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Core i9搭載なのに10万円台半ば!ビジネスノート「MSI Modern 14 H D13M」は所有欲も満たせるパワフルな一台

「速さ」を求めてCore i9-13900Hを搭載した異色のビジネスノート text by 坂本はじめ

MSI Modern 14 H D13M (Modern-14-H-D13MG-1403JP)

 Modern 14 H D13Mは、MSIが「速さ」を重視してIntelのハイエンドCPU「Core i9-13900H」を搭載した14型ビジネスノート。

 実作業が速く終わることでの快適さがコンセプトになっており、そのためにハイエンドCPUのCore i9が搭載されている。本体の軽さや長時間駆動可能なバッテリー性能などに重きを置く製品が多いので、ビジネスノートの中ではユニークなモデルと言えるだろう。

 また、Core i9はIntelのハイエンドCPUだけあって搭載機は高価になりがちだが、Modern 14 H D13Mの通常販売価格は税込169,800円という設定。さらに、MSI公式オンラインショップの「MSI ストア」では、3月31日までの期間限定価格として税込み147,800円で注文を受け付けている。

 Core i9の性能にコストパフォーマンスも魅力のMSI Modern 14 H D13M。今回は、その実力を従来のデスクトップ環境との比較を交えつつチェックしてみよう。

14コア/20スレッドCPU「Core i9-13900H」搭載なのに10万円台半ば!お買い得感も抜群の14型ビジネスノート

ビジネスノートらしく、シンプルでスマートなデザインを採用するModern 14 H D13M

 今回紹介する「MSI Modern 14 H D13M(Modern-14-H-D13MG-1403JP)」は、MSIが「“軽さ”ではなく“速さ”」をコンセプトに設計した14型ビジネスノート。その象徴となるのが、CPUに採用したIntelの14コア/20スレッドCPU「Core i9-13900H」だ。

Core i9-13900Hを採用、「Core i9」にロマンを感じるユーザーも多いのではないだろうか
メモリ容量も多く、32GBのDDR4メモリを搭載
今回の評価機には5GB/sの1TB SSDが搭載されており、速度・容量ともにビジネスノートとしては十分
今回使用したCrystalDiskInfoとCrystalDiskMarkは、MSIノートPCのイメージキャラクターである美星メイをフィーチャーしたベータ版のもので、デザインなどをフィックスした正式版が近日正式にリリース予定

 もちろん、「速さ」を重視するコンセプトはCPU以外にも反映されており、32GBの大容量メインメモリや、1TBのNVMe SSDを標準搭載。また、OSにはビジネス向けの機能を備えたWindows 11 Proが採用されている。

 これだけハイスペックなパーツ構成を採用しながらも、筐体サイズは313.7×236×18.6mmと薄型で、重量1.6kgと持ち運びもできる範囲に収められている。通常販売価格は169,800円で、お買い得感も抜群だ。

タスクマネージャーのスレッド数を見るだけでも高性能さを感じるCore i9超省電力モードなど利用シーンに合わせた作り込みも

 ここで、改めてModern 14 H D13Mが搭載するCPU「Core i9-13900H」について紹介しよう。

 ノートPC向け第13世代Intel CoreのハイエンドモデルであるCore i9-13900Hは、6基のPコアと8基のEコアを組み合わせた14コア/20スレッドCPUで、GPUコアには「Iris Xe Graphics」を搭載している。タスクマネージャーを開いた際に表示されるスレッド数の多さは、高性能機を手にした満足感がある壮観なものだ。

14コア/20スレッドCPUであるCore i9-13900HのCPU使用率グラフ(タスクマネージャー)

 Core i9-13900Hを含む「Core i9」を冠するハイエンドCPUは、高いCPU性能が要求されるゲーミングノートやクリエイター向けPCでの採用例が多い一方、ビジネスノートでの採用例は珍しい。Core i9級の高性能CPUは発熱や消費電力が比較的大きく高価でもあるので、携帯性や費用対効果が重視されるビジネスノートに馴染まないのがその理由だろう。

 Modern 14 H D13Mはただ高速なCPUを搭載するだけでなく、シチュエーションに応じてPCの動作特性を変更する「ユーザーシナリオ」機能を備えることで、高性能CPUを搭載することによる発熱や消費電力のデメリットに対処している。

