ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

SHARPのパソコンテレビ「X1」シリーズ 前期モデルと、1980年代後半のソフトハウス「日本ファルコム」編

~永久保存版 80年代マイコン大百科~

永久保存版 80年代マイコン大百科

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 80年代マイコン大百科」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、懐かしのマイコンたち!!編からSHARP「X1シリーズ Part1」編と、ボクたちを虜にしたソフトハウス編から1980年代後半の「日本ファルコム」。

 なお、書籍版では画像はモノクロ(電子書籍 Kindle版はカラー)だが、本記事ではカラーの写真を掲載している。


- 懐かしのマイコンたち!! -SHARP「X1シリーズ Part1」- -


 初代X1は1982年に登場しながらも、640×200ドットで8色のグラフィック(マニアタイプは要G-RAM)/8オクターブ三重和音といった、ホビー向けにマッチした機能を搭載していたことで、ソフトが非常に充実していた。さらに、データレコーダの読み込み速度が他機種よりも倍以上速い2,700ボーで、プログラムから頭出しなどの各種制御が可能だったこともあり、テープ版のゲームも豊富だった。テープが便利すぎて、ディスクに移行するのが遅れた、という弊害もあったが……。

X1は、栃木県矢板市にあったシャープのテレビ事業部が企画製造した機種。パソコンテレビと名付けられているように、テレビとパソコンの画面を重ね合わせるスーパーインポーズが使えた。ボディカラーが、赤・白・銀と3色が用意されていたのも画期的。
本体とキーボード一体型の機種がX1Cで、そのバリエーションモデルの一つがX1Ckとなる。初代機などは本体とモニタの幅が同じで、最終的には積み重ねるデザインで考えられていたが、本機はMZ-2200のようなかたちになっており、モニタと本体の設置位置に自由度があった。
X1Dは3インチFDDを搭載した、今では珍しいハード。専用のデータレコーダを接続してもすべてを本体からコントロールができなかったため、ソフトの対応機種に“ ※ただしX1Dは除く” と書かれてしまうことも多い悲しい機種だった。

 この当時、特にX1の名前を響かせたのが『ゼビウス』の発売だろう。家庭で遊ぶのは不可能と言われていた名作だが、これをきっかけにX1シリーズを買った人もいたはず。また、日本ファルコムの名作『ザナドゥ』が唯一テープ版で発売された機種であり、T&E SOFTの『ハイドライド』でただ1機種、スムーススクロールしたハードでもあった。

 その後、FDDを搭載したFシリーズ、ブラックの筐体が渋さを醸し出していたGシリーズ、さらにPCエンジンのゲームも遊べるtwinと発売されたが、そこで“X1”シリーズはその役目を終える。

X1Fは、X1シリーズでは初となるIPLリセットボタンを搭載した機種。Model 10ではデータレコーダを、Model 20は5インチFDDを1基内蔵していた。同じ年にPC-8801mkIISRが発売されているが、そのmodel20が213,000円だったのに対し、同Model 20でも139,800円と、かなり攻めた標準価格設定だった。
X1Gは、広告の印象から縦置きと思いがちだが、縦横どちらでも配置可能。ゲームに関する部分がクローズアップされ、ゲームをプレイしながら録画できることや、ジョイカードが付属することもうたわれている。
「これがX1誕生5年目の解答です。」とのキャッチコピーとともに登場したX1twin。X1として使えるだけでなく、Huカードを挿し込めばPCエンジンのゲームも遊べた。専用ディスプレイテレビを使用すれば、スーパーインポーズ機能により画面を重ね合わせることも。

- - ボクたちを虜にしたソフトハウス・80年代後半編 -日本ファルコム-


「ザナドゥ」を筆頭に、ヒット街道を驀進!!

 1984年末に『ドラゴンスレイヤー』を発売し、それまでとは違うRPGの方向性を示したファルコムは、翌年ついにモンスター級の売り上げを誇ったタイトル『ザナドゥ』を登場させる。1年後の86年秋には、『ザナドゥ・シナリオII』をリリースし、パソコンゲーム史上に『ザナドゥ』旋風を巻き起こしたのだった。これにより“ファルコムのゲームにハズレなし!”との認識がパソコンゲームユーザの間に広まり、俗に言う“ファルコムファン”と呼ばれる層も増えていった。

 1987年には、従来RPGのアンチテーゼともいえる『イース』を生み出し、『ドラゴンスレイヤー』シリーズとはまた別のユーザから支持を得た。その『イース』の特徴は、難易度が低いだけでなく、美しいBGMにもあった。これを皮切りに、1988年にはファルコムレーベルが作られ、『MUSIC FROM Ys』などのCDがリリースされていく。

現在まで続く大人気シリーズ『イース』の1作目は、1987年に誕生。シナリオ的に行き詰まることはないものの、ボス戦で何度もゲームオーバーになり挫折した人はいたかもしれない。曲は、今でも話題に上るほどの素晴らしい完成度だ。

 80年代後半は、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を見せたファルコム。ここで挙げたタイトル以外にも、『ロマンシア』『太陽の神殿』『イースII』など、どれもがヒットを飛ばした。

『ロマンシア』はアクションRPGだが、途中セーブができない仕様。『ソーサリアン』はシナリオがドンドン追加できるという、当時としては斬新で画期的なシステムを採用していた。
当時のファルコムは、『ザナドゥ』をはじめ、すべての作品が売れに売れた。『太陽の神殿』はアドベンチャーゲームだが、アイコンを選んで行動を選択するユニークなシステムを採用している。

 そんな流れが変わったのは、1989年に入ってから。この年は『スタートレーダー』『ワンダラーズ・フロム・イース』、そして「ドラゴンスレイヤー」シリーズ6作目となる『ドラゴンスレイヤー 英雄伝説』が発売されているが、当時を知るものであれば、あらゆる意味でこの年が一つの区切りだったと語る人も多いだろう。

日本ファルコムのシューティングゲームとして話題になった『スタートレーダー』。当時のハードスペックを考えるとよくできた仕上がりだったものの、ユーザが待ち望んでいたものとは少しギャップがあったと言う意見も多い。

 以降、徐々に16ビットPC、WindowsOS、そしてコンシューマゲーム機へと軸足を移していくこととなるのだった。

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