パワレポ連動企画

【PCパーツ100選 2016(23)】CPUクーラー部門 その1

~この部門の注目点とレコメンド発表~

DOS/V POWER REPORT 2016年2月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年2月号」の総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」を掲載する。

 第23回はCPUクーラー部門の解説とリコメンド受賞製品を紹介する。Skylakeが登場したものの、TDPについてはHaswellからそれほど変化が無かったため、CPUクーラーの売れ筋にはほとんど影響が見られない。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年2月号は全国書店、ネット通販にて2015年12月26日(土)に発売。様々な分野のオススメパーツを決定する総力特集をはじめ、ラジエータを置くスペースが必要だけど、かわりにCPUソケット周辺はすっきりする簡易水冷の新製品を紹介!「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」、ゲームで差が付くかもしれない高機能モデルが豊富!「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」、すぐ隣だから30cmあれば十分なあなたや、上の階とつなげるので30mは欲しいというあなたに捧げる「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の付録は豪華二本立て! あの素晴らしいパーツをもう一度「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」と、これから自作を始める方には是非読んでいただきたい「パーツの役割や組み立て手順が分かる!保存版PC自作スタートブック2016」だ。


-PCパーツ100選 2016-
執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!?


高性能な薄型モデルとトップフロータイプが増加
CPUクーラー部門

 CPU冷却の要となるCPUクーラー。CPU付属のクーラーがあればPCの動作自体に問題はないが、その選択は冷却性能と静音性を大きく左右する。

 とくにミドルレンジまでの製品は価格が手頃とあって関心が高く、投票結果も納得の内容となった。

定番製品の人気が続くも小型PC人気で薄型タイプが増加

  Skylakeを投入したIntel、そしてAMDも、この1年はCPUのTDP枠自体に大きな変化はなかった。一方でCPUクーラーの性能は成熟し、静かで冷える製品が揃ってきた。低価格帯では十分な性能を持った製品が定番化し、一方でミドルレンジクラスではプラスαの冷却性能や静音性、デザインといった特徴ある製品が増えてきた。

 高さを抑えたモデルも目立つ。主に小型PCの人気が影響していると思われ、ハイエンドCPUクーラーメーカーが相次いでこのセグメントに参入したのは、小型でも冷却性能を求めるユーザーの声が背景にあるのだろう。今後も薄型で高性能な製品が登場するはずだ。

 簡易水冷キットは、とくにハイエンドクラスでラジエータサイズの大型化が進んできている。ただ、大型のラジエータにケースが対応できるかどうかという注意点もあり、人気は現実的なサイズのものに集中している。

topic 1低価格帯は定番モデルが鉄板 中堅クラスはコスパが向上中

 虎徹がダントツの人気だが、デュアルファンモデルやツインタワーモデルが1万円以下の価格帯に下りてきて、コストパフォーマンスが向上。

 また、トップフロータイプの製品も増加している。

薄型やトップフローモデルが増加
小型PC人気から薄型モデルが増加。また、CPUソケット周辺も冷やせるトップフロータイプも増加傾向だ

topic 2ハイエンドも定番モデルが長期政権を敷く

ツインタワー型のヒートシンクに14cm径クラスのファンがハイエンドの定番デザイン。R1 UNIVERSALは外側のファンのみ薄型とすることで干渉を抑えている

 このセグメントではSilver Arrowが先鞭を切り、以後ツインタワー型のヒートシンクと2基のファンという構成がハイエンドクーラーの定番となった。

 現行のSilver Arrow IB-Eはいまだ人気を維持しているが、これに待ったをかけたのがCRYORIGのR1 UNIVERSALだ。ただ、こちらも登場から1年半以上経っており、そろそろ定番化したと言ってよい。R1 UNIVERSALのよいところは、大型ツインタワーでありながら、大型ヒートスプレッダ搭載のメモリとの干渉を少しだけ抑えているところ。実用的な最大サイズと言えるのかもしれない。

CPUクーラーの価格・タイプ別分布図

topic 3水冷は性能への期待が高い!?

水冷ではラジエータのサイズが冷却性能の目安。水冷対応を掲げるハイエンドケースも増えている

 簡易水冷キットは、外見の差別化がしづらいところだが、CPUソケット周囲も冷やせるCRYORIG A40のように、一風変わったモデルが登場。ここからどう進化していくのか見ものだ。

 また、投票の傾向を見ると、やはり絶対的な冷却性能に期待する傾向が見られる。昨今のハイエンドケースなら対応できる28cmクラスのラジエータを搭載したモデルが最適解のようだ。

