パワレポ連動企画

PCパーツ100選 2015(6)

~電源部門~

DOS/V POWER REPORT 2015年2月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌2015年2月号の特集記事「PCパーツ100選 2015」をほぼまるごと掲載する。

 特集記事では、2014年を代表するPCパーツを集め、「CPU」、「マザーボード」、「ビデオカード」、「ストレージ」、「PCケース」、「電源」、「CPUクーラー」、「そのほか」の8ジャンルの主要製品をランク付けし解説する。

 第6回目の今回は「電源」編。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年2月号は、絶賛発売中。2月号では今回の特集のほか、USB/LAN/クラウドを活用したファイルバックアップ術や、スマートフォンやタブレットの充電に便利なUSB電源タップ 28製品の紹介、髙橋敏也氏による改造バカ一代など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「保存版 PC自作スタートブック 2015」と「PC自作手帳 2015」が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2015年2月号 Special Edition -
辛口格付け&怒濤のレビューで最高のCPUパーツが全て分かる PCパーツ100選 2015


高効率化技術を軸に多様化が進む
-電源部門-

 80PLUS Titanium認証電源が製品化され、変換効率競争はまだまだ終わりが見えない。各社が高効率電源のノウハウを蓄積していく中、メインストリーム電源でもより高効率なモデルが登場してきた。また、コンパクトなATX電源や高効率のSFX電源、準ファンレス仕様など、個性的なモデルが増えてきた。

2014年、意外と大きな変化アリ

2014年の主な出来事

 エコな電源を選ぶ上で指標となるのが80PLUS認証。最上位のTitanium認証は、それまで最上位だったPlatinum認証と比べると変換効率はわずかに引き上げられているのみだが、新たに負荷率10%での規定値が追加され、低負荷時でも高い変換効率が求められる。当初登場したのは定格出力が1,500Wの高価なエンスージアスト向けモデルだったが、10月よりメインストリーム向けの製品も登場してきた。まだ製品数が少ないものの、メーカーの技術力が試されるところであり、2015年にはより多くの製品の登場が期待される。

 80PLUS認証電源のメインストリームも、より高いグレードへと移ってきた印象がある。ここ1年で80PLUS GoldやPlatinum認証を取得した、比較的安価なモデルが増えていることが後押ししているのだろう。現在のメインストリームクラスのGold認証と激安クラスのBronze認証とでは変換効率で5%という比較的大きな差がある。変換効率90%超の高効率電源が比較的手頃な価格になってきた今、電源はかなりホットな製品ジャンルであると言える。

 また、2014年はSFX電源にも動きがあった。大きめのMini-ITXケースが増えており、これに合わせるSFX電源でも出力が大きめのモデルが増えてきている。そうしたモデルの中には、従来のSFX電源よりも奥行きを長くした製品もある。大出力化や大型ファンを搭載、あるいはプラグイン式ケーブルを実現するという点で大型化がメリットとなる半面、ケースとの相性もあるので、事前に各パーツのサイズを確認しておくのが無難だ。

[Text by 石川ひさよし]

【注目すべきポイントはココだ!】

・400Wクラスが充実してきた!

EnermaxのRevolution-X't ERX430AWTのように、既存シリーズに小出力モデルが追加された例もある

メインストリームにおけるCPUの低消費電力化が進み、あわせてCPUに統合されたGPU性能も向上してきている。これを用いたミニマムなPCに合わせる電源としては400Wクラスがベスト。最近は80PLUSグレードが高めの400Wクラス電源が多数登場してきている。


・80PLUS認証における負荷率と変換効率

80PLUS Goldが最上位だったのも今は昔。Platinum、Titaniumとより変換効率の高いグレードが追加されてきた。表に示したように、BronzeとGoldでは5%、BronzeとPlatinumでは7~8%の違いがあり、年間にすると電気代にも差が表われる

PCパーツ100選 2015 電源部門 製品解説

Corsair Components AX1500i Digital ATX Power Supply(実売価格:54,000円前後)
【Platinumを超える高効率のTitanium認定!最新のデジタル電源】

Titanium認証のカギは
デジタル化にあった
1,500W(115 ~ 240V)/ 1,300W(100V) / 80PLUS Titanium / 7年間保証
入出力値

 本製品は200Vよりも変換効率で不利な100Vコンセントを採用している日本において、初めて登場したTitanium認証モデル。その効率は、負荷20/50/100%時にそれぞれ92/94/90%以上、さらに負荷10%時に90%以上が求められている。

