会場の様子。開始前には用意された席が埋まり、立見の人も出るほど。 2月20日(土)、ツクモパソコン本店4階特設会場で、PCケースを改造する"CASE MOD"のイベント「ENTHUSIAST CASEMOD EVENT 2nd」が開催された。イベントは二部構成で、第1部が13:00~15:00、第2部が15:10~17:00というスケジュールで開催。
イベントには、有名MODアーティストである門馬ファビオ氏、Tooyan氏、Ronnie Hara氏が登場。門馬氏が、MODアーティストの紹介やMOD PC作成のポイントの解説、本格水冷用PETGチューブのベンディング(曲げ)の実演などを行ない、残りの2名がCASEMOD PCをゼロから作成することにチャレンジした。
その様子は、YouTubeでライブ配信されたいたが、アーカイブとして見ることができるので、詳しくはそちらを見ていただきたいが、ここでは、イベントで展示されていたMOD PC作品や、今回のイベントにあわせて特別にお披露目された未発表のFractal Designの新製品を紹介する。
司会進行を務めたMODアーティストの門馬ファビオ氏 有名MODアーティストが作成したMOD PCの新作がずらりと並ぶ
会場には、門馬氏やTooyan氏、Ronni氏が作成したMOD PCのほか、国内の有力MODアーティストによる新作が多数展示されていた。展示されていたMOD PCについては、以下の写真をご覧頂きたい。
小型ケースを採用しており、水冷システムは外部に設置されている mohd noor氏が作成した「GreenGrape」 その名の通り、グリーンとUV紫の2色が組み合わされている Mikan氏が作成した「ミナギルエナジーPC!!」。円筒型ケースの「Kuro-Tudsumi」を用いたMOD PCであり、見事な塗装が施されている 上面にはプルタブを模したパーツが用意されており、非常に完成度が高い Hidehaya氏が作成した「5台目水冷PC」。Hidehaya氏はMSIの大ファンだそうで、基本的にMSIのパーツを使ってPCを作成している 5台目水冷PCは、Phanteksのケースを採用している Ronnie Hara氏が作成したMOD PC。IN WINのケースを採用している Marco Ikebata氏が作成した「Mr.Anderson! Welcome back」。映画マトリックスの世界をモチーフにしたMOD PCを作り続けている Mr.Anderson! Welcome backの側面には、マトリックスのロゴやキャラクターが描かれている Rikuntyudady氏が作成した「CORE1500MOD -Blue Flame-」。Fractal DesignのPCケース「CORE 1500」を利用している 門馬氏が作成した「Monochrome」。Fractal DesignのPCケース「Define R5」を利用している イベント時間内でMOD PCの作成にチャレンジ、プロなら短時間で完成させられる?
今回のイベントの目玉の一つが、最初からCASEMOD PCを作り上げる様子の実演だ。
通常、MOD PCは数週間から数ヶ月かけて作り上げるものであり、わずか4時間弱という時間で本格的な水冷システムを搭載したMOD PCを作るというのはなかなか困難なチャレンジだろう。
実際の作業は、Tooyan氏とRonnie氏が行ない、随時門馬氏が解説を行なうという形で進められた。PETGチューブの曲げ加工や塩ビ板の切断と曲げ加工など、普段はあまり目にすることのないテクニックが目の前で披露され、来場者も熱心に見ていた。
作成は1部の最初にスタートしたが、2部の終了間際でも、残念ながら完成はしなかった。あとはクーラントを入れたり、配線を整えたりすれば完成とのことで、もう一息ではあったが、このあとも作業を続けてちゃんと完成させるそうだ。
今回イベント内で作るMOD PCの作業手順。時間は4時間弱しかないか果たして完成するのだろうか 今回作成するMOD PCでは、マザーボードとしてMSIの「Z170A GAMING PRO CARBON」を、グラフィックカードとしてMSIの「GTX 970 4GD5T OC」を利用する 今回作成するMOD PCでは、ケースとしてThermaltakeの「CORE V51」を利用する 今回作成するMOD PCに組み込まれる本格水冷パーツ 門馬氏が持っているポンプ一体型リザーバーを採用する まずはマザーボードへのパーツの取り付けを行なうTooyan氏とRonnie氏 ケースにマザーボードやリザーバーを取り付けたところ 塩ビ板にアクリルカッターで傷をつけ、折ることで綺麗に切断できる 切断した塩ビ板を長いヒーターを備えた曲げ機を使って曲げる 門馬氏が持っているのが、切断して曲げた塩ビ板に黒いカッティングシートを貼り付けたもの イベント終了時点でのMOD PCの様子。下にある板が電源を隠すために塩ビ板を切って作成したボードだ。残念ながらあと一歩の所でまにあわなかった 門馬氏によるPETGチューブのベンディング実演
PETGチューブの曲げに必要なベンディングツール。Thermaltakeから日本でも発売予定だ。 CASE MODといえば、青や赤などのクーラントが美しくレイアウトされたチューブを流れる本格水冷システムを思い浮かべる人が多いだろう。
そうした本格水冷システムを組むには、チューブの曲げが欠かせない。今回のイベントでは、門馬氏によるチューブのベンディング(曲げ)の実演が行なわれた。門馬氏は基本的にフリーハンドで曲げているとのことだが、初心者は90度や180度などのアングルを使ったほうが綺麗に曲がるとのことだ。
第2部では、希望者数名がチューブ曲げ体験にチャレンジしていたが、門馬氏のアドバイスもあり、上手に曲げることに成功していたようだ。
まず、PETGチューブに白いシリコンチューブを挿入する。中性洗剤を水で薄めたものを吹きかけるとスムーズに入る ヒートガンの熱風でチューブを温める。チューブを回転させながら、曲げたい場所が均一に温まるようにする 温めるとPETGが柔らかくなるので、ゆっくりと曲げていく 180度曲げ用のアングルを使って曲げているところ。門馬氏は普段はアングルを使わず、すべてフリーハンドで曲げているとのことだ 第2部では希望者にPETGチューブ曲げ体験をやってもらっていた。この女性は、台湾からきたFractal Designの担当者である PETGチューブは、アクリルチューブと違って強く曲げてもヒビが入らず、折れることもないので使いやすい Fractal Designの新製品「Define Nano S」がお披露目
