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“究極の裏配線”ゲーミングPC「STORM 新界」が最新パーツで強化、5年前のPCと性能を比べてみた

見た目も性能も優秀、初めてゲーミングPCを買う人におすすめ text by 坂本はじめ

STORM「新界」シリーズの「PZS-KFS47」

 背面コネクタを用いた“究極の裏配線”と、ピラーレスデザインのPCケースによる美しいビジュアルを特徴とするSTORMのゲーミングPC「新界」シリーズに、最新鋭のCPUとGPUを搭載したハイスペックモデル「PZS-KFS47」が登場した。

 今回は、GeForce RTX 4070 SUPERとCore i7-14700Fを組み合わせた最新鋭ゲーミングPCの実力を、約5年前のハイスペックゲーミングPCを想定したCore i9-9900K/GeForce RTX 2070環境との比較もしてみた。ゲーミングPCの買い替えを検討しているユーザーも性能差を確認してもらいたい。

先進的なビジュアルと最新鋭CPU/GPUを組み合わせた「新界」の新モデル

 STORMの「新界」は、前面と左側面にピラーレス設計ガラスパネルを採用するSTORMの独自筐体「STORM ST-KYOKAI_WH」に、MSIの背面コネクタ搭載マザーボード「MSI B760M PROJECT ZERO」を組み込むことで、究極の裏配線、言うなれば「背面配線」を美しく魅せるよう設計されたゲーミングPC。

 今回テストする「PZS-KFS47」は新界のバリエーションモデルのひとつで、Intel最新鋭の20コア/28スレッドCPU「Core i7-14700F」と、NVIDIAの新型ミドルレンジGPU「GeForce RTX 4070 SUPER」を搭載している。標準構成時の販売価格は税込305,000円。

左側面。強化ガラスパネル越しに内蔵パーツのビジュアルを楽しめる。
右側面。フロント側に通気口を備えた金属製パネルを搭載している。
正面。左サイドパネルとの間のフレームを省略したピラーレスデザインを採用。
背面。ビデオカードの映像出力やマザーボードのインターフェイスにアクセスできる。
内部の統一感も美しい。
イルミネーション機能を使用しなければ、純粋な白の美しさを楽しむPCにもなる。

 ケースや搭載パーツのカラーリングは白を基調としており、ピラーレス設計の強化ガラスパネル越しにパーツのビジュアルや冷却ファンに搭載されたLEDイルミネーションを楽しめる。また、イルミネーションを使用しなくても美しい仕上がりになっているので、華やかさを求めるユーザーにも純粋な白の美しさを求めるユーザーにも対応できるのはポイントになるだろう。

 本機の最大の特徴となる“究極の裏配線”だが、マザーボードの背面コネクタを用いた背面配線により、内部のレイアウトは他のPCにはないスッキリ感がある。

 ケーブルの多くは金属パネルで覆われた右側面に隠れるかたちになり、唯一目立つ位置に配線されているビデオカード用の16ピンケーブルについては、STORMこだわりの白ケーブルを採用。白を基調としたビジュアルを損ねないよう配慮されている。

背面コネクタ採用のマザーボードにより、ほとんどのケーブルは「背面配線」されている。このスッキリとした内部のレイアウトがSTORM 新界シリーズ最大の特長だ。
ケース右側面内部。金属パネルに覆われて見えない部分だが、綺麗に配線されている。
マザーボード背面側の24ピン電源部分。背面コネクタを用いた配線の様子がみてとれる。

 PZS-KFS47の冷却システムとしては、240mmサイズのオールインワン水冷CPUクーラーと4基のケースファンを搭載しており、全てのケースファンが排気ファンとして機能する負圧設計となっている。ビジュアル重視の構成にも見える冷却システムだが、Core i7-14700FとGeForce RTX 4070 SUPERの発熱を処理するのに十分な能力を備えていることが期待できる構成でもある。

CPUクーラーには、STORMオリジナルの白い240mmオールインワン水冷クーラーを搭載
4基のケースファンと水冷クーラーを用いた負圧タイプの冷却システムを採用している

