ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

RA2から2か月後に登場!コスパに優れたNEC「PC-9801RX2」

外見は、以前に紹介したPC-9801RA2とほぼ同じで、ぱっと見で違う点といえば正面左側に配置されたロゴ程度です。ただし、キーボードの影に隠れた部分には、RA2とは違う部分も少しだけあります。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、1988年9月のデータショウなどでお披露目された、PC-98VXシリーズの後継機となるPC-9801RX2を取り上げました。

 1988年の7月にNECが発表したPC-9801RA2は、“新世代の32ビットコンピュータ”を前面に打ち出し、各方面に大きなインパクトを与えます。その分、価格もなかなかのもので、FDDモデルでは498,000円、40MBのHDDを内蔵したモデルであれば736,000円もの金額となっていました。パーソナル向けの商品ではありましたが、さすがにこの値段では手が出ない……という人もいたのではないかと思われます。そんななか、2ヶ月後の9月になってPC-9801VX21/41の後継機としてリーズナブルなプライスでリリースしたのが、今回取り上げたPC-9801RX2/4でした。

本体正面にはキーボード接続コネクタ、マウスコネクタ、リセットボタン、12/10MHzクロック切換スイッチ、蓋を開けた中にボリュームコントローラ、3連ディップスイッチと並んでいます。RAシリーズとの違いは、クロック切換スイッチの有無です。

 特徴としては、CPUに80286(12MHz、メモリアクセスノーウェイト)を採用したことで、これにより従来以上に処理スピードが高速になっています。ユーザーズメモリも標準で640KBを装備し、最大で11.6MBまで内蔵可能としていました。EMS機能を利用すれば、日本語MS-DOSバージョン3.30のもとで640KBを越えるメモリが使用可能だったほか、EGC(Enhanced Graphic Charger)を搭載したことにより、グラフィックスの高速表示も実現しています。また、3種類のカスタムVLSIを採用したことで、メインボードや筐体の小型化と、低消費電力も実現しました。実際にVX21/41と比べると、RX2が約10%、RX4は約20%もほど小さくなっています。このあたりのことは広告でも謳われていて、その部分を読んで興味を惹かれた人もいたのではないでしょうか。

 ボディのデザインやカラーリングはPC-9801RA2などと同じで、違っているのはロゴとクロック切換スイッチの有無だけでした。ロゴ部分を隠すと、RA2やRA5との区別がつかないかもしれません。

背面は左側からサービスコンセント、アナログRGB接続端子、デジタルRGB接続端子、1MBFDD接続インタフェース、RS-232Cコネクタ、プリンタポート、その上に4つの拡張スロットと、ハードディスクを内蔵する専用のスペースが設けられていました。

 キーボードはPC-9801RA2に引き続き、キーボードの右上に“PC-9801R”と描かれたモデルが採用されています。RA2やRA5が登場したときはRAシリーズ専用キーボードでしたが、RXシリーズでも使われるようになったことで両用となりました。ただし、この後にリリースされるRA21やRS21、RX21などでは再び右上のロゴが変わるため、“PC-9801R”と書かれたキーボードはRA2/RA5/RX2/RX4のみでしか使われていません。また、PC-9801シリーズの特徴の一つだった具体的な機種名がわかるキーボード右上のロゴ“PC-9801U”や“PC-9801V”といった表記の最後にもなりました。本機以降はしばらく“PC-9800 SERIES”と書かれたモデルが付属するようになるので、一見しただけでは後に登場するRAやDA、FAなどといった機種のどれに付属してきたのかは判別できません。

広告では「使ってみたい、今度の98。」として「ビジネスの最前線を行くオフィスの新・標準機誕生。」と謳っていました。右ページ下段には、“パソコン世代の情報グルメ番組”というキャッチコピーのもと、テレビ東京(当時)にて10月7日金曜深夜0時50分から1時20分まで、NEC提供の新番組となるNECコミュニケーション・バラエティ「PCミッドナイト」が放映開始とのアナウンスも載っていました。なお番組内容は「ヤング層の求めている国内外のホットな情報をデータベース等を使って提供する、パソコン世代の情報グルメ番組」で、司会を務めたのはラッツ&スターのトランペットでお馴染みの桑野信義さんと、桑原美保さんの2人。毎週2人のゲストを迎えて、おもしろトークを披露したそうです。残念ながら筆者の住んでいた地方都市ではテレビ東京系列のテレビ局は無かったため、見る事は叶いませんでしたが……。番組自体は2年半ほど続き、1991年3月30日に最終回を迎えました。

 今回用意されたモデルは、1MBタイプ5インチFDDを2台内蔵したPC-9801RX2と、それに加えて20MBの3.5インチ固定ディスクを内蔵したPC-9801RX4の2機種です。価格は、PC-9801RX2が398,000円で、PC-9801RX4は566,000円でした。今から考えれば十分に高価ですが、それでもPC-9801VX21/41と比べれば、それぞれ35,000円/64,000円もお買い得になっています。

こちらは、1988年10月時点での、フロッピーディスクの値段がわかる広告です。ノーブランドであれば5インチ2Dが37円なので、1箱でも370円と激安価格で購入できました。当時遊ぶだけであればノーブランドでも十分だったのですが、もし現在まで保管している場合はカビている可能性があるので要確認です。

 この時期は、少しずつマルチタスク機能などの高度な処理環境を実現するオペレーティングシステムが登場してきていたのですが、本機は日本語MS OS/2や日本語MS-Windows(Ver2.0)、さらにはマルチタスク・マルチユーザOSのPC-UX/V(Rel2.0)などが利用できることもウリとして広告でアピールされていました。

 ちなみに、この頃のハードディスク相場ですが、外付け20MBであれば10万円~15万円程度、40MBになると20万円~30万円が相場となっていたようです。さらに、同時期のフロッピーディスクも値下げが進み、ノーブランドなら5インチ2Dは1枚37円、マクセルブランドでも10枚入り一箱が1200円と、非常にリーズナブルな価格になっていました。

 なお、PC-9801RX2/4が展示された1988年9月に開催されたデータショウで、NECの目玉となったのは同社初のPC-9801ラップトップマシンでしたが、こちらについては機会を改めてじっくり取り上げたいと思います。