端子はHDMI 2.1×1基とDisplayPort 1.4a×3基を搭載しており、動作にはPCIe 8ピン×1系統の補助電源を必要とする。占有スロット数は2.5スロットで、バスインターフェイスはPCIe 4.0 x8。

「ASUS Dual Radeon RX 6650 XT OC Edition 8GB GDDR6」。
背面にはバックプレートを搭載。補助電源コネクタは8ピン×1。
GPUクーラーの占有スロットは2.5スロット。
映像出力端子はHDMI 2.1(1基)とDisplayPort 1.4a(3基)。

高フレームレート狙いの高性能カード「ASUS Dual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6」

ASUS Dual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6。

 ミドルクラスではハイエンド寄りのGPUとなる「Radeon RX 6750 XT」を搭載するのが、「ASUS Dual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6」だ。実売価格は88,800円前後。

 2,560基のストリーミングプロセッサーと40基のRay Acceleratorを備えるRadeon RX 6750 XTをオーバークロックして搭載しており、ゲームクロックは2,512MHz、ブーストクロックは2,618MHzとなっている。

 VRAMは18Gbps駆動の12GB GDDR6メモリで、メモリインターフェイスは192bit。映像出力端子はHDMI 2.1×1基とDisplayPort 1.4a×3基を搭載しており、動作にはPCIe 8ピン×2系統の補助電源が必要。占有スロット数は2.7スロットで、バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16。

「ASUS Dual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6」。
背面にはバックプレートを搭載。補助電源コネクタは8ピン×2。
GPUクーラーの占有スロットは2.7スロット。
映像出力端子はHDMI 2.1(1基)とDisplayPort 1.4a(3基)。

ゲーミング性能でGPUスペック通りの差はつく?GPUコアの規模と価格帯の異なる3グレードのビデオカードで性能を確認

 今回テストするビデオカード3製品を紹介し終えたところで、改めて各ビデオカードのスペックについてまとめてみた。

 GPUコアの規模的にも価格的にも、エントリークラス寄りのRadeon RX 6500 XTと、ミドルハイといったGPU規模のRadeon RX 6650とRadeon RX 6750 XTの間には大きな隔たりがあるが、これがゲームでのパフォーマンスにどのように反映されるのかに注目だ。

 ここからは、Radeon RX 6500 XTとRadeon RX 6650 XT、そしてRadeon RX 6750 XTの性能をベンチマークテストと実際のゲームで確認していく。テストに使用した機材は以下の通り。

定番ベンチマークテストで各GPUのパフォーマンスをチェックファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク。

 まずは定番ベンチマークテストである「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」の結果を確認してみよう。

 フルHD解像度(1,920×1,080ドット)の「最高品質」設定で実行したファイナルファンタジーXIVベンチマークのスコアは、Radeon RX 6500 XTが「12,798」、Radeon RX 6650 XTが「20,473」、Radeon RX 6500 XTが「22,683」だった。

 Radeon RX 6500 XTの結果も、平均フレームレート約88.3fpsで上から2番目の評価である「とても快適」を獲得した立派なものだが、Radeon RX 6650 XTはそれを60%上回るスコアと約145.4fpsを記録しており、GPU規模の違いがそのまま差になって出ていることが見て取れる。

軽快な動作が特徴のFPS「VALORANT」Radeon RX 6500 XTでも高画質/ハイフレームレートを実現可能

VALORANT。

 Riot GamesのFPS「VALORANT」は、メジャーなFPSゲームの中でもGPUへの要求が低く、軽快な動作が特徴のゲームだ。
 このゲームでは画質設定にプリセットが用意されていないので、フルHD解像度でなるべく描画設定を高く設定して「最高画質」相当な状態にしてテスト。デスマッチをプレイ中の平均フレームレートを計測してみた。

