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不利な状況でミスを誘発→試合を一転、RPGの新パターン
~試合の流れを徹底解説!Revolレポート~

LJL Season2 Round1 Game 3 Ozone RAMPAGE vs RabbitFive

本記事は、LJLの詳報レポートを掲載するRevolレポート(SANKO Webサイト掲載)を特約の元、転載/編集したものです)

Ban & Pick~両チームのチャンピオン選択~

Team Composition~両チームのチャンピオン構成~

 Ozone RAMPAGE(以下RPG)の構成はZiggsとCorkiのPoke能力、そしてHecarimのDuel能力とSplit Push能力が核となっている。

 集団戦を起こす前にPokeを活かして敵のHPを削っておき、更にそれと並行してHecarimがSide レーンをSplit Pushして相手に困難を強いるのが狙いだ。また序盤のレーン フェーズでは強力なガンク性能をもったLee Sin、15分以降の中盤ではTrinity Forceを持ったCorki、25分以降の終盤ではAthene's Unholy GrailとRabadon's DeathcapもしくはLuden's Echoを持ったZiggsといったようにそれぞれの時間帯にPower Spikeを迎えるチャンピオンを揃えており非常にバランスの良い構成になっている。

 一方、Rabbit Five(以下RF)の構成は集団戦を重視したものになっている。GnarとSejuaniとAlistarというAoE CCを持ったTankとSivirというウルトによるエンゲージ補助の可能なADC、さらには集団戦で非常に高いDPSが期待できるCassiopeirを揃えている。Patch5.9において最も強力なチャンピオン構成のうちの1つと言えるだろう。

 さらにはRPGのPokeを核とした構成に対してRFのエンゲージや集団戦が得意な構成はカウンターとして機能しやすい。Ban & PickのところではRFが上回ったと言えるだろう。

In-Game

FIRST BLOODはRPG
Botレーンの様子
RabbitFiveがDragonを確保

 序盤はRPGから仕掛ける展開になった。

 Lee Sinの強力なガンク性能を活かしてTopで「1st Blood」を生むが、一方のBot レーンでCorkiが致命的なWave Controlのミスをしてしまった。それまではBot レーンで大きな動きはなかったのだが、Sivirが素早くレーンを押した動きに対して反応が遅れてしまった。

 その影響でDran's Blade1つしかないCorkiとDran's Blade2つとPickaxeをもったSivirが対峙することになり、その装備のギャップを活かしてSivirがBot レーンの主導権を握ることになった。

 9分35秒、RFはBot レーンの主導権を活かしてDragonを確保することにも成功する。

RPGの反撃と、RFのリアクション

RPGはHecarimをBotレーンに送り込む……
そして集団戦に
しかし集団戦はRFが制する…

 RPGはHecarimとLee Sinを活かしてTop側の視界を支配している一方、RFはBot レーンの主導権をそのままBot側の支配につなげている。

 このまま試合が進むとDragon ControlをしやすいRFが有利になる。さらには中盤にPower Spikeを迎えるCorkiが厳しい状況におかれていることもそれに拍車をかけている。そこでRPGはHecarimをBotに送り込むことで反撃を試みた。

 12分30秒、SivirがBotの1st Towerを折ったところへTPを活かしてHecarimがガンクした。しかしRFの見事なリアクションがRPGの狙いを封殺した。完璧なSejuaniのウルト、Ghostを使ってまでBotへの寄りを早めたCassiopeirがBotの集団戦の結果を分けたと言えるだろう。

 RFはBot レーンの有利をチーム全体に波及させることに成功した。ここからRFはオブジェクトを狙った動きでRPGに圧力をかけていく。

RFのSnowball、耐え忍ぶRPG

 RFは主導権を活かしてDragonやTowerといったオブジェクトを立て続けに確保していく。特にMidの2つのTowerを破壊したことは重要だ。

オブジェクトを確保していくRPG

 MidのTowerはマップコントロールの面で非常に重要であり、なおかつZiggsというWave Clearに優れたチャンピオンを活かすうえでも重要な基盤になっていた。RFはマップコントロールを確保しやすい状況になり、なおかつRPGの強みを消すことに成功する。