冷却性能と動作音の比較。どのクーラーでも十分に冷却が行われていることが分かるが、ファンを複数搭載するモデルや、ポンプが騒音源となる簡易水冷は動作音では不利になる

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)
マザーボード:MSI Z97M GAMING(Intel Z97)
メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)
グラフィックス機能:Core i7-4790K内蔵(Intel HD Graphics 4600)
SSD:Micron Clucial BX100 CT250BX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、250GB)
電源ユニット:Sea Sonic Xseries SS-1000XP(1,000W、80PLUS Gold)
OS:Windows 8.1 Pro 64bit 版
室温:22.5C
暗騒音:30dB以下
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.1 POWER SUPPLY を10分動作させたときの最大値
OC高負荷時:全コアを4.5GHz に設定し、ほかは高負荷時と同じ
CPU温度:HWMonitor 1.27のCPU Temperatures のPackageの値
動作音測定距離:ケース正面から20cm
電力計:Electronic Educational Devices WattsUp? PRO
騒音計:カスタム SL-1370

CPUクーラー部門の投票結果

 ハイエンド製品は冷却性能ありきで、SilverArrow IB-E ExtremeとCRYORIG R1 UNIVERSALが人気を二分。

 ミドルレンジ以下では、コストパフォーマンスで定評ある虎徹とグランド鎌クロス3が不動の人気。ただ、Web投票ではCooler Master Hyper 612 Ver.2、執筆陣の投票ではCRYORIG H5 ULTIMATEなども注目を集めている。空冷で新たなトレンドと言える高さを抑えたクーラーは、執筆陣が冷却性能重視、読者は実用的な本体サイズ重視と分かれた。

 最後に簡易水冷だが、いずれの投票ともCorsair H110i GTXが最上位となり、冷却性能が重視されていることが分かる。

・鈴木雅暢はこう見た!
 軽いOCならH5 ULTIMATEや虎徹くらいで十分。強力な冷却なら、簡易水冷のほうが技術的な伸びしろが感じられる。

・加藤勝明はこう見た!
 固定機構の改良によりサイズが大躍進した1年。トップフロータイプの選択肢も高品質なものが増えた点は喜ぶべき。

CPUクーラー部門 レコメンド受賞製品

サイズ
虎徹

実売価格:4,000円前後
向かうところ敵なしのコスパに脱帽

サイドフロー / 12cm角×1 / バックプレート
搭載している12cm角ファンは、風量と静音性のバランスに優れる

 安くて冷えて、静かな上にパーツとの干渉も少ない。まさに文句なしの製品だが、ド定番としての認知が広がり過ぎてしまい、新鮮味がないのが難点だろうか。4本のヒートパイプに高密度のヒートシンクを組み合わせ、搭載ファンの回転数を400 ~ 1,400rpmに抑えている。

 本誌・Web投票どちらも圧倒的得票での1位に納得だ。

Specification
●対応CPUソケット:LGA775/1150/1155/1156/1366/2011、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2/FM2+●ファン:12cm角×1(400~1,400rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):130×58×160mm(ヒートシンク)●重量:480g

【編集長から】

 前回のPCパーツ100選でも最高ランクの枠で紹介したこの製品、今回も最上位のゴールドレコメンドとなりました。強力な競合製品が登場せず、新CPUのSkylakeは発熱が小さいので性能面での不足はありません。

 低価格帯の王座が揺らぐことは当面ないでしょう。


CRYORIG
R1 UNIVERSAL

実売価格:13,000円前後
冷却性能を追求しつつ干渉も抑える

サイドフロー / 14cm径×2 / バックプレート
2基のファンのうち1基に薄型のものを採用することで、メモリとの干渉が起きにくい形状としている

 片側に薄型ファンを採用し、メモリなどのパーツと干渉しにくい安心設計が得票につながったか。2基のファンで冷却するツインタワー構造はハイエンドクーラーの定番だが、2種類のヒートシンクを組み合わせ、さらにヒートパイプとの接触面を増やすことで熱輸送効率の向上を図っている。

 ハイエンドクーラーの新たな定番モデルだ。

Specification
●対応CPUソケット:LGA775/1150/1151/1155/1156/1366/2011/2011-v3、Socket AM2/AM3/AM3+/FM1/FM2/FM2+●ファン:14cm径×2(700~1,300rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):140×128.5×168.3mm●重量:1,181g

【選定のポイント】

●空冷最高クラスの冷却性能
●大型ながら干渉しにくいデザイン


【問い合わせ先】

サイズ:support@scythe.co.jp /http://www.scythe.co.jp/
CRYORIG:03-5298-3880(ディラック) /http://www.cryorig.com/


[Text by 石川ひさよし]


DOS/V POWER REPORT 2016年2月号は2015年12月26日(土)発売】

★総力特集「主要9ジャンル+α 執筆陣の投票で選ばれた買いの製品はどれだ!? PCパーツ100選 2016」
★特別企画「ニューカマー3製品を徹底比較 本当に使える水冷クーラーはこれだ!」「話題作が豊富な今こそ揃えたい 鉄板ゲーミングデバイス 26」「あなたのマイナーニーズを狙い撃ち☆ 「短い」ケーブル&「長い」ケーブル集めました」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「時代を作った名品が月替わりピンナップで!名パーツカレンダー 2016」「パーツの役割や組み立て手順が分かる! 保存版PC 自作スタートブック 2016」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

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(AKIBA PC Hotline!編集部)