パワレポ連動企画
ITライターが作るゲームPC ~その1~
【金と銀のPC自作プラン(3)】
(2014/10/6 12:05)
このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌11月号の特集記事「対決!金と銀のPC自作プラン」をほぼまるごと掲載する。
今特集では、DOS/V POWER REPORTが掲示した4つのテーマについて、それぞれ2名のライターが独自の解釈でPCを作成、そのポイントを解説する。
第三回目の今回は、予算16万円で製作する「ゲーム向けマシン その1」を紹介する。ITライター「清水貴裕」氏が最新ゲームも十分に遊べることを目指した一品だ。なお、記事の末尾で読者投票を実施しているので、このPCが気に入った人はぜひ投票をして頂きたい。
この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 11月号は、絶賛発売中。11月号では今回の特集のほか、8月末に発売されたHaswell-Eの解説記事や、最新ビデオカードの特集、セミファンレス電源カタログ、新世代ベアボーンPC特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、PCケースを約160種集めた「PCケース パーフェクトコレクション 160」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。
- DOS/V POWER REPORT 2014年11月号 Special Edition -
予算16万円で作るゲームマシン その1
最新ゲームも十分遊べる! i5常用OCマシン
製作者:清水貴裕
世界と戦う若き極冷オーバークロッカー。OC以外のジャンルではFPSゲームや水冷PCを得意とする。再利用したパーツで組んだマシンでFPSゲームをたしなむのが休日の楽しみ。
ゲームマシンはCPUよりもビデオカードに投資するべし
今回は編集部に提示された予算ギリギリの16万円を目標にパーツを選んでみた。まず頭に浮かんだのは、Core i7-4790KとGeForce GTX 760をベースとした構成。しかし、実際のゲームではHyper-Threadingの効果が発揮されないこともある。CPUのグレードを1ランク落としてでもビデオカードのランクを上げたほうが、ゲームマシンとしての総合性能が高くなる場合が多い。そこで、CPUをCore i5-4690Kに変更して、浮いたお金をビデオカードに回す作戦とした。CPUはオーバークロック(OC)して使えばよいのだ。
ビデオカードは価格の安いリファレンスモデルではなく、オリジナル基板採用モデルにこだわった。OC仕様で性能がよいことに加えて、オリジナルクーラー搭載で冷却力と静音性に優れるからだ。
描画性能だけを重視したパーツ構成だと、サウンドやLANなどのゲーマー向け機能が貧弱な、味気のないマシンになってしまうので、マザーボードにはあえて最上位モデルを選んだ。LANやサウンド、VRMの仕様がゴージャスなので、低価格マザーにサウンドカードを別途追加するプランよりも満足度が高いと判断したからだ。今回選んだマザーボードは、OC向けモデルと同じ12フェーズ構成のVRMを採用しているので、常用OCマシンとしても安心だ。
予算の配分にメリハリを付けたことで、視覚だけでなく聴覚でもゲームを満喫できるマシンに仕上がったと自負している。それでいてOCもガンガンできるので、ぜひ参考にしてほしい。
カテゴリー | 製品名 | 実売価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Core i5-4690K(3.5GHz) | 27,000円前後 |
マザーボード | ASRock Fatal1ty Z97 Professional(Intel Z97) | 26,000円前後 |
メモリ | Corsair Components Vengeance Pro CMY8GX3M2A2400C11R (PC3-19200 DDR3 SDRAM 4GB×2) | 12,000円前後 |
ビデオカード | ASUSTeK GTX770-DC2OC-2GD5 (NVIDIA GeForce GTX 770) | 40,000円前後 |
SSD | Micron Crucial MX100 CT256MX100SSD1 (Serial ATA 3.0、MLC、256GB)×2 | 23,000円前後 |
PCケース | Antec Eleven Hundred V2(XL-ATX) | 11,000円前後 |
電源ユニット | Cooler Master V750 Semi-Modular (750W、80PLUS Gold) | 12,000円前後 |
CPUクーラー | サイズ 虎徹 | 3,000円前後 |
光学ドライブ | LG Electronics GH24NSB0 BL | 2,000円前後 |
合計156,000円前後 |
ポイント1 ゲームPCに8スレッドは不要! OCでクロックを伸ばせ!
