【 2002年11月22日号 】
初のATX電源外付けmicroATXケース「EX700R」がデビュー
外付け350W電源ユニットも単体で販売開始
EX700R接続の様子
【EX700R】【接続の様子】
側面色は3種類
【側面】【色は3種類】
Varius EX350パワープレート
【Varius EX350】【パワープレート】
接続コネクタ内部構造
【接続コネクタ】【内部構造】
販売中接続ケーブル
【販売中】【接続ケーブル】

 先週いくつかのショップでサンプル展示が行われていた、外付けATX電源ユニット採用により本体の小型化と静粛性を実現したという星野金属のアルミ製microATXケース「EX700R」が発売となった。本体カラーはホワイトパールマイカ、ブラック、シルバーモデルの3種類で、実売価格はホワイトパールマイカモデルが37,799円~37,800円、ブラックとシルバーモデルが36,799円~36,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

 なお、「Varius EX350」は単品でも販売されている。製品には、電源ケーブルを引き出すための電源ベイ用カバー「パワープレート」も付いており一般的なPCケースで利用することが可能だ。こちらの実売価格は17,799円~17,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

●ATX電源外付けは初

 「EX700R」の一番の注目点といえば、やはり採用されている同社独自の外付けATX電源ユニット「Varius EX350」だろう。これまでキューブ系ケースなどで外付けのACアダプタが採用された例はあるが、ATX電源ユニットを外付けにしたというのはもちろんこの製品が初めてだ。電源容量もACアダプタにはない350Wという大容量を確保し、Socket 478マザーボードなどで必要になるATX12Vコネクタも備えている(各電源コネクタに分岐できる長さが異なる2種類のケーブルが付属している)。

 電源ユニットとPCケースを繋ぐ電源ケーブルは1.5mというかなり長めのもの。「Varius EX350」は内蔵型ATX電源ユニットと同様に冷却ファンを搭載しているため動作音が発生するが、この長い電源ケーブルを利用してPCケースから電源ユニットを離して設置すれば静粛性が確保できるというわけだ。ただし、ACアダプタのように無音というわけにはいかず、また本体サイズも高さ97mm×幅158.5mm×奥行き156mmと大きめで、環境によっては設置場所に悩む場合もありそうだ。もっとも、こうしたデメリットは電源容量の大きさというメリットとトレードオフといったところだろう。

●ケース内部は余裕の構造

 そして「EX700R」のPCケース本体は、高さ280mm×幅206mm×奥行き280mmというサイズのもので、キューブ系ともタワー型ともつかない独特の形状をしている。ちなみに同社のキューブ系自作PCキット「Pandora Quatre」(高さ225mm×幅225mm×奥行き291mm)と比較してみると、幅と奥行きは小さいが高さは55mm大きい。ミニタワーケースに比べれば確かに小さいが、この高さが災いしてかそれほど見た目でコンパクトという印象は伝わってこない。

 しかし、拡張カードの脱着時などに便利なサイドカバーや、引き出し式のマザーボードベースユニットを採用するなど構造自体はミニタワーケースとほぼ同様。前述のとおり電源ユニットが外付けになっているため、ケース内部のスペースにもかなり余裕があり、このサイズのPCケースとしてはメンテナンス性はかなり高そうだ。そのほかの主な仕様は、ドライブベイが5インチ×2、3.5インチ×1、3.5インチシャドウ×2、ケースファンが背面8cm角×1、前面コネクタがUSB 2.0、IEEE-1394、サウンド入出力などとなっている。

●なぜmicroATXなのかは疑問?

 ただし、そもそもPCの電源ユニットを外付けにするというアイデアが出てきた経緯を考えると、なぜ今回の新構造がキューブではなくまずmicroATXのケースで出てきたのか?という点で疑問は残る。もともと小型電源を搭載しなければならないスリムデスクトップやキューブ系ケースの登場で発生したニーズで、これらは小型電源ゆえに「ファンが小径のために動作音が大きい」「相対的に本体内の電源スペース占有率が大きい」「汎用品ではないため代替手段がない」という問題があり、この解決手段として電源の外付けというアイデアが産まれてきた。microATXケースならば、すでに数多く出回っている静音ATX電源を載せるという解決方法もあるわけだ。

 実際、今回の製品の中では「EX700R」よりも外付けATX電源単体の「Varius EX350」のほうが売れ行きはいいと多くのショップは言う。おそらくは、これを単体で入手してキューブ系ケースなどと組み合わせる人が多いのだろう。その意味では「Varius EX350」が単体で登場したことのほうがインパクトは強い。なお、星野金属は「EX700R」の発売前日に、第2弾の外付け電源採用ケースとして264mmのキューブ型ケース「EX710C」を12月に発売する予定としているので、キューブ系にこたせわりたければこちらを待つという選択もある。

 今後、電源外付けというスタイルがPCの世界で流行るのかどうか、「EX700R」「Varius EX350」の今後の動きに注目したいところだ。

□EX700R/Varius EX350/EX710C(ソルダム)
http://www3.soldam.co.jp/ex_case/ex700r/
http://www3.soldam.co.jp/psu/vex350/
http://www3.soldam.co.jp/ex_case/ex710c/
□関連記事
【2002年11月16日】電源外付けmicroATXケース「EX700R」の展示開始、来週発売
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20021116/etc_ex700r.html

 (星野金属 EX700R)
 (星野金属 Varius EX350)

[撮影協力TSUKUMO eX.ツクモParts王国T-ZONE. PC DIY SHOP]


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