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実はCherryの最新軸を独占的に使えるCorsair、ゲーミングデバイスを国内本格展開する意気込みを聞く

欧米に続き日本でも目指すはトップシェア?セールス担当者インタビュー text by 佐藤 カフジ

K95 RGB Platinum RapidFire

 自作PCユーザーにはメモリをはじめ、電源やケース、CPUクーラー等のパーツメーカーとしておなじみのCorsair。

 実は、欧米のマーケットでは、ゲーミングキーボードやゲーミングマウスの大ブランドとしてトップシェアを争うゲーミングデバイスメーカーでもあるのだ。特にゲーミングキーボードの北米シェアは30%とトップ、ゲーミングマウスでも12%と、LogitechやRazerといった大手ゲーミングデバイスメーカーに並んでゲーミングデバイス市場でトップレベルのシェアを獲得している。

 それでも、日本では“知る人ぞ知る”という感じにとどまっていたCorsairのゲーミングデバイス部門だが、この春、いよいよ日本向けの展開を本格的にスタートする。

 今回、Corsairのセールス部門を統括するBertrand Chevalier氏と、日本のセールスを担当するJevon Yeh氏に、ゲーミングブランドとしてのCorsairはどのようなものなのか、そして日本市場にどう展開しようとしているのか、話を聞くことができた。

 また、インタビュー時に同社製ゲーミングキーボードのフラグシップモデル「K95 RGB Platinum RapidFire」を触ることもできたいので、こちらも紹介しよう。

日本市場に本気、最新Cherry軸のゲーミングキーボードなどを投入

 まずはCorsairの最新モデルから紹介しよう。ゲーミングマウスの最上位モデルを刷新、新開発のキースイッチを採用するハイエンドゲーミングキーボードを用意するなど、フラッグシップモデルを相次いで投入する。

 Corsairゲーミングを代表する最高級の製品を集中展開することで、日本のDIYユーザーやコアゲーマーに積極的にアプローチする構えだ。

 具体的には、2月18日に発売された多ボタンゲーミングマウス「Scimitar PRO RGB Black」(税抜き13,680円)を皮切りに、3月11日にはゲーミングマウス「Scimitar PRO RGB Yellow」(税抜き13,680円)、そして3月17日にはゲーミングキーボード「K95 RGB Platinum RapidFire」(税抜き30,380円)が投入された。

Scimitar PRO RGB。ブラックとイエローの2モデルがラインナップされている。写真はブラックモデル。

 特に非常に高い競争力を発揮しそうなのが、ゲーミングキーボード「K95 RGB Platinum RapidFire」。

 本製品はCherryとCorsairのコラボレーションで実現したという新開発のシルバー軸スイッチ(MX SPEED switch)を採用。これはキーストローク2mm、アクチュエーションポイント1.2mm、アクチュエーション速度4.0mmという、応答性を最大限に重視したメカニカルスイッチだ。

K95 RGB Platinum RapidFire。MX SPEED switchを採用し、本体上部のエッジ部分も鮮やかに光る。
本体左側にはマクロキーも備えている。

 実物を触ってみたところ、従来のCherry製スイッチで感じられたカチカチ音が全くなく、サクサクとリニアかつスムーズな押下感が得られ、高速操作に最適化されていることが明らかに感じられた。手触りよし、性能よしでロジクールの「RomerーG」スイッチを上回るかもしれないという品質だ。

 それほどの製品をひっさげて日本展開を目指すということで、Corsairはこれまでの得意先であったDIYユーザーのみならず、新規顧客となるゲーマー層にもブランド価値を広げようとしている。

実はCherryの新技術を最も速く搭載できるのはCorsair道具としてのパフォーマンスを追求することがブランドのDNA

CorsairワールドワイドセールスSVPのBertrand Chevalier氏
日本担当のセールスマネージャーJevon Yeh氏

――ゲームデバイスブランドをスタートした経緯について教えてください。

[Bertrand氏]Corsairは22年前にDRAMのモジュールメーカーとしてスタートしました。DIYユーザーの皆さんをターゲットに、ハイパフォーマンスメモリを製造販売してきたというのは御存知の通りです。10年ほど前には、私達のユーザー消費動向に合わせて電源ユニットやCPUクーラー、PCケースなど、PC関連の幅広い製品の提供をスタートし、今日に至っています。