 これを可能にしているのがデジタル回路だ。Corsair Componentsは1世代前のAX1200iからDSP(Digital Signal Processor)を搭載し、電源のデジタル化にいち早く着手してきた。従来のPWMと違い、CPUのように状況を判断して電力を供給するため「必要なときに必要なだけ」電力を供給できる。当初はややノイズが多かったが、AX1500iではノイズレスと言ってよいほど理想的な直流を出力するまでに進化している。

 注意したいのは、最大出力1,500Wを確保するには、115V以上のコンセントが必要な点。国内では実質100Vで運用せざるを得ず最大1,300Wになってしまう。

[Text by 藤山哲人]

【DOS/V POWER REPORT編集長のひとこと】

・全方位で究極を目指した最新鋭モデル

各パーツの省電力化に伴って、電源に求められる出力は小さくなっています。DOS/V POWER REPORTでもムダに大きな出力の電源を選ぶことのデメリットを、たびたび解説しています。そんな流れの中、多くの執筆者から支持を受けたのが定格出力1,500Wをうたうこの製品でした。大出力を安定して供給し、なおかつ省電力性も最高グレードと、究極の電源を目指す姿勢と技術力が評価されたと言えるでしょう。もちろん使用すべき局面は限られますが、一度は使ってみたくなる魅力を秘めています。

小さいヒートシンクこそ省エネの証
+12/5/3.3Vに変換できなかった分のロスが熱となる。つまり変換効率100%に近付くほどヒートシンクは小さくてすむ。本製品の小さなヒートシンクは、変換効率の高さの証だ
極度にデジタル化された2次側回路
2次側はとくにデジタル化が進んでおり、この出力であれば大量に載っているはずのコンデンサがほとんど見当たらない
重くデカいので基本はボトム配置
重量は2.9kgと重いため、ケース底面に配置するのがよい。これに合わせてケーブルも70cm超の長いものが添付されている
検証結果
【赤色の線:ATX24ピン、青色の線:PCI Express、茶色の線:EPS12V】
基準電圧を12.0Vに置く姿勢が素晴らしいが、ATXは時折規格下限の11.4Vを下回っている(RadeonR9 290Xの2-way環境)。PCI Expressは最大でも約0.2Vの降下が見られ、EPSはほぼ変動なし

【Specification】

ファン:14cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V ×2、Serial ATA×20、ペリフェラル×12、PCI Express 6+2ピン×10、FDD×2(変換ケーブル)●奥行き:22.5cm

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASRock Z87 Extreme6(Intel Z87)、メモリ:Team Group TED316G1600C11DC-AS(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB ×2)、ビデオカード:ASUSTeK MATRIX-R9290X-P-4GD5(AMD Radeon R9 290X)、ASUSTeK R9290-DC2OC-4GD5(AMD Radeon R9 290X)、SSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT240A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit 版、室温:27℃、電圧計測方法:三和電気計器 PC-20を3台使用し、3DMark を実行中の各コネクタの電圧を計測、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

Sea Sonic Electronics Gseries RM SSR-450RM(実売価格:10,000円前後)
【最新自作事情にフィットする450Wモデル】

堅実設計でありながら
リーズナブルな価格も魅力
450W / 80PLUS Gold / 5年間保証
入出力値

 Sea SonicのGシリーズは、同社の中ではエントリークラス。そんな位置付けのモデルをあえて抜擢したのは、このシリーズにしかない450Wという定格出力に価値があるからだ。Haswellなどの登場で自作PCの消費電力は減り、省電力に対する意識も高まっている中、400~450Wくらいで高品質、最新のトレンドを反映した電源は貴重な存在だ。

 内部はさすがにSea Sonic製だ。上位シリーズと比べればコストダウンが見られるものの、設計は堅実で実装部品も高レベルを維持している。電流の安定性テストの結果も良好だし、静音性もアイドル時34.6dB、高負荷時35.1dBと良好な結果を残している。そのほかの仕様も今風。出力の小ささから価格もリーズナブルだ。

[Text by 鈴木雅暢]

