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モンスターハンターワイルズ公認画質モニター! OLED&量子ドットで異次元の美しさを実現するMSI「MPG 272URX QD-OLED」

最新タイトルの映像美と激しいアクションが楽しめるOLEDモニター text by 芹澤 正芳

MSI「MPG 272URX QD-OLED」
画面はイメージです (C)CAPCOM

 27型のゲーミングモニターで最高峰と言える製品がMSIより登場した。OLED(有機EL)と量子ドットの組み合わせによる突き抜けた美しさ、4K/240Hzという高解像度&高リフレッシュレート、0.03msという超高速の応答速度と文句無しのハイスペックだ。

 さらに、モンスターハンターワイルズ公認画質の認証を受けた、まさに旬なゲームのお墨付きをも持つ。それが今回紹介する「MPG 272URX QD-OLED」だ。さっそくレビューをお届けしよう。

映像美を誇るゲームでも抜群のなめらかさで描画できるゲーミングモニターの最上級体験

 MSIのMPG 272URX QD-OLEDは、CES 2025で発表された27型サイズで4K解像度のゲーミングモニターだ。CES 2025 Innovation Awardを受賞するほど注目を集めた最大の理由は、現役ゲーミングモニターとして最上級のスペックを備えていること。

「モンスターハンターワイルズ公認画質モニター」であるMPG 272URX QD-OLEDは、2025年初に開催されたCESでも大注目の製品に挙げられた
画面はイメージです (C)CAPCOM

 まずは、画素自体が発光するため完全な黒を表現できる“OLED”と光の波長変換に優れ、色の再現性を飛躍的に向上できる“量子ドット”を組み合わせた「QD-OLED」を採用している点だ。27型サイズでQD-OLEDパネルを採用しているモニターはこれまでWQHD解像度が中心で、ついに4Kが登場したことになる。

黒の表現に強いOLEDと広色域の量子ドットを組み合わせたQD-OLEDパネルは一般的なモニターと段違いの美しさを持つ
60倍の電子顕微鏡での撮影。QD-OLED独特のサブピクセル配列だ
DisplayHDR True Black 400認証なのでHDRコンテンツなら強烈な明暗が体験できる

 デジタルシネマ向けで高い色の表現力が求められる色空間「DCI-P3」とAdobeが提唱する色空間「Adobe RGB」のカバー率は99%、、標準的な色空間「sRGB」にいたっては実にカバー率100%という広色域。ハイレベルな黒の表現力が求められるDisplayHDR True Black 400認証も取得するなど、4KのHDRコンテンツを表示すると圧巻の美しさだ。さらに設定を変えることで、HDR時で450nitsの輝度を1,000nitsまで高められる。

DCI-P3など色空間カバー率はいずれも広く、黒表現の豊かさを示すDisplayHDR TRUE Black 400、ブレの少ない映像品質の鮮明さを示すClearMR 13000といった認証も取得。さらにクリエイター向けモニターと同様にカラーキャリブレーションを実施済みで出荷され、色精度ΔE≦2に抑えた高品質を誇る

 4Kの高解像度ながら、リフレッシュレートは240Hzと非常に高い。応答速度も0.03ms(GTG)と強烈な速さだ。DisplayPort、HDMIともに4K/240Hzでの表示が可能だが、注目は80Gbpsの帯域幅を持つDisplayPort 2.1aに対応していること。これまでのDisplayPort 1.4では帯域が不足しており、4Kの高リフレッシュレート表示にはデータ圧縮技術のDSCを利用していた。しかし今回のパネルではこれが不要になるので、より低遅延で高画質を実現できる。DSCも実用上問題のない遅延と視覚的判断できないレベルの圧縮だが、ワンクッションなくなるというのはポイントが高い。

 ただし、この特徴を活かすにはビデオカード側もDisplayPort 2.1a対応が必要。NVIDIAのGeForceであれば、最新のRTX 50シリーズからの対応となる。もちろん、従来のDisplayPort 1.4対応のビデオカードでもDSCによる4K/240Hzでの表示も可能だ。

