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【Power Supply Unit 診断室】見た目はハデだが中身は超優等生、Cooler Master「XG850 PLUS PLATINUM」編

DOS/V POWER REPORT 2022年秋号の記事を丸ごと掲載!

 「ふぅ、またハデなのがきたな」というのが第一印象だった。しかし検証していくうちに「久々に見る高性能電源」という印象に変わった。

 昨今、ファンがレインボーに光る電源は増えている。しかし、コイツは表示できる情報をいろいろと選べる大型ディスプレイまで搭載するモデル。っつーかこのパネルいくらすんだよ!もうね見た目の印象はパチンコ台。しかも確変(大当たり)中の台ですわ……。フィーバー!なので下までネタばらししないつもりだったけどイッちゃう!「メッチャ安定しているし、ノイズも少ない、しかもLEDビカビカなのに省電力(!?)、そして静か!」。非の打ちどころのない秀才電源なのだ!

 ほかに750Wモデルもあるが、値段はそんなに変わらないので推しは850Wだ。見た目はハデだが、中身は超優等生。東大入学して大学デビューしたヤツだ。LEDが嫌いならOFFにしておけばいいので外見が気に入らなくても問題ない。

Cooler Master Technology XG850 PLUS PLATINUM(実売価格:29,000円前後)
規格:ATX、定格出力:850W、ファン:13.5cm角(底面)、80PLUS認証:Platinum、ケーブル:フルプラグイン、電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、EPS12V×1、Serial ATA×12、ペリフェラル×4、PCI Express 6+2ピン×6、サイズ(W×D×H):150×160×86mm

*実売価格は2022年9月上旬時点のもの

Lineup
製品名出力奥行き80PLUS認証実売価格
XG850 PLUS PLATINUM850W16cmPlatinum29,000円前後
XG750 PLUS PLATINUM750W16cmPlatinum28,000円前後

見た目はヤンキー!中身は質実剛健な優等生PSU!

+12V重視の配分は正真正銘のゲーミング電源
ゲーミング向け電源として+12Vは70.8A(850W)。+3.3/5Vは各20Aで合計100Wまでと絞っている。ハイエンドビデオカードを搭載するシステムに最適と言えるだろう

 定格出力850Wのうち+ 3.3/5Vは合わせて100Wと最小限まで絞った「ビデオカード全フリ」的なゲーミング電源。+ 12Vに750Wを回せる計算だ。FPSやTPSなど3Dゲームはもちろん、4K動画のレンダリングや3DモデルのVTuber配信など、何でも使えそうだ。驚くのは消費電力! こちらは見た目も地味な質実剛健電源「NZXT E850(80PLUS Gold)」と比較したところ、電飾ギンギンの状態のXG850のほうが省電力だった。確かに80PLUS認証的にはこちらが上だが、LED分の消費電力を加えてもアイドル時で11Wも省電力というのは目を疑ってしまう。

消費電力・回転数・温度までレインボー! !
ファンが七色に光るだけでなく、コイツは側面に表示される消費電力、ファンの回転数、内部温度の情報もレインボーカラーで表示される。全然クリアできないクソゲープレイ時でも、こいつを見ればハイテンション↑↑

 出力は850Wでフルプラグインだが、奥行きは短く16cm。ほかのパーツへの影響も小さいだろう。ケーブルはすべてフラットで長さもそこそこある。準ファンレス機能は搭載しておらず温度に応じた制御となるが、動作音は検証ではほぼ無音レベル。電源内のエアフローも熟考されている。まず一度部品が少ないプラグインコネクタ寄りの領域に送風してから、次に部品が密の領域を通過し背面に吐き出すエアフローだ。ファンの半分にフィルムを付けてエアフローを整える電源は最近減ってきていたが、Cooler Masterが自社独自設計をうたうだけあり、こだわりを持った設計だと感じた。

ケーブルは比較的長めで取り回しもラクラク
ケーブルはすべてフラットタイプ。ATX24ピンとEPS12Vは65cm、PCI Expressも1段目55cmで以降12cm間隔に計2コネクタ。Serial ATAは1段目が55cmで以降12cm間隔に計4コネクタ×3本。ペリフェラルも同様だ
LEDがギンギンにまぶしいのに省エネ! 80PLUS認証の取得にLEDの消費電力が含まれているのかどうかは気になるが、80PLUS Gold認証の850W電源と比べてアイドル時で11W、高負荷時は5WもXG850のほうが省エネと出た!
13.5cmファンを低速で回し超静か 比較対象は起動時にフル回転し爆音がしたが、こちらは終始ほぼ無音。LEDがまぶしいだけにノイキャンのイヤフォン付けてパチンコ屋に入ったような違和感がある(笑い)
【検証環境】
CPUAMD Ryzen 9 3900XT(12コア24スレッド)
マザーボードASUSTeK ROG Crosshair Ⅷ Hero (WI-FI)(AMD X570)
メモリKingson HyperX Savage DDR4 HX430C15SBK2/16(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2)
ビデオカードZOTAC GAMING GeForce RTX2080(NVIDIA GeForce RTX 2080)
SSDSolid State Storage Technology Plextor M8Se(G)シリーズ PX-512M8SeG[M.2(PCI Express3.0 x4)、240GB]
OSWindows 11 Pro
室温28℃
暗騒音34.6dB
アイドル時ベンチマーク終了10分後の値
高負荷時3DMarkを実行中の最大値
動作音測定距離ファンから約15cm
電力計Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

