トピック
ハイエンドの性能をMini-ITXに凝縮、16コアRyzenもイケる「MSI MPG X870I EDGE TI EVO WIFI」
ホワイトで高性能な小型PCを組むならこのマザー text by 坂本はじめ
- 提供:
- MSI
2026年3月4日 00:00
MSIの「MPG X870I EDGE TI EVO WIFI」は、AMD X870チップセットを搭載したSocket AM5対応Mini-ITXマザーボード。白いカラーリングが目を惹く小型基板に、上級チップセットのAMD X870とハイエンドCPUにも対応可能なコンポーネントを詰め込んだ高性能モデルだ。
今回はこの小さな高性能マザーボードに、最上級ゲーミングCPUの「Ryzen 7 9850X3D」と、最大200Wを消費するハイエンドCPU「Ryzen 9 9950X」を搭載してテストを実施。ATX規格のマザーボードとの比較を通して、Mini-ITXでも高性能CPU本来の性能を十分に引き出すことができるのか確かめてみた。
Socket AM5対応の白い高性能Mini-ITXマザーボード
MSI MPG X870I EDGE TI EVO WIFIは、上級チップセットであるAMD X870を搭載したSocket AM5対応マザーボード。フォームファクターはMini-ITXで、基板サイズは170×170mm。
スタイリッシュなデザインと優れたパフォーマンスを両立する「MPG シリーズ」に属するMPG X870I EDGE TI EVO WIFIは、白を基調としたカラーリングを採用。省スペースに優れたMini-ITX規格を採用しながらも、高性能なCPUやGPUを扱えるハイスペックなマザーボードとして設計されている。
CPUに電力を供給するVRMには、8+2+1フェーズのDuet Rail Power System(DRPS)電源回路を搭載。CPU向けの8フェーズに110A対応Smart Power Stage(SPS)を採用し、VRM冷却用の小口径ファンと組み合わせることで、大電力を消費するSocket AM5のハイエンドCPUにも対応している。
2本のメモリスロットには最大128GB(64GB×2枚)のDDR5メモリを搭載可能。拡張カードスロットとして、ビデオカード向けに金属で補強されたPCIe 5.0×16レーン対応スロットを備える。
バックパネルインターフェイスには、X870チップセットの必須要素である40Gbps対応のUSB4ポート2基のほか、5GbE対応の有線LANポートやWi-Fi 7といった先進的なインターフェイスを搭載している。
CPU内蔵GPUを利用することで、HDMI×1基 + USB4(DisplayPort)×2基の計3系統の映像出力も可能だ。
MPG X870I EDGE TI EVO WIFIでは、独自の拡張カード「5-in-1 XPANDERカード」が付属している。Mini-ITX規格の基板面積を垂直方向に拡張することで、より多くの機能を搭載し利用可能にするものだ。
5-in-1 XPANDERカードは、USB Type-Cヘッダピン(20Gbps)、USB 5Gbps(2基)、6Gbps SATA(2基)、PCIe 4.0 x4対応M.2スロット、ビープスピーカー用フロントパネルヘッダピンを備えており、メモリスロット脇の専用スロットに差し込むことで利用する。これらの機能が必要なければ搭載しないという選択も可能だ。
MPG X870I EDGE TI EVO WIFIはMini-ITXマザーボードだが、なるべく多くのストレージが搭載可能なようにSSD用のM.2スロットを合計3本備えている。
M.2スロットのうち、ヒートシンクを備えるM2_1スロットはCPU直結でPCIe 5.0×4レーンに対応。マザーボード裏面のM2_2スロットと、5-in-1 XPANDERカードのM2_3スロットはX870チップセットに接続されており、PCIe 4.0×4レーンに対応している。
なお、M2_1スロット以外のM.2スロットは、片面実装のM.2 SSDのみの対応となっている。NANDが両面に搭載されているような基板裏面側にも部品が実装されたM.2 SSDは取り付けられないので、使用する際は注意してもらいたい。
