パワレポ連動企画
使用時のトラブル対策編1 ~ベンチマークテストの結果が悪い場合~
【保存版 自作PC「トラブル」の原因と対策(8)】
(2015/6/10 12:10)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年7月号」の第一特集「“動かない・不安定・遅くなった”を解消せよ!保存版 自作PC トラブルの原因と対策」を掲載する。
今回よりPC使用時に発生するトラブルを三回にわたり解説していく。その一回目となる今回は、思ったよりもベンチマークの結果が振るわない時にチェックすべき項目だ。
CPUの省電力化が進んだおかげで、多少冷却力が不足している程度では動作に支障が無いこともあるが、そういった構成のPCは気温が上がってくるとトラブルに見舞われることが多い。特に秋から冬にかけての涼しい時期に組んだPCは要注意。これからどんどん暑くなるこの時期にこそ、構成を見直す良い機会だ。
この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年7月号は全国書店、ネット通販にて5月29日(金)に発売。自作トラブル解決に必見の第一特集のほか、OSはSSDだけど、データ入れるならやっぱりこちら!異なる用途に最適な選択をアドバイスする第二特集「目的でキメる最新HDD」、0.1しか違わないのに2倍以上速い最新インターフェースを搭載!「USB 3.1対応マザーボード全員集合」、HDMIに挿すだけでテレビがパソコンに早変わり!「テレビ1台あればいい! 今知りたいスティックPC」、自分の健康にも投資するべき!の第二弾は財布にも優しいアイテム大集合!「PC疲れが楽になるお手軽健康グッズ29」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は、パーツ選びから動作中のトラブルまで、PC自作にまつわる「?」を一冊にまとめた「PC自作Q&A事典 2015」。CPUスペックの見方から、どこでパーツを買えばいいのか分からない、といった疑問にも困ったにも対応します!
- 使用時のトラブル編1 ~ベンチマークテストの結果が悪い場合~ -
真の実力は発揮できているか?
通常使用時のトラブル解決編
最新のPCパーツは省電力化が進んでいる上に機能面も洗練されてきて、さまざまなトラブルや危険に対しての備えも多数用意されている。そのため、少々冷却などに落ち度があってもなんとか動いてしまい、本来の性能が出ていないことに気付かないということがあり得る。「普通に動いている」かどうかではなく「本来のポテンシャルが発揮できている」かどうかの確認に役立ててほしい。
症状別トラブル原因判別と対処方法
症状1 ベンチマークテストの結果が悪い
普段はとくに気にならずPCが使えているのに、ベンチマークを測定してみると思ったよりもスコアがよくない、という経験をしたことはないだろうか。こういう場合は、CPUのパフォーマンスが十分得られていないことが疑われる。
CPUがスペックに沿った本来のパフォーマンスを出せない理由としては、CPU温度が高過ぎることが考えられる。具体的な例としては、CPUクーラーの経年劣化で放熱能力が落ちて高温になるパターン、放熱に最初から問題があるのに気付かなかったパターンなどで、意外にも後者の例は少なくない。最近のCPUは、少しくらい放熱が甘くても問題なく動いているように見えてしまうので、高い負荷をかけるまでトラブルが生じていることに気付かなかった、ということもある。
なお、重症になると、ベンチマーク中など高負荷がかかったときだけ突然電源が落ちたり、システムが再起動したりすることもある。そういう症状が出ている場合にも、以下のツールを活用してCPUの動作状況をチェックしてみよう。
CPUの状態を把握するために、CPUの温度を知る
本当に放熱が原因かどうかを確認するため、「HWMonitor」などの温度監視ができるソフトを利用する。アイドル状態では、放熱に問題があっても温度は低いことが多いので、ベンチなどで負荷をかけてそのときの温度で判断してみよう。アウトかどうかの基準は90℃程度。
CPUの状態を把握するために、CPUの動作周波数を知る
Turbo Boostがどのように機能しているかなど、CPUの動作周波数を知りたい場合には、CPU-ZやHWiNFO64といったツールを使ってCPUの周波数をリアルタイムで見てみるとよいだろう。実際に見てみると、だいたい800MHz前後の値(Haswellの場合)が表示される。定格4GHzのはずが……と慌てるのはまだ早い。最近のCPUは省電力機能が搭載されており、アイドル時や低負荷時には周波数を下げ、さらに電圧を下げることでムダな電力を節約するようになっているので、その800MHzは正常だ。ツールを常駐させながらベンチマークなどを実行すれば、リアルタイムで周波数の変動を確認できる。
CPUの放熱不足の可能性
CPUクーラーの取り付けや汚れを見直そう
現在のCPUには、高い負荷がかかったときに動作周波数を上げるTurbo Boostなどのターボ機能を備えている。正常な環境であればパフォーマンスがより出るはずなのだが、CPU温度が高過ぎる環境では周波数を上げないし、さらには自動で周波数や電圧を下げたり、スロットリング(断続的に休ませる)をするなど、不意のシステム停止(いわゆる熱暴走)を防ぐようになっている。高い負荷がかかる状況は日常的には必ずしも多くないため、ベンチマークなどをしない人は、放熱不足という問題に気が付きにくい。しかし、夏になって室温が上昇したり、たまたま高負荷状況で使うようになるなどして、トラブルが表面化する。
CPUクーラーに関するトラブルは、意外と初歩的なミスも多い。移動などの際に衝撃がかかってファンのケーブルが抜けてしまっていたり、そもそも固定が正しくできていなかったりといったこともめずらしくないので、落ち着いてチェックしてみよう。
実際に熱の影響はどのくらい出るのか
ここではCore i7-4790Kを使い、あえて適切でない放熱状態を再現して起動し、温度とパフォーマンスの違いをまとめた。それぞれの状態でCINEBENCH R15を2回連続で実行し、結果の悪かったときの数値を掲載している。
CPUクーラーを正しく使った場合、CINEBENCH R15実行中の最高温度は80℃、CPUスコアは842というスコアが出たが、適切でない場合にはいずれも100℃に達し、スコアも低かった。100℃にもなれば当然TurboBoostが効かないだけでなく、過熱保護機能が働き周波数が下げられるためだ。なかでも、グリスなしの場合がもっとも結果が悪かった。
怖いのは、こんな間違いだらけの状態でも、ベンチマークテストを実行しなければ、普通に動いているように見えること。アイドル時のCPU温度が低いため、ついつい見落としてしまうポイントだ。
[Text by 鈴木雅暢]
【DOS/V POWER REPORT 2015年7月号は2015年5月29日(金)発売】
★第1特集「保存版 自作PCトラブルの原因と対策」
★第2特集「目的でキメる最新HDD」
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