最新CPU/GPU搭載ゲーミングPC「新界」の性能をチェック5年前のハイスペックPCからの進化具合を比較してみた

 ここからは、Core i7-14700FとGeForce RTX 4070 SUPERを搭載する「PZS-KFS47」の性能を、ゲーム系とクリエイティブ系のテストでそれぞれ確認していく。

 冒頭でも紹介した通り、今回は5年ほど前のハイスペックCPU/GPUであるCore i9-9900KとGeForce RTX 2070を組み合わせた比較機材を用意。ビジュアルと搭載パーツの両面で最先端のPZS-KFS47が、過去のハイスペックPCからどれだけ性能が向上しているのかにも注目だ。

パルワールド/鉄拳8/サイバーパンク2077の3タイトルでゲーミング性能をテスト

 今回性能をテストしたゲームは、「パルワールド」、「鉄拳8」、「サイバーパンク2077」の3本。

 まずは、話題のオープンワールドサバイバルクラフトゲーム「パルワールド」で、グラフィックプリセット「最高」をベースに、DLSS超解像を無効にした場合とバランスに設定した場合で、フレームレートを計測した。

 テスト時のゲームバージョン「0.1.4.0」ではフレームレートの上限が120fpsとなっており、PZS-KFS47はDLSS無効時にフルHD、DLSS「バランス」時はWQHD以下で上限に到達している。4KでもDLSS向こうで62.5fps、DLSS「バランス」で96.3fpsを記録しており、かなりの高画質・高解像度でパルワールドをプレイ可能だ。

 比較用のCore i9-9900K/GeForce RTX 2070環境が平均60fps以上を記録したのは、DLSS無効ではフルHD、DLSS「バランス」でもWQHDまで。PZS-KFS47は比較環境をDLSS無効時に75~142%、DLSS「バランス」時にも36~127%という大差で上回ってみせた。

 続いてテストしたのは、格闘ゲーム・鉄拳のシリーズ最新作「鉄拳8」。グラフィックプリセットを「最高」に設定して、対戦のリプレイ再生機能を利用して平均フレームレートを計測した。

 対戦中のフレームレートは60fpsが上限となっており、PZS-KFS47はフルHDから4Kまで全ての画面解像度で上限フレームレートの維持が可能だった。

 比較機材でも4K以外ではほぼ60fpsを維持できている。PZS-KFS47は4Kで比較機材を約29%上回るフレームレートを記録しているが、そもそも鉄拳8はプレイ中に60fpsを維持する必要があるため、単純なパフォーマンス差ではなくプレイ可能か否かという決定的な差が4K設定では生じている。

 ゲームテストの最後に紹介するのは、オープンワールドRPG「サイバーパンク2077」。高画質プリセットの「レイトレーシング:ウルトラ」をベースにDLSS超解像を「バランス」に設定して、ベンチマークモードを実行した。なお、DLSS 3対応のPZS-KFS47では、フレーム生成有効時の性能も計測した。

 PZS-KFS47は、フレーム生成無効でもWQHDで60fpsを超える「93.4fps」を記録。フレーム生成を有効化すると4Kでも「70.6fps」を記録しており、かなり高画質設定でサイバーパンク2077をプレイ可能な実力を示した。

 フレーム生成非対応のGeForce RTX 2070を搭載する比較機材は、全ての条件で60fpsを下回っている。PZS-KFS47はそんな比較機材をフレーム生成なしで2.3~3倍弱、フレーム生成を用いることで4倍前後ものフレームレートを記録。圧倒的な大差で5年前のハイスペックPCを上回った。

5年でクリエイター向け性能も大きく進化、レンダリングやAI処理の速度をテスト

クリエイティブ系テスト(Cinebench 2024/Blender Benchmark/Adobe Camera Raw:AIノイズ除去)

 最新鋭のゲーミングPCとして構築されているPZS-KFS47だが、搭載するCore i7-14700FとGeForce RTX 4070 SUPERは、クリエイティブ系アプリでのパフォーマンスに優れたCPU/GPUでもある。そこで、クリエイティブ系のテストとして「Cinebench 2024」、「Blender Benchmark」、「Adobe Camera Raw(AIノイズ除去)」での性能を計測してみた。

