【不定期連載】レトロな○○ギャラリー

富士通初の完成品パソコン「FUJITSU MICRO 8」

 今回紹介するパソコンは「FM-8」の愛称で呼ばれていた富士通の「FUJITSU MICRO 8」です。

 1981年6月に同社初の完成品パソコンとして発表されたモデルで、2基のプロセッサや最先端の大容量64KB DRAMを標準搭載しているほか、漢字フォントデータが記録されたROMやバブルメモリリーダライタが内蔵可能でした。また、グラフィック面では640×200ドットという当時としては高解像度の表示に対応。8色を1ドットずつ変更することが可能でした。

 スペック面では当時のライバル機を圧倒していたモデルですが、システム価格が高価で、アプリケーションに恵まれなかったことから、それほどヒットしませんでした。ちなみに、このモデルの登場から約一年半後に低価格化した後継機がヒットするのですが、それはまた別の機会にご紹介しましょう。

FM-TOWNSの愛称にも続いていく「FUJITSU MICRO」の文字が見えます。
電源スイッチは本体右上のカバーの下にあるので誤操作が防止できます。
電源スイッチの横にはスマフォホルダーを装備……ではなく、バブルメモリの読み書き装置を装着できます。このケース部分は金属製です。
背面左側です。写真の右端に見える起動モード設定のディップスイッチは大変折れやすいので不必要に動かさないほうが良いです。
背面右側です。写真の左端に外付けユニット増設用ポートがあります。拡張装置の組み合わせによっては、20MBのHDDも接続可能でした。
横から見た様子です。キーボードの打鍵感は少し重め、クリック感もあります。
システムボード全体です。現在のマルチコア構成のパソコンとは構造が違いますが、プロセッサを2つ搭載しています。
写真中央の青いソケットに入っている大きなICがメインプロセッサ、日立製です。
2つ目のプロセッサも青いソケット入っています。Motorola製のMPU「MC6809」で、こちらはサブプロセッサです。主に画像処理とキーボードを制御します。
青いソケットには漢字ROMを搭載します。漢字ROMが本体に内蔵できるようになった初期のパソコンでした。青いソケット右の8個見えるMB8116と書かれたICはビデオメモリです全部で24個、48KB分搭載されています。
写真左の金色のプレートが付いたIC8個がメインメモリ。大容量の64Kbitが8個搭載されているので64KBです。当時は16Kbitが主流だったので通常は32個必要でした。ほぼ同時期に発売されたMZ-80Bには32個も搭載されています。
本体の大きさを比較するために、一般的なサイズのキーボードを並べてみました。
三菱のRDT202WLMを接続してみました。20インチ液晶と比べても存在感のある本体ですが、当時のメーカー純正品の12インチCRTとの対比では迫力の本体だったでしょう。
組み込みのBASIC言語。この時代でもスタンダードだったマイクロソフト製です。

スペック

・メインプロセッサ:日立 HD68A09P (Motorola MC6809 セカンドソース)
・動作周波数:1.2MHz(0.001GHz)
・メインメモリ:64KB(0.000064GB)
・サブプロセッサ:Motorola MC6809P
・動作周波数:1MHz(0.001GHz)
・同時発色数:8色(テキスト)
・グラフィックビデオメモリ:48KB(0.048MB)
・解像度:640×200ドット(8色)
・サウンド:BEEP音
・記憶装置:データレコーダ、バブルメモリ、5インチFDD、HDD(全てオプション)
・記憶メディア:コンパクトカセット、32KB(0.000032GB) バブルカセット、5インチFD 2D(両面倍密)、ミニフロッピー 320KB(0.000320GB)、10MB/20MB HDD
・表示装置:デジタルRGB接続モニタ

価格

本体 MB25020 218,000円
漢字ROM MB22003 30,000円
非漢字(図形、記号)ROM MB22002 10,000円
バブルホルダユニット MB22601 85,700円
バブルカセット(32KB) FBM43CP 35,000円
12インチ高解像度カラーCRT MB27301 188,000円
システム拡張ユニット MB26001 不明
FDDインタフェースカード MB22603 17,000円
5インチFDD MB27601 313,000円

(後藤 儀兵衛)