 ディスプレイとビデオカードのフレームレートを同期させることで、テアリング(画面ズレ)を防ぐ可変リフレッシュレート(VRR)機能については、NVIDIAのG-SYNC Compatibleをサポートし、NVIDIAアプリで設定できることを確認した。視野角は上下左右とも178°と広い。

リフレッシュレートは最大240Hzに対応
VRRはNVIDIAのG-SYNC Compatibleをサポート

 このようにゲーミングモニターとして最高クラスのスペックを持っていることもあり、カプコンの大人気ハンティングアクション「モンスターハンターワイルズ」の公認画質も取得。ゲームの美しい映像を忠実に再現できるように、ハイレベルな色の再現力、明暗をハッキリさせる強いコントラスト、スピーディーな描画が求められる厳しいものだ。240Hz、0.03msによるレスポンスのよさと滑らかな表示、DisplayHDR True Black 400認証の明暗が効いた美しき描画は見事にそれをクリア。激しいアクションをより気持ちよくさせてくれる。

 今回、試用はPCで行ったが、モンスターハンターワイルズにはメイン要素であるモンスターとの激しい戦闘シーンでは、高速リフレッシュレート&応答速度の効果でアクションの操作性は極めて良好。本機のなめらかな映像表示を実現するには、高フレームレートの維持も欠かせないところなので、NVIDIA DLSSやAMD FSRによるフレーム生成技術も駆使した設定やPC環境の充実も図りたい。

 動きのスムーズさだけでなく、映像の表現の面も本機の表現力が効果を発揮する。たとえば、発売前から「美味しそう!」と評判になったテント内での食事風景のように陰影のはっきりしたシーン、時間や季節、天候の移り変わりや地形の変化などの映像美は非常に美しく、釣りや素材集めのためにフィールドを探索したり、ゲーム内の世界をただ散歩したりする際にも“目が楽しい”。モンハンの世界のさまざま魅力を存分に堪能させてくれるモニターだと言ってよいだろう。

このほか、「AI Vision」を利用すると、映像中の暗い領域を明るくしつつ、全体の明るさ・彩度を自動補正し、映像全体の見易さを向上させることも可能

 OLEDパネルで気になるのが、画面の焼き付き。モンスターハンターワイルズのように、プレイ時間が長くなりがちなゲームに没頭するにはどうしても気になってしまうポイントだ。これまでにもOLEDパネルの採用を進めているMSIでは、対策機能である「MSI OLED CARE」をOLEDパネル搭載機に採用しているが、本機ではこれが「MSI OLED CARE 2.0」に進化している。

 具体的な機能としては、

  • 一定間隔で表示しているピクセルの位置をごくわずかに移動することで同じ位置に同じ画像を表示し続けることを防ぐ「ピクセルシフト」
  • 一定時間同じ静止画を表示し続けると画面の明るさを下げる「静止画検出機能」
  • 画面上にロゴを複数検出すると形状や色を自動スキャンし輝度を下げる「マルチロゴの検出」
  • デスクトップ上のタスクバーを自動スキャンし輝度を下げる「タスクバーの検出」
  • 2つの画像や画像と背景の間・文字や縦線などの境界の輝度を一定時間で下げる「エッジ検出」

といった表示調整により焼き付きを防ぐ機能、

  • 4時間ごと自動で通知・実行されるピクセルリフレッシュ(最大16時間まで通知を非表示/実行をキャンセルすることも可能。16時間ごとのピクセルリフレッシュは必須)を行う「パネルプロテクト」
  • パネル背面に組み込まれた熱伝導性の高いグラフェンフィルムと専用設計ヒートシンクによるファンレスでも優秀な放熱設計

などを採用する。

内部には専用設計のヒートシンクとグラフェンフィルムを組み合わせた放熱機構が組み込まれ、本体背面には内部の熱を逃がすためのメッシュ構造が配されている

「Gaming Intelligence」アプリでゲーミング機能をラクに設定

 ポジション的にはMSIのゲーミングモニターのハイエンドクラスに位置するだけあって、ゲーミングモニターの必須機能は網羅。暗部を明るくする定番機能「ナイトビジョン」、FPS/TPSでAIMしやすいように画面中央にマークを表示させる「AI Crosshair」、画面の中央を拡大する「Optixスコープ」といった機能を備えているが、それをWindowsアプリの「Gaming Intelligence」で行える。利用するには、PCと付属のUSBケーブルで接続する必要はあるが、輝度やコントラスト、HDRといった設定も行える。