 そうして、弊社ではCPUやGPUを除く“PCの箱の中”をカバーするようになったわけですが、ユーザーの皆さん、とくに高性能PCを必要とするゲーマーの皆さんの需要は、箱の中身だけでなく、外側にもあるわけです。そこで、2014年からゲーミングデバイスも提供するようになりました。

 これにより市場が大きく広がるというのが特に面白いところです。PC自作を行うDIYユーザーは全世界でおよそ2,000万人もいますが、PCで日頃ゲームを楽しんでいる人は2億人もいるんです。ゲーミングデバイスを手がけることで、これまでよりも遥かに大きな市場にアクセスできるということになります。

 2,000万人のDIYユーザーの皆さんには同一ブランドによるキーボードやマウス、ヘッドセットとしったゲーミングデバイス製品を提供できますし、残りの1億8千万人の皆さんにもCorsair製品の価値を届けることができます。おかげさまで、特にキーボードでは欧米の多くの地域でトップのシェアを取ることができました。

――他のゲーミングブランドと比較して、Corsairの特徴といえるのはどういった点でしょうか?

[Bertrand氏]これまでPCパーツでやってきたように、性能へのこだわりというDNAを受け継いでいるところだと思います。ただ見た目が良いだけのギミックはつけないんです。実際、キーボードではたくさんの新機能を開発することで成功してきました。Corsairは製品に道具としてのパフォーマンスを追求するブランドであると考えています。そこが私達がこだわっているところです。

Cherryと技術開発パートナーシップを結ぶことで、最新キースイッチなどはCorsairが他社に先行して使用することができる
秋葉原の一部ショップでは、Corsairが採用するキースイッチのタッチ感が確認できる試用機が用意されている

――ゲーミング製品の開発について、Corsair独自のポイントというのはありますか?

[Bertrand氏]CorsairではCherryと技術開発のパートナーシップを結んでいまして、新技術を独占的に使用することができます。キーボード用のスイッチは、以前だと赤軸、青軸、茶軸、黒軸といったものがありましたが、新たに開発されたRGB軸やシルバー軸(MX SPEED switch)はCorsairだけで使用できるものになります。特にシルバー軸は高速かつ静音な設計になっていて、最高のゲーミングキーボードを実現できます。

――MSIもフラッグシップモデルのノートPCでCherryシルバー軸を採用していると聞きますが、それについては?

[Jevon氏]いわゆる時限独占になっています。一定期間が経過するまでは、最新のスイッチやその他の技術はCorsairだけで使用できるという形です。

[Bertrand氏]私達のエンジニアとCherryのエンジニアは非常に近い関係で開発を行なっていまして、スイッチそのものの開発から、ゲーマー向けのキーボードがどうあるべきかについて幅広く知見を共有しています。今後もこのパートナーシップを継続していくことで、ゲーマーの皆さんに魅力的な技術を提供していけるものと考えています。

リビング向けの小型PC「Bulldog」、4KやVRへの対応がうたわれている
リビングでキーボード/マウスを使用しやすくするアタッチメント「LAPDOG」

――デバイス関係の開発チームはどのくらいの規模でしょうか?

[Bertrand氏]正確な数字をお話することは難しいのですが、ソフトウェア、ハードウェア双方で100人以上が開発に携わっています。台湾だけでも開発陣は40人ほどいますし、アメリカやヨーロッパにもそれぞれ開発拠点があります。今回のキーボード製品については特に台湾の開発チームが中心になっていると思います。

――Corsairではゲーム機ふうの「BULLDOG」PCベアボーンキットや、マウス・キーボードをソファの上でも使えるようする「LAPDOGゲームコントロールセンター」など、PCゲームをコンソールゲームに近づけるような製品も展開していますね。

[Jevon氏]はい、そこは双方向で考えています。これまでは、ビデオカードを搭載したようなPCはデスクトップで利用されることが多かったですし、リビングルームならゲーム機というふうに住み分けがされていました。ですが現在では大型スクリーンでの4K表示や、VRのように、デスクトップよりもリビングルームが適しているものの、非常に高いマシンパワーを必要とする用途が出てきています。そこをカバーするのが「Bulldog」です。さらに「LAPDOG」を使えば、デスクがなくてもマウス・キーボードでの操作を快適に行なえます。このようにリビングルームでPCを活用するシーンは今後ますます増えていくものと考えています。

まずはユーザーとの関係を強化、日本のニーズに合わせラインナップの増加も検討今後は発表会やイベントも多くなる?

