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27インチ湾曲で240Hz/WQHD対応、MSI製ゲーミングモニターの新モデル「MPG 275CQRXF」を試す

湾曲率1500RでUSB Type-Cポートは98W PDにも対応 text by 白倉甲一

MSI MPG 275CQRXF

 MSIから27インチの湾曲ゲーミングモニター「MPG 275CQRXF」が発売された。安値店での実販売価格は59,800円。

 WQHD(2,560×1,440ドット)対応の湾曲ゲーミングモニターとしては珍しく、最大240Hzの高フレッシュレートをサポートしている点が特徴。湾曲モニターは没入感重視のモデルが多いが、本機は応答速度0.5msの低遅延な「RAPID VA」パネルを採用。動きの激しいFPS系のゲームでも高い性能を発揮できる。

 今回は「MPG 275CQRXF」の特徴や機能を中心に、実際にゲームで使用した際の使用感も合わせて紹介しよう。

WQHD/240Hz/低遅延の27インチ湾曲ゲーミングモニター

 まずは「MPG 275CQRXF」の外観から確認していこう。

 黒を基調としたデザインに3辺フレームレスベゼルを採用。背面にはイルミネーションLEDとゲーミング然としたパターンが刻まれ、OSDメニューの操作などを行う赤色のNaviキーが備えられている。本体サイズは約612×237×429(幅×奥行き×高さ)mm、本体重量は約5.8kg。

3辺フレームレスベゼルの湾曲ゲーミングモニター、パネルはノングレア処理が施されている。
背面には特徴的な赤色の操作用Naviキーを備える。イルミネーションLEDは好みの発光パターンに設定可能。
上部側から。台座部分は最小限のスペースでモニターを支える形状になっている。
支柱裏にはコード類を束ねられるケーブルマネジメント用のクリップが付いている。

 27インチの「RAPID VAパネル」を採用しており、解像度はWQHD(2,560×1,440ドット)、最大リフレッシュレートは240Hz、応答速度は0.5ms(GTG)。解像度の高さと表示遅延の少なさを両立したモデルになっている。湾曲率は人間の視野に近い1500Rで、画面全体が視認がしやすく没入感にも優れる。

湾曲率1500Rの27インチパネルを採用。
適切な距離に置いて使用した際に、1500Rの湾曲率は人間の視野に近い自然なカーブとされている。
解像度はWQHD(2,560×1,440)。27インチであれば、文字などの表示も細かくなりすぎず粗くもならずといった丁度良い解像感。
メリハリのある映像が楽しめる「RAPID VA」パネルを採用。最大240Hz駆動対応で、応答速度は0.5ms(GTG)。対応リフレッシュレートの高さは、FPSなど競技寄りのゲームで勝敗に及ぼす影響が大きいのでこだわりたい部分だ。
色域のカバー率はsRGB 99%、DCI-P3 94%。映像が美しいゲームをより楽しめる映像表現が可能。
DisplayHDR 400に規格対応。光や影などの明暗表現などがより鮮明になり、より映像表現を楽しむことができる。

 色域のカバー率はsRGB 99%、DCI-P3 94%、輝度は400cd/m2、コントラスト比は4,000:1。RAPID VAパネルによりメリハリのある映像を楽しめる。加えてDisplayHDR 400規格にも対応しており、ダイナミックな明暗表現も可能となっている。

 付属するスタンドは湾曲モニターをしっかり支えつつも、台座部分が邪魔にならない省スペースなタイプで、チルトやスイベルなどの調整も可能。VESA75に対応しているので、付属のスペーサーを使用することでモニターアームに取り付けることも可能。

付属のスタンド。27インチでも安定して使用できるがっしりとした作りで、占有スペースは最小限に収まっている。
付属品一式。ケーブルはDisplayPortケーブル、PCと接続するためのUSBケーブル(Type-B - Type-A)、ACアダプタは150W対応で、最大98WのUSB PD出力を考慮したものになっている。VESAマウント用のスペーサーも付属。
ケーブルマネジメント用のクリップがあるので、多くのケーブルを接続した際にもまとめやすい。
本体にはVESA75に対応した固定用の穴がある。付属のスペーサーネジを使用してモニターアームなどに取り付け可能。
高さ調節は0~110mmの範囲で調整可能。
チルトは上向きへ20度、下向きには5度の角度がつけられる。
スイベルは支柱ごと回転し左右にそれぞれ20度の範囲で調整可能。

DisplayPort/HDMI/USB Type-Cの3系統の接続に対応、98WのUSB PD出力もサポート

 接続ポートはHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.4a×1、USB Type-C(DP Alt mode、USB PD)×1、USB 2.0 Type-A(USBハブ)×2、USB 2.0 Type-B(PC接続用)×1、ヘッドホン出力×1を備える。Adaptive-Syncにも対応しているので、対応GPUを利用すればより滑らかな表示も行える。

