取材中に見つけた○○なもの

日本人は光りものが好き?懐かしの光メディアを紹介

~ 2000年 リムーバブルメディア群雄割拠 その2 ~

現在に続く大容量メディアの先駆け「DVD-RAM」

 1990年代から2000年始めは、各社から様々なメディアが登場しました。前回の続きとして、秋葉原の店頭で販売された光メディア対応製品を紹介します。(店名・商品名・価格は当時のもの。すでに閉店しているショップもあります)。

MO(Magneto Optical)

 MOは光磁気ディスクを採用したリムーバブルメディアです。1980年代に5インチモデルが販売されていましたが、当時30万~50万円する高価なもので、個人向けに普及するのは10万円台の3.5インチモデルが登場する1990年以降になります。

 MOは世界的に見るとそれほど普及していないのですが、日本では高いシェアを持っており、現在でも印刷業界などではデータのやりとりに使われています。販売当初の容量は128MBでしたが、その後230MB、640MB(540MB)まで拡張され、さらに一部互換性は失われましたが、1GB以上の容量を持つGIGAMOという規格が登場しています。

 AKIBA PC Hotline!が創刊された1998年当時、すでにMOは一般的なメディアとして店頭で扱われていました。1999年に1.3GBのGIGAMOが登場し、2001年には2.3GBの製品が販売されています。PCとの接続は最初はSCSIが使われていましたが、のちにATAPIやUSB、IEEE 1394(FireWire)接続の製品が登場しました。

1.3GB対応のGIGAMOドライブ。初登場はSCSIの内蔵型
こちらはバルク版のGIGAMO。SCSIの内蔵型で、富士通製。(写真撮影:コムサテライト2号店)
2週間遅れで外付けも登場。こちらもSCSI接続(写真撮影:ソフトクリエイト FM館とOAシステムプラザ東京本店)
GIGAMOのメディア
ATAPI接続の640MB MOドライブ。GIGAMO登場後も安価でSCSIカードが不要なことから人気がありました。(写真撮影:ツクモパソコン本店II)
初めて登場したGIGAMO 2.3GBドライブはUSB接続の外付け型でした。(写真撮影:TSUKUMO eX)

PD(Phase change Disk)

 PDは相変化記録方式を採用した光ディスクを使った5インチサイズのリムーバブルメディアです。1995年にPanasonicが開発しました。容量は650MB、書き込み速度はMOよりも遅いというメディアでしたが、PDドライブはCD-ROMドライブとしても使用できるというメリットがありました。

 メーカー製PCでの採用は一部に限られましたが、1998年にはPD/CD-R/CD-ROMのコンボドライブも登場し、自作市場では5インチベイ1基で3役を兼ねられるということで根強い人気がありました。CD-Rとのコンボドライブが発売されると旧モデルのPD/CD-ROMモデルは値段が下がり、最終的には1万円前後で販売されました。これは当時のリムーバブルメディアとしては破格で、専用メディアが必要なものの、いざという時にはデータも書き込めるドライブとして購入するユーザーも多かったようです。

NEC製PDドライブ「ODX658」のバルク品。(写真撮影:OAシステムプラザ東京本店とUSER'S SIDE本店)
写真が不鮮明ですが、トレイ左部分に「PD」のマークが入っています。
ATAPI接続

DVD-RAM

 DVD-RAMはPDと同じく相変化記録方式を採用したリムーバブルメディアです。1998年4月に登場した際の容量は片面2.6GB・両面5.2GBで、のちに片面4.7GB・両面9.4GBをサポートしたモデルが登場しています。最初はPDと同じようなカートリッジタイプのメディアを使用していましたが、その後カートリッジレスのメディアも利用できるようになりました。

 DVD-RAMはメディアの統一を目指した「DVD」規格の一つでしたが、参加企業間の意見の相違から「DVD-RAM」陣営と「DVD+RW」陣営に分裂してしまい、規格統一の夢は実現できませんでした。

DVD-RAMドライブが発売されましたが入荷数が少なく即完売。そのときの記事で紹介できたのはメディアだけでした。
片面4.7GBの“DVD-RAM Ver2.0”規格対応ドライブが登場。SCSIの外付けと内蔵型が発売されました。このタイプからPDとの互換性が無くなっています。(写真撮影:ソフマップ1号店 Chicago Windows専門館とソフトアイランド秋葉原店)
DVD-RAM Ver2.0用メディア。中のディスクを取り出すことで、カートリッジ非対応のDVDドライブで利用できるようになりました。

CD-R

 現在ではDVDやBlu-rayドライブに書き込み機能が付いていることが多いCD-Rですが、2000年頃は普及期に当たり、ドライブの高速化や低価格化が進んていました。登場初期は転送速度や安定性からSCSI接続が主流でしたが、PCの能力が向上したり、ATAPI接続でも安定して書き込める「BURN-Proof(バーンプルーフ)」や「JustLink(ジャストリンク)」といった技術が開発されてからは、そのシェアも逆転していきます。

CD-R黎明期に高い評価を受けていたYAMAHA製のCD-Rドライブ。写真はCD-Rx8/CD-RWx8/CD-ROMx24の高速モデルで、SCSI接続による内蔵と外付けの2タイプが販売されていました。(写真撮影:TWO-TOP)
当時人気の高かったPlextor製CD-Rドライブ。この製品はATAPI対応で、“バッファアンダーランエラー”防止技術として三洋電機が開発した「BURN-Proof」を採用しています。(写真撮影:FaithとパソコンCityパーツ館)