COMPUTEX AKIBA出張所
水冷対応の「X570マザー」をASRockが発表、クリエイター向けモデルなど多数展示
Mini-ITXサイズの外付けビデオカードも展示(COMPUTEX AKIBA出張所 / ASRock編)
2019年5月30日 12:05
PC/IT関連の見本市「COMPUTEX TAIPEI 2019」が、5月28日~6月1日(現地時間)の日程で台湾で開催されている。
詳細な取材記事は僚誌PC Watchが報じているが、「実際の展示を見て、メーカーに伝える」というのはなかなか難しい。そこで、例年同様、メーカー協力による意見箱付きのレポートをお届けする。
記事末尾に製品やメーカーへの意見を入力できる入力欄を用意したので、ぜひ意見や要望を送信してほしい。いただいた意見はそれぞれのメーカーや国内代理店に送付、製品開発などの参考として活用していただく予定だ。
X570搭載マザーボードが多数展示、ビデオカードの新製品も
ASRockは、かつては「変態」という言葉に代表されるユニークな製品を多数投入する異色のメーカーというイメージが強かったが、昨今はゲーム向けブランド「Phantom Gaming」や、ハイエンドながらコストパフォーマンスを重視した「Taichi」、耐久性重視の「Steel Legend」などの幅広い製品をラインナップする堅実なメーカーといった印象が強くなってきている。さらに、2018年よりビデオカード市場にも参入し、ユーザーからも高い評価を得ている。
そんなASRockは今回、AMDの第3世代Ryzenに対応する新型チップセット「X570」を搭載するマザーボードをCOMPUTEX会場で多数展示。新たなブランドとなる「AQUA」や「Creator」を冠する製品を投入し、さらに多くのユーザーにアプローチしようとする姿が伺える。
それでは、X570マザーボードを中心に、ASRockブースやプレスカンファレンス会場で展示されていた新製品を紹介しよう。
本格水冷対応の新フラッグシップマザー「X570 AQUA」全世界で999枚の限定生産
マザーボードの新製品として、最新のX570チップセットを搭載したSocket AM4対応マザーボードが全部で10製品展示されていた。
その中でも注目したい製品が、フラッグシップモデルとなるE-ATXマザーボード「X570 AQUA」だ。X570 AQUAは、本格水冷に対応したマザーボードであり、全世界999枚限定生産の特別モデルである。ボード全体を覆う白いカバーが目立つが、そのカバーの右下部分には「001/999」のようにシリアルナンバーが刻印されている。
X570 AQUAは、フラッグシップモデルの名に恥じない、非常に高機能なマザーボードである。拡張スロットとしてPCIe 4.0 x16を3基、PCIe 4.0 1を3基の合計6基備え、PCIe 4.0 x4のHyper M.2を2基搭載している。また、Thunderbolt 3ポートも2基搭載するほか、10Gbit LANと1000BASE-T LAN、最大2.4Gbpsの通信が可能なWi-Fi 6や最新のBluetooth 5.0もサポートしている。
カバーの周囲やチップセット付近のクリアカバー部分には、フルカラーLEDが実装されており、美しくライトアップされる。水冷により、冷却性能と静音性を両立できる本製品は、とことん性能にこだわるエンスージアスト垂涎の製品といえるだろう。
なお、本製品の価格や出荷時期は未定だが、今回発表されたX570搭載マザーボードはすべて、日本でも販売される予定とのことだ。
高機能かつコストパフォーマンス重視の「X570 Taichi」、同ブランドで13番目の製品
ASRockのマザーボードの中でも、性能と価格の両立を図ったモデルが「Taichi」ブランドである。昨今のTaichiは、ギア(歯車)を模したデザインが施されていることが特徴であり、高機能かつコストパフォーマンスを重視したモデルということで人気がある。
今回登場した「X570 Taichi」は、初代Taichiから数えて13製品目となる、Taichiブランドの最新モデルだ。メモリスロットは4基で、DDR4 4666+までサポートする。拡張スロットとして、PCIe 4.0 x16スロットを3基とPCIe 4.0 x1スロットを2基搭載し、PCIe 4.0 x4接続のHyper M.2も3基搭載する。拡張スロット周りやHyper M.2スロットは、アルミ製の大きなカバーで覆われており、M.2 SSDから発生する熱を効率よく放熱することができる。
ワイヤレス機能も充実しており、Intel製のIEEE 802.11ax対応WiFiモジュールを搭載。最新のWi-Fi 6をサポートし、最大2.4Gbpsの高速通信が可能だ。さらに、Bluetooth 5.0にも対応している。
基板上にはThunderbolt AIC Connectorを備え、Thunderbolt 3 Readyとなっていることも特徴だ。オプションのThunderbolt AIC R2.0を利用することで、Thunderbolt 3を利用できるようになる。
クリエイター向けをうたうX570マザーも登場、ゲーム向けは3種ラインナップ
X570搭載マザーボードでは、新たにクリエイターPC向けマザーボード「X570 Creator」もラインナップに追加された。CG動画作成用など高性能なクリエイターPCの需要が増えていることに対応した製品であり、機能的にはゲーミングPC向けマザーボードと似ているが、装飾用LEDを一切装備していないことや、2基のThunderbolt 3や10Gbit LAN、入力用のDisplayPortを標準搭載していることが特徴だ。
また、人気のゲーミング向けブランド「Phantom Gaming」にもX570搭載製品が3モデル登場。最もハイエンドに位置する「X570 Phantom Gaming X」は、2.5Gbit LANと1000BASE-T LANを搭載。Wi-Fi 6にも対応しており、ASRock Polychrome SYNC対応のフルカラーLEDを装備している。
下位モデルとなる「X570 Phantom Gaming 4」は、PCIeスロットの数や装飾用LEDの数が減っているが、基本的な機能や性能については十分であり、あまり派手に光るマザーボードは苦手だという人にもお勧めだ。
3つ目の「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」にも注目したい。こちらは、Mini-ITX仕様のマザーボードであり、Thunderbolt 3やWi-Fi 6も標準でサポート、コンパクトで高性能なPCを作りたいという人にお勧めだ。ちなみに、CPUクーラーはAMD向けのものは装着できず、Intel CPU向け(LGA115x)のサードパーティ製クーラー(プッシュタイプは非対応)を利用する必要がある。
内部miniDP端子搭載でスマートにThunderbolt 3での映像出力ができるRadeon RX 590カードを展示、「Taichi」ブランドのコンセプトカードも
ASRockは、2018年からビデオカード市場にも参入を開始し、ゲーミングPC向けのOCモデルなどの人気が高いが、今回は、Radeon RX 590を搭載した新製品「Phantom Gaming U Radeon RX 590 8G OC」が展示されていた。
この製品は、アドレサブルRGB LEDを搭載しており、カード側面の同社ロゴの発光色を細かくカスタマイズできるようになっている。
また、内部接続用のminiDPポートを搭載。従来のビデオカードではThuderbolt 3経由で映像を楽しむには、外部にケーブルを接続して取りこむ必要があったが、今回の製品とThunderbolt 3インターフェースカードの新製品「Thunderbolt 3 AIC R2.0」と組み合わせれば、内部接続用のminiDPポートを使って、スマートにThunderbolt 3での映像出力が可能になる。
そのほか、Phantom Gamingブランドの次世代ビデオカードのコンセプトモデルやTaichiブランドのコンセプトカードも展示されていた。これらはコンセプトカードという立ち位置だが、同社の既存のビデオカードよりも発光面積が多くなっているのが見た目からも分かる。