背面下部の各接続ポート。映像端子、音声出力やUSB Type-Cなど、PCはもちろん様々なデバイスとの接続にも対応できる。
Adaptive-Syncをサポート。PC接続の際には対応GPUとの利用で表示が滑らかになるだけでなく、テアリングやスタッタリングといった画面表示関連のストレスを低減できる。

 USB Type-C端子はDP Alt mode/USB PD 98W対応なので、対応機器であればケーブル1本で画面出力および給電を行うことができる。ノートPCやスマートフォン、携帯ゲーム機と接続し大画面で利用するのに便利な機能だ。

 PS5などの家庭用ゲーム機との接続もサポートしており、最大120Hz/1440pでの映像出力が可能。家庭用ゲーム機などではVRRと呼ばれるが、Adaptive-Syncと同等の可変フレームレート表示機能にも対応。明暗表現に対応したHDRも利用可能で高品質な映像を楽しめる。

USB Type-C(DP Alt mode/USB PD 98W)端子を搭載。
消費電力98W以内のノートPCやタブレットであれば、映像出力/給電/データリンクがケーブル1本で行える。
USBハブ機能を持ったPC接続用のUSBポートを備える。
KVM機能を利用することで、マウス、キーボード、モニターを2台のPCで切り替えて利用できる。1台のPCはUSB Type-B端子側に接続し、もう1台のPCはUSB Type-C側に接続して使用する仕組み。
家庭用ゲーム機との接続もサポート。
PS5と接続した際は、最大120Hz/1440pでの映像出力が可能。VRRやHDRにも対応し、滑らかで高画質な映像を楽しめる。

 DisplayPort接続時の最大リフレッシュレートはWQHD/240Hz、HDMI接続時の最大リフレッシュレートはWQHD/144Hz。パネルの性能を最大限に引き出すならDisplayPort接続を利用しよう。

DisplayPort接続時の最大リフレッシュレートはWQHD/240Hz。
HDMI接続時の最大リフレッシュレートはWQHD/144Hz。

PCからパネルの設定を簡単に変更できる「Gaming Intelligence」に対応

 各種設定はOSDメニューから行え、操作は背面にあるジョイスティックタイプのNaviキーによって直感的に行うことが可能。Naviキーはメニューの操作のほか、ショートカットボタンとして機能を割り当てることも可能。4方向それぞれに異なる設定が可能なので、よく使う内容を登録しておくと便利だ。

OSDメニュー等は背面のNaviキーで操作。慣れると側面ボタンのタイプよりも簡単に扱える。
OSDメニューからは様々な機能が設定できる、各種ゲーム用途機能のON/OFFはもちろん、PIPやPBPなども利用できる。

 ただ、OSDメニューは項目が多岐にわたる為、一つ一つNaviキーで選択していくのも少々大変だ。そんな時は専用ユーティリティの「Gaming Intelligence」利用することで、PCから各設定を簡単に変更することが可能となっている。

 OSDメニューから設定できることは一通り「Gaming Intelligence」上からも設定可能で、AIビジョン/ナイトビジョンやAdaptive-syncと言ったハードウェア機能のオンオフまで自由に設定できる。プロファイルを最大4つまで保存してアプリケーションと連動させる事も可能なので、用途に合わせて設定を作り分けておくといいだろう。

「Gaming Intelligence」上からはOSD設定よりも更に細かい設定が可能。基本的にはOSDよりもこちらで調整を行う形になるだろう。
プロファイルを複数用意してアプリケーションと紐づけることもできる。
本体背面のRGB LEDは、OSD上で発光色を選択できる。
イルミネーションパターンは複数用意されており、LEDはオフにすることも可能。

240Hz/応答速度0.5msで遅延を感じさせずFPSゲームは快適高解像度&湾曲で没入感重視のゲームにも好適

 「MPG 275CQRXF」はRAPID VAパネルの採用により、応答速度0.5ms(GTG、最小値)、リフレッシュレート240Hzと高速な表示が可能だ。WQHDの高解像度によって画面から得られる情報量も多く、こうした特性は競技性の高いFPS系のゲームにも適したスペックといると言えるだろう。

 実際にゲーミングモニターとしての性能を確認するべく、FPSゲームの中でも瞬時の情報精査と判断力が大切な「VALORANT」を使って使用感を確認してみた。同タイトルはFPSゲームの中でも比較的CPU/GPUへの要求スペックが低めで、WQHD解像度でプレイしていても240fps表示が狙いやすい。高リフレッシュレート対応のゲーミングモニターと相性が良いタイトルだ。

