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モバイル液晶「On-Lap」がさらに強化、スティックPCやChromecastをドッキングできる「On-Lap 1503I」
小型・軽量化に明るさ・コントラスト改善、そして「15インチ自作タブレット」…… text by 清水 理史
2016年11月28日 00:01
モバイルディスプレイメーカーとして知られるGeChicから、On-Lapシリーズの最新モデル「1503I」が登場した。
さらなる小型化、軽量化が図られただけでなく、背面ケーブルや拡張ドックなど、背面をうまく活用することで、実用性を大幅に向上させているのが特徴となる。その使い心地を実際に試してみた。
狙うは「主役」?小型+軽量化に加え、スティックPCとのドッキング機能も
メインディスプレイの拡張やミラーリング、サーバー機器などの一時的な画面表示など、「On-Lap」と聞いて思い浮かべるのは、「サブ」や「一時的」といったイメージだろう。
そんなOn-Lapシリーズのイメージを覆す製品が、今回、新たにラインナップに加わった。15.6インチのタッチ対応モバイルディスプレイ「On-Lap 1503I」だ。
従来モデルとなる「On-Lap 1502I」の後継となる製品だが、液晶部分の高品質化やさらなる携帯性の向上といった基本部分の強化だけでなく、「背面」をうまく活用することで新たな用途を生み出しているのが最大の特徴だ。
詳細は後述するが、背面には各種ケーブルが取り回し出来るようになっており、専用の拡張ドックを背面に接続することでスティックPCを装着することも可能になっている。
登場当初から良い意味で「キワモノ」的な存在感のあったGeChicのモバイルディスプレイ「On-Lap」シリーズだが、またしても我々の予想を超える姿を見せてくれたことになる。
今回の「On-Lap 1503I」でGeChic社が目指す次のステップは、もしかすると従来型のPCやタブレットに代わる主役の座なのかもしれない。
実用性を重視したアップデート輝度やコントラストが向上、重量も「ほぼ1kg」に
それでは、製品をチェックしていこう。まずは、スペックから。
従来モデルであるOn-Lap 1502Iと比較すると、基本スペックの部分からしっかりと手が加えられており、見た目も中身も従来モデルとは別物になっていることがわかる。
On-Lap 1503I | On-Lap 1502I | |
---|---|---|
サイズ | 15.6インチ | ← |
解像度 | 1,920×1,080 | ← |
パネル | IPSノングレア | ← |
タッチ | 静電容量10点マルチタッチ | ← |
最大輝度 | 250cd/m2 | 220cd/m2 |
コントラスト | 700:1 | 400:1 |
視野角 | 160度/160度 | ← |
応答速度 | 12.5ms | 17.5ms |
入力端子 | HDMI/VGA/USB(C)/Dock port | HDMI/VGA/ヘッドホン |
スピーカー | 1.0W×2 | 1.0W×2 |
電源 | 5V---2A | 5V---1.8A |
サイズ | 382×245×12 | 430.4×248.3×9.9 |
重量 | 1,064g | 1,350g |
画面サイズや解像度、視野角などは同等だが、輝度やコントラスト、反応速度が向上しており、ディスプレイとしての見やすさが向上している。USB給電で電力が限られることから、モバイルディスプレイは暗くて見にくい、というイメージを持っている人もいるかもしれないが、本製品ならそういった心配は一切ないだろう。
また、サイズも小さく、軽くなった。サイズは厚さこそ12mmと1cmをわずかに超えてしまったものの、幅が従来モデルの430.4mmから382mmと5cmも小さくなっている。従来モデルの1502Iは本体左側にLEDなどが配置されたスペースがあったが、1503Iは余計なベゼル部分に余計なスペースがなく、コンパクトかつデザイン的にもスッキリとしたイメージに仕上がっている。
重量もわずかに1kgをオーバーしてしまったが、従来モデルの1,350gから1,064gへと大幅に軽量化されている。実際に手に取った感覚としても、15.6インチというサイズとの感覚のズレからか、予想以上に軽く感じられる。
他のモデルですでに採用されていたカバーも標準で同梱されているうえ、背面にはマグネット式のスタンドも備え付けられており、持ち運ぶというモバイルディスプレイの基本をしっかりと抑えたまさに実用性重視の製品となっている。
背面にHDMI+USBコネクタを搭載可能「ノートPCのすぐ横」にも置きやすく
そして、今回のOn-Lap 1503Iで最大の特徴と言えるのが背面の活用だ。前述したように、背面の活用には、ケーブルの取り回しと拡張ドックの活用という2つのポイントがあるが、まずはケーブルの取り回しから見ていこう。
これまでのモバイルディスプレイは、ケーブルの取り回しの悪さが一つの弱点だった。本体側面から飛び出すケーブルは見苦しいだけでなく、本体の設置場所などにも制約を与えていた。
今回のOn-Lap 1503Iも、標準では側面にケーブルを接続する。側面といっても下の方に端子があるうえ、電源はUSBタイプCが採用されたことで向きを意識せずに接続できるようになったものの、画面出力用のHDMIと電源供給用のUSBケーブルが横にはみ出すことは避けられない。
しかし、別売りのオプションとして提供されている「HDMI-A/USB-A ドックポートケーブル」を利用すると、背面にある30pinの接続ポートを利用して、背面側にHDMIとUSBの両ケーブルを接続することが可能になる。
