ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

連射ターボ機能が付いてシューティングゲームがより快適に! 「ソニー HB-F1II」

前機種では白だったロゴが黄色になり、巨大だったMSX2のロゴも小さくなっています。IIの下側から伸びるラインの上に“HOME COMPUTER”や“RAM64KB VRAM128KB”といった文字が書かれ、デザインが良くなりました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、ソニーが1987年10月21日(水)に発売した廉価なMSX2「HB-F1II」です。

 1986年にソニーが市場に投入したHB-F1は、MSX2にもかかわらず価格が32,800円と廉価でスピードコントローラを搭載していたことなどから、パナソニックがリリースした「FS-A1」と同じく大人気を得ることとなります。そして翌年となる1987年10月21日(水)に発売されたのが、HB-F1の後継機であるHB-F1IIと、FDDを搭載したHB-F1XDでした。今回は、そのうちのHB-F1IIを取り上げます。

広告は、同発となったHB-F1XDを大々的に取り上げていて、HB-F1IIはページの左下で小さく扱われるにとどまっていました。ちなみに、この広告に掲載されている『イース』は、ソニー機種以外で起動すると「SONY ONLY!!」と表示されて動かないという仕掛けが施されています。

 HB-F1では32,800円だった価格は、今回は29,800円に値下がりして、さらに買いやすくなったのが特徴の一つです。さらに、前機種に搭載されていた“スピコン(スピードコントローラ)”だけでなく、新たに“連射ターボ”スライドを搭載しました。こちらもスピコン同様のスライド式になっていて、右にスライドさせるほどにキーを自動で連射してくれるようになっています。

 どの程度の早さで動いているかもインジケータで目視出来るのですが、ソフトによっては真ん中くらいに設定しないと連射ができなかったりするので、一概に右端まで動かせば良いというものではありませんでした。この機能とスピコンを併用すれば、かなり難しいシューティングゲームでもクリアが見えてくるほどで、実際に当時『沙羅曼蛇』や『ゴーファーの野望』などで少々お世話になりました……が、他の機種でエンディングまで到達できなくなり、早々に機能を封印することに(笑)。

真上から見ると、英数などのキーはすべてグレーで、それ以外の機能キーは黒で色分けされているのがわかります。カートリッジスロット1の右側に見えるリセットボタンは若干くぼんだ位置に設置されていて、誤操作しにくくなっています。

 カーソルキーの部分も、ソニーが発売しているいくつかの機種と同じように中央に差し込み口が設けられ、付属のジョイスティックを挿すことで“カーソル・ジョイスティック”として機能させられます。ジョイスティックは、使用しなければ背面にしまっておけるため、場所をとらないのも良いところでした。

 また、CAP/かな/PAUSEそれぞれのインジケータが連射ターボスライドの下に一列に配置され、現在の状況が把握しやすくなっているのもポイントでしょう。ちなみに、HB-F1ではPAUSEキーの部分が目立つ色になっていましたが、HB-F1IIではその仕様が解除されたのも地味な変更点でした。

右側面には、ジョイスティックを挿すポートが2つ用意されています。
底面には、バックアップ用の電池をセットする場所と、ジョイスティックを収納しておく穴があります。

 カートリッジスロット1の右側には、MSXパソコンとしては珍しいリセットボタンも新たに追加されています。ゲームプレイ中にミスしたので最初からやり直したい、という時に電源ボタンではなく、リセットボタンで操作できるのはありがたいことでした。

 これ以外の部分はHB-F1を踏襲していて、電源オンでHIT-BITノートが起動するところなども同じです。搭載RAMが64KB、VRAMが128KBという部分も同一で、左右や背面のレイアウトも変わっていません。流用できる部分は流用し、それでいて望まれていた機能の追加を行いつつも価格を下げて登場したHB-F1IIは、大きなインパクトを与えました。

 しかし、同時に発売されたFDD搭載機種のHB-F1XDが、より大きな注目を集めたのも事実です。そのHB-F1XDに関しては、近いうちに取り上げようと思います。

背面は左から、カートリッジスロット2、CMT端子、アース、プリンタポート、チャンネル切り替えスイッチ、RF接続コネクタ、ビデオ端子、オーディオ端子、RGB端子、電源コネクタ、電源スイッチと並んでいます。