ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

80年代初期のパソコン事情(前編) ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、80年代初期のパソコン事情ページの前半部分だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、本記事では一部カラーの写真を掲載している。


80年代初期のパソコン事情 -前編-


80年代初期は様々なパソコンメーカーが新機種を投入したパソコン戦国時代!

 80年代は、マイコンという呼び名がパソコンに変わり、そのパソコンが一般家庭へと緩やかに普及していった時期だ。本書「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」はパソコンゲームを中心に見ていくので、80年代を初期・中期・後期の3つにわけ、まずは80年代初期のパソコン事情を中心に語っていこう。

 1980年といえば、「PC-8001」が発売された翌年に当たるわけだが、この年に登場したのが、シャープの「MZ-80K2」。以前の「MZ-80K」ではセミキットだったものがモニタ・キーボード・データレコーダが一体となった完成品として198,000円で販売され、組み立て行程を経ずに即プログラムを組むことが可能だったことなどがウケてヒット商品となる。

MZ-80KやPC-8001といった機種が投入されたことで、市場は活況をみせる。これが、現代まで続くパソコン文化の始点の一つといえるかもしれない。

 同年、日立も「ベーシックマスター」シリーズとして「ベーシックマスターレベル3 MB-6890」を市場へと投入する。なお、海外で「AppleIII」が発売されたのもこの年だ。「Apple III」は「Apple II」のような売れ行きにはならず、Apple社が次に表舞台に立つには「Macintosh」を待たなければならなかった。

 翌年1981年からは、堰を切ったかのように多数の機種が登場する。シャープからはビジネスユースを意識した「MZ-80B」が、NECはのちに大ベストセラーとなるシリーズの原型にして、ビジネス用途もターゲットとした「PC-8801」と、ホビー向けを狙った「PC-6001」愛称パピコンを、そしてのちのマイコン御三家にのし上がる富士通がこの年、「FM-8」を発売する。

 ほかにも、松下電器(当時) が「JR-100」、日立が「ベーシックマスターJr.」、シンクレアが「ZX-81」を売り出すなど、市場には多数の機種が存在した。

のちの御三家となるメーカーのマイコンを見る

富士通最初のハードFM-8

 ここで、各ハードを少し細かく見てみよう。大型コンピュータ市場で大きなシェアを持っていた富士通が、パーソナルユースでも市場を獲得すべく送り込んだのが「FM-8」だ。1981年5月に発売されたこの機種は、CPUにモトローラの「MC6809」を採用し、2CPUで高速処理を可能というのをウリにしていた。640×200ドットで8色が表示できる強力なグラフィック機能も持ち、値段は218,000円とスペックに比べれば安く、話題を呼ぶこととなる。もう一つの特徴にバブルメモリがあったが、こちらは一代限りで姿を消してしまう。

パピコンの愛称で宣伝されたPC-6001。自作プログラムに視点をあてているキャッチだが、値段が大きく書かれているのも特徴だ。

 富士通からの追撃を受けたNECは、4カ月後の9月に「PC-8801」と「PC-6001」2機種を発売する。「PC-8801」は640×200ドットでカラー8色が表示できただけでなく、モノクロであれば640×400ドットの表示も可能。インタフェース仕様が公開されていたことで、制御機器メーカーなども利用していた。

 もう一方の「PC-6001」は、キーボードと本体が一体化した「PC-8001」ライクな作りだったが、ポップなカラーリングと89,800円という値段設定で、手頃なホビーパソコンというイメージを強烈に打ちだしていた。グラフィックは256×192ドットで2色または128×192ドットで4色が表示でき、カタカナだけでなくひらがなも扱えたほか、三重和音が可能なPSG音源を搭載。ROMカートリッジを挿し込めば、テープからのロードなしでソフトが遊べることもあり、ホビー用途としての人気を確立させる。この頃、漫画家のすがやみつる氏が描いたマンガ『こんにちはマイコン』のターゲットにもなっており、初めてのパソコンとしてほしがった人も多かっただろう。

 シャープの「MZ-80B」は、「MZ-80K」シリーズの倍のスピードとなるCPUを搭載。さらに、オプションを増設すれば320×200ドットのグラフィックス画面を利用できるようになった。メインメモリも64KBに増やされ、非常にパワフルな機種として登場している。データレコーダも電磁カセットメカへとパワーアップしたが値段もアップし、278,000円という価格で売り出された。

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