パワレポ連動企画

【PCパーツ100選 2016(20)】電源部門 その1

~この部門の注目点とレコメンド発表~

DOS/V POWER REPORT 2016年2月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年2月号」の総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」を掲載する。

 第20回目は電源部門の解説とリコメンド受賞製品を紹介する。一昔前の製品と比べると、最近の電源は安定性、信頼性ともに十分安心して使えるレベルのものがほとんどだ。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年2月号は全国書店、ネット通販にて2015年12月26日(土)に発売。様々な分野のオススメパーツを決定する総力特集をはじめ、ラジエータを置くスペースが必要だけど、かわりにCPUソケット周辺はすっきりする簡易水冷の新製品を紹介!「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」、ゲームで差が付くかもしれない高機能モデルが豊富!「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」、すぐ隣だから30cmあれば十分なあなたや、上の階とつなげるので30mは欲しいというあなたに捧げる「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の付録は豪華二本立て! あの素晴らしいパーツをもう一度「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」と、これから自作を始める方には是非読んでいただきたい「パーツの役割や組み立て手順が分かる!保存版PC自作スタートブック2016」だ。


-PCパーツ100選 2016-
執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!?


信頼性の高い定番製品が人気
電源部門

 昨今の電源は、よほど低コスト志向の製品でない限り品質も信頼性も一定のレベルは超えている。

 そんな状況においては実績や個性が重要なのかもしれない。投票結果と合わせてトレンドを分析してみよう。

製品の人気は二極化 小型PC人気で小型モデルも増加

 80PLUS Titanium認証の登場後、Platinum/Gold認証製品はコストパフォーマンス、Bronze認証製品は絶対的な価格が重視された仕様になる傾向がある。ユーザー視点では、実績ある定番モデルに人気が集中する傾向にある一方、小型の自作PCのニーズの高まりと、基板設計技術の向上により高性能化した小型電源も無視できないところだ。とくに奥行きが短いATX電源や、SFXを独自に拡張して静音化、大出力化、高効率化を図った電源が増えており、小型PC自作の自由度が格段に増している。

 ソフトウェアによる監視・制御機能にも注目したい。なかでもCorsairが積極的に採用している「Corsair Link」がとくに目立つ存在だ。専用のケーブルでマザーボードと接続することで、電圧やファン回転数をリアルタイムでモニタリングでき、さらに+12Vレール数の変更などといった制御まで行なえる。これまでハイエンドモデルが中心だったCorsairLinkがミドルレンジモデルのRMiシリーズに搭載されたことで、今後は同様の機能がさらに普及する可能性がある。

topic 1安定志向の定番製品が市場をリード

 電源の安定性の客観的評価は難しい。

 そこで注目されるのが、ネット上のクチコミなどで多くのユーザーに支持されている定番製品。とくに定格出力500W前後で2万円前後の比較的高価な製品が人気だ。

第2世代の定番製品が登場
CorsairのRMiやRMx、Sea SonicのXP2Sなど、第1世代で築いた信頼性を引き継ぐ後継モデルが登場

topic 2ショートモデル、SFXなどの小型も続々

 2015年の特徴的な動きとして挙げられるのが小型電源の充実。

 奥行きの短いATX電源はベイや拡張カードとの干渉を防ぐための有効な手段であり、SFXの大出力モデルは小型PCでもハイエンドビデオカードの搭載を可能にする。さらにはSFX電源の奥行きを延長することで、大型ファンを搭載した製品も登場。小型PCケースでもムリなく搭載でき、かつ信頼性や静音性が向上するので満足度も高くなる。

 また、小型でもプラグイン方式を採用する製品は小型ケースで非常に使いやすい。素直に電源設計の進歩を感じられるところだ。

小型電源をケースに収める
ATX電源を搭載可能なキューブタイプのMini-ITXケースなどは、ショートタイプの電源を選択することで(右)、より背の高いCPUクーラーの搭載やエアフロー効率の向上を狙う手もある
電源の価格・80PLUS認証別分布図

topic 3高級モデルの管理・制御機能に注目

管理ツール画面
現在の出力や消費電力、各系統の電圧などをリアルタイムで表示でき、PCの安定性を測ることができる。写真はCorsairの「Corsair Link」

 専用ケーブルでマザーボードと接続し、モニタリングや冷却ファンの回転数制御などを可能にする機能も登場。

 とくに一部モデルで対応しているシングル/マルチレールの切り換え機能は、シングル/マルチGPUの変更時に有効だ。あまり頻繁に切り換えるものではないが、ソフトウェア上から変更できれば構成変更時の安定性確認を容易に行なえる。

