パワレポ連動企画
ITライターが作るスタンダードPC ~その2~
【金と銀のPC自作プラン(2)】
(2014/9/30 12:05)
このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌11月号の特集記事「対決!金と銀のPC自作プラン」をほぼまるごと掲載する。
今特集では、DOS/V POWER REPORTが掲示した4つのテーマについて、それぞれ2名のライターが独自の解釈でPCを作成、そのポイントを解説する。
第二回目の今回は、予算15万円で製作する「スタンダードマシン その2」を紹介する。ITライター「竹内亮介」氏が拡張性と耐久性を重視して“3年使える”ことを目指した一品だ。なお、記事の末尾で読者投票を実施しているので、このPCが気に入った人はぜひ投票をして頂きたい。
この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 11月号は、絶賛発売中。11月号では今回の特集のほか、8月末に発売されたHaswell-Eの解説記事や、最新ビデオカードの特集、セミファンレス電源カタログ、新世代ベアボーンPC特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、PCケースを約160種集めた「PCケース パーフェクトコレクション 160」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。
- DOS/V POWER REPORT 2014年11月号 Special Edition -
予算15万円で作るスタンダードマシン その2
拡張性と耐久性を重視した3年使えるスタンダードPC
製作者:竹内亮介
今回のテーマでは「3年前の状況」を思い返してみると分かりやすい。その世代のパーツと現行のパーツを比べてみて、どのパーツがどれだけ進化、陳腐化したかを考えれば、選ぶべきパーツが見えてくる。
将来性を重視して、コストをかけるべきパーツを見きわめる
このテーマにおいて重要なのは、将来性があり、かつ陳腐化しにくいパーツを選ぶという点だろう。というのも、現在はエントリークラスのパーツ構成でも性能的に不足する場面が少なくなり、電力効率の重要度が高くなってきているからだ。たとえばIntelのメインストリーム向けCPUでは、Sandy Bridge以降消費電力は低下しているものの、性能のジャンプアップ幅は狭い。また、GPUも同じく低消費電力化が進んでいる。つまり、3年後を見据えるのであれば、これらのパーツはミドルレンジ~アッパーミドルクラスを選べば十分ということだ。
陳腐化が激しいパーツとしては、SSDが挙げられる。ここ1年で一気に低価格化が進み、さらに新しいインターフェースであるM.2やSATA Expressが登場。コストを考えると現状ではSerial ATA 3.0対応モデルを選ぶのがベターだが、将来的には新インターフェースへの移行も考えたい。
将来性にもっとも影響を与えるのが、マザーボードだ。とくにアップグレードの余地が大きいストレージに対応するためには、M.2などの最新インターフェースを搭載していることが望ましい。その条件を満たしているのが、Intel 9シリーズを搭載した製品だ。2015年に登場予定の新CPUへの対応が明言されており、さらにM.2スロットやSATA Expressに対応。これだけでも十分将来性を期待できるし、Z97であれば、アンロックタイプのCPUのOCも可能だ。
このようにパーツごとに3年前と現在の状況を比較してコストも加味すれば、選ぶべきパーツはおのずと絞られてくるはずだ。
カテゴリー | 製品名 | 実売価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Core i5-4690K(3.5GHz) | 27,000円前後 |
マザーボード | ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97) | 21,000円前後 |
メモリ | CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G (PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2) | 9,500円前後 |
ビデオカード | 玄人志向 GF-GTX760-E2GHD/OC/SHORT (NVIDIA GeForce GTX 760) | 25,000円前後 |
SSD | Micron Crucial MX100 CT512MX100SSD1 ( Serial ATA 3.0、MLC、512GB) | 23,000円前後 |
HDD | Western Digital WD Red WD20EFRX (Serial ATA 3.0、5,400rpm、2TB) | 10,000円前後 |
PCケース | Antec P100(ATX) | 9,000円前後 |
電源ユニット | Enermax Revolution-X't ERX530AWT (530W、80PLUS Gold) | 11,000円前後 |
