ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

スタイリッシュなデザインのシャープ「MZ-1200」

プラスチック製の筐体に変わったことで、前モデルとなるMZ-80K2Eと比べて約3kgほど軽量化されています。カラーだけでなくキーボードもリニューアルされました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、シャープが1982年に発売したモニタ一体型のパソコン、MZ-1200です。

 MZ-80K系列は、1978年に登場したMZ-80Kからスタートして、MZ-80C→MZ-80K2→MZ-80K2Eと、1年ごとに新機種が発売されています。外見の大まかなデザインはMZ-80K時代からあまり変わることなく、モニタ、カセットデッキ、キーボードを搭載したオールインワンタイプとして受け継がれてきました。そして、1982年に市場デビューを果たしたのが、MZ-80K系列のモニタ一体型としては最後の機種となったMZ-1200です。広告などから調べてみると発表されたのは6月で、実際に出回り始めたのは7月のようでした。広告でのキャッチコピーは「気軽に スキンシップ。」です。

真上から見ると、キーボードのトップには英字のみがプリントされているのがわかります。手前から見ると、カタカナ文字や記号が見えます。

 本体には32KbytesのRAMを標準搭載し、後から16KBytes追加することで最大48KBytesまで拡張が可能でした。ディスプレイは10インチのグリーンCRTを内蔵し、もちろんカセットデッキも標準装備しています。その速度は1200ボーで、MZ-1200の名前にもなっていました。データレコーダの位置ですが、MZ-80BやMZ-2000はモニタのラインそのままに右端まで同じ高さで伸びていましたが、MZ-1200はMZ-80Kシリーズのデザインを踏襲して、データレコーダ部分が一段低く水平になっています。

 従来機種から大きく変更されたキーボードは「204種の豊富なデータ入力が可能な高信頼度タイプライターフェイスキーボード(広告より)」と打ち出され、大きなポイントとなっていました。MZ-80KやK2、K2Eは碁盤の目のように整然とキーが並んでいましたが、MZ-1200では非常に入力しやすくなっています。キーボード右側に設けられていたグラフィックキーは、従来機種が5列×5段でしたが、本機では4列×5段に改められました。

 エンブレムマークの表記ですが、MZ-80Kでは「Personal Computer」だったものがMZ-80K2やK2E、Cでは「CLEAN COMPUTER」に変更されたものの、MZ-1200では再び「Personal Computer」に戻っています。

背面は左から電源スイッチと電源コード差し込み口、リセットボタン、ボリュームつまみ、明るさ調整つまみ、その下に外部出力端子が用意されていました。

 カラーリングも前機種までとは変わり、クリーム色を基調とした色合いになっていました。もちろん、従来機種のMZ-80K/Cシリーズとはコンパチビリティを持っているので、それまで蓄積された資産をそのまま使うことができます。それでいて価格は148,000円と、当時発売されていた他のパソコンと比べても、非常にアグレッシブだったといえるでしょう。シャープが当時発売していた12インチのグリーンモニタ・12M-13Bが39,800円だったことを考えると、アバウトに計算すると約11万円で本体とモニタ、データレコーダが揃ったということになります。

 ボディ部分は従来機種同様、車のボンネット部分のように手前を跳ね上げることで、“ガパッ”という感じで簡単に内部へとアクセスすることができました。ただし、それまでの機種ではモニタやキーボード、データレコーダもボンネット部分と一緒に開いたのですが、MZ-1200はモニタ部分のガワとデータレコーダのみがボンネット部分と共に開き、ディスプレイとキーボードは本体下部に設置されたままとなります。メイン基板へとアクセスするには、もう一段階のステップを踏んでモニタとキーボードを取り外す必要がありました。

 ただし、従来機種ではメモリ増設時には半田ごてが必須だったものが、本機では挿し込むだけで良くなったのは大きな進化です。ちなみに当時掲載されていた九十九電機の広告を見ると、16KBytesの増設メモリは9,800円で販売されていました。

底面のネジを2本外し車のボンネットを開ける要領でカバーを上へと持ち上げると、内部へと簡単にアクセスできます。メインの基板へとアクセスするには、モニタとキーボードも外す必要がありました。

 MZ-1200が発売された時点で148,000円という価格に対抗できるのは、本体価格が89,800円だったPC-6001だけだったといえます。本機とほぼ同じ9インチのグリーンディスプレイPC-8046(35,800円)と、広告でPC-6001と一緒に掲載されていたデータレコーダPC-6082(19,800円)の値段を加えると145,400円となり、ほぼMZ-1200の価格と並びました。もしかすると、この当時にどちらを買うか悩んだ人もいたのではないでしょうか。

 MZ-80K系列はこの後、モニタ分離型のMZ-700、そしてQuickDiskを搭載したMZ-1500へと進化し、さらに活躍の場を広げていくこととなります。

広告では、“身近な入門機として最適です”として、初心者向けパソコンとして売り出していました。もう1枚の写真は当時の九十九電機の広告で、MZ-1200用16KBytes増設メモリが9,800円で売られているのがわかると思います。