スレッド数よりもシングルスレッド性能が重要
エンコードやCGレンダリングなど、スレッド数が有利に働く局面では、Hyper-Threadingに対応したCore i7-4790Kが優れているのは言うまでもない。しかし、用途をゲームに絞った場合、Core i5-4690Kとの性能差は小さくなる。その理由は大きく二つ。まずは、多スレッドを使用するタイトルが少ないこと。もう一つは、CPUよりもビデオカードへの依存が大きいことだ。デュアルコアCPUでは力不足なことが多いが、クアッドコア以上のCPUを搭載していればスレッド数による性能差はフレームレートには表われにくい。さらに、描画の重い最新タイトルや、最高品質の描画設定時にはGPUの処理が中心となるため、CPUの性能がよほど低い場合を除いてフレームレートに大きな差が出ることはない。CPUの動作クロックによる差が出るような場合はOCで差を埋めることが可能なので、Core i5-4690KはゲームPCにはうってつけだ。
Core i5-4690Kは定格3.5GHz、Turbo Boost時には最大3.9GHzで動作するが、Core i7-4790Kと比べると動作クロックがそれぞれ500MHz低い。しかし、OC耐性が高く、伸びしろは十分あるので、チューニングしだいでは同等のシングルスレッドパフォーマンスを発揮することが可能だ。CPUの個体差やCPUクーラーの性能によって設定は大きく変わってくるが、Core i7-4790Kに太刀打ちするためには4.5GHzでの常用を目指したい。
常用OCマシンなので、電圧設定にはUEFIメニューの「Adaptive Mode」を活用しよう。Turbo Boostの最大動作クロックを超える場合にのみ電圧がプラスされるこの機能は、アイドル時などのクロックが低い状態では昇圧されないため、省電力性と性能を両立できる。
Core i5-4690KをOCすることで、Core i7-4790Kとの差はどこまで縮まるだろうか。CPUのシングル/マルチスレッド性能を計測できるCINEBENCH R15の結果から見ていこう。4.5GHzまでOCすると、マルチスレッドのスコアはおよばないものの、シングルスレッドのスコアは177まで伸びてCore i7-4790Kを上回った。ファイナルファンタジーXIV: 新生エ
オルゼア ベンチマーク キャラクター編では描画プリセットをGPUへの依存が高い最高品質に設定したためか、4.5GHzまでOCしてもスコアは2.5%ほどしか伸びなかった。動作クロックの高いCore i7-4790Kのスコアが振るわないのは、Hyper-Threadingが不利に働いているからだろう。3DMarkのFire Strikeは主にGPU性能を計測するベンチマークだ。それだけにOCによるスコアの伸びは約3%と小さかった。それでも全体としてCore i7との差はOCにより確実に詰めることができている。
気になるOC時の消費電力だが、3DMark実行中は最大287Wと、定格時から27W増加した。高負荷時にのみCPU電圧を昇圧するAdaptive Modeを活用したため、アイドル時は47.7Wと定格時に近い値に収まった。
ポイント2 BF4もウォッチドッグスもサクサク遊べる
最高画質にこだわらなければ超快適にプレイできる!