テスト時の描画設定。フルHD解像度で出来るだけ高画質に設定した。
デスマッチをプレイ中の平均フレームレートを計測した。

 デスマッチプレイ中にそれぞれ240秒間にわたって計測した各GPUの平均フレームレートは、Radeon RX 6500 XTが「352.7fps」、Radeon RX 6650 XTは「444.4fps」、Radeon RX 6750 XTは「469.4fps」だった。GPUごとに一定の差はついているが、今回用意した中で最も安価なRadeon RX 6500 XTでも十分なハイフレームレート動作を実現できている。

 なお、この際、GPU使用率がほぼ100%に達しているのはRadeon RX 6500 XTのみで、Radeon RX 6650 XTは約75%、Radeon RX 6750 XTは約69%程度となっており、フレームレートの上限はCPU(Ryzen 7 5800X)のボトルネックによって制限されている。フルHDの高品質設定で実行したVALORANTでは、Radeon RX 6500 XTでも十分に高いフレームレートを得ることが可能だが、そのためにはCPU側の性能も要求されることを覚えておこう。

定番のバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」中画質ならRadeon RX 6500 XTで快適、高画質で遊ぶならなるべく強力なGPUを

フォートナイト。

 人気のバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」では、フルHD解像度で描画設定を「中」と「最高」にした際の平均フレームレートを計測した。テストでは、アンチエイリアスを「一時的なアンチエイリアス」、3D解像度を「100%」、グラフィックスAPIを「DirectX 11」に設定している。

描画設定「中」のゲーム画面。
描画設定「最高」のゲーム画面。

 描画設定「中」では、Radeon RX 6500 XTが平均「137.0fps」を記録。Radeon RX 6650 XTは「190.9fps」、Radeon RX 6750 XTは「224.7fps」を記録し、Radeon RX 6500 XTをそれぞれ39%と64%上回った。

 描画設定を「最高」にした場合、Radeon RX 6500 XTは「59.4fps」と60fpsを割り込んだ。Radeon RX 6650 XTは「100.8fps」、Radeon RX 6750 XTも「118.7fps」とミドルクラス2製品は100fpsを上回っており、ある程度のハイフレームレート動作を狙えるだけのパフォーマンスが得られた。

チームバトルロイヤル「Apex Legends」Radeon RX 6500 XTも快適にプレイ可能、高画質/144~165Hz狙いならRadeon RX 6650 XT

Apex Legends。

 チームバトルロイヤルゲームとして人気を博している「Apex Legends」では、フルHD解像度で描画設定を「中」程度に設定した場合と、可能な限り高品質に設定した「最高」の2通りでフレームレートを計測した。テスト時はフレームレート上限を300fpsまで開放している。

描画設定「中」の描画設定。
描画設定「最高」の描画設定。
描画設定「中」のゲーム画面。
描画設定「最高」のゲーム画面。

 描画設定「中」での平均フレームレートは、Radeon RX 6500 XTが「133.2fps」、Radeon RX 6650 XTは「240.3fps」、Radeon RX 6750 XTは「272.9fps」だった。200fpsを超えるミドルクラスGPUのパフォーマンスは素晴らしいが、100fpsを超えたRadeon RX 6500 XTも侮れないパフォーマンスだ。

 描画設定を「最高」での平均フレームレートは、Radeon RX 6500 XTが「99.4fps」、Radeon RX 6650 XTは「182.9fps」、Radeon RX 6750 XTは「221.7fps」。144Hzクラスのゲーミングモニターと組み合わせるなら、Radeon RX 6650 XTが好適だが、Radeon RX 6500 XTも平均フレームレート自体は悪くない。

 ただし、描画設定「最高」では、VRAM容量が4GBのRadeon RX 6500 XTはVRAM容量が不足気味であり、スタッターなどのメモリ不足に起因する不具合が生じる恐れがある。思いのほかパワフルなGPU性能を備えるRadeon RX 6500 XTだが、VRAMの使用量には注意が必要だ。

フロム・ソフトウェアのアクションRPG「エルデンリング」フルHD/最高画質より上を狙うならRadeon RX 6650 XT以上

エルデンリング。

 フロム・ソフトウェアのアクションRPG最新作「エルデンリング」では、フルHD解像度で描画設定を「高」と「最高」にしてフレームレートを計測した。なお、自動描画調整は「オフ」にしている。

