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IPS/180Hz/フルHD対応でスピーカーも内蔵、MSIの新しいスタンダードゲーミングモニター「G255PF E2」

24.5インチで家庭用ゲーム機でもPCでも使いやすい1台 text by 白倉甲一

MSI G255PF E2

 MSIの「G255PF E2」は、最大180Hzの高リフレッシュレートに対応したゲーミングモニター。24.5インチ/フルHDのモデルで、「RAPID IPS」パネルを採用することで表示遅延の少なさと発色の良さを兼ね備える点をウリとしたモデルだ。

 同社製のゲーミングモニターの中では初心者にも扱いやすいスタンダードなモデルで、安値店での販売価格は2万7千円前後とお買い得感のある価格帯に投入されている。また、家庭用ゲーム機との接続も考慮してスピーカーを内蔵している点も特徴となっている。

 今回は「G255PF E2」のスペックを確認しつつ、実際に“ゲームで勝ちに行ける”性能を持ったモデルなのか、使用感と共に確認してみたい。

180Hz対応の新型MSI製ゲーミングモニター24.5インチ/フルHD/IPSパネルの扱いやすいスタンダードモデル

 まずは「G255PF E2」の外観から確認していこう。3辺フレームレスベゼルで、正面から見るとすっきりとした印象。背面側も安っぽい感じではなく、ゲーミングらしさを取り入れつつ落ち着いたデザインにまとめられている。

 付属するスタンドはしっかりとしたもので、中/上級機に付属するようなチルトやスイベルなども調整できるタイプで、ケーブルホールを備えている点も好印象だ。本体サイズは約558×228×382(幅×奥行き×高さ)mm、本体重量は約5.3kg。

正面。カラーはブラックでシンプルなデザイン。
背面。ロゴマークの下側に操作用のNaviキーを備える。
上部。スタンド側の支柱上部に凹んだ部分があり、Webカメラなどのケーブルマネジメントに利用できそうだ。
三辺フレームレスデザインの狭縁ベゼル。

 パネルのサイズは24.5インチで、解像度はフルHD(1,920×1,080)。RAPID IPSパネルを採用しており、最大リフレッシュレート180Hz/応答速度1ms(GTG)と、ゲーム中の激しい動きなども遅延や残像感なく表示することができるのが特徴だ。

 色域のカバー率はsRGB 93%、DCI-P3 78%で、広色域への対応がうたわれている。輝度は300cd/m2、コントラスト比は1,000:1。ゲームはもちろん、幅広い用途に使えるゲーミングモニターだ。

24.5インチ/フルHDで、ノングレア処理が施されている。
発色の良さと応答性能を両立したRAPID IPSパネルを採用。色域のカバー率はsRGB 93%、DCI-P3 78%。
最大180Hz駆動が可能。リフレッシュレートは高いほど映像が滑らかになり、FPSなどのゲームではこの滑らかさが勝敗に及ぼす影響はかなり大きいので、こだわりたい部分だ。
使用時にはWindows上からリフレッシュレートを180Hzに設定するのを忘れないようにしよう。また、ゲーム側のリフレッシュレート設定も忘れがちなので注意を。

 映像用の接続ポートはHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.2a×1を備え、いずれのポートも最大180Hzの高リフレッシュレートに対応している。入力が3系統なので、PC×1台+家庭用ゲーム機×2といったような、複数機器を接続して使いたい場合などには便利だ。Adaptive-Syncにも対応しているので、対応GPUを利用すればより滑らかな表示も行える。

 また、HDMI/DisplayPortで入力した音声をヘッドフォン用に出力するアナログポートも備えている。本体側に2Wスピーカーを2基内蔵(2W+2W、最大4W)しているので、好みや利用シーンに合わせて使い分けできる。スピーカーは家庭用ゲームを接続して手軽に扱いたい時には便利だろう。

背面の接続ポート。
Adaptive-Syncをサポート。対応GPU搭載のPCで利用すれば表示が滑らかになるだけでなく、テアリングやスタッタリングといった画面表示関連のストレスを回避できる。
本体に2Wスピーカーを2基内蔵している。
スピーカーは背面側の両サイドに配置されている。

 電源は内蔵タイプなので、ケーブルを含めた設置や取り回しは容易。付属のケーブルはHDMIケーブルと電源ケーブルで、DisplayPortケーブルは付属していないので、DisplayPort接続を利用したい場合は別途用意しよう。

