マザーボードのIDEコネクタに接続するだけで、すぐにPCがWebブラウザやメールソフトなどが利用できる端末になるというユニークなフラッシュメモリ「Magic NC」がクラムワークスから登場した。実売価格は9,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。
横56mm×縦29mm×厚さ8mmというマッチ箱サイズの「Magic NC」は、ハードウェアそのものとしてはIDEコネクタに直結する容量32MBの単純な小型フラッシュメモリ。しかし、最初からLinux(カーネルバージョン2.4.18)と各アプリケーションが書き込まれているというのが「Magic NC」のミソ。この製品をマザーボードのIDEコネクタに接続すれば、どんなPCでもそのままブートしてWebブラウザやメールソフトなどが使える端末に早変わりするというわけだ。
具体的な使用方法は「Magic NC」をプライマリIDEコネクタに接続し、電源ケーブルを繋げるだけという非常にシンプルなもの。あとはPC本体の電源を入れればシステムが起動し、デスクトップ画面サイズやネットワークなどの設定を行うメニュー画面が表示される。ビデオカードやLANカードなどは自動的に検出されるとのことだが、手持ちのカードで動作するかどうか不安だという人は、同社のWebサイト上に動作確認済みハードの一覧などが掲載されているので、これに目を通しておくとよいだろう。
搭載ソフトウェアは、ウインドウシステムのXFree86、Webブラウザ/メールソフトのMozilla、PDFビューアのXpdfなど。もちろん日本語環境での利用が可能で、日本語対応のターミナルエミュレータKtermや入力システムのCannaなども搭載している。ただし、メールデータなどを保存するためのフラッシュメモリの空き容量は8MBと少なめなので要注意だ。
また、書き換え回数に制限があるフラッシュメモリの寿命を延ばすために、設定ファイルやユーザーデータを一旦RAMディスク(マザーボードに搭載したメモリを使用)に保存し、5分に一回の周期でアップデートされたファイルのみをフラッシュメモリにコピーするという機能も備えている。この機能により、頻繁にファイル更新を行った場合でも3年以上は問題なく利用できるとしている。
動作モードは通常の「NORMAL」とフラッシュメモリにまったく書き込みを行わない「KIOSK」の2種類。KIOSKモードは起動時の設定が毎回同一になるため、公衆インターネット端末や子供用PCに適しているという。対応している動作環境は「Celeron 333MHz以上」「120MB以上のメモリ」「VESA BIOS (VBE) 2.0 準拠で、 800×600×256色以上に対応したビデオカード(最大解像度1,280×1,024ドット)」「PCI接続のLANカード(詳細はWebで公開中)」「PS/2またはUSBのキーボード、マウス」など。クラムワークスでは動作確認済みマザーボードとして、特に「EPIA ESP-5000」を挙げており、内蔵VGA、LAN、USBともに問題なく利用できるという。
製品コンセプトがユニークなだけでなく、セットアップが簡単な点など実用度もなかなか高いこの「Magic NC」。利用できるソフトが一部に限られているとはいえ、小型のPCケースを使ってWebブラウザ専用機を自作したり、古いPCを簡易端末として再生したり、あるいは静音PC用のアイテムとして利用する場合などに有効な武器となりそうだ。
なお、販売を行なっているパソコン ショップ アークでは、Eden規格のESP 5000搭載マザーボード「EPIA-E533」やACアダプタを採用したファンレスPCと「Magic NC」を組み合わせ、「ファンやモーターなどの回転部分が一切ない」完全モーターレスPCとして動作デモを行っているので、静音PCマニアは必見だ。これと同じ環境のセット品は39,800円で販売中。
□Magic NC(クラムワークス)
http://www.cramworks.com/magicnc.html
| (クラムワークス Magic NC) |
[撮影協力:パソコン ショップ アーク]