部品もよければテスト結果もハイグレード

Active PFC回路。日本ケミコンのKMZシリーズ680μFを搭載。容量は標準的だが1次側はハイグレード長寿命タイプの耐熱105℃電解コンデンサ。ただし、片側がヒートシンクに密着しているのが少し懸念される
2次側平滑回路。2次側は固体コンデンサ&電解コンデンサ×2。アルミ固体コンデンサはFPCAP製。3,300μFの電解コンデンサは日本ケミコン製で耐熱105℃品。放熱も考えられた回路になっている
エアフロー。筐体内をS字に抜けて熱だまりを解消。部品が密になっている領域のファン部分はフィルムで遮られており、まずは疎の部分に送風。それを背面から逃がす構造だ。3、4年前まではよく見たが最近ではめずらしいかも?
【藤山の注目ポイント】
LEDは、電源本体とマザーボードのUSBピンヘッダを専用ケーブルで接続し、Cooler Master製のユーティリティ「MasterPlus+」を導入して制御する。LEDの発光色の変更はもちろん、側面パネルに表示する情報も選ぶことができるほか、表示する情報をログとして出力することも可能になっている。マニアックなデータが欲しい方にもオススメだ。

見た目はハデハデなのに、電源としての品質はかなり上質

 非の打ちどころがなく「ほめてばかり」で「ステマじゃね?」と勘ぐる読者のために一つだけ指摘しておこう。それは1次側PFC回路の電解コンデンサを囲むヒートシンク群だ。ディスプレイとファンのアドレサブルRGBのLEDコントローラもあって電解コンデンサが熱源に囲まれてしまっている。一応耐熱105℃品を使い、製品本体も10年保証となっているが、この熱によって寿命が短くなりはしないか気がかりだ。

低めの基準電圧はポテンシャルの高さを誇示するものか?
基準電圧はPCI Expressが12.0Vとビデオカードに優しい設計で、降下幅は高負荷時でも0.4Vで安定感あり。ATX24ピンは基準電圧が11.9Vと低めながらこちらの降下幅も0.3Vと安定。EPS12Vは11.8Vで一番低いが、降下幅は序盤に0.3V下げた後は昇圧し、以降は安定していた

 電力の安定性は抜群。PCI Expressは基準電圧12.0V。高負荷でも0.4Vの降下で底打ち感がある。EPS12Vは0.3Vしか降下せず、それを見越してか基準電圧を11.8Vまで下げるという余裕を見せる。ATX24ピンも基準電圧は11.9Vと低めで、かつ下げ幅も極めて小さい。もしかするとCooler Masterがポテンシャルの高さをほかに誇示するために、あえて低い基準電圧で漢を魅せつけているのかもしれない(?)。

ほぼ直流! 久々に見る高品質の直流をご覧あれ
低ノイズで本誌のレコメンド候補にもよく挙がるNZXT E850を比較に用いたが、それを上回る高品質の直流を供給してくれた。ゲーム用だけでなくAV用途にもオススメだ。自前でもう1段平滑回路を作れば、ほぼ乾電池としても使えるレベルではなかろうか。オーディオマニアに目を付けられると買いあさられるかも!?

 そしてノイズの少なさだ。長周期で見ても変動がない高品質な直流。高品質な電力を安定して供給するという電源の本質をしっかり押さえている。見た目はパチンコ台のようにハデハデなのに……電源としての品質はかなり上質だ。

長周期でもうねりなし!何という直流!
フライバック方式を採用しているがスイッチングのタイミングも平滑回路も2次側整流もバッチリ。CoolerMasterの本気を見た
【検証環境】
電圧計測方法三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測
リプル計測方法Pico Technology PicoScope2204を使用しアイドル時に計測

診断票:ゲーマーは迷わず買え!高品質電源の伏兵登場

 七色に光るLED付きの側面パネルは、個性的であり有益な情報を得られる。見た目のハデさからすれば本製品に注目しているのはゲーマーが中心だろう。しかしその実態は高品質な直流を安定して供給できる「超優秀な電源」だ。おそらく年末恒例の本誌PCパーツ100選でも金銀レコメンドを争う製品になると予言しておきたい。

[TEXT:藤山哲人]

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