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空冷だって十分イケる!Alder Lake時代の空冷クーラー選び ~ 空冷CPUクーラーを選ぶ際の注目要素 ~【2/4】
DOS/V POWER REPORT 2022年春号の記事を丸ごと掲載!
2022年7月26日 10:00
空冷CPUクーラーを選ぶ際の注目要素をチェック!
一口に空冷CPUクーラーと言っても、ヒートシンクの作りやファンの種類などで細分化される。それぞれに特性があり、自分のPCに合った製品を選ぶことがCPUをしっかりと冷却するキモだ。
本項では選ぶ際のポイントを解説する。
1 ヒートシンクの大きさ
ヒートシンクのサイズが大きければ大きいほど冷却力が高くなる傾向がある。しかし、分厚くなると風抜けが悪くなるため、二つのブロックに分けてセンターにファンを配置するツインタワー型がハイエンド帯では多く見られる。
自分のケースに入る範囲内のサイズで製品を選ぼう。メモリスロットやVRMヒートシンクなどとの干渉にも注意が必要だ。
2 ファンの口径・回転数・個数
口径が大きいほどに風量や静圧が高くなり、低い回転数でもCPUを冷やせるので静音性も高くなる傾向にある。
とくに最大級の14cm級ファンは回転数を落としても十分な風量があるため冷却力と静音性を両立しやすい。ハイエンドモデルではこれら大型ファンを複数搭載するのが主流。
また、ファンのブレードやハウジングのデザイン、軸受けのベアリングも冷却力や静音性に影響する。
3 ヒートパイプの本数と太数
ヒートパイプはヒートシンク全体に熱を行き渡らせる血管のような存在。径が太く本数が多いほど冷却力が高くなる傾向にあるが、ヒートパイプとフィンの接合に熱伝導率が高いハンダが使われているかも重要。
ヒートパイプがCPUに直接触れるダイレクトタッチ式の製品は、銅製のバッファプレートを持たないため、熱を蓄えられずにCPU温度が上がりやすくなる傾向がある。
本数は最低でも4本以上の製品を選ぶが吉。
4 エアフローの方向
冷却力においては風が横に流れるサイドフロー型が有利。とくにハイエンド製品はほぼすべてがこのレイアウトだが、メモリスロットに干渉しやすい点に注意。
風が垂直に吹き付けるトップフロー型は電源回路やメモリ、M.2 SSDへの冷却効果もあるが、ヒートシンクの大型化が難しいため、冷却力はサイドフローにかなわない。Mini-ITX向けの小型モデル以外、新製品は減少傾向だ。
空冷CPUクーラー取り付けの際のポイント
リテールクーラーはモデルによって取り付け方法がおおむね決まっているが、サードパーティ製のCPUクーラーはメーカーによって固定器具の設計が異なるため、マニュアルをよく読みながら行なうのがセオリー。
とくにLGA1700環境は専用のスペーサやスタッドが付属しているのでほかのソケット用の部品と間違わないように注意が必要だ。
これを間違うとテンションが適切にかからず、CPUとクーラーが密着しなくなってしまう。密着が甘いとCPUの熱がクーラーに伝わらず、CPUが放熱しきれなくなる。すると、CPUは安全のためにクロックを落としてしまうため(=サーマルスロットリング)、結果として性能が発揮できなくなる。
なお、LGA1700対応についてはマウンタの無償配布などで対応している製品がまだあり、代理店のWebサイトなどから申し込むことで入手可能だが、購入してすぐに組み込みたい場合は注意。
組み込み時に注意したいのは周辺との干渉だ。とくにLED搭載製品など大型ヒートシンクを搭載するメモリは、ファンと干渉しやすい。
メモリを4枚挿す場合や、メモリスロットがソケット寄りのMini-ITXマザーはとくに注意。ファンを上部にずらせば干渉を回避可能な場合が多いが、クーラーの全高が上がってサイドパネルに干渉したり、ヒートシンクに風がきちんと当たらなくなり冷却力が低下したりするので気を付けてほしい。
取り付け方法に関しては、マザー裏面にバックプレートを取り付けて、表からヒートシンクを2本のネジで固定するという構造が一般的。可能であればプラスドライバーを2本用意して、同時に均等に締めていくようにするとヒートスプレッダへの圧力が偏らないのでグリスがきれいに伸びやすい(その3へ続く)。
【TEXT: 清水貴裕、多賀ひろし】
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