 ケーブルを用意してHDMI接続とDisplayPort接続の両方を確認してみたが、どちらも180Hzでしっかり接続できることが確認できた。

電源内蔵タイプなので、ACアダプタが無いので配線などはしやすい。
付属ケーブルは電源とHDMIで、いずれも長さは約1.5m。DisplayPort接続を検討している場合には別途用意しよう。

ゲーミングモニターとしての機能は一通り搭載OSDメニューは背面ジョイスティックで直感的に簡単操作

 本体設定はOSDメニューから行う仕組みで、操作は背面にあるジョイスティックタイプのNaviキーによって直感的に行うことかできる。

 アンチフリッカー、アンチモーションブラー、ナイトビジョン、Adaptive-Syncなどのゲーム向け機能をサポートしているほか、ブルーライトカット機能などもサポート。OSDのメニュー内から調整やON/OFFの切り替えなどが可能だ。

Naviキーは背面にあるので一見すると操作しにくそうに感じるが、慣れると操作したい方向へジョイスティックを倒すだけなのでむしろ簡単だ。
側面にはボタン類がなく、インジケーターランプのみを備える。モニターをつかんで位置調整をする際に誤って触れてしまうといったことが無い。
基本的な輝度や音量調節などもNaviキーで操作する。
ナイトビジョンなどのゲーム向け機能も手軽に設定可能。
画面のちらつきを抑制するアンチフリッカー機能を搭載、長時間利用も快適。
波長の強いブルーライトの総量を低減するタイプのブルーライトカット機能が搭載されている。

 また、MSI公式サイトで配布されている「Display Kit」ツールをインストールすればツール上からマウスで各種機能を利用することも可能だ。簡易的なディスプレイ設定のほか、ウィンドウ分割などの操作が行える。

MSIのユーティリティ「Display Kit」。
解像度やリフレッシュレートの設定のほか、ウィンドウ分割などのちょっとした便利機能も利用できる。

調整範囲の広いスタンドが付属ケーブルマネジメント用のホール付きでVESAマウントにも対応

 付属スタンドは高さの調節はもちろん、チルト(上下角度)、スイベル(左右角度)、ピボット(画面回転)と、一通りの調整が可能。がっしりとしていて安定感も抜群だ。

 スタンド下部はケーブルマネジメント用のホールも用意されており、ケーブルが増えても整理しやすい。「G255PF E2」はVESA100に対応しており、本体とスタンドはVESA100対応の穴を利用して固定する仕組みになっている。

付属のスタンド、調整範囲が広くしっかりした物が付属している。
ケーブルマネジメント用のホールがあるので、複数機器を接続しても整理しやすい
VESA対応で、本体側にはVESA100に対応した固定用の穴がある。
本体とスタンドの固定もVESAマウント用の穴を使って固定する仕組みになっている。

 可動範囲も広めで扱いやすくピボットにも対応している。自分好みのポジションに調整しやすく、付属のスタンドとしてはなかなか好印象だ。

高さ調節は最大+130mmまで。
チルトは下向きへ5度、上向きには20度の角度がつけられる。
スイベルは支柱ごと回転し左右にそれぞれ30度傾けることが可能。
ピボットは左右どちら向きでも90度の回転が可能。

最大180Hz/応答速度1msの高速表示でエイムも合わせやすい勝つためのゲーミングモニターとして使える「MSI G255PF E2」

 ここからは実際のゲームで「G255PF E2」の表示性能をチェックしてみよう。

 スピーディーな展開と個性的なキャラのスキルシステムで長らく人気のバトロワ系FPS「Apex Legends」を使用して性能を確認してみた。最近大型のアップデートが入り話題が再燃した本作だが、アクション要素が大きく勝敗に関わるため、リフレッシュレートや応答性能の高さがダイレクトに勝敗に結び付く。今回のチェックにはうってつけのタイトルだ。

敵が同じ地点からスタートしてしまったため開始後いきなり戦闘に。表示遅延を感じず的確に操作が行えたこともあり、その場は無事に乗り切れた。乱戦時などは応答速度の速さが勝敗に直結することもある。
180Hzの高リフレッシュレートの恩恵を感じたのは素早く動く標的を狙ったシーン。高速な移動スキルを持つオクタンをスナイパーライフルで捉えることができた。表示が滑らかで残像感も少なく、落ち着いて狙いを定められた。