高速移動を得意とする敵キャラクターに遭遇。かなり動き回られたが、スペックの高いパネルだけあって表示遅延などを感じることはなく、相手をしっかり捉えて対応することができた。
VALORANTは画面端のミニマップを確認することも多いゲーム。人数的に不利なシーンなどでは、ミニマップから状況把握する頻度もかなり増える。ミニマップが表示されている画面端の情報を最小の視点移動で確認できる湾曲モニターは、こうした場面で優位性を発揮する。

 実際に使用してみると、物陰からの飛び出した際など、画面が大きく動くような場面でも表示が遅いと感じるよなことはなかった。高速な応答速度の効果もあって快適にプレイできた結果と言えるだろう。気を抜くとヘッドショット一発で倒されかねない展開の早いゲームなので、ゲーミングモニターの性能差が勝敗に影響することが多々ある。こうした部分の性能は、競技性の高いタイトルでは大きなアドバンテージになる。

 また、ミニマップでの戦況確認が大事なゲームなので、画面の湾曲によって画面端のミニマップが視線を大きく動かさずとも見やすいのは嬉しいポイント。負担が少なく確認できるので、その分有利と言えるだろう。

 次は画質面の性能を確認していこう。画質の良さでゲーミングモニター選ぶ場合、発色を重視して広色域のIPSパネルや有機ELパネルを搭載したモデルを選ぶことが多いかもしれない。画質というと色の部分が注目されがちだが、コントラスト比の高さも映像を楽しむうえでは影響が大きい。闇夜のような暗いシーンから晴天の明るいシーンまで、明暗の階調表現力の高さは、発色の良さと並んで没入感を高める要因になる。

 没入感のチェックには、Unreal Engine 5を用いた美しいグラフィックやHDRでの映像表現が楽しめる「ARK: Survival Ascended」を使用した。新規追加されたマップ「アベレーション(Aberration)」では光源処理に注目すべき生物や植物が生息する地下洞窟があるので、そこで「MPG 275CQRXF」の4,000:1という高いコントラスト比が効果的なのかを確認してみた。

怪しげに発光する植物や、暗がりの洞窟に色とりどりの光が反射している。「MPG 275CQRXF」は高く諧調表現もはっきりしているので、黒つぶれなども起こらず微妙な色彩もきれいに表現できている。
洞窟の地底奥深くへ届く自然光と、機械による人工光が見えるシーンでは、異なる光源の様子がしっかり表現されつつ、暗部の中に何があるのかも視認できる。暗い部分も視認できると空間認識にも役立つので、コントラストの高さは没入感を高めるだけでなく、ゲームをより有利に進める面でも効果がある。

 VAパネルは一般的なIPSパネルやTNパネルに比べるとコントラスト比が高く、暗いシーンなどでも黒潰れせず情景を表示できる。映像美をウリとするコンテンツは暗所のシーンも多く、「MPG 275CQRXF」とは相性が良いと言えるだろう。「ARK: Survival Ascended」でも洞窟など暗所がメインとなるエリアがあり、こうした場所で光が差し込むシーンなどはより美しさを楽しむことができる。

 また、湾曲モニターは、カーブがある分、通常のモニターよりも画面端に表示されている内容を視認しやすい。結果的に認識できる情報量が増えるのと同時に余計なものが視野に入りにくくなるので、よりその世界に浸らせてくれる効果がある。「ARK: Survival Ascended」は恐竜に騎乗した際などにはカメラがゆったり動くので、湾曲モニターの良さを体感しやすい印象だった。

 パネルの発色に関しては、デフォルト設定では若干ビビット寄りな印象だった。ただ、様々な発光色や色とりどりの生物がメリハリのあるかたちで表現されるので、ゲームの映像表現を楽しむ点では、こういったチューニングの方が遊んでいて楽しいと感じる人も多いのではないだろうか。

240HzのRAPID VAパネルは競技性の高いゲームにも好適程よいサイズと解像度の湾曲ゲーミングモニターを探しているユーザーにおすすめ

 FPSゲームをメインに遊んでいるゲームユーザーには、ゲーミングモニターの応答速度やリフレッシュレートの性能が死活問題になることもある。また、解像度も高ければ良いといったものではなく、PC側の性能が足りずにフレームレートが出ないのであれば意味がなく、使用環境に合わせてスペックを選ぶ必要がある。

 「MSI MPG 275CQRXF」であれば、WQHD解像度とゲームのフレームレートも稼ぎやすい解像度になっている。RAPID VAパネルにより表示性能も240Hz/応答速度0.5ms(GTG)と高く、競技性の高いゲームでもゲーミングモニター側が足を引っ張ることもないだろう。また、27インチだが湾曲モニターなので、画面の端までの視認性も高い。

 ゲーム用途以外にもKVM機能を備えていたり、USB Type-Cで98W給電が可能であったりと、普段使いに便利な機能も備えている。使い勝手もよくゲーム性能も高い湾曲モニターを求めているなら、「MSI MPG 275CQRXF」は良い選択肢になるのではないだろうか。