MPG X870I EDGE TI EVO WIFIは、BIOSメニューにMPGシリーズ用にカスタマイズされた「MSI Click BIOS X」を採用。グラフィカルなインターフェイスでBIOSを設定できる。
また、MPG X870I EDGE TI EVO WIFIは従来より大容量な64MB BIOS ROMを搭載。将来的にハードウェアのサポートや機能の追加が発生しても、グラフィカルなBIOSメニューを維持するのに十分な容量を確保している。
Mini-ITXマザーでもSocket AM5最上級CPUの性能は引き出せる?Ryzen 7 9850X3DとRyzen 9 9950Xの性能をATXマザーと比較してみた
Mini-ITX規格ならではの省スペース性を備えつつ、高性能なVRMや多数のM.2スロットを搭載することで、ハイスペックPCの構築を可能としたMPG X870I EDGE TI EVO WIFI。
高性能CPUから本来のパフォーマンスを引き出せるのか確かめるべく、今回はゲーミングCPUの「Ryzen 7 9850X3D」と、16コア/32スレッドのハイエンドCPU「Ryzen 9 9950X」を用意。
これらのCPUのパフォーマンスを、ATX規格のマザーボード「MAG X870E TOMAHAWK MAX WIFI PZ」に搭載した場合と比較することで、MPG X870I EDGE TI EVO WIFIの実力をチェックする。
テストで使用するパーツは以下の通り。マザーボード以外は基本的に同じパーツを使用した。
なお、各CPUの電力リミットについては、両マザーボードともデフォルト設定をそのまま使用しており、Ryzen 7 9850X3DがPPT=162W、Ryzen 9 9950XがPPT=200Wと同じ数値が設定されている。少なくとも、デフォルトの電力供給設定については同等というわけだ。
なお、冷却設定に関しては、水冷CPUクーラー/マザーボードに搭載されたファンはフルスピードに設定している。ビデオカードに関してはデフォルトのままでテストを行った。

3DMark「CPU Profile」
CPUの性能をスレッド数ごとに計測する3DMarkのベンチマークテスト「CPU Profile」では、ATXマザーボード(MAG X870E TOMAHAWK MAX WIFI PZ)のスコアを基準に指数化したグラフをCPUごとに作成した。


MPG X870I EDGE TI EVO WIFIは、Ryzen 7 9850X3DとRyzen 9 9950Xの両方で、ATXマザーボードであるMAG X870E TOMAHAWK MAX WIFI PZと同等と言えるスコアを記録した。
消費電力の大きい最大スレッドから低負荷の1スレッドに至るまで、同等と言えるほど差がついていない様子を見ると、両マザーボードがCPUから引き出せるピーク性能に差はないと言って良さそうだ。
Cinebench 2026
MaxonのRedshiftレンダーエンジンを使用する3DCGレンダリングテスト「Cinebench 2026」では、標準の最低実行時間10分でマルチスレッドテスト(Multiple Threads)を実行した場合のスコアを比較した。

MPG X870I EDGE TI EVO WIFIが記録したスコアは、Ryzen 7 9850X3Dが「5,514」で、Ryzen 9 9950Xが「9,053」。これはMAG X870E TOMAHAWK MAX WIFI PZが記録した「5,484」と「9,025」に並ぶものであり、ここでも同等のパフォーマンスを得られている。
ごく短時間のテストである3DMarkのCPU Profileに対し、最低でも10分以上という長時間の高CPU負荷条件でも、同等のCPU性能を継続的に発揮できているという結果は、MPG X870I EDGE TI EVO WIFIの電力供給能力の高さを示すものだ。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
定番のゲーム系ベンチマークテストである「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(FF14ベンチ)では、画面解像度をフルHD/1080p(1,920×1,080ドット)、グラフィックプリセットを「最高品質」、超解像を「オフ」に設定してテストを実行。スコアと平均フレームレートを計測した。


