実践!今時PCの活用法

小型PCを「快適・常用・頑丈・省電力」で作ってみた、Core i3で高コスパ

7日間の100%負荷でもド安定、総額9万円 text by 坂本はじめ

 「実践!今時PCの活用法」第三回となる今回のテーマは、「省電力かつ信頼性の高いPC」だ。

 デスクワークやWeb閲覧、動画鑑賞など、常用するPCであれば省電力性や堅牢性は高いに越したことはない。

 最新のSkylake世代のPCパーツを使い、コストパフォーマンスや組みやすさも意識した「2015年版常用PC」を作ってみた。

実践!今時PCの活用法 :バックナンバー
第一回
写真も音楽もマルチSSDで快適に、ベイ6基、しかも小型なPCを作ってみた
第ニ回
長く使う骨太ゲームPCの作り方指南、電源とマザーにはお金をかけろ!

Skylake世代のコンパクトPCを手堅いベアボーンキットで作成

 個人用のPCであっても気にしたいのは信頼性の高さ。アプリケーションやWindowsが強制終了するようなことがあっては困る。また、長時間使用するような常用PCなら消費電力の低さも意識したいところ。

 とはいうものの、自作PCで「信頼性」を確保するには、パーツ選定の知識が必要になるし手間もかかる。

 そこで、手軽に「信頼性」が手に入る選択肢として利用したのが、Shuttle製のベアボーンキット「DH170」だ。悪環境での動作も考慮されたモデルで、剛性を高めるためにスチール製筐体を採用、外気温50℃での使用も想定された耐久性の高さがウリのモデル。

 このベアボーンキットを利用することで、Skylake世代のLGA1151対応CPUと、DDR3Lメモリ、ストレージを用意すれば手軽に堅牢性が高いPCを完成させることができるというわけだ。

 それでは今回選んだパーツを選定ポイントと合わせ紹介しよう。

  モデル 価格(税込)
ベアボーンキット Shuttle DH170 2万9千円前後
CPU Intel Core i3-6100T 1万7千円前後
メモリ Crucial CT102464BF160B(DDR3L-1600 SO-DIMM 8GB) ×2枚 1万4千円前後(2枚合計)
システムストレージ Crucial CT250MX200SSD1(250GB) 1万2千円前後
OS 日本マイクロソフト Windows 10 HOME 1万4千円前後
    合計8万6千円前後

 まずは堅牢性がウリのベアボーンキットShuttle DH170。Intel H170 チップセットを搭載し、TDP 65WまでのCPUをサポートしているモデルだ。M.2スロットやIntel製LANコントローラを2基搭載、DisplayPort×2 + HDMIで3画面出力にも対応した多機能な点も特徴。

フロントパネルインターフェース。USB3.0×2基、USB2.0×2基、SDカードスロット、音声入出力。
スチール製筐体を採用した堅牢なコンパクトモデル
バックパネルインターフェース。Gigabit LAN×2基、USB3.0×2基、USB2.0×2基、RS-232(RS-232×1、RS-232/RS-422/RS-485×1)。
ACアダプター。総出力は90W。

 CPUには省電力性を意識し、3.2GHz動作の2コア4スレッドCPU「Intel Core i3-6100T」を採用した。

 型番末尾に「T」が付与されたCPUは消費電力を重視したモデルで、TDPは35W。GPUコアは上位モデルと同じIntel HD Graphics 530を備え、Shuttle DH170との組み合わせでは、最大3画面への同時出力が可能だ。SkylakeのCore i3としては価格が安価なのもポイント。

Core i3-6100T。Skylakeアーキテクチャを採用する2コア4スレッドCPU。TDP 35Wの省電力モデルで、動作クロックは3.2GHz。

 メモリには、Crucialの8GB DDR3Lモジュール「CT102464BF160B」を2枚搭載。CrucialはMicronのコンシューマー向けブランドなので、搭載するのは当然、高品質なMicronのメジャーチップだ。

 メジャーチップとは、メモリチップを製造するメーカーが検証を行って信頼性を確保したメモリチップで、その証としてメモリメーカーのロゴとチップの型番が刻印されている。メモリの信頼性を重視するなら、「メジャーチップの採用」は一つの基準と言っても良いだろう。

Crucial CT102464BF160B、動作電圧1.35VのDDR3L-1600対応8GB SO-DIMM。今回は2枚用意した。
Crucial CT102464BF160Bは、信頼性の高いMicronのメジャーチップを採用している。

 ストレージには耐久性や信頼性を重視し、Crucial MX200シリーズの250GB SSD「CT250MX200SSD1」を採用。

 CrucialのMX200シリーズは、同社が展開しているSSD製品の中でも性能と信頼性を重視したモデル。NANDフラッシュには、最近の廉価SSDで採用が増えているTLC NANDより、性能と耐久性に優れるMLC NANDを採用した製品。読出し最大555MB/sec、書込み最大500MB/secで、寿命は150万時間。250GBモデルであれば総書き込み容量は80TB(1日43GB×5年間相当)とされている。