【選定理由】

・省電力PCに最適な定格出力
・小出力でも高品質な部品と電圧

価格のわりに高品質の部品を採用
1次側整流にはLLC共振回路を採用。2次側はDC-DCコンバータがあり、+12V系から+5/3.3V系を生成する。フィルタ付近のシールドなど、上位シリーズに比べると全体にコストダウンを感じるが、堅実な内容と言える
日本メーカー製のコンデンサを使用
1次側、2次側とも、日本ケミコン製の105℃品電解・固体コンデンサを使用。ノイズ対策用などにルビコン製の電解コンデンサも使われている
直付けケーブルはATX20/24ピンとATX/EPS12のみで、使い勝手の点ではフルプラグインとさほど変わらない。プラグインケーブルは裏面配線しやすいようフラットタイプになっている
検証結果
【赤色の線:ATX24ピン、青色の線:PCI Express、茶色の線:EPS12V】
いずれも変動はほぼ12V±0.2Vの範囲内に収まっている。ATX24ピンは最大で0.4Vほどの降下があるが、なかなか安定した電流を供給できている

【Specification】

ファン:12cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×6、ペリフェラル×5、PCI Express 6+2ピン×2、FDD×1●奥行き:16cm

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASRock Z87 Extreme6(Intel Z87)、メモリ:Team Group TED316G1600C11DC-AS(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB ×2)、ビデオカード:MSI N760GTX Twin Frozr 4S OC(NVIDIA GeForce GTX 760)、SSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT240A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit 版、室温:20℃、暗騒音:34.2dB、アイドル時:ベンチマーク終了10分後の値、高負荷時:3DMark を実行中の最大値、動作音測定距離:ファンから約15cm、電圧計測方法:三和電気計器 PC-20を3台使用し、3DMark を実行中の各コネクタの電圧を計測、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

SilverStone Technology NIGHTJAR SST-NJ520(実売価格:19,000円前後)
【ファンレス電源の本命、国産コンデンサでPlatinum認証、高信頼・長寿命】

高効率でファンレス、AV向けPC用にオススメ
520W 80PLUS Platinum 3年間保証
入出力値

 ファンレスで運用できる520WのATX電源だ。ミドルレンジビデオカード1枚の構成までなら十分に対応できる。

 また、80PLUS Platinum認証を受けている。2014年12月現在でもファンレス+Platinum認証という電源は数えるほどしかない。内部のコンデンサはすべて日本メーカー製で、1次側は日立、2次側は日本ケミコンのKZEシリーズが中心だ(いずれも105℃仕様)。また日本ケミコン製のアルミ固体コンデンサも贅沢に使っているほか、安定性と信頼性をより高めるために、大型のヒートシンクで放熱する手の込みようだ。

 熱の対流を考えると、ケースの底面に配置するのがよいだろう。天板部に配置する場合は、PC内の排熱が電源内に流れ込むので、ケース側のエアフローに注意したい。

[Text by 藤山哲人]

【選定理由】

・ファンレスで無音動作
・高効率のPlatinum認証電源

オール国産コンデンサでていねいな作り
1次側は耐熱105℃の日立製コンデンサ。電源裏のシールド、2次側のノイズリダクション回路など、随所がていねいに作り込まれている。放熱効果を高めるためか、部品の間隔も広く、筐体の4面にパンチングボードを採用している
DC-DCコンバータの配置が絶妙
DC-DCコンバータはプラグインコネクタ裏に搭載。ここもすべて日本ケミコンのアルミ固体コンデンサを使っている。メイン回路から切り離し、密集度も引き下げているようだ
2次側の電解コンデンサは日本ケミコン製のKZEシリーズ。大型チョークはないが、小型品を複数使いノイズリダクションにも余念がない
検証結果
【赤色の線:ATX24ピン、青色の線:PCI Express、茶色の線:EPS12V】
ATX24ピンは、高負荷時に一瞬規格外まで電圧が落ちそうになるものの、そこから持ち直すというめずらしい波形だ。PCI ExpressとEPS12Vは安定しており、降下は0.1 ~ 0.2V以内で収まっている

【Specification】

ファン:なし●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS 12V×1、Serial ATA×6、ペリフェラル×5、PCI Express 6+2ピン×4、FDD×1●奥行き:16cm

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASRock Z87 Extreme6(Intel Z87)、メモリ:Team Group TED316G1600C11DC-AS(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB ×2)、ビデオカード:MSI N760GTX Twin Frozr 4S OC(NVIDIA GeForce GTX 760)、SSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT240A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit 版、室温:29℃、暗騒音:34.2dB、アイドル時:ベンチマーク終了10分後の値、高負荷時:3DMark を実行中の最大値、動作音測定距離:ファンから約15cm、電圧計測方法:三和電気計器 PC-20を3台使用し、3DMark を実行中の各コネクタの電圧を計測、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