MPG X870I EDGE TI EVO WIFIが記録したスコアは、Ryzen 7 9850X3Dが「41,517」で、Ryzen 9 9950Xが「33,264」。これはMAG X870E TOMAHAWK MAX WIFI PZが記録した「41,697」および「32,967」と同等と言えるスコアだ。
大容量キャッシュを備えるRyzen 7 9850X3Dの特異なゲーミング性能をしっかり引き出し、MPG X870I EDGE TI EVO WIFIはここでもATXマザーボードと変わらないパフォーマンスを発揮してみせた。
Microsoft Flight Simulator 2024
3D V-Cacheやメモリ性能がパフォーマンスに影響しやすい「Microsoft Flight Simulator 2024」では、画面解像度をフルHD/1080p、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、超解像を「DLSS(DLAA)」、フレーム生成を「DLSS FG 2x」に設定して、ゲーム実行中の平均フレームレートを計測した。

MPG X870I EDGE TI EVO WIFIが記録した平均フレームレートは、Ryzen 7 9850X3Dが「156.0fps」で、Ryzen 9 9950Xが「121.5fps」。これはMAG X870E TOMAHAWK MAX WIFI PZが記録した「155.1fps」および「120.9fps」と同等のパフォーマンスだ。
実際のゲームを使った検証でも両マザーボードのパフォーマンスは同等だった。Mini-ITX規格の小さなマザーボードでありながら、CPUやGPU本来の性能を引き出せる能力をMPG X870I EDGE TI EVO WIFIは備えていると言えるだろう。
長時間負荷をかけても安定動作が可能なのか確認してみた上位CPUの性能を最大限引き出すならマザーボード側のファン設定の調整を
ATXマザーボードと同等のパフォーマンスをCPUから引き出せたMPG X870I EDGE TI EVO WIFI。ベンチマークを実行する時間であれば全く問題ないが、長時間使用しても性能が維持できるのか確認してみた。
テストは最低実行時間を30分に設定したCinebench 2026でマルチスレッドテストを実行し、長時間の高CPU負荷でもパフォーマンスを維持できるのかを確認する。
マザーボードに搭載されているVRM用ファンの値を調整しよう
MPG X870I EDGE TI EVO WIFIのVRM冷却用ヒートシンクには小口径の冷却ファンが搭載されている。
先に紹介したATXマザーボードとの比較では、このファンはフルスピードでVRMを冷却していた。マザーボード上のファン制御を全てフルスピードに設定し、サーマルスロットリングの影響がない性能を確認するためのものだったが、デフォルト設定のまま使用すると、上位CPUで一部性能がフルに発揮しきれないケースが確認できた。しかし、手動調整とテストを行った結果、性能を引き出せる設定は見つけることができたので、その結果を紹介しておこう。
テスト時点のBIOSバージョン「7E50v1A30」では、VRM冷却ファンのデフォルト設定が「Manual Mode」になっており、ファン回転数は最大で50%以下の低回転寄りになっているほか、ファン制御の基準となる値がCPU温度の「CPU Core」を参照して動作する設定になっていた。
このデフォルト設定のままだとVRM温度の上昇にファン制御が連動せず、VRM温度(MOS温度)が90℃を超えると熱保護機能によるサーマルスロットリングが発生する。短時間動作であれば問題ないが、長時間負荷が続くとパフォーマンスに影響が出ることがある。
どの部分の温度を監視して冷却機構の動作の強弱を決めるか、というのは、CPUクーラーなどでも検討が必要なポイントになることもある。今回のVRM冷却の場合は、よりストレートとに、VRM温度自体をトリガーにするのがベターだろう。そこで、ファンがどの値を基準に動作するのかを決める「Temperature Source Select」の項目をVRM温度である「MOS」に変更し、VRMが75℃の状態でファン回転数30%、そこから段階的に上げていき、VRM温度が88℃でファン回転数が100%になるように設定した。
