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180Hz/WQHD/量子ドットで27インチ、MSIの高性能ゲーミングモニター「MAG 274QRF QD E2」

USB Type-C接続やKVMなど便利なハードウェア機能も搭載 text by 白倉甲一

MSI MAG 274QRF QD E2

 MSIから最大180Hzの高リフレッシュレートに対応した、27インチ/WQHDゲーミングモニター「MAG 274QRF QD E2」が発売された。

 「RAPID IPS」パネル採用で表示遅延の少なさに加え、量子ドット技術とDisplayHDR 400対応による発色の良さも合わせ持っているため、応答速度の面でも映像美の面でもゲームを存分に楽しめるモデルだ。実販売価格は5万3千~5万5千円前後で、高機能モデルとしては手頃な価格帯で投入されている。

 今回は「MAG 274QRF QD E2」の機能や性能を中心に、実際にゲームで使用した際の使用感も紹介しよう。

広色域対応でクリエイター向けモニター顔負けの鮮明さ27インチ/WQHD/IPSパネル/180Hz/量子ドットのMSI製ゲーミングモニター

 まずは「MAG 274QRF QD E2」の外観から確認していこう。3辺フレームレスベゼルで落ち着いた印象の正面デザインで、背面側には、ゲーミングモニターらしくカラーイルミネーションLEDを搭載。特徴的な赤色のNaviキーが映える。

 付属するスタンドはチルトやスイベルなども調整できるタイプで、27インチモニターでもグラついたりせず、省スペースながらも安定性が高い。本体サイズは約614×197×403(幅×奥行き×高さ)mm、本体重量は約6.1kg。

3辺フレームレスベゼルで、ノングレア処理が施されている。
背面側にはイルミネーション機能が搭載されており、ロゴマークの下部に特徴的な赤色の操作用Naviキーを備える。
上部から見ると、台座の手前部分はモニター本体から出っ張らないデザインになっている。
側面から見ると、裏側に向かって丸みがかった形状をしている。

 パネルのサイズは27インチで、解像度はWQHD(2,560×1,440)。RAPID IPSパネルを採用しており、最大リフレッシュレート180Hz/応答速度1ms(GTG)と、ゲーム中の激しい動きなども遅延や残像感なく表示することができるのが特徴だ。

27インチで画質に妥協しない全部入りモデルのMSI MAG 274QRF QD E2。
発色の良さと応答性能を両立したRAPID IPSパネルを採用。
最大180Hz駆動対応で、応答速度は1ms(GTG)。対応リフレッシュレートの高さは、FPSなど競技寄りのゲームで勝敗に及ぼす影響が大きいので、こだわりたい部分だ。
接続しただけでは180Hz表示にならないので、使用時にはディスプレイ設定およびゲーム内設定でリフレッシュレートを180Hzにするのを忘れないようにしよう。

 色域のカバー率はsRGB 99%、AdobeRGB 94%、DCI-P3 98%で、広色域への対応がうたわれている。輝度は400cd/m2、コントラスト比は1,000:1。量子ドット採用によりゲーム用途向けとしての位置づけではあるものの発色が良く、クリエイター用途にも活用できる鮮明な表現や、DisplayHDR 400規格に対応しダイナミックな明暗表現などを楽しむことができる。

色域のカバー率はsRGB 99%、AdobeRGB 94%、DCI-P3 98%。量子ドット採用で発色はかなり良い印象だ。
DisplayHDR 400に規格対応。光や影などの明暗表現などがより鮮明になり、迫力ある映像表現を楽しむことができる。

 接続ポートはHDMI 2.0b×2、DisplayPort 1.4a×1、USB Type-C(DP Alt mode、USB PD)×1、USB 2.0 Type-B(PC接続用)×1、USB 2.0 Type-A(USBハブポート)×2、ヘッドホン出力 ×1、を備える。

 HDMI接続時の最大リフレッシュレートはWQHD/144Hz、DisplayPort接続時の最大リフレッシュレートはWQHD/180Hz。PS5やXboxなどの次世代ゲーム機であれば1440P/120Hzでの映像出力が可能。PCとの接続ではAdaptive-Syncにも対応しているので、対応GPUを利用すればより滑らかな表示も行える。

背面下部には充実した接続ポート、PCとの接続はもちろん家庭用ゲーム機などにも対応できる。
Adaptive-Syncをサポート。対応GPU搭載のPCで利用すれば表示が滑らかになるだけでなく、テアリングやスタッタリングといった画面表示関連のストレスを回避できる。

 また、USB Type-C(DP Alt mode/USB PD65W)端子を搭載している為、USB Type-C経由での映像出力が可能なデバイスであれば、ケーブル1本で画面出力および給電を行うことが可能となっている。ノートPCやスマートフォン、携帯ゲーム機と接続し大画面で作業をするのに便利な機能だ。