 実際に使ってみると、リフレッシュレートの高さもさることながら、応答速度の速さ、残像感の少なさが一瞬の判断で勝負が決まるFPSゲームには欠かせないことを実感できた。

 乱戦時に素早く操作しても何かが遅れて表示される感覚は無く、応答速度が速いに越したことは無いことを実感する。高リフレッシュレートはその分滑らかに表示されるので、視認性が高い。「G255PF E2」は残像感が少ないこともあり、高速に動く敵も目で追いやすく、エイムも合わせやすく感じた。

ナイトビジョン機能も試してみた。建物を追われ地下へ逃げ込んだが、暗がりや狭い通路でもナイトビジョンの補助機能のおかげもあって視認性が悪くなることもなく、思った通りに撃ち合いができたように感じた。
リング内に入ろうと走る最中、追いつかれる形で敵と遭遇。振り向き様のエイムでもしっかり敵を目視し照準を合わせることができた。見やすいゲーミングモニターは咄嗟の事態に対応しやすい。

 180Hzのリフレッシュレートを活かすには、PC側にもそれなりの性能が求められる。今回使用した「Apex Legends」は、今時のミドルクラスのゲーミングPCであれば動作はそれほど重くないので、画質を調整することで平均フレームレート180fps、つまりリフレッシュレート180Hzに最適なフレームレートを狙ってプレイすることが可能だ。FPSゲームの場合は表示の滑らかさが勝敗に結びつくことが多いので、G255F E2のようにリフレッシュレートが高いゲーミングモニターは大きなアドバンテージとなるだろう。

 試用中、オーディオ設定が切り替わっていたことに気づかず、チェック中に内蔵スピーカーから爆音が流れるというミスをしてしまったが、サッと背面に手を回して即音量を下げることができたので助かった。

 操作が複数ボタンタイプのモデルを使用していて、こうした時に目的とは違うボタンを押してしまい、事態がさらに悪化してしまったという経験をした人もいるのではないだろうか。Naviキーは割り当てをカスタムすることも可能で、音調調整を割り当てておけばこのような事態にも対応しやすい。背面側にキーは搭載されているが、位置さえ覚えてしまえば咄嗟の操作も行えるので、今回メリットを実感することができた。

スピーカー内蔵は手軽に家庭用ゲームを遊ぶのに便利

 内蔵スピーカーのテストにはNintendo Switchを使用し、フォートナイトを使用して動作を確認してみた。

 実際に遊ぶ分には音も聞き取りにくいといったことは無く、テレビのように接続して簡単に使えるメリットが享受できる。カジュアルに遊ぶ分には困らないので、ゲーミングモニターは音が出ないからと敬遠していたユーザーには嬉しい機能だろう。ちょっとした確認などに使いたい時などにもスピーカー内蔵型は便利だ。

スピーカーを内蔵しているので、家庭用ゲーム機を接続した際はテレビ的に使うことができる。
カジュアルに遊ぶ分にはスピーカーがある方が何かと便利だ。

 なお、Nintendo Switchであれば最大60Hzまで、PlayStation 5であれば最大120Hzまでと、ゲーム機/ゲームソフトによって対応できるリフレッシュレートには制限がある。その他の部分はゲーミングモニターとしての恩恵が受けられるので、可能な範囲で最大限の性能を活かして使用しよう。

手軽な価格で必要な機能を盛り込んだ高リフレッシュレートモデル入門向けとしておすすめなゲーミングモニター

 「MSI G255PF E2」は、高リフレッシュレートかつ応答速度の速さから、動きの激しいゲームに強いゲーミングモニターといえる製品だ。発色面も十分な性能を持っている上、スピーカー内蔵でゲーム機とも接続しやすい。様々な用途に使える汎用性の高いモデルでもある。

 4K解像度であったりHDRをサポートしていたりするわけではないので、映像作品を超美麗に見たいといったような用途には適していない。しかし、ゲーム機能に絞ってみると、勝つために必要な機能と性能はしっかり備えており、これが3万円未満で手に入るのは値ごろ感がある。

多数の機能を盛り込んでいて価格も手頃なので、「高リフレッシュレートゲーミングモニターを試したい」と思っているユーザーは、初めてのゲーミングモニターや買い替え候補として一度検討してみてほしい。