 画質設定としてFPS/レーシング/RTX/RPGとジャンル別のプリセットが用意されており、FPSならエッジが際立ってナイトビジョンが有効になると、ゲームプレイをより快適にしてくれる。しかし、ゲームごとにプリセットを変更するのが面倒という場合には、「AI Vision」が便利だ。自動的に映像を分析して、暗部を持ち上げ、明るすぎる部分を抑えると視認性を向上させてくれる。臨場感よりも見やすさ重視、という場合には使ってみるとよいだろう。

Windows上でモニターの設定を行える「Gaming Intelligence」
MSI OLED CARE 2.0の各種設定も可能
入力切り換えやファームウェアのアップデート機能も備える

 もちろん、本体の背面にあるスティックによってOSDメニューを呼び出して設定を行うことも可能だ。メニューを開かずにスティックを倒すだけで特定機能を呼び出せるショートカット機能「Naviキー」もGaming Intelligenceで設定できる。

背面のスティックを押し込んでOSDメニューを呼び出しての設定も可能だ
こちらでも各種設定を行えるが、Gaming Intelligenceのほうが圧倒的にラクだ
スティックを倒す方向によって特定のメニューを呼び出せる「Naviキー」。この内容もGaming Intelligenceで変更が可能だ

高機能で安定性抜群のスタンド。PS5の120Hz駆動にも対応

 ハイエンドクラスの製品だけあって、スタンドは高機能だ。高さを11cmの間で調整でき、チルト(下方向-5°、上方向+20°)、スイベル(左右30°)、ピボット(90°回転)にも対応。好みの角度や向きに調整しやすい。

 さらに、スタンドの台座は大きめで抜群の安定感だ。キーボードやマウスを激しく操作しても揺れない。ゲームプレイには何気に重要なポイントと言える。なお、本体サイズは幅611mm×奥行242mm×高さ533mm、重量は約8.1kgだ。

高さは10cmの間で調整できる
チルトは-5°から+20°の範囲で動かせる
左右30°のスイベルが可能
パネルのピボットにも対応
背面のロゴにはGaming Intelligenceで調整可能なLEDを内蔵
付属のネジを使うことでVESAに対応。モニターアームの取り付けも可能だ

 映像の入力はHDMI 2.1×2、DisplayPort 2.1a×1、Type-C(DP Alt mode)を用意。家庭用ゲーム機など複数デバイスも同時に接続しやすくなっている。Type-Cは98WのUSB PD機能も備わっているので、ノートPCを充電しながらの接続も可能だ。

 USB 3.0対応ハブ(2ポート)やヘッドホン出力も搭載している。さらに、本機に接続した一つのマウスとキーボードを2台のPCで共有できるKVM機能も搭載と充実の内容だ。

背面の端子類。HDMI×2、DisplayPort×1、Type-C×1の4系統入力を備える。USBハブ機能も用意し、KVM機能も搭載するなど、ゲーム以外の用途への備えも万全

 なお、HDMI入力はPS5の4K出力、120Hz駆動、VRRに対応できることを確認した。PS5でモンスターハンターワイルズをプレイする場合も快適に楽しむことが可能。

PS5の4K、120Hz、VRRを利用可能なのを確認

27型4K解像度で最高峰のゲーミングモニターを求めている人へ

 これまでQD-OLEDパネルを採用するゲーミングモニターは、4Kで高リフレッシュレート対応だと32型クラスが中心だった。画面の見やすさや設置スペースの問題から、27型が同条件が満たせるものが出ないか……と思っていた人にとっては朗報だろう。

 ゲーミングモニターに求められる仕様を網羅し、画質も抜群、OLEDパネルと長く付き合っていくための保護機能も万全。27型で最高クラスを求めているなら、ぜひともチェックしてほしい1台だ。

画面はイメージです (C)CAPCOM