COMPUTEX AKIBA出張所
2システム搭載できる個性派オープン型ケースや奥行き10cmの650W SFX電源をFSPが展示
80PLUS GOLD電源Hydro Gシリーズの後継製品も(COMPUTEX AKIBA出張所 / FSP編)
2019年6月1日 00:20
PC/IT関連の見本市「COMPUTEX TAIPEI 2019」が、5月28日~6月1日(現地時間)の日程で台湾で開催されている。
詳細な取材記事は僚誌PC Watchが報じているが、「実際の展示を見て、メーカーに伝える」というのはなかなか難しい。そこで、例年同様、メーカー協力による意見箱付きのレポートをお届けする。
記事末尾に製品やメーカーへの意見を入力できる入力欄を用意したので、ぜひ意見や要望を送信してほしい。いただいた意見はそれぞれのメーカーや国内代理店に送付、製品開発などの参考として活用していただく予定だ。
斬新な設計のMOD PC用ケースや電源ユニットの新製品が登場
FSPは、1993年に設立された電源機器メーカーであり、PC向け電源ユニットでは常にトップ5に入るシェアを誇る。同社の電源ユニットは、信頼性の高さに定評があり、ショップブランドPCでの採用が年々増えている。
FSPのブースでは、斬新な設計のMOD PC用ケースやPC向け電源ユニットの新製品をはじめ、産業用電源ユニットも多数展示されていた。なお、ブースレポートと別に、FSP本社でのインタビューと検証設備の見学をする機会をいただいたので、そちらの記事も近日中に公開予定だ。
ここでは、COMPUTEXのFSPブースに展示されていた製品の中から、特に注目すべき製品を取り上げる。
ATXマザーとITXマザーを同時に搭載可能なオープンタイプのPCケース「CMT710」
今回、FSPが展示していた製品の中でも、特に注目を集めていたのが、ユニークなデザインのオープン型PCケース「CMT710」である。CMT710は、陽極酸化アルミニウム製のフレームを曲げて作られた左右対称なケースであり、サイズは634×455×530mmとかなり大きい。上部は、翼のようなデザインになっており、躍動感にあふれている。左右にはガラスのパネルがあり、内部が透けて見える。左右それぞれに水冷ユニットを組み込めることが特徴で、展示されていた作例でも、ラジエーターが左右に1基ずつ搭載されており、2系統の水冷システムが組み込まれていた。
なお、CMT710は、MOD PCやゲーミングPC用として設計されたケースであり、展示されていた作例も台湾のJerry氏が製作したMOD PCである。このMOD PCでは、マザーボードは正面からみて左側に配置されており、右側にはSSDやHDDが実装されているが、スタッフの方の説明によると、左側にATXマザーボード、右側にITXマザーボードを搭載することが可能で、1つのケースに2つの独立したシステムを組み込むこともできるとのことだ。
いろんな意味で超弩級のケースだが、今のところ日本での販売予定はないとのことだ。
独自のMIA ICを搭載し、SFX電源ながら650Wの大容量を実現
FSPによれば、PC市場の中でも近年伸びているのが、ゲーミングPCとクリエイターPCだという。特に小型かつ高性能なPCへのクリエイターの需要は大きく、電源ユニットも小型かつ大容量、高効率のものが求められる。そこでFSPが開発したのが、SFX電源でも小型となる奥行き10cmクラスで650Wという大容量を実現した「DAGGER PRO 650W」(SDA2-650)だ。
DAGGER PRO 650Wは、FSPが独自に開発したMIA ICを搭載することで、部品点数を大幅に減らし、基板の小型化と高い変換効率を実現している。変換効率については、80PLUS GOLD認証のお墨付きだ。ファンの直径は92mmで、低負荷時にはファンが停止するセミファンレス仕様となっている。また、出力ケーブルがフルモジュラータイプになっているので、不要なケーブルでエアフローが妨げられてしまうことを防げる。
DAGGER PRO 650Wは、コンパクトかつ大容量であり、MOD PCの電源ユニットとして使うにも向いている。電源が小さければ、それだけ電源配置の自由度が増すため、よりデザインに注力したMOD PCを製作できるからだ。FSPのブースには、MOD PCが何台か展示されていたが、その多くがDAGGER PRO 650Wを採用していた。DAGGER PRO 650Wの日本での発売時期は、今年の夏以降になるとのことだ。
電源ユニットの新製品「Hydro GS PRO」と「Hydro GSM PRO」
電源ユニットの新製品として、「Hydro GS PRO」と「Hydro GSM PRO」の各シリーズにも注目したい。
Hydro GS PRO/Hydro GSM PROは、80PLUS GOLDの認証を取得した、高効率な電源ユニットであり、容量は550W/650W/750Wの3モデルが用意されている。Hydro GS PROは、出力ケーブルとして取り回しのしやすいフラットケーブルを採用しているのに対し、Hydro GSM PROは、出力ケーブルがセミモジュラー仕様になっている。
両モデルともファンの直径は135mmで、負荷が30%以下でファンの回転が止まるセミファンレス仕様となっている。日本製電解コンデンサを使うなど、パーツにもこだわった製品である。日本での発売は今年の年末くらいになるとのこと。
TUF GAMING ALLIANCE認定の電源ユニット「Hydro GE」も登場
最後に紹介したいのが、「Hydro G」の後継となる「Hydro GE」である。
Hydro GE 550WとHydro GE 650Wは、ASUSが提唱するゲーミングPCパーツの認定制度である、TUF GAMING ALLIANCEの認定を取得していることが特徴だ。Hydro GEは、80PLUS GOLD認証を取得しているほか、フルモジュラー仕様になっているので、無駄なケーブルが生じず、見た目もすっきりして、エアフローの改善にも貢献する。ファンの直径は135mmであり、日本製電解コンデンサを採用している。ゲーミングPCを組みたいという人にお勧めだ。
日本だけの特別モデルとして、750Wと850Wの大容量モデルも追加される予定だが、こちらはワールドワイドで販売される製品ではないため、TUF GAMING ALLIANCEの認定は取得していない。日本での発売は8月の予定とのことだ。