ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

『リザード』の続編が2年越しで登場!『アスピック』

X1版は、パッケージで発売されたのはテープ版でした。後に、TAKERU専売でディスク版の『アスピックスペシャル』がリリースされています。パッケージイラストで、タイトルロゴの下に描かれた蛇のようなキャラクターが毒蛇の王・アスピックです。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、『リザード』の続編としてPC-6001mkIIユーザーを再び熱狂させた本格派アクションRPG『アスピック』の、X1用テープ版です。

 クリスタルソフトといえば、「夢幻の心臓」シリーズや「ファンタジアン」シリーズといった骨太作品をリリースしてきたソフトハウスでした。そんな中にあって1984年に発売された『リザード』は、本格的なRPGながらも遊びやすかったことや、移植版が多機種に登場したこともあってヒット作となります。それから2年後の1986年の9月に姿を現したのが、『リザード』の続編となるPC-6001mkII対応の『アスピック』でした。ここで取り上げたX1用テープ版は、PC-6001mkII版から2ヶ月ほど後の86年末から87年1月にかけて市場に流通したようで、後にTAKERU専売ソフトとして買えるようになるディスク版『アスピックスペシャル』とは若干異なったものです。

 そんな1986年といえば、PC-88シリーズは11月にPC-8801FH/MHが、同じ時期に富士通はFM77AV20/40を、シャープはX1turboZを登場させていたほか、10月にはX68000の発表とPC-9801VX2やPC-9801VM21の発売もありました。この時期、新作RPGをリリースする対象のハードとしては既に第一線からは退き気味だったとも言えるPC-6001mkIIシリーズをメイン機種とした『アスピック』の存在は、PC-6001mkIIシリーズユーザーにとっては非常に嬉しい1本だったといえるでしょう。ちなみに、本作の対応機種はPC-6001mkIIシリーズの他にFM77AVシリーズとX1シリーズがありましたが、各ソフトハウスにとって一番のメインターゲットともいえるPC-88シリーズに移植されなかったのは、非常に珍しいことでした。そんな本作のストーリーは、以下のようになっています。

広告には、「僕達の声が作らせた。」とのキャッチと共に、投稿されたハガキも掲載されていました。右ページの「ついに登場!!」にも、その気持ちが乗っているように感じられます。X1版がリリースされたときは「X1シリーズ用テープ版 完成!」としたバージョンも作られました。

 『アスピック』は『リザード』の続編ということで、主人公は前作にてクリアアイテムとなる“真実の書”を持ち帰ってきた若者。前作での名前は任意でしたが、今作では勇者サムソンと名付けられた彼が城へ生還したところ、そこに姫の姿はありません。話を聞くと3日前、国の南にある砂の世界からやってきた魔法使いが「私なら砂の世界の塔へ姫を連れて行けば、彼女にかけられた呪いを解ける」と言ったため、王は10人の選りすぐられた兵士と共に姫を魔法使いに託したそうです。

 その魔法使いは確かに呪いを解いたものの、姫を王に返す気はなく、魔界に住む毒蛇の王・アスピックと結婚させようとしていたのでした。姫を連れ帰ろうとした10人の兵士も、5人は塔の中で魔法使いに殺され、更に4人は砂の世界の暑さで死んでしまいます。生き残った一人はこの事実を伝えると、そのまま息を引き取ってしまいました。王様から再び、姫を助けてくれと頼まれたサムソンは、姫との結婚を約束され、またも冒険へと旅立ちます……。

タイトル画面が表示された後、シナリオテープを作成することになります。ゲーム中は、このシナリオテープにデータを保存するので、あらかじめブランクテープを用意してきましょう。

 プレイヤーはサムソン率いるパーティを操作し、連れ去られたお姫様を助け出して城へと連れて帰ることが目的となります。前作『リザード』では一人パーティ+ダンジョンのみという冒険スタイルでしたが、今作は広い地上世界+世界各地にある塔(ダンジョン)、そして仲間を集めてパーティを組んでの旅が可能となっていました。フィールドを歩いているときに出会う“ケンシ”に話しかけて仲間にすれば、即パーティに加わってくれます。最大で2人まで増やせるので、常に3人で行動したいところでしょう。

ゲームスタート直後は、サムソン一人で人間の世界にいます。まずは仲間を集めることから始めましょう。近場には、手に入れたアイテムを売る商店と、HPの最高値をアップさせてくれる寺院があります。なお今回のX1版はハイレゾモードでも動作しますが、キャプチャ機材の都合でNORMALモードで稼働させた写真を使っています。

 移動などのアクションを行うほか、何もせずに放置しておいても時間が自動的に過ぎていくので、知らないうちに敵やケンシを含めたNPCとエンカウントすることがあります。敵の場合、“タタカウ”を選ぶと“FIGHT MODE”に突入し、バトルスタートに。

 画面下1/4部分に表示される戦闘エリアにて、サイドビュー形式で展開される戦闘では、最初に戦地に赴くキャラクターを選びます。するとパーティキャラクターと敵がフィールドに現れるので、キーを上手く操作してダメージを与えていきましょう。戦っているキャラクターが立った状態であれば、スペースキーを押すことでメンバーチェンジもできるので、HPが危なくなったら交代も忘れずに。

敵と遭遇すると、相手のデータと共に選択肢が表示されます。ここで、“タタカウ”を選ぶとバトルスタート。戦闘モードでは、テンキーの4と6で左右移動、5で物理攻撃、8は魔法を使えるアイテムを装備していれば遠距離からの魔法攻撃となっています。序盤は物理攻撃がメインとなるので、タイミングを見計らって攻撃しヒットすると、効果音と共に敵が後ろへと吹き飛びます。この瞬間が、最高にキモチイイ!

 勝てば“敵を倒したキャラクター”が経験値とMPを得られるのですが、逃げられても経験値だけは入ります。ただし、主人公の回復手段が序盤はMPを消費することでHPが戻る魔法の泉しかなく、敵を倒せないとMPがゲット出来ないためにHP回復すらままならないという事態に陥ることも……。そのため序盤は、最初は仲間に戦わせておき、勝利間違いナシのタイミングになったらサムスンにチェンジしてとどめを刺す、というスタイルを採って戦闘を進めていくことになるのでした。

 塔に入ると、前作でも見慣れた3D表示のダンジョンが表示されます。ここも、何もしなくても敵が近づいてきてエンカウントするので、探索も機敏に行わなければなりません。無論、マッピングしなければ即座に迷子になってしまいますが、マップ自体は難しくはなく、左右対称の場所も多いので、そこまで苦労することはないかと思います。

塔の中は前作と同じ3Dダンジョンになっています。地上と違って敵が見えるので、逃げるか戦うかはプレイヤー次第。

 こうしてパーティを鍛えていきながら各地の塔を巡っていくことで、さまざまな出来事が明かされていくのですが、果たしてプレイヤーは姫様を救出することはできるでしょうか? 今はプロジェクトEGGにてPC-6001mkII版が配信されていますので、先の展開が気になった人はプレイしてみてください。

階段は存在せず、あちこちに落とし穴や上の階への空間が用意されていました。上の階へ移動したいときは、テンキーの9で真上にジャンプした後にテンキーの8を押して前方へと進みます。
マニュアルには、図解が載っていました。

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