ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
RA2から2か月後に登場!コスパに優れたNEC「PC-9801RX2」
2024年5月21日 08:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、1988年9月のデータショウなどでお披露目された、PC-98VXシリーズの後継機となるPC-9801RX2を取り上げました。
1988年の7月にNECが発表したPC-9801RA2は、“新世代の32ビットコンピュータ”を前面に打ち出し、各方面に大きなインパクトを与えます。その分、価格もなかなかのもので、FDDモデルでは498,000円、40MBのHDDを内蔵したモデルであれば736,000円もの金額となっていました。パーソナル向けの商品ではありましたが、さすがにこの値段では手が出ない……という人もいたのではないかと思われます。そんななか、2ヶ月後の9月になってPC-9801VX21/41の後継機としてリーズナブルなプライスでリリースしたのが、今回取り上げたPC-9801RX2/4でした。
特徴としては、CPUに80286(12MHz、メモリアクセスノーウェイト)を採用したことで、これにより従来以上に処理スピードが高速になっています。ユーザーズメモリも標準で640KBを装備し、最大で11.6MBまで内蔵可能としていました。EMS機能を利用すれば、日本語MS-DOSバージョン3.30のもとで640KBを越えるメモリが使用可能だったほか、EGC(Enhanced Graphic Charger)を搭載したことにより、グラフィックスの高速表示も実現しています。また、3種類のカスタムVLSIを採用したことで、メインボードや筐体の小型化と、低消費電力も実現しました。実際にVX21/41と比べると、RX2が約10%、RX4は約20%もほど小さくなっています。このあたりのことは広告でも謳われていて、その部分を読んで興味を惹かれた人もいたのではないでしょうか。
ボディのデザインやカラーリングはPC-9801RA2などと同じで、違っているのはロゴとクロック切換スイッチの有無だけでした。ロゴ部分を隠すと、RA2やRA5との区別がつかないかもしれません。
キーボードはPC-9801RA2に引き続き、キーボードの右上に“PC-9801R”と描かれたモデルが採用されています。RA2やRA5が登場したときはRAシリーズ専用キーボードでしたが、RXシリーズでも使われるようになったことで両用となりました。ただし、この後にリリースされるRA21やRS21、RX21などでは再び右上のロゴが変わるため、“PC-9801R”と書かれたキーボードはRA2/RA5/RX2/RX4のみでしか使われていません。また、PC-9801シリーズの特徴の一つだった具体的な機種名がわかるキーボード右上のロゴ“PC-9801U”や“PC-9801V”といった表記の最後にもなりました。本機以降はしばらく“PC-9800 SERIES”と書かれたモデルが付属するようになるので、一見しただけでは後に登場するRAやDA、FAなどといった機種のどれに付属してきたのかは判別できません。
今回用意されたモデルは、1MBタイプ5インチFDDを2台内蔵したPC-9801RX2と、それに加えて20MBの3.5インチ固定ディスクを内蔵したPC-9801RX4の2機種です。価格は、PC-9801RX2が398,000円で、PC-9801RX4は566,000円でした。今から考えれば十分に高価ですが、それでもPC-9801VX21/41と比べれば、それぞれ35,000円/64,000円もお買い得になっています。
この時期は、少しずつマルチタスク機能などの高度な処理環境を実現するオペレーティングシステムが登場してきていたのですが、本機は日本語MS OS/2や日本語MS-Windows(Ver2.0)、さらにはマルチタスク・マルチユーザOSのPC-UX/V(Rel2.0)などが利用できることもウリとして広告でアピールされていました。
ちなみに、この頃のハードディスク相場ですが、外付け20MBであれば10万円~15万円程度、40MBになると20万円~30万円が相場となっていたようです。さらに、同時期のフロッピーディスクも値下げが進み、ノーブランドなら5インチ2Dは1枚37円、マクセルブランドでも10枚入り一箱が1200円と、非常にリーズナブルな価格になっていました。
なお、PC-9801RX2/4が展示された1988年9月に開催されたデータショウで、NECの目玉となったのは同社初のPC-9801ラップトップマシンでしたが、こちらについては機会を改めてじっくり取り上げたいと思います。