借りてみたらこうだった!

基板も銀色なゲーム/OC向けマザー「Z170A MPOWER GAMING TITANIUM」をテスト

GTX 1080の性能を引き出しきるためにCPUをOCしてみた text by 坂本はじめ

Z170A MPOWER GAMING TITANIUM

 今回レビューするのは、銀色のカラーリングが特徴のゲーマー&オーバークロッカー向けマザーボードMSI Z170A MPOWER GAMING TITANIUM。

 2016年7月に発売されたばかりの最新製品にして、Intel Z170 チップセットを搭載するマザーボードの中でも最上位クラスに位置しており、税込33,000~35,000円程度で販売されている。

基板まで銀色のゲーミングマザーボード、特徴的な外観をチェック

 Z170A MPOWER GAMING TITANIUMは、MSIのゲーマー向けの最上位ブランド「Enthusiast GAMING」シリーズに属するIntel Z170 チップセット搭載マザーボード。

 同社のオーバークロック向けマザーボードには「MPOWER」/「XPOWER」の名を冠する命名ルールがあり、Z170A MPOWER GAMING TITANIUMはゲーミング仕様であると同時に、オーバークロックマザーボードとしての側面も持っている。フォームファクターはATXで、基板サイズは305mm×244mm。

基板表面。
基板裏面。「TITANIUMバックプレート」と呼ばれる金属製のプレートを装備している。
バックパネルI/O。USB 3.1(Gen2) Type-Cポートも備えている。
黒を基調としたマザーボードが多い中、銀色を基板色にも採用した特徴的なカラーリング。
VRM冷却用のヒートシンクには「HEAVY PLATED HEATSINK DESIGN」に基づく肉厚のヒートシンクを搭載。

 製品名に付与された「TITANIUM」は、MSIが昨年から販売している「TITANIUM EDITION」シリーズの製品であることを示しており、マザーボードとしては珍しい銀色をメインカラーに採用している。

 Intel Z170 チップセットを搭載したTITANIUM Editionとしては、Z170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITIONがすでに販売されているが、Z170A MPOWER GAMING TITANIUMでは、金属製のバックプレートやバックパネルI/Oを覆うカバーを搭載するなど、デザインのブラッシュアップが図られている。

DDR4対応の両ラッチ式メモリスロットを4基搭載。
メモリとCPU間の配線と周辺の配線を分離するDDR4 Boostデザインを採用。メモリのパフォーマンスと安定性を高めている。
メモリスロットは「DDR4 STEEL ARMOR」仕様。金属による補強が施されている。

 メモリスロットはDDR4規格準拠のメモリスロットを4基搭載。16GBモジュールに対応しており、最大で64GBまでのメモリを搭載可能。

 また、Intel Z170 チップセットを搭載したことでオーバークロックメモリの利用が可能。メモリ回路を周辺から分離するMSIのDDR4 Boost設計により、DDR4-3866クラスの高クロックメモリに対応している。

 拡張スロットはPCI Express 3.0 x16スロット×3基、PCI Express 3.0 x1スロット×3基。NVIDIAの2-way SLIとAMDの3-way Cross Fireに対応している。

拡張スロット。PCI Express x16スロット×3基、PCI Express x1スロット×3基。
PCI Express x16スロットは強化仕様のSTEEL ARMORスロット。金属による樹脂パーツの補強と、はんだ付け箇所の増強により、スロットの変形を防ぐ。
PCI Expressスロットは帯域を共有しているため、同時に利用できるスロットには一部制限がある。2スロット目と4スロット目はCPU側の合計16レーンのPCI Expressをシェアするかたちになり、1/3/5/6スロットはチップセット側から割り当てられている4レーン分の帯域をシェアするかたちになっている。この制約はCPU/チップセットに同時利用可能なレーン数に制限があるため。ビデオカードの3枚挿しにも対応しているが、SLIは2-wayまで、Cross Fireであれば3-way構成も可能だ。

 ストレージ用のインターフェースには、SATA 6Gbps×6基、M.2スロット×2基、U.2ポート×1基。過去の製品で採用されていたSATA Expressを廃止し、代わりにU.2を追加した格好だ。

 M.2とU.2はいずれもPCI Express 3.0 x4接続に対応しており、高速なNVMe対応SSDを利用できる。なお、ストレージ用インターフェースは一部が排他仕様となっているため、すべてのポートを同時に利用することはできない。

SATA 6Gbpsポート×6基。
U.2ポート。PCI Express 3.0 x4接続に対応している。
M.2ポートを2基搭載。どちらもPCI Express 3.0 x4またはSATA 6Gbpsでの接続に対応。スロットはSTEEL ARMOR仕様で、金属プレートにより補強されている。
CPUソケットに近い側のM.2スロットは最大で110mm長のカードを搭載可能。
CPUソケットから遠い側のM.2スロットは80mm長までの対応。こちらがわのスロットはU.2コネクタと排他仕様になっている。
同時利用可能なストレージ用インターフェースの一覧。

GTX 1080の性能を引き出すためのCPUオーバークロック
 実は最上位CPUでも性能は足りていない?