USB Type-C(DP Alt mode/USB PD65W)端子を搭載。
消費電力65W以内のノートPCやタブレットであれば、映像出力/給電/データリンクがケーブル1本で行える。
USBハブ用のUSBポート、延長用として便利な他、KVM機能でも使用。
KVM機能が備わっているので、2台のPCでマウス、キーボード、モニターを切り替えて利用できる。1台のPCはモニター側のUSB Type-B端子で接続し、もう1台のPCはUSB Type-Cで接続する仕組みで、自動切替も利用できる。
PS5とも1440p/120Hzでの接続が可能。120Hz対応ゲームであれば滑らかな映像が楽しめる。
付属ケーブルはHDMIとDisplayPort、USBハブ機能等で使用するPC接続用のUSB A-Bケーブル。ACアダプタは120W対応のものが同梱、PD65Wを加味しても余裕のある容量となっている。

豊富なゲーム向け機能と調整用の専用ユーティリティ「Gaming Intelligence」複数デバイスとの接続に便利なPIP/PBPやKVMなどの機能も充実

 付属のUSBケーブルで「MAG 274QRF QD E2」とPCを接続することで、専用ユーティリティ「Gaming Intelligence」が利用できる。これにより、PC上のアプリケーションから詳細なモニターの調整や便利な機能をマウス操作で設定できる。

 ナイトビジョン/ブルーライトカットなどといったモニターの各機能のON/OFF、Naviキーへの機能割り振りなども行え、ワンボタンで180Hz設定を反映させるなど痒い所に手が届く。

プリセットごとのモニター設定を一括でカスタマイズ。デフォルト以外のプリセットも新規で4つまで追加できる。
PIPやPBPも備えているので映像を出力する際にも便利。WQHDの高解像度を最大限に活用しよう。
ホットキー機能をオンにすればよく使う機能などをキーボードショートカットで一発切り替えできる。
通常OSDメニューからしか設定できないような細かいところまで調整可能。

 そのほかにもユーティリティ上から利用可能な便利ツールが提供されていて、デスクトップウィンドウの表示位置を整理したり、ホットキー機能を利用したりする事もできる。各機能にキーバインドを割り振り、ゲーム中にキーボード操作で手早くプリセットを切り替えるなど、活用方法は多岐にわたる。

OSDメニューはNaviキーで操作する。背面にあるので一見すると操作しにくそうに感じるが、慣れてしまえばジョイスティック操作なのでむしろ簡単。
OSDメニュー上からは基本的な機能のON/OFFや簡単な調整が行える。

 もちろん各設定はOSDメニューからも行え、背面にあるジョイスティックタイプのNaviキーによって直感的に操作可能だ。Naviキーを4方向に倒したただけで即座に利用できる機能も好みでカスタマイズ可能なので、よく使う機能はOSDをたどらずに手早く操作、詳細な設定変更などの頻度の低い操作はOSDメニューやユーティリティの詳細項目から、というように使い分けるのもいいだろう。

背面カラーイルミネーション。
MSI Mystic Lightによって他のMSI製品とライティングを同期させたり、好みのパターンで光らせたりすることができる。

 本体背面に搭載されているイルミネーションの設定も「Gaming Intelligence」内の「MSI Mystic Light」の項目から行える。カラーや各種発光パターンが選択可能で、イルミネーションをオフにすることも可能だ。

大きめなパネルでも安定感抜群の省スペーススタンドが付属、ケーブルマネジメント用のホールもディスプレイ本体はVESAマウントにも対応

 付属スタンドは高さの調節はもちろん、チルト(上下角度)、スイベル(左右角度)、ピボット(画面回転)と、一通りの調整が可能。各部に金属パーツが使われていて27インチのモニター本体をしっかりと支える。

 「MAG 274QRF QD E2」はVESA75に対応しており、スタンドを取り外して付属のスペーサーを使用する事でモニターアームとの併用も可能。なお、スペーサーには十字の切り欠けがついているのでプラスドライバーでしっかりかつ手早く着脱できる。

付属のスタンド。金属パーツが使われているので27インチでも安定して使用できるがっしりとした作りでありつつ、スペースは最小限に収まっている。
スタンド上部の爪を本体側にひっかけ、下部2か所を付属のネジで固定。グラつかずにしっかり取り付けられる。
ケーブルマネジメント用のホールがあるので、複数機器接続時などでも取り回しが容易。
VESA対応で、本体側にはVESA75に対応した固定用の穴がある。付属のスペーサーネジを使用してモニターアームなどを取り付け可能。

 多機能スタンドではあるもののモニター本体より手前には台座が突き出ず、卓上スペースを圧迫しない点もなかなか好印象だ。スタンド下部にはケーブルマネジメント用のホールも用意されており、ケーブルをすっきりと整理できる。

高さ調節は最大+130mmまで。
チルトは下向きへ5度、上向きには20度の角度がつけられる。
スイベルは支柱ごと回転し左右にそれぞれ45度まで傾け可能。
ピボットは左右どちら向きでも90度の回転が可能。

180Hz/応答速度1msでの高速表示は競技性の高いゲームで大活躍量子ドット+HDRの映像表現は没入感が重要なゲームに好適

 まずはゲーミングモニターとしての速度面の性能を確認すべく、バトロワ系FPS「Apex Legends」をプレイしてみた。FPSタイトルの中でもアクション要素が強く、リフレッシュレートや応答性能の高さは勝敗に直結する。乱戦も多くスキルが飛び交うので、映像の滑らかさと視認性の高さはゲームを優位に進められるかといった部分に大きな影響を及ぼす。