Crucial MX200 SSDの250GBモデルCT250MX200SSD1。SATA 6Gbps対応の7mm厚の2.5インチSSD。
CrystalDiskMarkの実行結果。MX200はCrucial製SSDの上級モデルで、パフォーマンスだけでなく、高い耐久性も特徴としている。

本当に耐久性&安定性が高いのか、7日間ぶっ通しで超高負荷をかけてみた24時間×7日連続運用も余裕の安定感

 Shuttle DH170は、個人での利用だけでなく、デジタルサイネージのように長時間の連続稼働を求められる環境での利用も考慮した、耐久性重視の設計がなされている。

 そのDH170に、Micronのメジャーチップを採用したCrucialのDDR3Lメモリと、CrucialブランドのSSDの中でも耐久性を重視したMX200シリーズを組み込んだ今回のPCは、安定性と耐久性を兼ね備えた信頼性の高いPCになっているはずだ。

 ただし、実際「信頼性」が高いPCに仕上がったのかはテストしてみないとわからない。そこで、CPUに高負荷を掛ける「Prime 95 28.7」を実行したまま、一週間の連続稼働に挑戦してみた。以下はその結果のスクリーンショットだ。

超高負荷状態で稼働時間は180時間を超えた、表示は7日と12時間41分12秒。
Prime 95 28.7のログの抜粋、180時間以上問題なく負荷テストをパス。
ログファイル(pdf/241ページ)
テスト中のステータス一覧。
温度のスクリーンショット。Prime95 28.7は非常に負荷の高いテストだが、コア温度は90℃以下に留まった。

 Prime95はPCに負荷をかけ安定性を確かめるソフトで、非常に負荷が高いことで知られている。通常、一般的な使い方でここまで負荷がかかることは無く、このテストをクリアすればPCの安定度が高いと見ることができる。

 結果の方はご覧のとおり稼働時間は180時間(7日と12時間)を余裕でクリア。1週間の連続稼働、それもCPUの全コア全スレッドと、メモリに高負荷を掛け続けるというシチュエーションでも安定して動作し続けたという実績は、このPCの「信頼性」の高さの証明となるだろう。今回は24時間×7日少々でテストを打ち切っているが、このまま動作させれば更なる連続稼働も可能なはずだ。

 個人向けのPCやPCパーツでは、常時稼働という使い方を考慮していない場合が多いが、組み込みを考慮して設計されているDH170なら、信頼性の高いパーツを組み込むだけで、これだけの連続稼働が可能となる。使う時だけ起動する一般的な個人用途はもちろん、常時稼働させるPCとしても、個人用PCとしての「信頼性」は十二分に確保できていると言える。

 なお、動作温度が高めになっているが、ファンの回転数は1,700〜3,300rpmの間くらいで制御されており、DH170に搭載されているファンコントロール機能はCPU温度が90℃を超えないよう制御しているようだ。

2コア4スレッドでも侮れない、Skylake版Core i3のパフォーマンスデスクワークはもちろん4K動画の再生も可能

 Intel Core i3-6100Tは、TDPを35Wに抑えた省電力CPU。動作クロックはSkylake世代のCore i3の中で、最も低い3.2GHzに抑えられている。

 Core i3の最下位モデルでは性能的に物足りないのではと思うユーザーもいるかと思われるので、CPUパフォーマンスと消費電力も紹介しておこう。

CINEBENCH R15の実行結果
Microsoft EdgeでYoutube公式の4K動画を再生した際の負荷。
動作中の消費電力

 上記はベンチマークなどでテストした結果だが、下位モデル位とはいえ流石Skylake世代のCPU。CINEBENCH R15のスコアでは、マルチスレッドで341cb、シングルスレッドも132cbというスコアを記録した。Microsoft EdgeでYoutube4K動画などを再生してもコマ落ちなどはなく、負荷は10〜20%程度と余裕のあるものだ。

 オフィス系のアプリケーションはもちろん、高解像度の動画再生やデジカメで撮影した写真の編集などでも、CPUパワーの不足を感じる場面は少ないだろう。

 また、省電力CPUを使用したことだけあって、PC全体の消費電力も低く抑えることができた。今回の構成では、アイドル時に17W、CINEBENCH R15のCPUテスト時に39Wだった。省電力性についても文句なしだ。

メインPCとして常用できる「省電力&高信頼性PC」

 手軽かつ安価に「省電力かつ信頼性の高いPC」を作るというテーマで作った今回のPC。

 アイドル時17W〜最大50W前後で動作する「省電力性」と、24時間×7日間以上の連続稼働が可能な「信頼性」を確保したバランスの良いモデルに仕上がった。

 価格面に関しても、最新鋭のパーツを中心に構築しながら、OSまで込みで9万円前後と10万円以内に収まるトータルコストの低さもポイントだ。

 コンパクトなDH170はビデオカードの増設ができないため、負荷の高い3Dゲームを楽しみたいといった用途には向かないが、それ以外の用途であればだいたいなんでもこなすことができる。

 長時間の稼働を前提とした常用PCとしてはもちろん、旧世代PCをリプレースするPCとしても、今回のPCが実現した省電力性と信頼性は魅力あるものと言えるだろう。

[制作協力:Crucial]

(坂本はじめ)