 ゲーマー向けであり、オーバークロック向けでもあるZ170A MPOWER GAMING TITANIUM。今回はゲームでCPUをオーバークロックすることの効果を確認してみたい。

 CPUをオーバークロックするとき、Z170A MPOWER GAMING TITANIUMには手動で設定を行う以外に、UEFI上でGame Boostと呼ばれる自動オーバークロック機能を利用するという手がある。

 Z170A MPOWER GAMING TITANIUMのGame Boostは、UEFI上のGame Boostボタンをクリックすることでオーバークロック設定を適用するという機能で、Intel Core i7-67000Kなら4.4GHz、Intel Core i5-6600Kなら4.1GHzにオーバークロックされる。

画面左上のGAME BOOSTボタンをクリックすることで、機能のON/OFFを切り替える。
Z170A MPOWER GAMING TITANIUMでは、CPU毎に設定される動作クロックが決まっている。

 とても簡単にCPUのパフォーマンスを向上させることが可能なGame Boostだが、CPUのオーバークロック耐性の個体差をカバーするため、CPU電圧はやや高めに設定される傾向がある。

4.4GHzの動作クロックに対して、CPU電圧(CPU Core Voltage)は1.35Vに設定された。

 そこで今回は、UEFIのOCメニューから以下の項目を手動で設定することで、Intel Core i7-6700KをGame Boostの設定よりも高い4.6GHzにオーバークロックしてみた。

UEFIのOCメニュー。CPUの動作設定は設定はここで行う。
オーバークロック時の設定リスト
今回はGame Boostの設定電圧より低いCPU電圧で4.6GHzでの動作を実現できた。

 先述の通り、CPUのオーバークロック耐性には個体差があるため、ここで行った性能の通りに設定しても安定した動作が得られるとは限らないが、基本的にはCPUクロックとCPU電圧の調整だけで完了する。あとは安定動作が得られるまで、ストレステストと設定の調整を繰り返すだけだ。

 ストレステストの手順は割愛するが、OCCTやPrime95といったソフトが安定性をはかる定番ソフトとして使われている。

CPUのオーバークロック設定の流れ。より凝った設定もできるが、常用オーバークロックで手軽に性能向上を得るなら、CPUクロックとCPU電圧の設定だけで十分だ。
テストに使用したMSI GeForce GTX 1080 GAMING X 8G。ベンチマークはOCモードにクロックを切り替えて行っている。

 さて、オーバークロックすることで実際にパフォーマンスはどの程度向上するのか。「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」でパフォーマンスをチェックしてみた。

 なお、ビデオカードには最新のハイエンドGPU「GeForce GTX 1080」をオーバークロックして搭載したMSIの「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」を使用した。

4.6GHzオーバークロック時のスコア
CPU定格時のスコア

 ベンチマークの結果だが、CPU定格時のスコアが19,164だったのに対し、4.6GHzにオーバークロックした条件した際のスコアは20,424。約6.5%のスコアアップを果たしている。

 グラフィックスの描画はGPUが担当しているが、GPUの性能に対してCPU性能が不足するような構成では、GPUは自身の性能をフルに発揮できない場合がある。CPUのオーバークロックによって6.5%も性能が向上したということは、現在最速の4コア8スレッドCPUであるIntel Core i7-6700Kは定格動作でも、GPUの足を引っ張ってしまっているということだ。

ベンチマーク中のGPU使用率推移。テスト中盤はCPUへの要求が高いためGPU使用率が落ち込んでいるのだが、赤色で示した4.6GHz時のGPU使用率は、灰色で示した定格時のGPU使用率より高くなっている。これは、「GPUに仕事をさせている=GPUの性能を引き出している」ということである。

 このようにCPUがGPUの足を引っ張ってしまうという現象は、使用するスレッド数の少ないゲームタイトルや、100fpsを超えるような高フレームレートでの動作を狙うとき、ハイエンドGPUのマルチGPU環境などで起こりやすい。GPU性能ばかりに注目しがちなゲーミングPCであっても、CPUのオーバークロックにはゲームでのパフォーマンスを押し上げる効果があるということは間違いない。

・テスト環境
 CPU IntelCore i7-6700K
 マザーボード MSIZ170A MPOWER GAMING TITANIUM
 メモリ DDR4-2133 8GB×2
 SSD OCZ Vector 180 (480GB)
 CPUクーラー CryorigIR1 Universal
 電源 玄人志向KRPW-TI700W/94+(700W/80PLUS TITANIUM)
 OS 日本マイクロソフトWindows 10 Pro(64bit)
 グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 368.81

OCパフォーマンスや見た目にもこだわれるゲーミングマザーボード

 MSI Z170A MPOWER GAMING TITANIUMは、オーバークロックもできるゲーミングマザーボードというポジションの製品だ。

 その特性を活かしてCPUをオーバークロックすれば、Core i7-6700Kでも性能が足りないといったケースが発生した場合にパフォーマンス改善を望めることもある。最新世代のGPUや、それを複数搭載することで得られるリッチな描画性能をより引き出すことも可能となるだろう。

 もちろん、銀色をメインカラーとしたデザインも大きな魅力だ。側面にアクリルやガラスの窓を備えたデザイン性重視のPCケースと組み合わせ、見た目を楽しめるPCを組み上げるという楽しみ方もできる。

 パフォーマンスや見た目にこだわったゲーミングマシンの構築を目指すユーザーにとって、Z170A MPOWER GAMING TITANIUMは魅力ある製品となるだろう。

[制作協力:MSI]

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