Fractal Designの未発表の新製品がITXケース「Define Nano S」である Defineシリーズは、静音性を重視したPCケースであり、これまでにミドルタワー2製品とフルタワー1製品が登場している。今回新たに加わるのが、省スペース性を重視したDefine Nano Sである 第1部と第2部にはそれぞれ、代理店のアスクによる新製品プレゼンテーションの時間が設けられており、同社が取り扱っているFractal Designの新製品「Define Nano S」が紹介された。
Defineシリーズは静音性を重視したPCケースで、特にミドルタワーの「Define R5」はベストセラーになっている。Define Nano Sは、静音性と省スペース性を重視したMini-ITXケースで、同シリーズでは最小サイズとなるモデルだ。
発売日は3月末を予定しており、販売価格は1万円前後になるという。側面の透明窓の有無で2モデルあり、窓付きのモデルはもう少し高くなるとのことだ。また、最初に発売されるのは、ブラックバージョンだが、ホワイトバージョンも追加予定のこと。ホワイトバージョンも価格はブラックより高くなるという。
会場には、Define Nano Sの窓付きバージョン「Define Nano S - Windows」の実物が展示されており、注目を集めていた。
Define Nano Sの特徴。水冷にも対応できるように、十分なスペースが用意されている Define Nano Sの仕様。最長315mmのグラフィックカードも装着可能だ Define Nano Sの冷却システム。標準で前面と後部に1個ずつファンが搭載されているが、上部や下部にもファンを追加できる Define Nano Sの発売日は3月末を予定しており、販売価格は1万円前後になるという。なお、側面に透明窓が付いているバージョンはもう少し高くなるとのことだ。また、最初に発売されるのは、ブラックバージョンだが、ホワイトバージョンも追加予定のことだ。ホワイトバージョンも価格はブラックより高くなるようだ Define Nano Sの窓付きバージョン。内部には簡易水冷採用のシステムが組み込まれていた。このシステムを作成したのは門馬氏だが、ケースの精度が高く、組み立てもしやすかったとのことだ 台湾南部復興のためのチャリティオークションを開催
第2部も半ば近くになった頃、門馬氏が先日の台湾南部での地震災害復興のためのチャリティオークションを行なうことを発表した。
門馬氏は台湾の被害をニュースで知り、何か復興へのお手伝いができないかということで、チャリティオークションを思いついたという。今回のイベントの開催にあたっては、エムエスアイコンピュータージャパンが全面的に協力を行ってくれたため、イベント企画費用を抑えることができたため、オークション落札代金の半分に、エムエスアイコンピュータージャパンマザーボード部門からの寄付金10万円を足した金額が、台湾南部復興支援募金機関に寄付される。
オークションの対象となるPCは2台あり、1台はRonnie Hara氏が作成した「Venom Mod」、もう1台が今回のイベントでRonni氏とTooyan氏が一緒に作成したMod PC「Charity Mod」である。どちらも世界に1台しかない貴重なPCだが、多くの人に参加してもらいたいという想いもあり、オークション開始価格はともに12万円に設定されている。
オークション期間は2月20日(土)~2月27日(土)までで、その間、出品物はツクモパソコン本店で展示される。オークションへの入札は専用メールアドレス「enthusiast_casemod_twcharity@yahoo.co.jp」で行なうとのことなので、是非ご参加いただきたい。
第2部の半ばに、門馬氏が台湾南部復興のためのチャリティオークションを行なうことを発表した エムエスアイコンピュータージャパンの協力もあり、イベント企画費用を抑えることができたため、オークション落札代金の半分に、エムエスアイコンピュータージャパンマザーボード部門からの寄付金10万円を足した金額が、台湾南部復興支援募金機関に寄付される。また、今回、作成したMOD PCのハードウェアはエムエスアイコンピュータージャパンから提供されたものだ オークションの落札代金の半分+寄付金10万円は、直接台湾銀行台南支店に振り込まれる チャリティオークション出品物に関する注意。オークションに出品されるMOD PCは2台あり、1つは以前Ronnie Hara氏が作成したVenom Modであり、もう1台が今回のイベントで作成したPC(Charity Modと名付けられた)である。どちらもオークション開始価格は12万円となる。オークション期間は2月20日(土)~2月27日(土)までで、その間、出品物はツクモパソコン本店で展示される チャリティオークションへの入札は専用メールアドレスで受け付ける。メールアドレスは「enthusiast_casemod_twcharity@yahoo.co.jp」である こちらがオークション商品の一つ「Venom Mod」。スパイダーマンの敵をイメージしたMOD PCだ。水冷システムが組み込まれており、400GB SSDを搭載するなど基本スペックも高い こちらもオークション商品の「Charity Mod」。今回のイベントで作成されたMOD PCである(もちろん、完成、動作チェック後に引き渡される)。GeForce GTX 970やSSDを搭載した高性能ゲーミングPCである こちらがVenom Modの実物。Ronnie氏が精魂込めて完成させた貴重なものだ Venom PCの内部。簡易水冷システムが組み込まれている 第1部、第2部それぞれ、ジャンケン大会も開催され、今回お披露目された「Define Nano S」をはじめ、豪華賞品が勝者にプレゼントされた。