CPUクーラー | サイズ 無限大(MUGEN MAX) | 5,500円前後 |
Blu-ray Discドライブ | LG Electronic BH16NS48 | 8,500円前後 |
合計149,500円前後 |
ポイント1 土台が重要! マザーとCPUはケチらない
鉄板のZ97搭載マザーとOC対応のCore i5
最新チップセットを搭載しながらも低価格なマザーボードは多い。しかし、3年以上メインマシンとして使うつもりなら、そういったものはオススメしない。下位モデルでは、使われている部品のクオリティや構成が上位モデルよりも一段低く、M.2などの最新インターフェースが省かれていることが多いからだ。さらに、UEFIがアップデートされず、新しいCPUに対応できない可能性がある。
今回選んだマザーボードは、Z97を搭載したアッパーミドルモデル「ASUSTeK Z97-PRO」。アンロックCPUと組み合わせることでOCも可能なので、CPU性能に少し不満が出てきたときには、自己責任にはなるがOCによる性能アップが可能だ。また、ストレージ用の新インターフェースであるM.2スロットとSATA Expressポートを搭載。将来対応ストレージへアップグレードすることもできる。また、電源回路やコンデンサの品質も高く、長く安心して使えるマザーボードだ。
そしてCPUは「Core i5-4690K」を選択。こちらもIntel CPUの中ではアッパーミドルクラスに位置したモデルで、4コア4スレッド同時実行が可能。性能は上位モデルであるCore i7の4コア8スレッドよりも劣るが、コストパフォーマンスに優れる。動画のエンコードといった作業がメインでなければ十分な性能で、長く使っていくにはベストの組み合わせと言える。
ポイント2 ケースは万能タイプのバランス型
長く使うならメンテナンス性も考慮したい
現在のPCケースのトレンドは、基本は静音性重視だが、吸音材を外してファンを増設すれば冷却性能を強化することができる「バランス型」と、多数の大型ファンの搭載やメッシュ構造による強力なエアフローで高い冷却性能を備えた「冷却重視型」の二つに分かれる。どちらにもメリット・デメリットはあるが、長く使うという観点で考えると、やはりバランス型に軍配が上がる。
発熱の大きいハイエンドビデオカードやCPUを、OCしながら常用したいなどといった用途でない限り、一般的にPCが静かであるに越したことはない。そしてPCを静かにしたいのなら、内部からの音漏れを防ぐ密閉構造が望ましい。一方、冷却重視型のPCケースは、冷却性能を上げるために前面や天板、側面などが風通しのよいメッシュ構造となっており、音が漏れやすい。このように、バランス型は簡単に冷却性能を強化できるのに対し、冷却重視型は静音性を向上させることが難しいのだ。その意味でも、両方の性格に対応できるバランス型は、非常に使い勝手のよいPCケースとしてオススメできる。
そうした事情から、今回選択したバランス型ケース「Antec P100」は、密閉性の高い構造や音漏れを防ぐ前面扉、天板や前面の追加ファン用マウンタなどを装備した、典型的なバランス型ケースだ。さらに実売価格が9,000円前後と、バランス型の中では比較的低価格なのが魅力。低価格ながらフレームはがっしりとしており、コストパフォーマンスに優れる面を評価した。また、フロントや底面には、簡単に外すことができるフィルタを装備しており、長く使うのに重要な清掃などのメンテナンスがしやすい点もポイント。
電源ユニットは80PLUS Gold認証を取得した高効率電源「Enermax Revolution-X't ERX530AWT」を選択。電源ユニットも長く使うことが多いので、高効率な上に5年保証が付いている点も安心だ。
ポイント3 SSDは予算内で可能な限り大容量を
SSDは500GBクラス、HDDは信頼性を重視
Serial ATA 3.0対応の2.5インチSSDの現在の売れ筋モデルは、容量250GBクラスで実売価格が1万4,000円前後のものだ。しかし、それはここ1、2年ほどの流れである。その点を踏まえると、今回の作例では陳腐化を防ぐために売れ筋の一つ上、容量500GBクラスの大容量モデルを選択したい。
250GBクラス以下のSSDをシステムドライブとして使うと、OSとよく使うアプリケーションをSSDに置き、データなどはHDDに振り分けるといった使い方がメインとなる。しかし、500GBクラスなら空き容量に余裕が生まれ、ゲームのデータなどもこちらに置くことで読み出し時間が短縮されて、より快適なプレイを楽しめる。
そうした500GBクラスのSSDの中から、今回は「Micron Crucial MX100 CT512MX100SSD1」を選択。より高速なM.2対応モデルなども登場しているが、価格が高いのがネック。速度面ではSerial ATA 3.0接続のモデルでも十分高いパフォーマンスを持っている。その中でも突出して優れたコストパフォーマンスを持つMX100 CT512MX100SSD1が、第一の選択肢となるのは当然だろう。