ケーブルが横方向にはみ出さなくなったことで、見た目が断然スッキリとしたうえ、たとえばノートPCのサブディスプレイとして、向かって右側にOn-Lap 1503Iを設置したい場合でもケーブルのための隙間を開けることなく、ぴったりとメインディスプレイの横に並べることができるようになった。
なお、On-Lap 1503シリーズにはタッチ非対応の「On-Lap 1503H」も存在するが、1503Hでは本体を縦に向けて利用するポートレイトモードが利用可能になっている。この際も同様に背面にケーブルを接続すれば、上部からはみ出したケーブルが視界に入らないため非常に使いやすい。付属のスタンドも縦方向での設置に対応しているので、webページや文書を表示する機会が多い場合は縦方向に対応した1503Hもおすすめだ。
スティックPCを背面に装着、さらにモバイルバッテリーで「15インチの自作タブレット」に
続いて、拡張ドックについて見ていこう。
こちらも別売りのオプションとなっているが、うまく活用することで、On-Lap 1503IをタブレットやKIOSK端末、組み込み機器として利用可能になる。
取り付けは、背面の30pinコネクタを利用する。接続後、付属のねじで2か所を固定すれば準備が完了だ。ドックには、HDMI端子と電源出力用のUSB端子が用意されているため、ここにスティックPCやワイヤレスディスプレイアダプタ、ChromecastなどのHDMIデバイスを直結することが可能になる。
さらに、拡張ドックにモバイルバッテリーも装着することが可能だ。拡張ドックには、1503I本体(とHDMIデバイス)に給電するためのUSB端子に加え、モバイルバッテリー固定用のマグネットが内部に配置されている。
モバイルバッテリーの側面に付属の金属マウントを貼り付けておけば、スティックPCなどと一緒にモバイルバッテリーも拡張ドックに固定することが可能だ。
つまり、拡張ドック、スティックPC、モバイルバッテリーとフル装備にすることで、On-Lap 1503Iを単独動作可能な端末として利用可能になるというわけだ。
試しに、マウスコンピューター製のスティックPC「MS-NH1-W10」を拡張ドックに装着。モバイルバッテリーと組み合わせて利用してみたが、Windows 10搭載のタブレットPCそのもののように利用することができた。
もちろん、On-Lap 1503Iはタッチ操作にも対応すると、Windows 10をタブレットモードに変更すれば快適そのもの。各種アプリを手軽に活用することが可能だ。
試しにニュースや天気アプリを起動してみたが起動も高速で、画面表示や操作にストレスを感じるようなこともない。動画配信サービスやゲームなどを利用しても画面の遅延が気になるようなこともなかった。
初期のスティックPCは発熱が問題になることもあったが、最近のモデルは放熱性も考慮されているうえ、ストレージも高速かつ容量も十分(今回モデルは32GB)で、想像以上に快適に利用できる。
よく考えてみれば、15.6インチという大画面で利用できるタブレットというのは、なかなか珍しい存在で、画面が見やすく、操作しやすいことのメリットを実感させられた印象だ。
スティックPCは、デジタルサイネージなどの分野での活用が進んでいるが、On-Lap 1503Iと組み合わることで、そういった分野での活用も加速しそうだ。単に画面を表示できるだけでなく、タッチ操作もできるため、店頭設置用の端末や顧客への説明、店舗の運営業務などに活用することも可能。活用の幅がぐっと広がることになりそうだ。
Chromecastの併用で、スマートフォン画面も出力OKもちろんワイヤレス
もちろん、拡張ドックに接続可能なのはスティックPCだけに限らない。ChromecastやScreenbeam2 mini、Amazon Fire TV Stickなど、最近身近になってきたスティックタイプのデバイスを接続することも可能だ。
残念ながら、これらのデバイスの場合、タッチ操作は利用できないが、たとえば、Chromecastを接続することでAndroidスマートフォンの画面を表示したり、Screenbeam 2 miniでWindows 10 MobileのContinuumを利用することなども可能だ。
最近ではスマートフォンのおかげで、モバイルバッテリーを常時持ち歩く人も増えているので、さらに拡張ドック付きのOn-Lap 1503Iを持ち歩けば、外出先でスマートフォンの画面を大画面に表示することが可能だ。
訪問先の会社や場合によっては待ち合わせの喫茶店などで、簡易的なプレゼンくらいなら苦もなくこなせることだろう。
さらに用途が拡大新しいビジネスにつながる可能性も
以上、GeChicから登場したOn-Lap 1503Iを取り上げたが、拡張ドックの利用によって、これまでにはなかった新しいデバイスとしても活用できそうだ。
ぱっと思いつくところでは、KIOSK端末、デジタルサイネージなどがありそうだが、企業の受付端末、店舗などの業務端末、工場などの機器制御用、スマートホームの制御端末など、あらゆる用途に活用できる可能性がある。自社で扱っている製品やサービスに、どう活用できるかを考えてみるだけでも面白いはずだ。
もちろん、従来のサブディスプレイとして、デスクのPCの画面を拡張したり、ノートPCの画面複製したり、スマートフォンの画面を大画面で楽しむといった使い方も可能だ。個人でも1枚持っておけば、普段使いはもちろんのこと、旅行や出張などに大いに役立つことは間違いない。
従来モデルのOn-Lap 1502Iからの買い替えも含め、この機会に購入を検討してみてはいかがだろうか。