« Xbox 360 水冷化計画 | メイン | 裸族の甲羅(?)販売中 »
2006年08月13日
サクラエディタはベンチマークの夢を見るか?
12日(土)に行われたAMDによるAthlon 64 X2対Core 2 Duoのベンチマーク対決は、いくつかの点で意表を突かれた。競争の軸が最上位モデル同士のピーク性能ではなく、ボリュームゾーンの価格帯で選出された製品同士の性能比較だったという点は、周囲の業界関係者も思わず「えっ」といった反応。CPUメーカーから大々的に予告された対決デモの内容が、まさか中・下位モデルのAthlon 64 X2 4200+とCore 2 Duo E6300との対決だったとは誰も予想しなかったろう(笑)。
上位モデルでの比較では不利だからなのか?と勘ぐることもできるが、相手に興奮状態で殴りかかったように見せておいて、実は相手に有利な土俵にはあえて乗らずに勝負したのだとすれば、それはそれで驚くべき冷静さだ。CPU自体はすでにどちらも普通に使う分には十分すぎる性能を持ち、省電力設計という点である意味ようやく肩を並べたところなのに、ただひたすらブン回して一部のマニアやクリエイターにしかウケないピーク性能で競争をしてもしょうがないだろ?という冷静な読みがあったのかも知れない。だとしたら、これはこれで見事な卓見だとしか言いようがない(でも、こんなデモに関心を寄せるのはそもそも自作PCのマニアだろ?という話はさておき)。
そして、もう一つ意表を突かれたのは、ベンチマーク競争で使われたソフトとして国産テキストエディタの「サクラエディタ」が登場したこと。Superπ、HDBENCH、CINEBENCH、3DMark06など有名なベンチマークソフトに混じって、テキストエディタが出てくるとは、これも誰が予想しえたのか(笑)。
このソフトでやったことは、「intelはいってる」という70万のセンテンスを含んだテキストファイルを「AMDはいってる」に全部書き換えることで、単純に言えば「intel」から「AMD」への全置換命令を実行し、その時間を計測するというもの。結果はAthlon 64 X2 4200+が56秒、Core 2 Duo E6300が65秒で、Athlon 64 X2の方が10秒早いという結果になった。ちなみに、これは64bit環境で行われた性能比較。
テキストエディタの置換スピードにどれだけ意味があるのか?という気もするが、そもそも、64bit環境でのベンチマークソフトとして、いつから「サクラエディタ」は認知されたのであろうか?64bit対応のソフトがまだ少ないとはいえ、テキストエディタの置換スピード競争が有名ベンチマークソフトと肩を並べて登場するとはちょっと驚き。「サクラエディタ」はもともとプログラマーなどに人気があり、64bitにも対応しているということで注目度が高いようだが、ベンチマークソフトとしても使われるとは、もう驚くほかない。新しい64bit環境というOSの黎明期に勢いを得たテキストエディタだとすれば、ひょっとしてWindows 3.1登場時の「秀丸エディタ」に近いのだろうか、と昔を思い起こしてみたり…。近くにいた業界関係者の話によると、ある雑誌が64bit環境のベンチマークテストで使っていたのがそもそもの発端じゃないか、とのこと。
時代が変わればいろんなものが変わっていく。「サクラエディタ」はベンチマークの夢を見るか?
□サクラエディタ
http://sakura-editor.sourceforge.net/
□AMDが対抗デモ実施「円周率計算したい人はCore 2 Duo」
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20060812/etc_amdevent.html