 まず、3DCGレンダリング性能を計測する「Cinebench 2024」で、CPUレンダリング性能とGPUレンダリング性能を計測した結果が以下のグラフ。

 PZS-KFS47は、CPUレンダリングを行うMulti Coreで「1,656」、Single Coreで「121」を記録。これはCore i9-9900Kのスコアをそれぞれ156%と61%も上回る結果であり、CPUのマルチスレッド性能とシングルスレッド性能の両方で大幅な性能向上を果たしている。

 一方、GPUレンダリング性能に関しても、GeForce RTX 4070 SUPER擁するPZS-KFS47が「18,529」というスコアを記録。GeForce RTX 2070が記録した「5,925」を3倍以上という圧倒的な大差で上回った。

 3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト「Blender Benchmark」では、CPUとGPUでのレンダリング性能をそれぞれ計測した。

 PZS-KFS47が搭載するCore i7-14700Fは、Core i9-9900Kの2.4~2.7倍のレンダリング速度を記録。GPUのGeForce RTX 4070 SUPERについても、GeForce RTX 2070の2.5~3.1倍のレンダリング速度を記録しており、Cinebench 2024と同じくCPU/GPUともに大きな性能向上を果たしていることが確認できた。

 デジタルカメラで撮影したRAWファイルを編集するAdobe Camera Rawでは、2,400万画素のRAWファイル20枚に「AIノイズ除去」を実行したさいの処理時間を計測した。

 GPU性能が大きく影響するAIノイズ除去では、GeForce RTX 4070 SUPER擁するPZS-KFS47が「1分54秒」で処理を完了。比較機材(GeForce RTX 2070)は同じ処理の実行に「4分35秒」を要しており、PZS-KFS47の処理速度は比較機材の約2.4倍に達している。

高負荷ゲームを長時間遊んでも性能低下は無し、安心して使える冷却性能

 最後に、PZS-KFS47が備える冷却システムがCPUとGPUをしっかり冷却できるのか確かめてみよう。

 テストでは、ゲームテストで実行した「サイバーパンク2077」の4K解像度設定でゲームを実行。約30分間連続でゲームを実行し続けたさいのモニタリングデータを「HWiNFO64 Pro」で計測した。テスト時の室温は約25℃。

 PZS-KFS47の動作温度は、CPUが「平均74.0℃/最大83℃」、GPUが「平均65.6℃/最大67℃」を記録。サーマルスロットリングが作動する温度リミットは「CPU=100℃/GPU=84℃」なので、高負荷なゲームをプレイし続けても温度面で問題を生じない冷却能力をPZS-KFS47は備えている。

 温度やクロックの推移をみても、PZS-KFS47に搭載されたCore i7-14700FとGeForce RTX 4070 SUPERの動作温度は終始安定しており、高クロック動作を維持している。PZS-KFS47は安定して高いパフォーマンスを発揮できるPCであると言える。

先進的なビジュアルに新型CPU/GPUを搭載過去のハイスペックPCからの乗り換えにも好適な最新鋭ゲーミングPC

 STORMの新界「PZS-KFS47」は、究極の裏配線である「背面配線」とピラーレス強化ガラスパネルによる先進的なビジュアルに、IntelとNVIDIAの新型CPU/GPUを組み込んだ最新鋭のゲーミングPCだ。

 その性能は、Core i9-9900K/GeForce RTX 2070を搭載する過去のハイスペックPCを、ゲームとクリエイティブの両面で大きく上回っており、ビデオカードが2~3世代進化したあたりで買い替えているユーザーには魅力的な選択肢になるだろう。性能面でもビジュアル面でも優れたモデルなので、初めてゲーミングPCを購入する人にもお勧めな1台だ。

 STORM 新界シリーズには、PZS-KFS47以外にもさらに上位のCPU/GPUを組み合わせたハイスペックモデルも用意されている。GeForce RTX 4070 Ti SUPERやGeForce RTX 4080 SUPERなどの上位GPUを搭載したハイエンドゲーミングPCに興味のあるユーザーは、新界シリーズのラインナップもチェックしてもらいたい。