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アイ・オーが「5年ぶりの新NAS」、Synologyが「DSM 6.1」、QNAPが「USB直結」をアピール
「NAS EXPO 2016 秋」開催レポート(NAS編) text by 石井英男
2016年10月12日 06:45
10月8日、ベルサール秋葉原で、NASがテーマのイベント「NAS EXPO 2016 秋」が開催された。
NAS EXPOは、主要NASメーカーや関連機器メーカーが参加し、NASの基本的な使い方からクラウド/スマホとの連携、ビジネスやプライベートでの活用までを紹介するウエスタンデジタルジャパン主催のイベントで、今回が2回目。初開催となった昨年は1万名近くが来場し大成功となったが、今回は昨年を上回る13社・ブランドが出展し、来場者数も昨年を上回ったという。
当日のイベントでは、新製品の展示やステージセッションなど、多くの見どころがあった。「NASの入門向け」セッションのレポートはすでに掲載したが、今回は「NAS編」として、NASメーカー4社(アイ・オー・データ機器、Synology、ASUSTOR、QNAP)のブースやセッションの様子をレポートする。
アイ・オー・データは、5年ぶりのフルモデルチェンジをアピールHDDの稼働時間を偏らせて同時故障を防ぐ「拡張ボリューム」も
アイ・オー・データ機器のブースでは、5年ぶりのフルモデルチェンジとなったコンシューマー向けNASの新製品「HDL-AAシリーズ」と「HDL2-AAシリーズ」を中心に展示を行なっていた。
これらの新製品は、従来、ビジネス向けモデルにしか搭載されていなかった機能。例えば、HDDの稼働時間を偏らせることでHDDの同時故障を防ぐ独自のデータ二重化技術「拡張ボリューム」や、必要な機能をあとから追加できるアドオン機能を採用している。
さらに、騒音を抑えながらも十分な冷却性能を実現する大口径ファンや信頼性の高い国内メーカー製コンデンサーを採用するなど、ハードウェアの品質にもこだわったという。また、録画向けHDD「RECBOX」の未発表製品「HVL-Sシリーズ」も参考出品されていた。HVL-Sシリーズは、買い増しユーザー向けの製品で、近日中に発表される予定とのことだ。そのほか、ビジネス向けNASの新製品「HDL2-Xシリーズ」や「HDL4-Xシリーズ」も展示されていた。これらのビジネス向けNASには、Western DigitalのNAS向けHDD「WD Red」が搭載されている。
ステージセッションを行なったのは、同社の宇津原武氏でタイトルは「いよいよ登場!ズバリ、爆速、NASでしょう!! ~認めてください、アイオーNASの性能とやらを~」というもの。
同氏は、新製品の特徴として「3つの高速性能」「進化するNAS」「データの安全運用」の3つを挙げた。
3つの高速性能とは、「高速CPU採用」「SMB 3.0対応」「USB 3.0搭載」であり、進化するNASとは、使いたい機能だけを後からアドオンできることを指している。データの安全運用については、2台のNASを使って、片方のNASを丸ごとクローンし、障害が起きたときにはそちらに切り替わるリレーNAS機能や、RAIDの弱点を解消する「拡張ボリューム」の採用をアピール。
また、シャアの声優として有名な池田秀一氏のナレーションによる「HDL-AAシリーズ」と「HDL2-AAシリーズ」のプロモーション動画が再生され、宇津原氏は、新製品は、従来の「3」倍は速いとアピールした。セッションの最後には、恒例のじゃんけん大会も実施、勝者には新製品の「HDL-AAシリーズ」がプレゼントされた。
Synologyは、期待の新OS「DSM 6.1」をちょっとだけ披露無線ルータも展示
Synologyのブースでは、多数のNASボックスが展示されていた。
同社は1ベイのコンシューマー向けモデルから12ベイのビジネス向けモデルまで、非常に充実した製品ラインナップを誇り、4K対応トランスコードエンジンを搭載したマルチメディアセンター向け機種もリリースしている。
しかし、今回のNAS EXPO 2016 秋では、NASの新製品は特になく、同社製NASの魅力が、ハードウェアよりもソフトウェアにあることをアピール。独自のNAS専用OS「DSM」の新バージョン「DSM 6.1」が来年出ることなどを紹介していた。ただし、その「DSM 6.1」の詳細は11月2日に同社が実施するカンファレンス「Synology 2017発表会」で解説予定とのこと、ブースではその新機能の一部が少しだけ明らかにされていた。
なお、同イベントは事前登録制で、会場でも事前登録を受け付けていた。
このほか、国内未発売の無線LANルーター「RT1900AC」も展示されていた。RT1900ACは日本での発売予定はないようだが、その上位製品は日本での販売も検討しているという。
ステージセッションでは、最初にSynology社のSales MangerをつとめるWillie He氏が、Synologyの沿革や同社製品の採用実績などについて説明を行なった。次に、代理店のフィールドレイク取締役営業本部長の倉石敬介氏が、SynologyのNASが実現するパーソナルクラウドについての解説を行なった。
SynologyのNASは、セットアップが簡単で、豊富なアプリケーションが用意されていることが利点であり、モバイルデバイス用アプリケーションも利用できるため、スマートフォンなどからも快適に利用できることをアピールした。
続いて、フィールドレイク営業企画部部長の小川将司氏が登場し、実際の利用シーンを紹介した。小川氏は、SynologyのDiskStationを利用すれば、PCやスマートフォンなど、複数のデバイスでフォルダの内容を自動同期することが可能なことや、写真の管理が容易にできることなどを解説した。最後に、Synology 2017の案内を行ない、来年リリース予定の新OS「DSM 6.1」に関する情報を少しだけ明らかにした。
QNAPは「USB直結」もできるNASを展示メモリーカードスロットも
NASの定番メーカーの1つであるQNAPだが、今回はブース展示のみ実施した。
ブースでは、PCにUSBで直結してデータ転送することもできる機能「USB QuickAccess」を搭載した新製品「TS-251A」を日本で初めて披露。来場者の関心を集めていた。
このほか、TS-251AやTS-453Aは、赤外線リモコンで操作ができることも特徴だ。また、Thunderbolt 2にも対応するハイスペックモデル「TVS-682T」は、1台でDAS、NAS、iSCSI-SANの3役をこなす製品であり、柔軟なファイル共有ができる。
ASUSTORは10ベイモデルまで多数を展示
台湾ASUSグループのNAS専業メーカーであるASUSTORもブースのみ出展。
ASUSTORのブースでは、2ベイのエントリーモデルから10ベイのハイエンドモデルまで、多くの製品が展示されており、HDMI出力を備えた製品なら直接液晶ディスプレイなどを接続して、YouTubeなどのネット動画の再生が可能なことを示すデモも行なわれていた。