GeForce GTX 770とCore i5-4690Kの組み合わせで、実際のゲームはどこまで快適にプレイできるのだろうか。画質プリセットを変更しながら試してみた。バトルフィールド4(BF4)とウォッチドッグスの二つのタイトルを使用した。CPUをOCすることによって、実際のゲームのフレームレートはどの程度向上するのかも検証してみた。
まずはBF4のグラフから見ていこう。安定して60fps以上出ていることを基準に考えると、GTX 770をもってしても最高画質でのプレイは厳しかった。それでもOCしたCore i5-4690Kは平均60fpsにあと少しまで迫っている。プリセットを高画質に落とすと、どのCPUとの組み合わせでも平均80fps以上、常時60fpsを超えるフレームレートが得られており、カクつきもなく非常に快適にプレイできた。
次にウォッチドッグスのグラフを見てみよう。CPUによる違いはほとんど見られない。高画質ではフレームレートの平均値が約52fpsだったからか、頻繁にカクついて正直快適とはほど遠い状態だった。中画質まで落とすと約68fpsまで平均値が伸び、快適にプレイすることができた。
BF4では今回試したすべての描画プリセットでOC時にフレームレートがハッキリと向上した。プレイ感が激変するレベルではないが、あと少しフレームレートを伸ばしたいといった場合にOCは有効な手段と言える。
SSDをRAID 0で組むことで速度向上も
ポイント3 プレイの満足度を高めるためのゲーミングマザーならではの装備
臨場感でゲームに酔う
今回の構成もそうだが、ゲーミングマシンを組むときにはビデオカードにお金をかけるという絶対的とも言えるセオリーがある。これはゲームを快適にプレイするにあたって、グラフィックス性能がもっとも重要だからだ。しかし、ビデオカードのみに予算を集中して、ほかのパーツがおろそかになることは避けたい。マザーボードがその最たる例で、サウンドやLAN機能が貧弱な製品を選ぶと、もの足りないだけでなく、オンライン対戦で不利になることも少なくない。臨場感のあるサウンド機能と高速なLAN機能は、楽しむだけでなく勝つためにも重要なものだと言えるのだ。
今回選んだマザーボードは、ASRockのZ97ゲーミングシリーズの最上位モデルである「Fatal1ty Z97 Professional」だ。1万円以上安い下位モデルもあるのだが、装備と価格のバランスのよさから最上位モデルを選んだ。選択の決め手は三つある。まずは、サウンド機能が充実していること。ゲーマーに支持されるCreative Technology製のSoundCore 3Dがオンボードで搭載されているので、サウンドカードを別途購入する必要がない。次にグッときたのは、LAN機能が充実している点だ。ゲーマー向けとされるKiller E2200に加えて、Intel I218-Vも搭載されているのは素晴らしい。いるので、こういった実装は魅力的だ。
ゲーマー向けの機能ではないが、VRMの作りのよさが最後の決め手になった。ゲームを楽しむためのOC常用マシンというコンセプトで組んだので、OC耐性の高さも重視したのだ。下位モデルは8フェーズ構成だが、本製品Intel製のLANコントローラを好むユーザーもは最上位モデルだけあり、12フェーズ構成のVRMを搭載している。OC向けであるZ97 OC Formulaと同じフェーズ数なので、OCをする上では心強い実装だ。発熱が小さいからかCPU電圧の下降も少なく、扱いやすかった。
さらに上を狙うなら
今回の構成をベースにグレードアップをするとしたら、ビデオカードを増設してのSLI構成がオススメ。GeForce GTX 770を搭載した同じ製品をもう1枚買い足すのがよいだろう。最高画質での快適なプレイが実現できるはずだ。その際は定格出力が750Wでは心もとないので、1,000Wクラスの電源を搭載したい。
このPCの構成が良いと思ったら、以下のボタンを押して投票してください(一人1回まで)。
投票は本ページと、DOS/V POWER REPORT 2014年11月号の読者アンケート(同誌購入者のみ投票可能)で行なっています。
DOS/V POWER REPORTの読者アンケートから投票された方には、抽選で3名様に「Intel Pentium G3258」をプレゼントいたします。
投票結果はDOS/V POWER REPORT 2015年1月号(11月29日発売)にて発表する予定です。
受付は2014年10月25日(土) 23:59までとなります
【DOS/V POWER REPORT 11月号は9月29日(月)発売】
★第1特集「対決!金と銀のPC自作プラン」はもちろん、8月末に発売された「Haswell-E」の解説や、最新ビデオカードの特集、セミファンレス電源カタログ、新世代ベアボーンPC特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事を掲載
★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「PCケース パーフェクトコレクション 160」付き
★ 電子版は割安な税別926円、一部ショップでは税別700円の期間限定セールが9月29日(月)より実施
★ 電子版では小冊子の電子版も完全収録
【電子販売ショップ】
- Impress Japan(PDFで購入可能)
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- 富士山マガジン(最新号にリンクします)
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