週刊3Dプリンタニュース

オートデスクの無料3Dアプリ「Autodesk 123D」ファミリーを使いこなそう(中編)

~3D Systemsから3Dプリンタの新製品が登場~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは前回に引き続き、オートデスクが提供している無料3D関連アプリ「Autodesk 123Dファミリー」について紹介する。また、「2014 International CES」で発表された3Dプリンタの新製品の中から、3D Systemsのコンシューマー向け3Dプリンタについても紹介する。

 アプリの一覧については前回分を参照のこと。

メッシュベースの高機能モデリングアプリ「Meshmixer」

粘土工作をするような感覚で、物体を引っぱったり凹ませたりしてモデリングを行なえる
Meshmixと呼ばれる機能で、モデルとモデルを合体させることが可能

 Meshmixerは、メッシュベースの3Dモデリングアプリ。3D CADとは異なり、柔らかい粘土で工作するようにモデリングできることが特徴だ。用意されているのは、スタンドアロンで動作するWindows版(32bit版と64bit版)とMac OS X版。

 Meshmixerでは、球や板、うさぎ、犬などのモデルをベースに、一部分を持ち上げたり、凹ませたりしてモデリングを行なっていく。また、Meshmixと呼ばれる機能を利用すれば、モデルとモデルをシームレスに合体させることができるので、クリーチャーに手や足を追加することなども簡単だ。表記が英語なので、使いこなすにはやや慣れが必要だが、無料で提供されているアプリとは思えないほど高機能である。正確な寸法が必要なモデリングには向かないが、曲面を多用したクリーチャーなどのモデリングを行なうには適したアプリである。

モデリング経験不要、誰にでも使える「Project Shapeshifter」

まず、用意されているテンプレートの中からモデリングしたいものを選択する
下のアイコンをクリックして表面の模様を変更し、右のグラフの値を増減させることで、形や大きさなどを変更する

 Project Shapeshifterもユニークなアプリだ。一から自由に好きなモノをモデリングしていくソフトではなく、あらかじめ用意されている花瓶やお椀、指輪、腕輪、お皿などのテンプレートを選択し、そのテンプレートをカスタマイズすることでモデリングを行なう。

 こちらは、Webアプリ版のみが提供されている。Web GL技術を採用しており、ChromeやInternet Explorer 11などのWebGLに対応したWebブラウザ上で動作する。

 作業画面の下には表面の形状(テクスチャ)のアイコンが並んでおり、クリックするだけで物体の表面にそのテクスチャが反映される。右側には、高さや直径、傾き、ねじり度合いなどのパラメーターがグラフ表示されており、グラフをマウスでドラッグ&ドロップして値を増減させることで、リアルタイムにモデルが変化する。

 Project Shapeshifterは、テンプレートをベースにカスタマイズするアプリであり、モデリングの自由度は高くないが、その分操作が簡単なので、初心者でもすぐに使いこなすことができる。作成したモデルは、STL形式やOBJ形式でローカルに保存できるので、そのまま3Dプリンタで出力が可能だ。なお、Project Shapeshifterは、現在開発が進められているアプリであり、2カ月前に触ったときと比べて、テンプレートやパラメーターの数が増えている。今後の発展に期待したい。

 さて、次回の後編ではiPad向けアプリなどを紹介したい。


3D SystemsがCubeシリーズの新製品「Cube 3」と「CubePro」を発表

 3D Systemsは、Stratasysと並んで業務用3Dプリンタの2強といわれるメーカーであり、幅広い製品ラインナップを誇る。今回のCESで、3D Systemsは3Dプリンタや3Dスキャナ、3Dマウスなど、10を超える新製品を発表したが、ここでは、その中からコンシューマー向けのパーソナル3Dプリンタの新製品「Cube 3」と「CubePro」を取り上げる。

Cube 3

3D Systemsの最新パーソナル3Dプリンタ「Cube 3」。デザインがさらに洗練されている

 Cube 3は、コンシューマー向け3Dプリンタ「Cube」シリーズの第3世代にあたる製品であり、ボディのデザインがより洗練されただけでなく、デュアルヘッド仕様になったことが魅力だ。

 本体サイズは335×338×280mmとコンパクトで、最大造形サイズは152.5×152.5×152.5mmと、現行のCubeより一回り大きくなっている。なお、Cube 3の発表と同時に、現行のCubeはCube 2と呼ばれるようになった。積層ピッチは0.075mmであり、現行Cubeの0.2mmより細かくなっている。ヒートベッドは非搭載だが、PLAだけでなくABSやリサイクルプラスチックに対応する。

 フィラメントカートリッジの形状も現行のCube用とは異なり、フィラメントの交換がさらに容易になった。デュアルヘッド搭載なので、2色での出力が可能である。積層ピッチも0.075mmと、現行Cubeの半分以下になっている。価格は1000ドルを切る予定であり、コストパフォーマンスは非常に高い。Cube 3の出荷開始は2014年第2四半期の予定だが、パーソナル3Dプリンタの新たなスタンダードとなりそうだ。

CubePro

3D Systemsから発表されたコンシューマー向け3Dプリンタのハイグレードモデル「CubePro」

 CubeProは、コンシューマー向け3Dプリンタのハイグレードモデル「CubeX」の後継となる製品で、こちらも大きく進化している。CubeXと同様に、シングルヘッドモデル、デュアルヘッドモデル、トリプルヘッドモデルの3モデルが用意されている。

 本体サイズは578×578×591mmとかなり大きいが、最大造形サイズも大きく、シングルヘッドモデルでは273×273×241mm、デュアルヘッドモデルでは229×273×241mm、トリプルヘッドモデルでは185×273×241mmとなる。積層ピッチはシングルヘッドモデルが0.075mm、ダブルヘッドモデルが0.2mm、トリプルヘッドモデルが0.3mmである。素材は、PLA/ABS/溶解性PLAに対応しており、溶解性PLAをサポート専用材料として利用できる。こちらの価格は5000ドルを切る予定で、出荷開始はCube 3と同じく、2014年第2四半期の予定だ。

(石井 英男)