80PLUSのグレードの違いによる性能比較。BronzeとTitaniumでは消費電力に1割程度の違いが見られる

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)
メモリ:Team TED316G1600C11DC-AS(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT240A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)
OS:Windows 8.1 Pro 64bit版
室温:24℃
暗騒音:33.9dB
アイドル時:ベンチマーク終了10分後の値
高負荷時:3DMark 実行中の最大値
動作音測定距離:ファンから約15cm
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

電源部門の投票結果

 CorsairとSea Sonicの製品は、執筆陣の投票、Web投票ともに上位となった。少し保守的にも見えるが、電源でもっとも重要視されたのが、レビュー時のテストや過去の実績によって裏打ちされた信頼性だったということだろう。また、Web投票では上位10製品中7製品がPlatinum以上と高効率が好まれる傾向にあるが、本誌執筆陣の票が入った9製品中5製品はGold以下であった。

 本誌では何度も書いているが、80PLUS認証は変換効率を示すもので、品質や信頼性に直結しているものではない。円安でのパーツ価格上昇がなげかれる昨今、コストパフォーマンスも含めて真に自分に合ったものを手に入れるために多角的に考えてみてほしいところだ。

・鈴木雅暢はこう見た!
 全体的にあまり進展のない1年だったが、1代限りの売り切り製品がちらほら。こういったものはサポートに注意。

・清水貴裕はこう見た!
 モニタリングや調整を行なう機能に注目。Corsairが中堅モデルに投入したことで、他社がどう動くのかが興味深い。

電源部門 レコメンド受賞製品

Sea Sonic Electronics
Xseries SS-660XP2S

揺るぎない信頼性の鉄板電源

660W / Platinum / フルプラグイン / 5年保証
電解コンデンサには1次、2次ともに日本ケミコン製を採用。高い信頼性をウリとしている

 信頼性の高い回路設計に、こだわりのファンやコンデンサを採用。さらに長期保証により安心して使える高品質電源。とくに電流の質は、過去のテストでも常に優れた結果を残している。

 動作音の面では、静音ファンの採用に加え、負荷率が20%以下の際にはファンを停止する準ファンレス仕様。フラットケーブルを採用したフルプラグイン式の利便性にも注目だ。

Specification
●ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、EPS12V×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×10、ペリフェラル×5、PCI Express 6+2ピン×4、FDD×1(ペリフェラル→ FDD変換ケーブル付属)

型番定格出力奥行き実売価格
SS-860XP2S860W16cm29,000円前後
SS-760XP2S760W16cm25,000円前後
SS-660XP2S660W16cm21,000円前後

【編集長から】

 現在の電源に機能、性能面で強く求められる要素は、耐久性、出力の安定性、電力効率、静音性、ケーブルの取り回しの容易さです。本製品はそのどれもを高いレベルでクリアしています。

 ハイエンドパーツと組み合わせて3年、5年という単位で使いたいところです。


サイズ
超力短セミプラグイン SPCT-550SP

抜群の組み込みやすさとコストパフォーマンス

550W / Gold / セミプラグイン / 2年保証
使用部品にコストダウンの影が見えるものの、作りは非常にしっかりしている

 奥行きを12.5cmに収め、抜群の組み込みやすさを実現したATX電源。筐体サイズギリギリの12cm角ファンを採用し、静音性にも優れている。さらに、機能満載ながら価格を抑えている点も魅力的。

 電流の質や静音性に関しては、さすがに国内メーカー製コンデンサを豊富に採用したモデルや14cm角ファン搭載モデルにはおよばないが、十分に満足いく性能だ。

Specification
●ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×4、ペリフェラル×2、PCI Express 6+2ピン×2、FDD×1

型番定格出力奥行き実売価格
SPCT-700SP700W12.5cm13,000円前後
SPCT-550SP550W12.5cm12,000円前後

【選定のポイント】

●奥行き12.5cmとセミプラグインの利便性
●剛力短2のBronzeからGold認証へグレードアップ


【問い合わせ先】

Sea Sonic Electronics:046-236-3522(オウルテック)/http://www.seasonic.com/
サイズ:support@scythe.co.jp /http://www.scythe.co.jp/


[Text by 石川ひさよし]


DOS/V POWER REPORT 2016年2月号は2015年12月26日(土)発売】

★総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」
★特別企画「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆ 「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」「パーツの役割や組み立て手順が分かる! 保存版PC 自作スタートブック 2016」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

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(AKIBA PC Hotline!編集部)