秋葉原のゲーミングデバイスに強いショップでは、Corsairのコーナーを設けているショップもある
Corsair製ゲーミングデバイスのデモコーナー

――これまでアメリカ、欧州で大きなシェアを獲得してきたとのことですが、日本市場でも同じところまで持っていけるものでしょうか?

[Bertrand氏]ええ、(Jevon氏を指して)彼がやってくれますよ(笑)。実際のところ、日本の市場に対しては、我々はこれまで十分なアプローチをしていませんでした。DIYユーザーの皆さんからゲーマーの皆さんまで、私達のブランドを伝えることに時間や予算をかけてこなかったんですね。まずは今後数ヶ月、製品の投入に合わせて日本向けの施策をしっかりと進めていきたいと考えています。

[Jevon氏]日本の市場に対し、最も良い製品、最も良い体験を提供できるということについては間違いなく自信があります。そこで今年はメディアやユーザーの皆さんとのコミュニケーションを強化していきたいと考えています。来月には発表会を行なって、日本の量販店等を通じて日本のユーザーの皆さんに訴求していく方法をご覧に入れたいと思います。

――製品の販売店舗としてはどのようなところを想定しているのでしょうか?

[Jevon氏]ヨドバシカメラ、ビックカメラなどの量販店や、ツクモ、PCデポ、ドスパラなどなど、全国あらゆるところに展開していきます。もちろんAmazonでも購入していただけますよ。

――本格的に展開していくうえで、日本のDIYとゲーミングのマーケットについてはどのように見ていますか?

[Jevon氏]DIYとゲーミングは、いくらかはオーバーラップしていると思いますが、基本的には別のマーケットだと思います。私達としては、DIYとゲーミング双方のユーザーの皆さんにしっかりと敬意を払うことが必要だと考えていますし、欧米で買えるものは日本でも購入いただけるようにしていきます。また、日本のユーザーの皆さんや、メディアの皆さんと一緒になって、この市場を盛り上げていければと考えています。

――まずは今月から来月にかけて、マウス製品2種およびキーボード製品1種の国内正式展開となりますが、それに引き続き、さらに多くのラインナップが日本向けに用意されていくと期待していいですか?

[Jevon氏]全てとは言えませんが、もっと多くの製品をお届けできるよう頑張りたいと思います。ユーザーの皆さんのご要望次第というところですが、欧米で展開しているもののうち、皆さんに望まれる製品は全て日本にも展開したいですね。

[Bertrand氏]全ての国の市場はそれぞれにユニークですが、日本もまたユニークな市場だと思います。それぞれに異なるニーズがあることも確かなことですので、まずは今回、限られたラインナップでのローンチとなりますが、それを通じてユーザーの皆さんの反応を伺い、ニーズに合わせた製品をお届けしていきたいと考えています。

自作PCパーツ同様に優れたゲーミングデバイスを提供、日本のユーザーのニーズに応えたい

――最後に、日本の皆さんにメッセージをお願いします。

[Bertrand氏]日本は私たちにとって非常に重要な市場だと認識しています。これまでDIYの分野で成功してきたように、ゲーミングデバイスの分野でも優れた製品を提供し、その上でゲームショウのようなイベント等、様々な方法を通じてユーザーの皆さんとコミュニケーションを進めていきたいと考えています。双方向のやりとりを通じて、日本ならではの市場ニーズを把握していきたいですね。

[Jevon氏]ユーザーの皆さんのご意見をぜひお伺いしたいと思っています。ありがとうございました。

――ありがとうございました。

[制作協力:Corsair]