恵安 BULL-MAX Platinum KT-AP550AXP(実売価格:6,000円前後)
【ウソみたいに安い!Platinum電源】

オーバースペックをそぎ落としコストパフォーマンスを追求
550W / 80PLUS Platinum / 2年間保証
入出力値

 安さで定評ある恵安の80PLUS Platinum認証電源。安さのわりには不安なところは見当たらない。高負荷時の電圧変動を見ても、余裕を持って基準値をクリアしているし、ノイズも一般的な電源と変わらないレベルに収まっている。実験結果だけ見ると、この価格の電源とは思えない高安定・高品位な直流だ。

 内部を見ると、コンセント裏がシールドされていなかったり、あまり見かけないメーカーの海外製コンデンサが使われていたりと、コストダウンの跡がアチコチにある。しかし度を過ぎた簡略化はなく、バランス感覚が絶妙と言えるだろう。

 Jun Fuというコンデンサメーカーに不安を覚えるかもしれないが、研究開発から生産まで一貫している気鋭の会社。信頼性と寿命は未知数だが、かなり期待が持てそうだ。

[Text by 藤山哲人]

【選定理由】

・激安の高効率電源ならこの製品
・安定性とノイズは標準レベル

簡素化は見られるがイイ感じの仕上がり
ノイズリダクション回路やシールド、パーツのグレードなどでコストダウンを図っているが、性能の足を大きく引っ張るようなことはない。言い方は悪いが、手の抜き方が秀逸な電源だ
1次側はCapXonの耐熱105℃タイプ
低価格電源ではおなじみのCapXonの耐熱105℃電解コンデンサ。海外メーカー製コンデンサとしては信頼性への評価が高い
2次側を中心にJunFu製電解コンデンサを採用。めずらしいメーカーのため、信頼性と寿命は未知数だが性能は下記の検証のとおり
この価格でセミプラグイン
ATX24ピンとEPS12Vは直付けだが、PCI Expressやストレージ系はプラグイン式で、しかもフラットケーブル仕様となっている
検証結果
【赤色の線:ATX24ピン、青色の線:PCI Express、茶色の線:EPS12V】
ATXは基準電圧が12.1V程度になっており降下幅は大きいが基準値を下回ることはなかった。そのほかの降下は0.2V程度で安定した出力だ

【Specification】

ファン:12cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×6、ペリフェラル×3、PCI Express 6+2ピン×2、FDD×1●奥行き:16.2cm

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASRock Z87 Extreme6(Intel Z87)、メモリ:Team Group TED316G1600C11DC-AS(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB ×2)、ビデオカード:MSI N760GTX Twin Frozr 4S OC(NVIDIA GeForce GTX 760)、SSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT240A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit 版、室温:20℃、暗騒音:34.2dB、アイドル時:ベンチマーク終了10分後の値、高負荷時:3DMark を実行中の最大値、動作音測定距離:ファンから約15cm、電圧計測方法:三和電気計器 PC-20を3台使用し、3DMark を実行中の各コネクタの電圧を計測、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

サイズ 鎌力ゴールド SFX PLUG-IN SPKRG-S500P(実売価格:10,000円前後)
【大きめSFX電源に注目、大出力で12cm角ファンを搭載】

ちょっと大きなSFX電源
500W / 80PLUS Gold / 3年間保証
入出力値

 2014年は500~600Wクラスの大出力SFX電源の当たり年だ。本製品も500Wで、ATX電源のメインストリームクラスに匹敵する出力をコンパクトに実現している。PCI Express 6+2ピンも2基備え、ハイエンドビデオカードと組み合わせれば、魅力的なゲーミングPCを構築できるだろう。

 従来、SFX電源の奥行きは10cmが一般的だったが、本製品は13cm。これにより12cm角ファンの搭載を実現し、静音性を高めている。それでもATX電源と比べれば奥行き、高さともに小さい。たとえばATX電源に対応したMini-ITXケースでは、搭載可能な電源の奥行きに制限があることも多いが、これを回避する手段として価値がある。また、厚みの点では搭載可能なCPUクーラーに高さの制限がある場合などでこれを若干緩和できるといったメリットがある。