 ユーザーシナリオはユーティリティの「MSI Center」に用意されており、CPUパワーを最大限に引き出す「究極のパフォーマンス」、バッテリー駆動時間を最優先する「Super Battery」、状況に応じて動作を最適化する「スマートオート」など、ユーザーの利用シーンに適したプロファイルを任意で選択できる。

ユーティリティ「MSI Center」に用意された動作モード(ユーザーシナリオ)。変更するとCPUの電力リミット設定などが変更される

 ユーザーシナリオ機能では、冷却ファンの制御やキーボードバックライトなども調整されるが、PC全体の動作に大きく影響する要素が「CPUの電力リミット」だ。

 Intel製CPUにはCPUの最大消費電力を制限する電力リミットが設定されており、Core i9-13900Hの場合は常時有効な電力リミット値「PL1」、時間制限付きでPL1以上の電力を許容する「PL2」、PL2の持続時間である「Tau」という3つのパラメーターでCPU消費電力が管理される。

 Modern 14 H D13Mのユーザーシナリオ機能で調整される電力リミット設定は以下の表のとおり。電力リミット値が大きい設定ではCPU性能重視の動作となり、小さい設定では性能が控えめになる分だけ静粛性やバッテリー寿命が向上する。手軽に動作特性を変更できるユーザーシナリオ機能によって、ビジネスノートに求められるバッテリー駆動や携帯性を損なうことなく、ここぞという場面で高いCPU性能を発揮できるのがModern 14 H D13Mの魅力なのである。

スレッド数は見せかけじゃない、かなり高性能なCore i9-13900H、かつて人気を集めたデスクトップ向けハイエンドCPU「Core i9-9900K」と比較してみた

 スペック的には魅力十分なModern 14 H D13Mだが、冷却面で不利な薄型軽量の筐体でCore i9-13900Hからどれだけの性能を引き出すことができるのか検証してみよう。

 テストでは、Modern 14 H D13Mのユーザーシナリオを「究極のパフォーマンス」と「バランス」に設定した場合の性能をそれぞれ計測。また、比較対象には、旧世代のデスクトップ向け8コア/16スレッドCPU「Core i9-9900K」を用意した。

 往年のハイエンドCPUをものさしに、薄型軽量ビジネスノートに搭載されたCore i9-13900Hがどれだけの処理性能を発揮するのか確かめてみよう。

かつて人気を集めたデスクトップ向けのハイエンドCPU「Core i9-9900K」と性能を比較してみた

Core i9搭載ノートはマルチもシングルも高性能、CPUベンチマーク「Cinebench 2024」

 Cinebench 2024で実行した「CPU (Multi Core)」において、Modern 14 H D13Mが究極のパフォーマンスで「830」、バランスで「669」というスコア記録。これらはCore i9-9900Kが記録した「643」をそれぞれ29%と4%上回った。

 Cinebench 2024の「CPU (Single Core)」でModern 14 H D13Mが記録したスコアは、究極のパフォーマンスが「118」、バランスは「117」。いずれもCore i9-9900Kが記録した「74」を60%弱も上回った。

 電力リミット無制限で、「CPU (Multi Core)」実行時には100Wをゆうに超える電力を消費するCore i9-9900Kに対して、遥かに低い電力リミットが設定されているにも関わらず上回ってみせたCore i9-13900Hの性能は素晴らしい。「CPU (Single Core)」の結果からコア当たりの性能で圧倒していることも明らかで、この差は日常的なPC作業での軽快さにも効いてくるものだ。

画像処理もより短い待ち時間に、Adobe Camera Raw「RAW現像」

 Cinebenchより実践的なテストとして、デジタルカメラで撮影したRAWファイルを「Adobe Camera Raw」を用いてJPEG画像に変換する「RAW現像」を実行した際の処理時間を比較してみた。

 テストでは2,400万画素のRAWファイル100枚を一気にJPEG画像に変換した結果、Modern 14 H D13Mは究極のパフォーマンスで「1分08秒」、バランスでは「1分20秒」で処理を完了した。Core i9-9900Kのタイムは「2分17秒」であり、Modern 14 H D13MはCore i9-9900Kの1.7~2倍の処理速度を発揮したことになる。

 この結果は純粋なCPUコア性能の差を示すものとは言えないが、現代のビジネスノートである「Modern 14 H D13M」の性能が、数年前のデスクトップ環境を凌駕していることを示している。

