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第12世代Coreプロセッサー「Alder Lake」がデビュー、最上位のCore i9-12900Kは79,800円

Intelの第12世代Coreプロセッサー「Alder Lake」が発売

 Pコア+Eコア構成のハイブリッド・アーキテクチャーを採用したIntelのデスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサーが11月4日(木)に発売された。ラインナップは6モデルで、GPUを搭載した最上位モデルのi9-12900Kや、非搭載のi9-12900KFなど。販売価格は36,999円~79,800円前後。

2種類のコアで構成される「ハイブリッド・アーキテクチャー」を採用したCPU

 これらは、開発コード名「Alder Lake」の第12世代Coreプロセッサー。2種類のCPUコアで構成される「ハイブリッド・アーキテクチャー」(以下HA)を採用するのが大きな特徴。CPUは、フォアグラウンドで動作する高性能コア「Pコア(Performance-core)」と、バックグラウンドで動作する高効率コア「Eコア」(Efficient-core)とで構成される。

 Pコアはシングルスレッドで動くゲームなどで高性能を発揮し、Eコアはタスク管理によって割込み頻度を低減するという役割を持ち、この組み合わせによりシングル/マルチスレッド性能を向上させるとしている。

 Pコアのシングルスレッド性能は、同一クロックの第10世代Core(Comet Lake-S)と比較して28%向上、第11世代Core(Rocket Lake-S)との比較では14%向上しているという。

 HAによるマルチスレッド性能については、Core i9-12900Kを前世代のCore i9-11900Kと比較した場合で、ピーク時性能が最大50%アップしたほか、電力効率が向上し約1/4の電力で同等の性能を発揮できるとしている。

 Pコア、Eコアへの処理の振り分けは「Intel Thread Director」によって行なわれる。OSとの連携によって機能するもので、Windows 11と組み合わせることで最大限に活用されるとしている。

 ちなみにIntelが公開したベンチマーク結果によると、Core i9-12900KはGeForce RTX 3090を搭載したPC環境でAMDのRyzen 9 5950X(16コア)を上回る結果を記録したという。

CPUソケットは新型のLGA1700に、チップセットは「Intel 600」に変更され、DDR5メモリやPCIe 5.0へ対応

 第12世代Coreではプラットフォームも大きく変化。CPUソケットの形がこれまでのLGA1200から新型のLGA1700に替わり、対応チップセットとしてIntel 600シリーズが用意された。メモリも従来のDDR4とはコネクタ形状が異なる、新世代のDDR5に対応した。

 このため、旧世代のユーザーが第12世代Coreを使うにはマザーボードの買い替えが必要だが、メモリについてはDDR5だけでなくDDR4も新CPUで使用できるようになっており、DDR4対応のLGA1700マザーを選んで初期コストを抑える、といったことも可能だ。

Core i9シリーズ

 PCIeインターフェイスが4.0から5.0にバージョンアップしたのも進化点。将来、PCIe 5.0対応のビデオカードやSSDが登場すれば、PCの性能を上げるための手段になり得る。

 DDR5メモリとPCIe 5.0インターフェイスでは、前のDDR4、PCIe 4.0と比べデータ転送を行なうための帯域幅が2倍になっており、DDR5では電力効率や記録密度の向上、「オンダイECC」によるエラー訂正機能も実現されている。

 また、DDR5メモリはXMP 3.0に対応し、従来まではXMPプロファイルは2つまでとなっていたが、新たに5つのプロファイルを保存できるようなり、うち2つはユーザーが書き込み可能なものとなっている。

現時点のCPUラインアップは6モデル、最上位の「Core i9-12900K」はシリコンウェハー風ケースに収納

 現時点のCPUのラインナップは6モデル。XeアーキテクチャGPUの「Intel UHD Graphics 770」を搭載するi9-12900K(16コア/8P+8E、24スレッド)、i7-12700K(12コア/8P+4E、20スレッド)、i5-12600K(10コア/6P+4E、16スレッド)の3つと、GPU非搭載で同じコア数、スレッド数のi9-12900KF、i7-12700KF、i5-12600KFの3つが用意される。

 HAを採用する第12世代Coreでは、CPUの仕様を確認する上でこれまでとは違う部分があるので、以下で触れておきたい。

 1つの物理コアで2スレッドを実現する「Intel Hyper-Threading Technology」(以下HT)が従来同様に搭載されるが、HTが働くのはPコアのみ。このため、単純に「コア数×2=スレッド数」とはならず、例えばコア総数が16のi9-12900Kは24スレッド(8P×2 + 8E)、10コアのi5-12600Kは16スレッド(6P×2 + 4E)となる。

Core i9-12900Kのパッケージ。CPUはシリコンウェハー風のケースに収納されている

 動作周波数もPコアとEコアで異なる。i9-12900Kの場合、ベース周波数(Processor Base Frequency)とターボ周波数(Processor Turbo Frequency)は、Pコアが3.2GHz/最大5.1GHz、Eコアが2.4GHz/最大3.9GHzで、さらにPコアのみ機能するTB 3.0周波数(Intel Turbo Boost Max Technology 3.0)が最大5.2GHzとなっている。

 また、システムメモリとの間でデータをやりとりする際のバッファとなるキャッシュについて、従来もあったL3キャッシュの「Intel Smart Cache」に加え、L2キャッシュの「Total L2 Cache」がWebサイトの製品情報などで表示されるようになった。なお、旧世代のCoreにおいても技術資料ではL2キャッシュ仕様は確認できる。

 L2キャッシュの1コア(Pコア)あたりの容量は、前世代の512KBから1.25MBに増加。i9-12900KではTotal L2 Cacheは14MBとなり、Intel Smart Cacheは30MBとなっている。

Core i7シリーズ

 電力仕様においても、TDPを指す「Processor Base Power」(以下PBP)だけでなく、「Maximum Turbo Power」(最大ターボ電力、以下MTP)が表示されるようになった。i9-12900Kの場合はPBPが125W、MTPが241Wだが、前述のとおり電力効率が向上したことで、i9-11900Kの最大のマルチスレッド性能を、i9-12900Kでは65Wで実現できるという。

 ちなみに、旧世代のCoreではMTPは「PL2(Power Limit 2)」としてデータシートに記載されており、第11世代Coreの場合は、i9-11900KなどのTDP 125WモデルはPL2が251W、TDP 65WモデルはPL2が224W(6コアの場合は154W)などとなっている。

Core i5シリーズ

[取材協力:オリオスペックソフマップAKIBA パソコン・デジタル館ツクモパソコン本店ツクモeX.パソコン館ドスパラ秋葉原本店パソコン工房 秋葉原BUYMORE店パソコンショップ アーク]