[Text by 石川ひさよし

【選定理由】

・SFXなのに12cm角ファン
・ビデオカードも余裕の500Wクラス

比較的ゆとりのある内部設計
プラグインコネクタ用基板を追加しているために内部は込み入っているが、SFX電源としては多少余裕がある
12cm角ファンを搭載
奥行きが13cm。ATX電源の最小クラスが14cmなのでそれよりも1cm短い。長さを活かしてファンは12cm角を採用している。一方でSFX電源専用設計のケースでは干渉することも……
「あと少し広く」を実現! ATX変換ブラケットも付属。小型ケースなどで、ATX電源の奥行きやCPUクーラーの高さに制限がある際、SFX電源の小ささがその緩和策になり得る
システム全体の消費電力と動作音

【Specification】

ファン:12cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×4、ペリフェラル×2、PCI Express 6+2ピン×2、FDD×1●奥行き:13cm

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-K(Intel Z97)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:ASUSTeK R9270X-DC2T-2GD5(AMD Radeon R9 270X)、SSD:PLDS Plextor SSD M5 Pro PX-256M5P(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:27℃、暗騒音:約30dB、アイドル時:OS起動5分後の値、CPU高負荷時:CINEBENCH R15 CPU test実行中の最大値、GPU高負荷時・動作音高負荷時:トゥームレイダーのベンチマークモード実行中の最大値、動作音測定距離:電源ユニットのファンから約20cm、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

Antec Neo ECO Classic NE550C(実売価格:6,500円前後)

待機時の
エコ度合いにも注目
550W / 80PLUS Bronze / 3年間保証

 80PLUS Bronze認証でケーブル直付け式と、エントリークラスの製品であるが、製品のポイントとなっているのが“エコ”。

 PCの使用頻度が低く、電源OFF時の割合が長い場合でも、ErP Lot 6 2013をサポートする本製品なら、待機電力を0.5W以下に抑えることができる。

 Active PFC回路の搭載や日本メーカー製コンデンサの採用など、設計にも信頼が置ける。

【選定理由】

・待機電力0.5W以下
・小型ケースに最適な奥行き14cm設計

【Specification】

ファン:12cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA ×6、ペリフェラル×5、PCI Express 6+2ピン×2、FDD×1●奥行き:14cm

Corsair Components CX Series Modular CX430M ATX Power Supply(実売価格:5,500円前後)

安い、小さい、セミプラグインの三拍子
430W / 80PLUS Bronze / 3年間保証

 80PLUS認証はBronzeに抑えて安価に、奥行きは14cmと短く、それでいてセミプラグイン式で文句なし。

 定格出力は430Wと小さめだが、昨今の低消費電力CPUと、それに搭載されたGPU機能を利用するのであれば、このクラスが最適だ。

 とくにコンパクトなPCケースとの相性は抜群だ。

【選定理由】

・最新ミドルレンジPCに最適
・奥行き14cmでコンパクト

【Specification】

ファン:12cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×4、ペリフェラル×3、PCI Express 6+2ピン×1、FDD×1●奥行き:14cm

Corsair Components RM Series RM550(実売価格:12,000円前後)

静音ファンに
準ファンレスの徹底設計
550W / 80PLUS Gold / 5年間保証

 徹底した静音設計が魅力。搭載ファンは大口径の13.5cm角で、フル回転時でもかなり静か。その上で負荷率40%未満でファンの回転を停止する「Zero RPM Fan Mode」も搭載しており、あらゆる状況下で優れた静音性を発揮する。

 別売りのCorsair Linkケーブルを用いれば、リアルタイム監視やファン回転数の制御なども可能になる。

【選定理由】

・負荷率40%以下はファンが停止
・フルプラグイン式を採用

【Specification】

ファン:13.5cm 角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×6、ペリフェラル×4、PCI Express 6+2ピン×2、FDD×1(変換ケーブル)●奥行き:16cm

Enermax Technology Platimax EPM1000EWT(実売価格:29,000円前後)

安定した電力を
供給することに注力
1,000W / 80PLUS Platinum / 5年間保証

 2011年の発売モデルで80PLUS Platinum認証製品としてはかなり古いが、逆に見ればそれだけ高い信頼性を得ていると言える。

 負荷に応じて1次側の電圧を変化させる機能や、負荷に応じてスイッチング周波数を切り換える機能など、安定した電力を供給するための機能を多数搭載しているのが大きな特徴だ。

