ニュース

注目の「給料制」プロゲーミングチームDetonatioN FMの
「世界挑戦ツアー」、凱旋結果を見に行ってみた

text by スイニャン

DetonatioN FocusMeの面々。ファンからのメッセージが書かれた日の丸を持って世界大会にのぞんだ

 最近、とみに話題になっている「eスポーツ」だが、今の話題の中心は秋葉原にあるeスポーツ施設「e-sports SQUARE AKIHABARA」であり、近々日本サーバーが立ち上がると噂されているゲーム「League of Legends」(Riot Games / 以下LoL)だ。

 中でも注目されているのが、国内独自リーグ「LJL 2015」のシーズン1で優勝し、あまつさえ「完全給料制」「専用宿舎(ゲーミングハウス)での生活とトレーニング」といった「プロとしてのありかた」にフォーカスしているプロチーム「DetonatioN FocusMe(以下DetonatioN FM)」。

 今回はそのDetonatioN FMが、4月30日にe-sports SQUARE AKIHABARAで開催した「世界挑戦ツアー凱旋パーティ」の模様をお伝えする。

話題の「League of Legends」で世界に挑戦

IWCI決勝戦会場の様子
トルコでは紹介用のインタビューも収録された

 5人のプレイヤーでチームを結成、役割を分担しながら敵チームと戦うLeague of Legendsだが、今回、国内リーグを制したDetonatioN FMに与えられたのは、Riot Gamesが主催するLoLの公式世界大会「IWCI(International Wild Card Invitational)」への参戦権。

 DetonatioN FMは、参戦前のトレーニングを「プロの世界」が感じられる米国で実施。その後開催地のトルコに渡って参戦。世界に対して1勝したものの結果は1勝6敗。

 「凱旋パーティ」では、出場選手が悔しさをにじませつつ「世界の壁は厚かった」「次のIWCIまでに精進したい」と口々に語った。

 なお、パーティに参加したDetonatioN FMのメンバーはBonziN選手、Astarore 選手、Ceros選手、KazuXD選手の4選手とマネージャーのLGraN氏。このほか、アメリカブートキャンプに同行した株式会社ロジクールの仲尾周三郎氏とLJL専属キャスターのeyes氏が参加。LJL総合司会でおなじみの室川慎也氏とLJL広報担当Angelatty氏の2人が聞き手となった。

初挑戦ながら勝ち星もしかし世界の壁は高かった…

勝利の直前。
勝利の直後、抱擁する選手たち
唯一勝利したこの戦い、Ceros選手(写真)は「ミッドCorki(ゲーム内の構成)はソロQで一度やっただけ、練習でもやったことがない」という、ぶっつけ本番の賭けに出た。チームメイトからは「Cerosには信頼を置いているので、どんなチャンピオンを使っても大丈夫だと思った」(KazuXD選手)というコメントも。

 それでは会場で語られた試合経緯と選手の声を紹介しよう。

 国内王者として世界に挑戦することになったDetonatioN FMだが、世界レベルではまだまだ経験不足なのは否めないようだ。

 結果、大会初日は連続2敗、という痛恨の内容に。LGraNマネージャーによると、「他の出場チームともスクリム(練習試合)していたが、各国とも練習と本番では実力がまるで違っていた。どうしたら良いのか分からなかった……」そうで、困惑げ。

 それでも日本代表の意地か、2日目は「(戦略的に行けるはずだが)練習したことはない」という初めての編成で試合に挑戦することに。この戦略はて見事にハマり、ついに世界大会で初勝利。

 この結果、予選突破の可能性を残すことができ、喜びに沸く選手。LGraNマネージャーは感極まって泣きだすほどだったとか。しかし、続く3日目にまたも2敗。予選突破の夢は破れてしまった。

 ……そして帰国。悔しさを隠せない、各選手とマネージャーの声を紹介しよう。

Astarore 選手:
アメリカで自分たちに足りないものが見えてきたが、トルコまでに修正しきれなかった。今後は修正して次に生かしていきたい。
KazuXD選手:
世界の壁は思っていた以上に厚かった。その中でも1勝できたのはよかったが、悔しい思いをした。
BonziN選手:
1勝できたのはうれしかったが、結果には満足はしていない。次のIWCIまでにはもっと精進して頑張りたい。
Ceros選手:
敗退してとても落ち込んだが、課題がたくさん見つかったので今は次に向けてその課題に取り組んでいる。IWCIに行く前より、今のほうがモチベーションが高い。
LGraNマネージャー:
1勝しかできなかったのは残念な結果だと思っているし、ファンのみなさんに申し訳ない。マネージャーとしてもっと良い環境、勝たせてあげる環境をつくれたんじゃないかと悩んだ。今回の結果をバネに今後も頑張っていきたい。

自信と団結力を得たアメリカブートキャンプ

ブートキャンプの様子
外でリフレッシュ

 さて、順序は逆になるが、パーティでは、「IWCI」参戦前のアメリカでの武者修行(ブートキャンプ)についても語られた。

 「日本から来たプロチーム」としてロジクール本社で紹介されたエピソードや、米国プロチーム「Cloud9」と撮った写真を公開。憧れの選手とツーショットを撮らせてもらったKazuXD選手は、エピソードを語りながらも興奮気味。「リスペクトしてます」と直接英語で会話できたことが印象的だったとか。

 練習については、かなり激しくやっていたようで、「朝起きてから寝る直前までゲームをしていた」そう。「食事やトイレは(チーム間で試合設定を調整する)バンピックの時間を利用した」ほど。実際、「最初はちょっとスクリムを入れすぎた」(LGraNマネージャー)と苦笑いしつつ反省も。練習相手については「世界大会(LCS)に出ているチームも含まれる」そうで、そうした相手と直に戦えたことはいい経験になったようだ。

 「ブートキャンプで得たものは?」という質問には、選手たちは口をそろえて「自信がついた」とコメント。さらに、「10日間の合宿で本当の意味でチームワークができた。普段以上にケンカをしたが、それによってチームとしての団結力が生まれた」と語り、ゲームの実力はもちろん、メンタル面でも良い効果が得られたよう。

 ちなみに、食事は「量が多すぎて食べきれなかった」といい、わざわざ日本食を食べに行った写真も公開。そのほかCeros選手とBonziN選手が乗り物酔いで苦労した話や、ロジクールの仲尾氏の提案による「ゴールデンゲートブリッジ1日観光」の思い出について楽しそうに語っていた。

LJL連覇を目指しDetonatioN FM新体制発表

DetonatioN FMの新体制

 最後にDetonatioN FMのマネージャーLGraN氏より、5月23日(土)からスタートする「LJL 2015」のシーズン2に向けて、チームの新体制が発表された。

 これまで選手を兼務していたKazuXD選手が、ゲームを分析して戦略を考える「アナリスト」専任となり、さらに海外からも戦術アナリストを招聘するという。選手は1名減る計算だが、既存の4名とYumeoti選手に加え、Ozone Rampageより移籍したZenith選手と韓国生まれのHwang選手を新たにチームに迎えたことを発表。シーズン2開幕間近には新たな発表を予定しているとのことなので、今後の展開にも期待したい。

 「LJL 2015」のシーズン2にはDetonatioN FMを含む全6チームが参戦する。ほかのチームが打倒DetonatioN FMを掲げるであろうプレッシャーの中、世界挑戦ツアーを通じてひと回りもふた回りも成長したDetonatioN FMが連覇を果たせるのか、注目である。