ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

中村光一氏の大ヒット作にして、数多くの機種へと移植された名作「ドア・ドア」

可愛らしいキャラクターが描かれた、この時期のエニックスお馴染みの紙パッケージです。上部には「第1回ゲームホビープログラムコンテスト・優秀プログラム賞(賞金50万円)受賞作品」との書き込みが見られます。裏面にはエニックスのパッケージ定番となる、当時の本人の写真が掲載されています

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は中村光一氏が世に送り出した名作「ドア・ドア」を取り上げます。

 1980年前半のパソコンゲームは、画面をスクロールさせず固定し、そこでプレイするアクションパズルゲームが数多くリリースされていました。その中でも、可愛らしいキャラクターとわかりやすいルール、そしてバランス良く作られたステージ構成が好評を博し、大ヒットを飛ばしたタイトルが「ドア・ドア」です。当時のジャンルは“ファンタジー思考型反射ゲーム”でした。

第1回目のコンテスト後に掲載された、当時の広告です。最優秀プログラム賞を獲得した「森田のバトルフィールド」と、優秀プログラム賞の「マリちゃん危機一髪」の間に「ドア・ドア」が位置していました。この時期は「ドア・ドア」とタイトルに「・」が入っていましたが、後の広告では「ドアドア」と表記されるようになります
これは、当時のエニックスが掲載した「第3回ゲームホビープログラムコンテスト」の広告です。これによると、中村光一氏は「ドア・ドア」だけで約2,000万円もの印税を受け取っていたようです。アメリカンドリームならぬ、ジャパニーズドリームの体現者の一人と言えるかもしれません

 ルールは簡単で、プレイヤーは主人公のチュン君を操作し、それぞれの思考を持ったナメゴン・アメちゃん・インベ君といったキャラクターたちをかわしながら、ステージ内にあるドアの中にすべて閉じ込めればクリアです。ドアは、取っ手のある方向からしか開かないので、誘導する道筋をしっかりと考えながら移動しなければなりません。

タイトル画面では、登場キャラクターの紹介が行われます。それぞれクセのある動きをするので、そう簡単にはドアの中に入ってくれません

 ドアには一度に6匹まで閉じ込めることができるほか、わざと閉めずに半ドアにしておくことで敵をまとめ、一度に多数を閉じ込めるテクニックなどがあります。ドアの数はステージごとに異なり、中にはドアより敵の数が多い面も存在するので、まとめて閉じ込めるワザは必須と言えるかもしれません。一度に数多くの敵を閉じ込めれば飴玉やケーキなどが出現し、それを取ることでボーナス点が得られます。

ステージは5層構成になっていて、階段を上手に使いすべての敵をドアに閉じ込めればクリアです。半ドアやジャンプでの誘導など、シンプルな中にも奥深いテクニックが隠されているので、それを使いこなせないと全面クリアまでの道は遠いです

 コンティニューは存在しないため、いかに高いボーナス得点をゲットしてエクステンドさせるかが、全面クリアのカギを握っているとも言えるでしょう。ジャンプは、地面の釘や敵を避けるだけでなく、階段で敵を誘導する手段としても使えますので、素早い判断力も求められます。

 ステージ数は全部で20あり、パッケージの裏には「面数が20面変わり、パックマンを越えた面白さ」と書かれていることからも、パックマンを強く意識していたことが分かります。BGMはチュン君が歩いているときだけ流れる仕様となっていますが、ここはアーケード版「ディグダグ」と似ている、と言えばわかりやすいかもしれません。