 実際に使ってみると、リフレッシュレートや応答速度の面で不満を感じることはなかった。乱戦時や視点が大きく変わるシーンでもしっかりと目で追えるので、速度面で「MAG 274QRF QD E2」は競技寄りのFPSで使っていける性能が十分にあるといえる。ゲーミングモニター側の性能は高いので、あとはしっかりとフレームレートが出るPCを用意できるかが重要になるだろう。

不意に背後から撃ち下ろされる事態になったが、敵の方に大きく振り向くような操作をして視点が大幅に変わるシーンでも残像感や遅延は気にならず、滑らかに相手へエイムを合わせることができた。こうした状況での視認性の高さは、応答速度とリフレッシュレートの性能による恩恵が大きい。

 また、WQHD解像度というのもミソで、解像度が上がり視覚的な情報が増える分、素早く判断できるといった場面もある。例えば、遠方の敵と岩を見間違えるというような状況は解像度が高いほど減ったり、スモークなどを敵に使われた際に、情報量の多さから相手の次の行動を判断するのに役だったりと、フルHDよりも優位に立ち回れるケースもある。

 もちろん、理想を言えば4Kや8Kのディスプレイが優位にはなるが、解像度が上がればPC側へ要求される性能も高くなるので、導入コストなどを考えると使えるユーザーは限られる。一般的なゲーミングPCで高フレームレートが維持できる解像度となると、現時点でWQHDはちょうどよい選択肢だろう。

リフレッシュレートや応答速度だけでなく、WQHDの解像度が役立つ場面もある。細かく描画される分、視覚から得られる情報が増えるので、スモーク内でうごめく敵の行動を判断したりする場面など、差異に早く気付いて反応しやすくなるケースもある。

 次はゲーミングモニターとしての発色の良さを確認してみた。競技性の高いゲームは速度面の性能が重要になるが、RPGやオープンワールドゲームであれば、その世界にどれだけ浸れるかが楽しさに影響を与えるので、発色の良さや精細感が重要になる。

 テストには広大な自然の中で恐竜を伴い過酷なサバイバル生活を送る「ARK: Survival Ascended」を使用した。「ARK: Survival Evolved」のリメイク作で、Unreal Engine 5を用いた美しいグラフィックやHDRでの映像表現が楽しめるように改良されたタイトルだ。「MAG 274QRF QD E2」は量子ドット採用に加え、DisplayHDR 400にも対応しているので、発色の良さを確認するにはうってつけだ。

木漏れ日の光や、巨大生物から覆われた影の表現が美しく、よりサバイバルゲームの臨場感が楽しめる。

 写真でHDRの映像をそのままを伝えることはできない点はご容赦願いたいが、色味はぱっと見ではかなり鮮やか。「MAG 274QRF QD E2」は彩度が高めといった印象だが、ただ派手であったり無理に強調していたりといった感はなく、破綻せず綺麗に色が出ている。このあたりはパネル自体の発色性能の良さがあればこそといったところだろう。解像度が高いほど精細感も味わえるので、WQHD解像度の良さも感じられる。

炎の光表現がダイナミックに映し出されている。砂漠に覆われる過酷なマップでの1シーンだが、激しい太陽の日差しや照り返しなど、HDRの恩恵を味わうことができた。

 コントラスト性能の面でもHDR対応の良さが感じられ、明所暗所ともに微妙なコントラストが表現されている印象だ。低価格でとりあえずHDRに対応したレベルのモデルの場合、ディティールが潰れたりしてしまうこともあるが、「MAG 274QRF QD E2」は破綻なく表示できていて好印象だ。

 「ARK: Survival Ascended」にはフォトモードがあり、ゲーム内の時間を止めて好きな角度から写真撮影が行える。表示が美しいと見ているだけでも楽しく、テストも兼ねてはいるもののそこそこの時間遊んでしまった。見て楽しむ面が強いゲームでは、発色やコントラストなどの表示性能が高いゲーミングモニターを選んでもらいたい。

表示速度と美麗な映像表現どちらも欲しい人におすすめなWQHDゲーミングモニター

 「MSI MAG 274QRF QD E2」は、180Hzの高リフレッシュレートと1ms(GTG)の応答速度を実現しつつ、映像表現の美しさも妥協しないゲーミングモニターだ。量子ドット採用で発色もよく、解像度もWQHDと程よいので、「4Kまでは必要ないがフルHDモニターでは物足りなくなってきた」というミドルゲーマーのアップグレード先には最適なモデルの一つといえるだろう。

 接続端子も豊富にあり、PCゲーミング用途だけではなく、家庭用ゲーム機を接続して1440p/120Hzでプレイしたり、ノートPCのドッキングステーション的な使い方をしたりすることも可能。活躍できる範囲が広く、使い勝手が良いモデルに仕上がっている。

 ワンランク上のグレードのゲーミングモニターを探していたり、買い増しや買い替えを検討していたりするのであれば、候補として是非検討してみて欲しい一台だ。