パワレポ連動企画
【Power Supply Unit 診断室】見た目はハデだが中身は超優等生、Cooler Master「XG850 PLUS PLATINUM」編
DOS/V POWER REPORT 2022年秋号の記事を丸ごと掲載!
2023年3月22日 07:05
「ふぅ、またハデなのがきたな」というのが第一印象だった。しかし検証していくうちに「久々に見る高性能電源」という印象に変わった。
昨今、ファンがレインボーに光る電源は増えている。しかし、コイツは表示できる情報をいろいろと選べる大型ディスプレイまで搭載するモデル。っつーかこのパネルいくらすんだよ!もうね見た目の印象はパチンコ台。しかも確変(大当たり)中の台ですわ……。フィーバー!なので下までネタばらししないつもりだったけどイッちゃう!「メッチャ安定しているし、ノイズも少ない、しかもLEDビカビカなのに省電力(!?)、そして静か!」。非の打ちどころのない秀才電源なのだ!
ほかに750Wモデルもあるが、値段はそんなに変わらないので推しは850Wだ。見た目はハデだが、中身は超優等生。東大入学して大学デビューしたヤツだ。LEDが嫌いならOFFにしておけばいいので外見が気に入らなくても問題ない。
*実売価格は2022年9月上旬時点のもの
製品名 | 出力 | 奥行き | 80PLUS認証 | 実売価格 |
---|---|---|---|---|
XG850 PLUS PLATINUM | 850W | 16cm | Platinum | 29,000円前後 |
XG750 PLUS PLATINUM | 750W | 16cm | Platinum | 28,000円前後 |
見た目はヤンキー!中身は質実剛健な優等生PSU!
定格出力850Wのうち+ 3.3/5Vは合わせて100Wと最小限まで絞った「ビデオカード全フリ」的なゲーミング電源。+ 12Vに750Wを回せる計算だ。FPSやTPSなど3Dゲームはもちろん、4K動画のレンダリングや3DモデルのVTuber配信など、何でも使えそうだ。驚くのは消費電力! こちらは見た目も地味な質実剛健電源「NZXT E850(80PLUS Gold)」と比較したところ、電飾ギンギンの状態のXG850のほうが省電力だった。確かに80PLUS認証的にはこちらが上だが、LED分の消費電力を加えてもアイドル時で11Wも省電力というのは目を疑ってしまう。
出力は850Wでフルプラグインだが、奥行きは短く16cm。ほかのパーツへの影響も小さいだろう。ケーブルはすべてフラットで長さもそこそこある。準ファンレス機能は搭載しておらず温度に応じた制御となるが、動作音は検証ではほぼ無音レベル。電源内のエアフローも熟考されている。まず一度部品が少ないプラグインコネクタ寄りの領域に送風してから、次に部品が密の領域を通過し背面に吐き出すエアフローだ。ファンの半分にフィルムを付けてエアフローを整える電源は最近減ってきていたが、Cooler Masterが自社独自設計をうたうだけあり、こだわりを持った設計だと感じた。
CPU | AMD Ryzen 9 3900XT(12コア24スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK ROG Crosshair Ⅷ Hero (WI-FI)(AMD X570) |
メモリ | Kingson HyperX Savage DDR4 HX430C15SBK2/16(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2) |
ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX2080(NVIDIA GeForce RTX 2080) |
SSD | Solid State Storage Technology Plextor M8Se(G)シリーズ PX-512M8SeG[M.2(PCI Express3.0 x4)、240GB] |
OS | Windows 11 Pro |
室温 | 28℃ |
暗騒音 | 34.6dB |
アイドル時 | ベンチマーク終了10分後の値 |
高負荷時 | 3DMarkを実行中の最大値 |
動作音測定距離 | ファンから約15cm |
電力計 | Electronic Educational Devices Watts Up? PRO |
見た目はハデハデなのに、電源としての品質はかなり上質
非の打ちどころがなく「ほめてばかり」で「ステマじゃね?」と勘ぐる読者のために一つだけ指摘しておこう。それは1次側PFC回路の電解コンデンサを囲むヒートシンク群だ。ディスプレイとファンのアドレサブルRGBのLEDコントローラもあって電解コンデンサが熱源に囲まれてしまっている。一応耐熱105℃品を使い、製品本体も10年保証となっているが、この熱によって寿命が短くなりはしないか気がかりだ。
電力の安定性は抜群。PCI Expressは基準電圧12.0V。高負荷でも0.4Vの降下で底打ち感がある。EPS12Vは0.3Vしか降下せず、それを見越してか基準電圧を11.8Vまで下げるという余裕を見せる。ATX24ピンも基準電圧は11.9Vと低めで、かつ下げ幅も極めて小さい。もしかするとCooler Masterがポテンシャルの高さをほかに誇示するために、あえて低い基準電圧で漢を魅せつけているのかもしれない(?)。
そしてノイズの少なさだ。長周期で見ても変動がない高品質な直流。高品質な電力を安定して供給するという電源の本質をしっかり押さえている。見た目はパチンコ台のようにハデハデなのに……電源としての品質はかなり上質だ。
電圧計測方法 | 三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測 |
リプル計測方法 | Pico Technology PicoScope2204を使用しアイドル時に計測 |
診断票:ゲーマーは迷わず買え!高品質電源の伏兵登場
七色に光るLED付きの側面パネルは、個性的であり有益な情報を得られる。見た目のハデさからすれば本製品に注目しているのはゲーマーが中心だろう。しかしその実態は高品質な直流を安定して供給できる「超優秀な電源」だ。おそらく年末恒例の本誌PCパーツ100選でも金銀レコメンドを争う製品になると予言しておきたい。
[TEXT:藤山哲人]
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