描画設定「高」のゲーム画面。
描画設定「最高」のゲーム画面。

 エルデンリングは上限フレームレートが60fpsであるため、描画設定「高」では全てのGPUで平均フレームレートが60fpsで頭打ちになっている。

 一方、描画設定を「最高」にした場合、Radeon RX 6650 XTとRadeon RX 6750 XTは変わらず60fpsに張り付いているが、Radeon RX 6500 XTは「52.6fps」に低下している。フルHDの最高画質設定で常に60fpsの維持を狙いたいなら、Radeon RX 6650 XT以上のGPUを選ぶ必要があるようだ。

 なお、Radeon RX 6650 XTやRadeon RX 6750 XTでWQHD解像度(2,560×1,440ドット)の描画設定「最高」を試してみたところ、どちらも多くのシーンで60fpsを維持できていた。Radeon RX 6650 XT以上を選べば、フルHDを超える高精細な描画でエルデンリングを楽しむことができるだろう。

GPUもメモリもしっかり冷やせるASUS Dualシリーズの冷却性能GPU毎にシステム全体の消費電力も測定してみた

 ビデオカードを検討する際、価格やパフォーマンスの次に気になってくるのがGPUクーラーの冷却性能や消費電力だ。今回テストしたビデオカードの動作温度と消費電力はどの程度なのだろうか。

 これを調べるべく、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークをフルHD解像度の最高品質設定で実行。ベンチマーク実行中にHWiNFO64 Proとワットチェッカーで計測したモニタリングデータとシステム全体の消費電力をグラフ化してみた。

 GPU温度については全てのGPUが平均60℃以下を記録し、最大温度でも65℃以下という低い温度を記録した。VRAM温度についても、Radeon RX 6500 XTが平均63℃を記録して60℃を超えたものの、ミドルクラス2モデルは平均57℃と低い温度を維持している。室温約25℃という比較的涼しめの環境下とはいえ、ASUS DualシリーズはGPUとVRAMの両方をしっかり冷却できていると言える結果だ。

Radeon RX 6500 XTのモニタリングデータ。
Radeon RX 6650 XTのモニタリングデータ。
Radeon RX 6750 XTのモニタリングデータ。

 システム全体の消費電力については、Radeon RX 6500 XTが平均205W(最大286W)でもっとも低く、Radeon RX 6650 XTが平均261W(最大319W)、Radeon RX 6750 XTは平均292W(最大388W)を記録した。

 性能が高くなるほど順当に消費電力は増加しているが、Radeon RX 6750 XTでも最大388Wとなっており、コストと容量のバランスに優れた750W前後の電源ユニットでも十二分な余裕を確保することができる。一般的なタワー型PCを構築する分には、どのGPUを選んでも電源選びで困ることはないだろう。

侮れない性能のRadeon RX 6500 XT、コストを抑えてゲームを快適に高フレームレートで思う存分ゲームを楽しみたいならRadeon RX 6650 XT以上を

 以上の通り、Radeon RX 6000シリーズ中から、3モデルをテストしてみた訳だが、意外にもRadeon RX 6500 XTの善戦が目立つ結果となった。フルHD解像度であれば、多くのゲームをある程度の画質やフレームレートでプレイできる実力があるようだ。

 一方、Radeon RX 6650 XTやRadeon RX 6750 XTが実現するパフォーマンスは、Radeon RX 6500 XTとは一線を画すものであり、フルHDなら最高画質でも多くのゲームを快適にプレイ可能で、ゲームによってはフルHDを超える解像度で高精細な描画を楽しむことができる。VRAM容量も多いので、メモリ使用量の多いゲームでも安心してプレイできるのも魅力だ。

 予算が限られている場合や、画質よりも手軽かつ低コストでゲームを遊ぶことを優先するならRadeon RX 6500 XT、本格的なゲーミングPCの構築を狙うならRadeon RX 6650 XT以上と言った具合で、自分が理想とするプレイ環境と予算を天秤に掛けながら、購入するGPUを検討してもらいたい。