今回はさらにデータ保存用のHDDとして、「Western Digital WD Red WD20EFRX」を追加した。本来はNAS向けのモデルだが、その高い信頼性を加味して選択した。
ポイント4 より快適な環境を目指す
売れ筋よりワンランク上という考えから、ビデオカードにGeForce GTX 760搭載モデルを組み合わせたので、ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア(FF14)のような、比較的新しい3Dゲームでも快適に動作するようになり、まさに万能型の看板に偽りないスペックのPCとなった。
とはいえ、このPCは3Dゲームのプレイのみで使うわけではない。「普段の作業は静かに、ゲームプレイ時は冷却性能を強化」というようにできれば、さらに快適にPCライフを満喫できるというものだ。そこで、Z97-PRO付属のファンコントロールユーティティ「Fan Xpert 3」を使い、静音性と冷却性能を調整してみた。
まず、標準モード時における各パーツの温度をチェックしてみたところ、動画再生時はCPUが42℃、GPUが41℃と低いが、FF14やOCCT実行時は、GPU温度が急上昇した。とはいえ、80℃前後なら大きな問題はなさそうだ。
次に動作音だが、高負荷時はどのモードでもファン回転数がほぼ最大となるので、アイドル時のものをテストした。結果、「サイレント」と「標準」は体感的にほとんど変化を感じられず。ターボでは少し音が感じられるようになり、フルスピードは当然うるさいと感じるレベル。温度との兼ね合いから、標準に設定することがベストだと判断した。
多彩なアップグレードパスを確保
今回の構成でも、用途によっては数年後に不満を感じる場面が出てくる可能性はある。しかし、マザーボードに搭載されているインターフェースが多彩なので、アップグレードは容易だ。とくに将来的に価格が下がってきたら導入したいのが、M.2対応SSDだ。現在のSerial ATA 3.0対応SSDと同価格帯まで下がってきたら、システムドライブとして使いたいところ。ゲームの動きに不満が出たら、ビデオカードとケースファンを強化すればよい。Z97-PROは合計で六つのファンコネクタを装備しており、P100も3基のケースファンを追加できる
このPCの構成が良いと思ったら、以下のボタンを押して投票してください(一人1回まで)。
投票は本ページと、DOS/V POWER REPORT 2014年11月号の読者アンケート(同誌購入者のみ投票可能)で行なっています。
DOS/V POWER REPORTの読者アンケートから投票された方には、抽選で3名様に「Intel Pentium G3258」をプレゼントいたします。
投票結果はDOS/V POWER REPORT 2015年1月号(11月29日発売)にて発表する予定です。
【DOS/V POWER REPORT 11月号は9月29日(月)発売】
★第1特集「対決!金と銀のPC自作プラン」はもちろん、8月末に発売された「Haswell-E」の解説や、最新ビデオカードの特集、セミファンレス電源カタログ、新世代ベアボーンPC特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事を掲載
★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「PCケース パーフェクトコレクション 160」付き
★ 電子版は割安な税別926円、一部ショップでは税別700円の期間限定セールが9月29日(月)より実施
★ 電子版では小冊子の電子版も完全収録
【電子販売ショップ】
- Impress Japan(PDFで購入可能)
- http://www.impressjapan.jp/books/1114110109.php
- Amazon.co.jp (Kindle版)(セールは10月5日まで)
- http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00NXBKK4E/impresswatch-14-22/-->
- Google eBookstore
- https://play.google.com/store/books/details?id=ni-WBAAAQBAJ
- Newsstand
- https://itunes.apple.com/jp/app/dos-v-power-report/id877524169?mt=8
- 富士山マガジン(最新号にリンクします)
- http://www.fujisan.co.jp/product/1879/
- 楽天kobo
- http://rakuten.kobobooks.com/
- honto
- http://honto.jp/ebook.html
- マガストア
- http://www.magastore.jp/
- Reader Store
- http://ebookstore.sony.jp/
- ポンパレeブックストア
- http://ponpare-ebook.jp/
- BookLive!
- http://booklive.jp/
- auブックパス
- http://www.bookpass.auone.jp/