【 2002年7月13日号 】

32bit RIMMに対応した初のマザーボード「P4T533/R」がデビュー
現状メリット少ない?32bit RIMMのバンドルモデルは発売延期

P4T533/R232ピンRIMMスロット
【P4T533/R】【232ピンRIMMスロット】
I/OパネルSocket 478周辺
【I/Oパネル】【Socket 478周辺】
27,800円パッケージ
【27,800円】【パッケージ】
スペックシールRIMM4200/3200 32bit
【スペックシール】【RIMM4200/3200 32bit】

 当初は一部ショップで6月下旬頃に入荷する予定とされていた、初めて32bit RIMMに対応するASUS製のi850Eチップセット搭載Socket 478マザーボードが今週ようやくデビューを果たした。製品はPROMISE製のUltra ATA/133対応IDE RAIDコントローラーやNEC製USB 2.0コントローラー、C-Mediaの6チャネル出力対応サウンド機能もオンボード搭載した「P4T533/R」で、実売価格は26,800円~28,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

 ただし今回登場したのは、当初は付属するとされていた32bit RIMMが同梱されていないモデルで、メモリは別途入手しなければならない点に注意が必要だ。

●32bit RIMMというアイデア

 1つのメモリモジュールに2つのDirect RDRAM(DRDRAM)チャネルを搭載する32bit RIMMは、従来の16bit RIMMの2倍のデータ帯域幅を実現できるというRIMMの新規格。論理的には単に「16bit RIMM 2枚を1枚にまとめた構造」のもので、今後Rambusはさらに「16bit RIMM 4枚を1枚にまとめた構造」の64bit RIMM規格も用意し、モジュール1枚あたりのデータ帯域幅を最高9.6GB/sにまで引き上げる計画になっている(最高102.4GB/sの次世代RDRAM技術Yellowstoneも発表している)。

 アイデア自体は単純で、メモリチップ自体には手を加えず、チャネル数を増やすことでモジュール上のバス幅を拡大し、モジュール単位のデータ帯域幅を大きく向上させるというもの。バス幅を従来の16bitから2倍の32bitにすることでデータ帯域幅は2倍になり、同様に4倍の64bitにすればデータ帯域幅は4倍になるというわけだ。

 各規格の具体的なモジュール1枚あたりの帯域幅を列記すると、次のようになる。

・PC800 (16bit=1.6GB/s , 32bit=3.2GB/s , 64bit=6.4GB/s)
・PC1066 (16bit=2.1GB/s , 32bit=4.2GB/s , 64bit=8.5GB/s)
・PC1200 (16bit=2.4GB/s , 32bit=4.8GB/s , 64bit=9.6GB/s)

 ただし、チャネル数が増えることでモジュールのピン数も増え、従来の16bit RIMMが168ピンだったのに対し、32bit RIMMでは232ピン、64bitではさらに増えて326ピンになる予定になっている。当然、それぞれの物理的なスロットの互換性はない。

●現状では意味なし?

 今回の「P4T533/R」は、32bit RIMMに対応した初めてのマザーボードということで注目の製品。しかしながら、搭載チップセットは既に登場している同社製のSocket 478マザーボード「P4T533-C」などと同じi850Eであり、これといって232ピンRIMMスロットを備えるという以外にマザーボードとしての目新しさはない。

 それもそのはず、もともとi850Eは32bitのデュアルチャネルでアクセスする設計になっており、これまでは16bit RIMMを2枚同時に使って32bitのバス幅を確保していた(「RIMMは2枚単位で増設する必要がある」と言われていたのはこのため)。i850Eにとっては、新たに32bit RIMMを使うと言っても、実のところ、今度は物理的に2枚ではなく1枚単位でアクセスするというだけのことで、内部的な構造は何も変わっていない。つまり、メモリモジュールの性能が2倍になったとはいえ、チップセット側のバス幅が変わっていないため、PC全体としてのパフォーマンスに大きな影響はなく、従来の製品と違う点はRIMMとマザーボードを接続する物理的な部分のみ、というわけだ。

 信号経路の短縮などによるメリットとして信頼性向上や多少のパフォーマンス向上は期待できそうだが、少なくともチップセットが変わらない以上、現状で32bit RIMMを使うはっきりとしたメリットは、1枚単位で増設できることによる省スペース化と障害切り分けの簡略化程度しかない。1枚単位での増設が可能とはいえ、RIMMスロットも従来のi850E搭載マザーボードの4本から2本に半減したため、メモリ増設の自由度という意味でも特に何も変わってはいない。

●将来性の点では「買い」

 そもそも32bit RIMMの入手性も、3週間ほど前にSAMSUNG製のRIMM3200(PC800-40 32bit) 256MBが発売されて以来、ごく一部のショップで在庫が確認されるといった程度で(先々週登場したRIMM4200(PC1066-32 32bit)と思われた32bit RIMMも仕様が不明確との理由で最終的には回収されている)非常に入手困難という、なかなか不遇な状況にある。

 現状ではメリットの少ない32bit RIMMだが、RIMMは32bit化と64bit化でデータ帯域幅が劇的に向上するという将来性が見えてきた、という意味では大きな価値があるといえる。この将来性を買う、という人であれば、単体販売されている貴重な32bit RIMMと合わせて「P4T533/R」を購入するのもいいだろう。ただし、現状で入手可能な32bit RIMMはRIMM3200(PC800-40 32bit) 256MBしかないという点には要注意。現時点で32bit RIMMの入手性に不安を感じるという人は、7月末頃に入荷する予定という32bit RIMMバンドル版の「P4T533/R」を待って手に入れるのがいいだろう(ただし、バンドルされるRIMMの容量やスピードなどは不明)。

□P4T533(ASUSTeK Computer)
http://www.asus.co.jp/mb/socket478/p4t533/overview.htm
□関連記事
【2002年6月29日】32bit RIMMに混乱?PC1066-32タイプ出回るも「RIMM3200」の文字
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20020629/etc_32bitpc1066.html
【2002年6月22日】PC800-40の32bit RIMMが対応マザーより先に発売、256MBモデル
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20020622/etc_32bitrimm.html

 (ASUS P4T533シリーズ)

[撮影協力:T-ZONE. PC DIY SHOPコムサテライト1号店]


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