パワレポ連動企画
使用時のトラブル対策編2 ~ストレージ関連~
【保存版 自作PC「トラブル」の原因と対策(9)】
(2015/6/11 12:10)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年7月号」の第一特集「“動かない・不安定・遅くなった”を解消せよ!保存版 自作PC トラブルの原因と対策」を掲載する。
PC使用時に発生するトラブルを3回に分けて解説していくその2回目は、HDD/SSDといったストレージ関連でチェックすべき項目を紹介する。
一般的になってきたSSDだが、M.2スロットやPCI Expressに接続するタイプは使用しているマザーボードによっては注意が必要。たとえば、Z97マザーボードではPCI Expressのレーン数の制限から、オンボードの他の機能と排他利用であったり、性能が発揮できなかったりする場合がある。事前に確認しておこう。
この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年7月号は全国書店、ネット通販にて5月29日(金)に発売。自作トラブル解決に必見の第一特集のほか、OSはSSDだけど、データ入れるならやっぱりこちら!異なる用途に最適な選択をアドバイスする第二特集「目的でキメる最新HDD」、0.1しか違わないのに2倍以上速い最新インターフェースを搭載!「USB 3.1対応マザーボード全員集合」、HDMIに挿すだけでテレビがパソコンに早変わり!「テレビ1台あればいい! 今知りたいスティックPC」、自分の健康にも投資するべき!の第二弾は財布にも優しいアイテム大集合!「PC疲れが楽になるお手軽健康グッズ29」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は、パーツ選びから動作中のトラブルまで、PC自作にまつわる「?」を一冊にまとめた「PC自作Q&A事典 2015」。CPUスペックの見方から、どこでパーツを買えばいいのか分からない、といった疑問にも困ったにも対応します!
- 使用時のトラブル編2 ~ストレージ関連~ -
真の実力は発揮できているか?
通常使用時のトラブル解決編 2
最新のPCパーツは省電力化が進んでいる上に機能面も洗練されてきて、さまざまなトラブルや危険に対しての備えも多数用意されている。そのため、少々冷却などに落ち度があってもなんとか動いてしまい、本来の性能が出ていないことに気付かないということがあり得る。「普通に動いている」かどうかではなく「本来のポテンシャルが発揮できている」かどうかの確認に役立ててほしい。
症状別トラブル原因判別と対処方法
症状2 SSDの性能が期待ほど高くない
SSDのベンチマークテストとしては、ひよひよ氏のCrystalDiskMarkなどが有名だ。手軽に試せるテストだけに、SSDを導入した際に実行してみる方は多いだろう。実際、テストしてみると、メーカーの公称スペックや製品レビュー記事に比べて遅い……という事例が意外とよくあるようだ。公称スペックやレビュー記事などは、SSDの性能がフルに発揮できる状態を前提に計測しているので、ユーザーの環境に導入した場合に同じスコアが出るとは限らないが、接続や設定が原因の場合もある。
まず、SSDを接続するSerial ATAポートは、同じSerial ATA 6Gbpsポートでも、チップセットのポートと、オンボードのサードパーティ製コントローラのポートとでは性能に大きな差がある。大きな要因はコントローラの接続インターフェースにあり、基本的にサードパーティのコントローラはチップセットにSerial ATA 6Gbpsより遅いPCI Express2.0 x1で接続されているので、そこがボトルネックになるわけだ。また、廉価版のB85やH81チップセットを搭載したマザーボードには、Serial ATA 3Gbpsポートもまだあるので気を付けよう。
期待のM.2スロットは、大きく分けて10Gbps(PCI Express 2.0 x2)と32Gbps(PCI Express 3.0 x4)のものがある。Z97やH97マザーで一般的なのは前者だが、超高速クラスのSSDがフルに性能を発揮するには後者のスロットが必要。最高性能を目指すなら使用するソケットには要注意だ。
高速な転送モードを使っていない可能性
高速転送が可能なAHCIモードを利用する
Serial ATAの動作モードには、Serial ATAに最適化された「AHCI」と、古い規格との互換性を考慮した「IDE」と二つのモードがある。後者は古いOSを利用する場合に使われるものだが、現代のSSDの性能を活かし切ることはできない。最新システムではもちろんAHCIモードを使うべきところ。もしIDEモードでOSをインストールしている場合には、AHCIモードに切り換えることで大幅なパフォーマンス改善が期待できる。
Windows 8/8.1の場合は、UEFIセットアップでモードを切り換えた後、セーフモードで一度起動すれば、その後再起動するだけでよい。Windows 7の場合は、UEFIセットアップでの切り換え前にレジストリの変更が必要。blue231氏が配布している「SATAモード変更支援ツール」(http://www.mercury.sannet.ne.jp/moonsault/satamodetool/)を使うのが簡単で確実だ。
省電力設定の影響が出ている可能性
パフォーマンス重視の電源プランに変更する