 これだけの性能を薄型軽量の14型ビジネスノートで得られることこそ、速さを重視したModern 14 H D13Mの魅力であると言えよう。

CPUだけじゃない、ビジネス向けの機能をしっかり抑えたModern 14 H D13MThunderbolt 4や有線LAN、カメラ/マイクに堅牢性も

 最後に、Modern 14 H D13Mの外観チェックを通して、搭載されているインターフェイスや機能について紹介していこう。

 デザインは黒を基調とした落ち着いたもので、「MIL-STD-810H」規格のミリタリーグレードモデル。本体素材はサステナビリティを考慮し、筐体の一部に再生プラスチックを採用している。

黒を基調とした落ち着いたデザインの外観
ディスプレイはほぼ180°まで開閉可能

 Modern 14 H D13Mのインターフェイス類は、本体左側面と背面に配置されており、右側面にはセキュリティスロットと通気口が設けられている。主なインターフェイスはThunderbolt 4、USB 3.2 Gen 1 Type-A(3基)、1GbE、HDMI、オーディオコンボジャック。

 バッテリーの充電は付属のACアダプタ(90W)で行えるほか、Thunderbolt 4ポートを使用したUSB充電も可能。Thunderbolt 4ポートは100W(20V/5A)のUSB PD充電器に対応している。

本体左側面。左から電源入力、Thunderbolt 4、USB 3.2 Gen 1 Type-A、オーディオコンボジャック
本体右側面。背面側にセキュリティスロットが配置されている
本体背面。左からHDMI、USB 3.2 Gen 1(2基)、有線LAN(1GbE)
付属のACアダプタ(90W)、別途USB Type-C充電器を用意すればThunderbolt 4ポート経由での充電も可能

 Modern 14 H D13Mが備える14型のディスプレイは、アスペクト比16:10のWUXGA液晶パネル(1,920×1,200ドット)を採用。パネル表面の反射を抑えたノングレア仕様で、リフレッシュレートは60Hz。パネル上部にはプライバシーシャッター付きの92万画素ウェブカメラが配置されている。

アスペクト比16:10の14型WUXGA液晶パネル(1,920×1,200ドット)を採用
液晶パネル上部にはプライバシーシャッター付きの92万画素ウェブカメラを搭載、マイクはカメラ内蔵のものに加えキーボード横にも搭載した「空間アレイマイク(3マイク)」を採用しノイズを低減

 キーボードはテンキーレスの日本語配列で、各キーにはバックライトが内蔵されている。主要なキーのキーピッチは約19mmで、キーピッチは1.7mm。また、パームレスト部に配置にボタン一体型のタッチパッドを搭載している。

テンキーレスの日本語キーボードを採用
バックライトが内蔵されている
主要キーのキーピッチは約19mm
ボタン一体型の大型タッチパッドを搭載

 このように、Modern 14 H D13Mのビジュアルや機能は薄型軽量ビジネスノートそのものだ。動作中のファンノイズも静粛性重視でチューニングされており、ビジネスシーンでの利用を妨げる要素は存在しない。

 これほど、ビジネスノートらしいビジネスノートであるにも関わらず、CPUに強力なCore i9-13900Hを搭載しているというギャップが、Modern 14 H D13Mの魅力と言えるだろう。

最上位「Core i9」搭載ノートは軽快な動作で仕事も速くこなせる一台パワフルでコスパの良いビジネスノートを求めるならMSI Modern 14 H D13Mは要チェック

 一見おとなしめのビジネスノートに見えるが、「“軽さ”ではなく“速さ”」をコンセプトに開発されたMSI Modern 14 H D13Mは、Core i9を搭載していたり、1,920×1,200ドットの液晶パネルを備えていたりと、尖った特性も持ったユニークなモデルだ。

 Core i9-13900Hの優れたCPU性能による「速さ」を実現する一方で、14型ビジネスノートとして及第点に届く薄型軽量さも兼ね備えている。PCの処理待ち時間が短くなれば、その分操作をしていて不満を感じることも減るので、こうしたコンセプトのビジネスノートの選択肢が増えることは好ましい事だろう。Core i9搭載機という所有欲だけでなく、14コア/20スレッドCPUの実行性能の高さも満足感があり、魅力あるビジネスノートとして本機は完成された1台と言える。

 通常価格の169,800円でも十分に魅力的なModern 14 H D13Mだが、冒頭でも紹介した通りMSI ストアでは3月31日までは147,800円で注文を受け付けている。特にCPUの処理能力の高さを求められる用途では優れたコストパフォーマンスを発揮できるので、この機にビジネスノートの新調を検討してみてはいかがだろうか。