ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

エプソンのハンドヘルドコンピュータが進化して登場! 「HC-40」

HC-20からボディカラーが変更されました。モニタ部分も、ある程度は角度を変えられるので、見やすい位置で作業ができました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、エプソンの大ヒットハンドヘルドコンピュータHC-20の後継機の1つ「HC-40」を取り上げました。発売は1984年。

 1982年にエプソンが発売したハンドヘルドコンピュータHC-20は、世界初のA4サイズ・ハンドヘルドコンピュータとして25万台もの販売台数を記録し、大ヒットとなりました。これだけ売れれば、即座に後継機種が作られるのかと思いきや、次がリリースされるまでは長い時間を要します。2年が経過した1984年、満を持して発売されたのが、今回取り上げたHC-40とHC-41、そしてHC-88です。

HCシリーズ専門書『Oh!HC』に掲載されていた広告です。

 HC-40はROM 64KB、RAM 64KBを内蔵し、ROMを96KBまで拡張できるだけでなく、RAMは一部をRAMディスクとして使うことも可能でした。CPUには、Z80相当のCMOSを採用。そのクロックは、3.68MHzとなっています。ボディサイズは、HC-20の290mm×215mm×44mmから若干変わり、297mm×216mm×34mmと、厚みが大きく削られました。ただし、重量はHC-20の1.6kgから変わらずです。

 装備しているLCDは80桁×25行の仮想スクリーンとなっていて、表示できる実ドット数は240×64ドット、英数字では40桁×8行。OSはCP/M、言語として“強力なEPSON BASIC(広告より)”を搭載していたため、プログラミングが容易というのも特徴でした。グラフィックを扱うのもBASICから行えるため、LINE文やPSET文などを駆使して、ちょっとした絵を描くことも可能です。しかも、HC-20では固定されていたLCDが、HC-40では角度を変更出来るようになったため、見やすい位置へと動かして作業をすることができるようになりました。

キーボード部分は、背面のネジを3本外すだけで取り外すことができます。現在のキーボードに変えてアイテムキーボードを接続すれば、HC-41となります。なお販売されたHC-41モデルも、モニタ部分にはHC-40と書かれていました。電源を入れていくつかのメニューを選ぶと、BASICの画面が表示されます。

 右上の部分はフタが被せられていますが、ここにはマイクロカセットドライブまたはカートリッジプリンタを装着することができます。カートリッジプリンタで使用されているインクリボンは、なんと現在でも販売されているので、通販サイトなどから購入すれば、プログラムリストの打ち出し用途などに重宝するかもしれません。

右側面にはリセットボタン、VIEW ANGLE(コントラスト)調整つまみ、電源スイッチ、バーコードリーダ接続端子、外部スピーカ端子、カートリッジスロットと並んでいます。

 本機最大の特徴は、キーボードを変更できるところでしょう。HC-40はJISキーボードを搭載しているのですが、これをアイテムキーボードに差し替えることで、実質HC-41へと変わります。このアイテムキーは“ユーザー固有の仕事に合わせて自由に項目設定でき、コンピュータに触れたことがない方でも、簡単に使える専用機を作り上げることができます”と広告でも謳われていました。

背面には左から、ミニCMT端子、ミニシリアルポート、ミニRS-232C端子、プリンタポート、ACアダプタ接続端子、モニタロック解除ボタンとなっていました。

 当時、ゲームが発売されたという広告は見かけませんでしたが、専門誌『Oh!HC』などにはゲームプログラムも掲載されていましたので、一応は「コンセントのあるところへ持ち運び、仕事の合間にいつでもどこででもゲームを遊べる」という使い方もできたと思われます。

 エプソンはこの当時、ここで紹介したHC-41以外にもHC-80やHC-88、Z-80コンパチブルCPUを搭載したリストコンピュータRC-20なども発売していましたが、そちらはまたの機会にしたいと思います。