ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
FDD内蔵の兄貴と連射パッド同梱の弟分、パナソニック「FS-A1F&FS-A1MKII」
2022年7月20日 00:00
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、パナソニックが1987年11月10日に発売した、FS-A1FとFS-A1MKIIとなります。
1986年11月にデビューしたパナソニックのFS-A1とソニーのHB-F1は、低価格MSX2パソコンという新しいジャンルを開拓し、大ヒットを記録します。その次にユーザーから待ち望まれていたのは、高価格機に搭載されていたFDD、それを内蔵したモデルでした。
この1年後、どちらのメーカーも次の機種をリリースします。ソニーは、HB-F1に連射装置をプラスしたHB-F1IIを24,800円で、さらにはスピコン+連射+FDD内蔵というHB-F1XDを54,800円でデビューさせました。対してパナソニックは、FS-A1のボディそのままにテンキーを追加したFS-A1MKIIを29,800円で、さらにFS-A1MKIIにFDDを内蔵させたともいえるFS-A1Fを54,800円で市場へと送り出すことになります。
ソニーがFDD内蔵モデルについては新デザインの筐体を採用したのに対し、パナソニックはFDD内蔵モデルも旧機種のデザインを流用しているのが面白いところかもしれません。今回取り上げたのは、そのパナソニックが登場させた、FS-A1FとA1MKIIになります。
FS-A1MKIIとFS-A1Fはどちらも1987年11月10日に発売されていて、FS-A1MKIIはFS-A1のカーソルキー部分を下部へと移動させ、空いたスペースにテンキーを追加したモデルと言えます。さらに、FS-A1FはFS-A1MKIIに2DD対応の3.5インチフロッピーディスクドライブを追加したタイプと言うことができるでしょう。
FS-A1MKIIは連射式ジョイパッドが付属したことと、内蔵ソフトが“コックピット”という名前のソフトになったことが変更点として挙げられます。更に地味な部分ですが、CAPSキーとかなキー、PAUSEキーのインジケータが取り付けられたのも違いでした。そして、大きく変わったのが、キー配列が50音順からJISになったことです。
FS-A1Fは上記にくわえて、本体にJIS第1水準の漢字ROMを内蔵したことと、単漢字変換をサポートしたROMも内蔵したことが特徴でした。内蔵ソフトの“コックピット”もFS-A1MKIIから若干変更されて、FDDを活用するメニューや住所録や電話帳を作製するためのカードファイルが追加されています。
この住所録では、単漢字変換を使用してデータベースを作成することができたため、「ゲーム以外の用途にも使えるんだよ!」という説得文句として使えたのは大きいかもしれません(笑)。それだけでなく、FS-A1やA1MKIIは上部カートリッジスロットの真下にオレンジのラインが引かれていたところのさらに一段下に、新たなラインと電源LEDが追加されています。そして、それら2機種ではACアダプタにて接続していたのが、FS-A1Fでは電源が内蔵となったため、本体から直接電源コードが装備されています。
他のスペックは共通で、RAMは64KB、VRAMは128KBを搭載。カートリッジスロットは上部と背面にそれぞれ1つずつ内蔵していたほか、ジョイスティック接続コネクタは2つ設けていました。どちらの機種もRGBで接続出来たため、鮮明な画像でゲームなどを楽しむことが可能です。
ソニーはHB-F1シリーズでスピードコントローラや連射装置を本体に内蔵する方向へと進みましたが、パナソニックはそのどちらも本体には搭載せず、かろうじて連射装置を同梱パッドに装備するに留まりました。この辺りの考え方の違いで、“あっちを買った”、“こっちを買った”という人も大勢でてきたと思われます。
FS-A1の筐体を流用したデザインはこの2機種と、モデムを内蔵して発売されたFS-A1FMまでで、以降に登場するMSX2+機種となるFS-A1シリーズは、デザインが一新されて降臨することになります。