SSDのパフォーマンスは、電源設定にも左右される。Windows 8.1の電源プランを変更するだけでも、パフォーマンスは結構変わる。消費電力とのトレードオフにはなるが、電源プラン「省電力」よりも「バランス」、「バランス」よりも「高パフォーマンス」のほうがスコアがよくなる。体感面での影響は微妙なところではあるが、ベンチマークのスコアをピリッとさせたいならば効果的だ。
Windows 8/8.1の場合は、UEFIセットアップでモードを切り換えた後、セーフモードで一度起動すれば、その後再起動するだけでよい。Windows 7の場合は、UEFIセットアップでの切り換え前にレジストリの変更が必要。blue231氏が配布している「SATAモード変更支援ツール」(http://www.mercury.sannet.ne.jp/moonsault/satamodetool/)を使うのが簡単で確実だ。
【「高速な転送モードを使っていない可能性」「省電力設定の影響が出ている可能性」共通検証環境】
CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-DELUXE(Intel Z97)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)、システム用SSD:Micron Crucial m4 CT128M4SSD2(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)、テスト用SSD:Samsung 850 EVO MZ7LN500(SerialATA 3.0、MLC、500GB)、電源ユニット:Sea Sonic Xseries SS-660XP2(660W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit版、Windows 7 Ultimate 64bit版
症状3 SSDが以前より遅くなった
SSD固有の問題に影響を受けている可能性
メンテナンスを実行してパフォーマンス改善を図る
SSDの性能が遅くなる原因は、いくつか考えられるが、ありがちなのはNAND型フラッシュメモリの特性に由来するものだ。
遅くなったと感じたら、まずは新しいファームウェアを確認しよう。SSDの性能や信頼性はファームウェアに大きく依存するので、更新で性能が改善することもある。
SSD特有のメンテナンス機能としては、未使用領域の整理を行なうTrimコマンドの送信が低リスクで試せてかつパフォーマンスの改善効果も期待できる。もしSSD上のデータをすべて消去してもよいならば、完全な初期化を行なうSecureEraseがパフォーマンス回復にはもっとも効果的だ。
Windows Searchを止めて高速化
ファイルの検索を高速化するWindowsSearchだが、インデックス作成時にストレージに負荷がかかる上、ランダムアクセスが高速なSSDではとくにメリットがない。IntelやSamsung ElectronicsのSSDのユーティリティでも、OS最適化の一環として無効にすることが提案されている機能の一つでもあるので、無効にしてしまってもよいだろう。
Cドライブの容量を確保するには
Cドライブの空き容量が極端に減ると、一時ファイルなどに使う余裕がなくなってシステムのレスポンスの低下を招くほか、頻繁な書き換えが発生し、S S Dの寿命にもよくない。Cドライブの容量が潤沢にない場合は、ユーザーデータはできるだけHDDなどの別ドライブに保存するようにしたい。
症状4 SSD/HDDが見えなくなった
接続や電源ユニットの問題、または故障の可能性
まずはケーブル、ポートを変えて状況を確認しよう
使えていたSSDや内蔵HDDが見えなくなった、あるいは見えたり見えなくなったりするという症状の場合は、そのSSD/HDDの故障という可能性もあるが、それ以外にも、ケーブルやポートの不良、電源ユニットの経年劣化による給電不足などが考えられる。比較的作業が簡単なケーブルの挿し換えやポートの変更を行なってみて、改善が見られなければ、電源ユニットのチェックを行なおう。
電源ユニットは経年劣化しやすく、HDDはスピンアップ時に意外と電力を消費するため、HDDを多く搭載していると電源が問題になる場合もある。特定できない段階で電源ユニット自体を挿し換えるのは手間なので、HDD外付けケースなどを利用して電源の問題かHDDの故障かを判別するとよいだろう。
症状5 追加したSSD/HDDが見当たらない
利用開始の準備ができていない可能性
新しいSSD/HDDを追加したらまずは初期設定
新しいSSD/HDDを利用するには、まずは「ディスクの管理」という管理ツールで、初期化やフォーマットといった初期設定を行なう必要がある。SecureEraseでデータを完全消去した場合も、同様に初期化作業が必要なので注意しよう。
[Text by 鈴木雅暢]
【DOS/V POWER REPORT 2015年7月号は2015年5月29日(金)発売】
★第1特集「保存版 自作PCトラブルの原因と対策」
★第2特集「目的でキメる最新HDD」
★特別企画「USB 3.1対応マザーボード全員集合」「今知りたいスティックPC」「PC疲れが楽になるお手軽健康グッズ29」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別付録小冊子「疑問にも困ったにも対応します! PC自作Q&A事典 2015」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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