ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

MSXを支え続けたコナミと名作ソフトPart2~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“MSXを支え続けたコナミと名作ソフトPart2”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


MSXを支え続けたコナミと名作ソフトPart2


MSX2のハードを活かして内容を変えることも


 『悪魔城ドラキュラ』も、非常によくできたタイトルだった。最初に登場したファミコン版ではスクロールするアクションゲームだったが、MSX2版では画面切り替え式のアクションゲームとして登場。一本道ではなく、あちこち歩き回りキーを回収しないと先へ進めない謎解き要素が入っていたり、集めたハートを消費することで潜んでいる老婆からアイテムを購入することもできるなど、いくつもの新しい試みがくわえられていた。それでいて『悪魔城ドラキュラ』らしさは失われておらず、当時出ていたシリーズ作品のなかでも非常に高い完成度だったといえる。

 もっともMSX2までは横スクロールが苦手なハードということもあり、ファミコン版のようにはできなかったため、画面切り替え式にしたという事情もはらんでいる。しかし、それを逆手にとって謎解きをくわえるという考え方が秀逸だったといえよう。この逆転の発想は、のちに世界レベルの大作となる『メタルギア』にも反映されていく。

『悪魔城ドラキュラ』は、画面端まで移動すると次の画面へと瞬間的に変わる、画面切り替え式を採用していた。ほかのシリーズとは違い、アクション+パズルの要素を問われるゲームとなっているが、プレイすると違和感はほとんどない。ボスも手強く、おいそれとはクリアできない難易度だった。

あの世界的名作もMSXシリーズから生まれた


 『メタルギア』は、86年に入社しMSX部署に配属になった小島秀夫氏が、会社から『戦場の狼』のようなものを作れといわれて生み出したタイトル。ハードの制約から、敵や弾を同時に多数表示できないことがわかっていたため、発想を逆転させ敵から逃げるゲームにしたことから誕生した。

 ゲームの目的は、南アフリカの武装要塞国アウターヘブンに潜入し、敵の新兵器に関する情報を入手、破壊すること。戦場を舞台に、敵に見つからずに先へと進む本作は見た目もゲームも地味で、当時のプレイヤーにはなかなか理解されにくいものだった。しかし、その“見つからずに行動”することや、そのためのパズル的な要素、さらには綿密に練られたストーリーと終盤の怒濤の展開などが徐々に話題になり、業界内での高い評価を受けてファミコンへと移植。これが海外で大ヒットしたためにファミコン版だけの続編が作られ、その後の1990年『メタルギア2 ソリッドスネーク』がMSX2で登場するのだった。そのストーリーはこうだ。

今や全世界規模で有名になった『メタルギア』だが、そのシリーズの原点になっているのが、このMSX2版だ。コンシューマゲーム機で発売されているタイトルと比べると、見た目は地味な感じだが、得られる緊張感は変わらないレベル。

 中東の小国ザンジバー・ランドに軍事政権が樹立し、世界で唯一の核武装を遂げたあとに隣国に対して無差別侵攻を開始する。一方、石油の枯渇が深刻な問題となっていたとき、1人の生物学者キオ博士によって石油を精製する微生物が発明された。しかし、博士が学会に出席しようと渡米中、ザンジバー・ランドによって拉致されてしまう。前作で任務を遂行したソリッドスネークに、キオ博士救出の任務が下った……。

 ストーリーからもわかるように、前作と同じく敵から隠れながら侵入していくゲームとなっている。今作でも、前作同様に従来のゲームにはなかった渋い設定があり、それを最大限に活かした内容だった。4MBitのROMを使用し、SCC音源も搭載していた本作は、まさに同社の技術の粋を集めて作られた最高傑作だろう。

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