【選定理由】

・電源OFF後もPC内部の熱を排気
・安定性追求のための多数の機能

【Specification】

ファン:13.9cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、EPS12V×1、Serial ATA×12、ペリフェラル×8、PCI Express 6+2ピン×6、FDD×1●奥行き:17.5cm

Sea Sonic Electronics Xseries XP2 SS-660XP2(実売価格:17,000円前後)

高機能ながら
組み込みやすさも◎
660W / 80PLUS Platinum / 5年間保証

 80PLUS Platinumでフルプラグイン、さらに奥行きが16cmと短く、組み込みやすさに優れている。

 安定性のための機能や品質に関しては上位グレードモデルという位置付けに相応のもので、さらに負荷が30%未満でファンを停止、50%未満までは低速回転、それ以上は負荷に応じて回転数を変化させる仕組により、静音性にも優れている。

【選定理由】

・同クラスのフルプラグインとしてはコンパクト
・準ファンレス機能を搭載

【Specification】

ファン:12cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、EPS12V×1、Serial ATA×10、ペリフェラル×5、PCI Express 6+2ピン×4、FDD×1(変換ケーブル)●奥行き:16cm

SilverStone Technology SFX Series SST-SX600-G(実売価格:16,000円前後)

SFX標準サイズで
600Wを実現
600W / 80PLUS Gold / 3年間保証

 SFX電源としては最大クラス、ATX電源のメインストリームクラスと並ぶ600Wを実現。

 PCI Express 6+2ピン×2を備え、対応可能なビデオカードも豊富だ。奥行きもSFX電源で一般的な10cmに収め、かつフルプラグイン式を採用。ファンは8cm角のものを採用しているが、電源内部温度が45℃に達するまでは回転を停止する準ファンレス機能も備えている。

【選定理由】

・SFX最大の600W出力を実現
・小さくてもフルプラグイン式がうれしい

【Specification】

ファン:8cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×4、ペリフェラル×2、PCI Express 6+2ピン×2、FDD×1●奥行き:10cm

アビー AC150-AP04AA(実売価格:10,000円前後)

使いドコロによっては
ACアダプタは快適
150W / 1年間保証

 高性能で低消費電力のCPUが登場してくる中、再びACアダプタに注目してみるのもよい。

 本製品は80PLUS認証は得ていないが、変換効率としては88%以上というSilver認証並みの値を実現。ケース内部にはDC-DCコンバータ基板を装着して用いるが、コンパクトなためケース内部に余裕ができる。

 また、SFX変換ブラケットが付属する。

【選定理由】

・省電力トレンドとの相性よし
・ケース内スペースに余裕が生まれる

【Specification】

ファン:なし●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX12V×1、Serial ATA×2●奥行き:5.8cm

玄人志向 KRPW-PT600W/92+ REV2.0(実売価格:10,000円前後)

堅実な部品選択で
高効率とコストを両立
600W / 80PLUS Platinum / 3年間保証

 オール日本メーカー製コンデンサ採用はうたっていないが、1次側には日本メーカー製105℃品の電解コンデンサを、2次側の主要箇所には固体コンデンサを採用することで信頼性を高めている。

 奥行きはPlatinum認証電源としては最小クラスの14cm。ケーブルは直付けだが、600Wでここまで小さければコンパクトなケースでもかなり柔軟な構成が可能になる。

【選定理由】

・信頼性とコストのバランスがよい
・奥行き14cmのコンパクト設計

【Specification】

ファン:12cm角×1(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×6、ペリフェラル×2、PCI Express 6+2ピン×1、PCI Express 6ピン×1、FDD×1●奥行き:14cm



DOS/V POWER REPORT 2015年2月号は2014年12月27日(土)発売】

★総力特集「PCパーツ100選 2015」はもちろん、USB/LAN/クラウドを活用したファイルバックアップ術、スマートフォンやタブレットの充電に便利なUSB電源タップ 28製品の紹介、髙橋敏也氏による改造バカ一代など、多数の記事を掲載

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「保存版 PC自作スタートブック 2015」と「PC自作手帳 2015」が付属

★ 電子版は割安な税別926円
★ 電子版では小冊子の電子版も完全収録
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2014-12-26-1549.php

【電子販売ショップ】

(AKIBA PC Hotline!編集部)