 しかしRPGもただでオブジェクトを明け渡していたわけではない。Top側の視界を維持しており、RFにマップコントロールを握られないようなWardingを続けていた。さらには虎視眈々とCorkiを活かせる状況を狙い続けていた。この時点で5対5の集団戦を起こしたらRFに軍配があがるが、しかしLee SinとCorkiを活かした少数戦を起こせばRPGにも可能性がないわけではない。人数が勝った状況を作り出せればその可能性はさらに高まる。

 19分25秒、そしてRPGはその機会を見出して仕掛けていった。しかしMinimapを確認すればわかる通り、RFの人数はそろっている。少数戦を狙ったRPGの仕掛けは集団戦に発展していき、RFの勝ちにつながってしまった。

 ここでRPGが失敗してしまった理由は、視界を確保できていないBot側で少数戦を起こそうとしたこと。自陣のBot Jungleの視界を得られていない状況でありRFのメンバーがどこにいるかもわからない中でCassiopeirが孤立していると思い込んでしまった。

 しかしRPGは少数戦を起こすことを諦めなかった。

エンゲージして少数戦を起こし…
RPGがタワーを確保

 21分01秒、RPGはMidにRFのメンバーが3人しかいない瞬間を見逃さなかった。Towerがあるにもかかわらず、すぐさまエンゲージして少数戦を起こし、さらにはTowerを確保。

 RFからすると試合を有利に運んでいたのに隙を突かれた格好だ。しかし、いまだRFが試合の主導権を握っていることに変わりはない。

ターニングポイント

 RFはDragonを確保しようとBot側の視界をコントロールする。RPGはMidの1st Towerを折った際にWardingをしており、RFのその動きを察知していた。

 そしてこの試合のターニングポイントが訪れる。

RPGがDragonを確保

 22分40秒、RFがDragonを始めようとしたタイミングで、RPGはMidを通ってBaronへ行くようなそぶりをみせた。このときRFはTop側の視界のコントロールを失っていたことに気付いたのだろう。「Dragonを確保しようとしている間にRPGがBaronを始めるかもしれない」と思ったはずだ。そこでRFは育ったGnarとCassiopeirをBaron近くに送り込めばRPGの動きを止められると考えた。それがRPGの狙いだった。

 RPGがRFに主導権を握られている状況でもTop側のマップコントロールを維持していたことがこのターニングポイントを生みだしたと言える。

 21分の仕掛けとは違い、今回は視界をしっかりと確保したうえで、さらにはRFがDragonを確保しようとしている心理を活かしてRFのミスを誘発した。

ローテーション

 RPGはGlobal Goldで有利になったが5対5の集団戦では未だRFに分があるため、すぐさま攻勢に転じることはできない。そこでBaronを中心に置いたRotationでRFを揺さぶっていった。

 RFも負けじとBaron Baitやエンゲージを仕掛けていくが全てRPGにいなされてしまう。

RFも負けじとBaronを…
最後の決定的瞬間。MidのInhibitorをDoad選手が確保

 RFがBaron周辺に集まっていることをCorkiが青Trinketで確認し、すぐさまMidを押し上げる。

 その際、4人で押し上げるのではなくWave ClearができるCorkiとディスsエンゲージができるLee Sinが押し上げ、BraumとZiggsはRFに捕まらないようなルートを通って2人の動きをカバーしている。

 そしてRFがエンゲージしてきたところをLee SinとBraumが盾となりZiggsとCorkiが後方からダメージを出し続けた。RPGの見事なカウンターエンゲージで集団戦に勝ち、MidのInhibitorを確保する。

 そこからはアグレッシブすぎる動きが仇になる場面はあったものの、RPGが試合を支配し続け、開幕戦を見事な勝利で飾った。

Season 1とは一味違うRPGの勝利パターン~不利な状況から相手のミスを誘発→試合を一転~

 Season1のRPGの勝利パターンは「Ban & Pickで勝ち試合の序盤から積極的に仕掛けていき、大きな有利を作り出して、Snowball(雪だるまが転がるように状況を制していく)していく」というものだったが、この試合では今までとはまったく違った姿を見せてくれた。

 不利な状況から相手のミスを誘発することを意図した動きで試合を一転させた。Season1の勝利パターンを維持しつつ、不利な状況でも今回の試合のような動きを実行できれば、間違いなくRPGはSeason2の台風の目になるだろう。

(Revol)