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14製品を一斉検証!Alder Lake時代の空冷クーラー選び ~ 空冷CPUクーラー14製品を一斉検証 ~【3/4】

DOS/V POWER REPORT 2022年春号の記事を丸ごと掲載!

空冷CPUクーラー14製品を一斉検証

簡易水冷クーラーも比較用に検証
今回は簡易水冷代表として定番モデルの「Corsair Gaming iCUE H115i RGB PRO XT」も同時に検証している

 今回の検証では空冷クーラー14製品と比較製品2種類の合計16製品を用意。比較対象としては、Core i7-12700付属のリテールクーラーと、水冷代表として28cmラジエータを搭載する人気モデルCorsair iCUE H115i RGB PRO XTも用意した。

 CPUはCore i7-12700、マザーボードはIntel Z690採用のMSI MEG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4を用意し、CPUの消費電力設定はクロック低下を防いで負荷を安定させるためマザーボード標準の無制限設定とした。

 負荷テストとしてCPU使用率100%の高い負荷をかけるためにCINEBENCH R23のマルチテストを10分実行し、ゲーム動作時の負荷も想定してファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク(以下、FF14ベンチ)も用意。それぞれ、負荷テスト中の最高温度と動作音を計測した。

今回の検証に使用したベンチマーク
CINEBENCH R23(高負荷検証)。CPU性能を計測するベンチマーク。マルチスレッドテストを10分間連続で実行し、最大CPU温度を計測
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(中負荷検証)。実ゲームに近い負荷テストが可能。CPUが常に100%ロードされないが、単コアのブーストクロックは高くなる。同じく最大CPU温度を計測

 まずは温度の面からチェックしていこう。アイドル時のCPU温度はリテールクーラーが43℃だったのに対して、どのクーラーも10℃以上低い温度を記録している。

 高負荷時においては、ARCTIC Freezer 34 eSports DUOとサイズ BIG SHURIKEN3 Rev.B、そしてリテールクーラーが100℃に到達。このときサーマルスロットリングが発生しているが、リテールクーラー以外CINEBENCHのスコアにはわずかな影響しか出なかった(クロック低下が一瞬だったためか)。

 もっとも低い温度だったのはDeepCool Gamer Storm ASSASSIN Ⅲで、77℃を記録。同社製品は12cm角ファン×2のGamer Storm AK620および14cm径ファン×1のGamer Storm AS500も80℃と奮闘している。

 過去の検証ではASSASSINⅢに近い性能を発揮していたNoctuaのNH-D15やU-12Aも同じ80℃となった点に注目したい。熱伝導性をよくするために、ベース部分の平滑度を高くしたハイエンド製品に見られる傾向のようで、以前と比べ縦長形状になったLGA1700のヒートスプレッダ表面の中央部が、個体差や固定時の圧力で変形した際、中央部の接触が悪くなり、ベース部がその熱伝導性を発揮し切れていないことが考えられる。筆者のこれまでの検証経験から見るとASSASSINⅢなどはもう数℃冷えてもおかしくない。

 12cm角ファンを1基搭載するモデルでは実売価格が3,500円前後のID-COOLING SE-224-XTAが87℃と奮闘。価格が倍近いNoctua NH-U12S reduxに近い温度なのでコストパフォーマンスはかなりよいと言える。

 中負荷時(FF14ベンチ)の温度はリテールクーラーでも77℃に抑えており、スコアも計測してみたが全製品誤差の範囲内だった。

 一見するとCPU負荷が高くないゲームタイトルの場合はそこまで高性能のCPUクーラーを搭載する必要性はないように見えるが、ゲームの場合はビデオカードがケース内部温度を大きく上げるので、結果的にCPU温度も下がりにくくなる。

 発熱の大きいハイエンドカードを搭載している場合は、10℃以上今回の検証よりも高くなる場合もあるのでそのあたりも考慮したほうがよいだろう。

【検証環境】CPU:Intel Core i7-12700(12コア20スレッド)、マザーボード:MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4(Intel Z690)、メモリ:Micron Crucial CT2K8G4DFS832A(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2)、ビデオカード:MSI GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIO(NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti)、ストレージ:Western Digital WD Blue SN570 NVMe WDS500G3B0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB]、電源:MSI MPG A850GF(850W、80PLUS Gold)、グリス:親和産業 OC Master SMZ-01R、OS:Windows 11 Pro、室温:25℃、CPU温度:HWMonitorのPackageの値、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:CINEBENCH R23マルチを10分間連続で実行した際の最大値、中負荷時:ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク実行中の最大値

 動作音を見てみよう。9製品がアイドル時に30dB以下を記録。高負荷時においては、AS500が43.3dBというもっとも低い値を記録し、次点でNH-D15が45.9dBを記録。デュアルファンでこの静かさはさすがのNoctuaといったところ。

 動作音に関しては音の質(高低や大きさの変化)などもあるので数字では分かりにくい部分もあるが、筆者の体感上ではAS500がもっとも静かに感じ、それにNoctua製品とAK620が続く印象だった。

 念のためCINEBENCH R23のスコアも確認してみたが、Core i7-12700リテールクーラーが頭一つ下がっているのが目立つだけでほかはどの製品も誤差の範囲を出ない。負荷100%が続く状況でもない限り第12世代Coreの非Kモデルのパフォーマンスが低下することはないだろう(その4に続く)。

【TEXT: 清水貴裕、多賀ひろし】


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