マージンをある程度とったアバウトな値ではあるが、今回のテスト環境で長時間負荷テストを行ってもVRM温度が90℃を超えないように調整している。使用環境によってベストな値は変わるので、実際の運用時には状況に応じてファン回転数などを調整してみることをおすすめする。
高負荷環境ではVRM温度を参照して制御されるのが適切だと思われるので、今後のBIOS更新時に初期設定が変更される可能性はある。7E50v1A30のBIOSを利用しているユーザーは、BIOS更新の状況なども確認してもらいたい。
なお、この点に関しては、「デフォルトの設定は寿命と低騒音性のバランスを取った動作」(メーカー)とのこと。今回のテストは特に高負荷をかける極端なテストなので、普通に使用する分にはファン制御はデフォルトのままで問題になることはあまりないと思われるが、パフォーマンスがうまく出ない場合などには設定を変更して欲しいとのことだ。様々な用途や環境に対応できるようBIOSには3種類のシナリオプリセットが用意されているほか、マニュアル設定も可能なので、自分の使用環境に合わせ最適な設定を選ぼう。
ファンを調整すれば長時間動作させても最大性能を発揮、クリエイター用途でも期待できる安定性
先述のVRM冷却ファン制御の設定を踏まえたうえで、Cinebench 2026を実行した結果をCPUごとにみていこう。
まずはRyzen 7 9850X3Dを使用した際の結果だが、Cinebench 2026実行中は平均134.3Wの電力を消費しながら、平均5,282MHzで動作していた。CPU温度は平均79.0℃(最大81.6℃)で、CPUは温度リミット(TjMax)の95℃を下回っており、推移グラフからも何らかのスロットリングが発生した様子はみられない。
マザーボードのVRM温度は平均72.8℃(最大77.0℃)を記録。VRMファン速度は平均4,116rpm(最大5,581rpm)と余力のある速度で動作しており、ファンノイズもそこまで大きくないレベルに抑えられていた。
Ryzen 9 9950Xを動作させた際は、CPU消費電力がAMDが定格動作とする電力リミットの200Wに達したのち、リミットの上限200Wを維持したまま推移。CPUクロックはCCD-0が平均5,137MHz、CCD-1が平均4,940MHzで、CPU温度は平均72.3℃(最大73.2℃)だった。
マザーボードのVRM温度は平均86.0℃、最大88.0℃に達しており、VRM冷却ファンの速度も平均10,862rpm、最大では12,371rpmに達している。冷却的に厳しい状態ではあるが、最終的にはVRMの温度上昇を抑え込めており、スロットリングを生じることなく安定したパフォーマンスを維持できている。
VRMの冷却が困難なMini-ITXマザーボードでありながら、200Wもの電力を消費するCPUを安定稼働させ続けられていることは素晴らしい。コンパクトかつハイエンドな環境を構築できる性能は備えている。
ただ、MPG X870I EDGE TI EVO WIFIのVRM冷却ファンは、8,500rpmを超えたあたりから超高速回転特有の高音ノイズが発生する。実際に大電力を消費するCPUを使う場合は、CPUクーラーやケースファンの風をVRMに当てて冷却をアシストできるよう組み立てると、ファンノイズを減らしつつ使用できるだろう。
ハイエンド&コンパクトを実現可能な白いMini-ITXマザーボードRyzen 9 9950X/Ryzen 7 9850X3Dの性能もしっかり発揮
MPG X870I EDGE TI EVO WIFIは、Mini-ITX規格に準拠した小型マザーボードでありながら、Socket AM5対応CPUの性能をATXマザーボード並みに引き出すことができる。
M.2 SSDを3枚も搭載できる拡張性も備えており、性能と省スペース性の両立を追求して小型PCの自作に挑むユーザーにとって、MPG X870I EDGE TI EVO WIFIは非常に魅力的なマザーボードだ。コンパクトなハイエンドPC構築を目指しているなら、ぜひとも選択肢に加えるべき一枚だ。






























