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“VRChat”はGeForce GT 1030でも遊べた! 4種のGPUを使って必要な性能をチェック

VRヘッドセットで遊ぶ場合はVRAMの容量がキモ text by 坂本はじめ

 VRChatをプレイしてみたいユーザーにとって、最初のハードルとなるのが現代のゲームとしても相当に高いPCへの要求スペックだ。中でもGPUについては最低限として「GeForce GTX 970またはRadeon R9 290」が求められており、これを満たすにはそれなりのコストが必要となる。

 ただし、本連載の1回目でも述べた通り、VRChatの要求スペックは推奨VRヘッドセットを使った場合を想定したものであり、実際にはこれよりも低いスペックのGPUでもVRChatを動作させることはできる。

 今回は、VRChatを楽しめるGPUはどのクラス以上になるのかを確かめるべく、エントリークラスからハイエンドまで4つのGPUを用意して、VRChatでのパフォーマンスを確認してみた。

 下は8千~1.2万円前後で販売されているGeForce GT 1030から、上は6~8万円前後で販売されているGeForce GTX 1080まで4種類のカードでテストしたので、購入時の参考にして欲しい。

VRChatが実際にどの程度の性能が必要なのかテストしてみたGeForce GT 1030からGeForce GTX 1080までの4種類を用意

 今回、VRChatでのパフォーマンスを確認するのは、GeForce GTX 10 シリーズGPUを搭載した4枚のビデオカードだ。

 用意したのは、GeForce GT 1030を搭載する「MSI GeForce GT 1030 2G LP OC」、GeForce GTX 1050を搭載する「GIGABYTE GV-N1050OC-2GL」、GeForce GTX 1060 6GBを搭載する「ASUS STRIX-GTX1060-DC2O6G」、そしてGeForce GTX 1080のFounders Edition。

エントリーGPUのGeForce GT 1030を搭載した「MSI GeForce GT 1030 2G LP OC」。VRAM容量は2GB。
ミドルレンジGPUのGeForce GTX 1050を搭載した「GIGABYTE GV-N1050OC-2GL」。VRAM容量は2GB。
ミドルハイGPUのGeForce GTX 1060 6GBを搭載した「ASUS STRIX-GTX1060-DC2O6G」。VRAM容量は6GB。
ハイエンドGPUであるGeForce GTX 1080のFounders Edition。VRAM容量は8GB。

 各ビデオカードのテスト環境として、Core i7-8700Kを搭載したIntel Z370環境を用意した。その他の詳しいパーツ構成は以下の表のとおり。

液晶ディスプレイで遊ぶならエントリーGPUでもそこそこ快適意外と軽めなVRChat

 まずは通常のディスプレイ(以下2Dディスプレイ)でのパフォーマンスからチェックしてみよう。

 パフォーマンスの測定方法は、VRChat内のワールド「SAKURA hiroba」にて、10人前後のユーザーがいる状態で1分間の平均フレームレートを測定する。

 VRChatはShiftキーを押しながら起動することで、画面解像度と描画品質の変更が可能なので、標準設定(1,176×664ドット/VRHigh)の他、フルHD解像度(1,920×1,080ドット)にて各描画品質毎のフレームレートを測定した。

測定ポイントに利用したワールド「SAKURA hiroba」。おおよそ10人程度のユーザーがいる状況で測定した。
Shiftキーを押したままVRChatを起動するとコンフィグが表示され、画面解像度と描画品質の変更が行える。
2Dディスプレイ利用時のフレームレート

 VRChatの上限フレームレートは90fpsであり、GeForce GTX 1050以上のGPUは、どの条件でも上限フレームレートに張り付いた状態となっている。

 VRChatの描画品質設定は、DesktopLow、VRLow、VRHighの順に高品質となっており、上限フレームレートに達していないGeForce GT 1030の結果は描画品質の高さと相関している。

 描画品質の設定による画質の差だが、かなりわかりにくい。軽くプレイしている感じではDesktopLowとVRLow/VRHighでの画質の違いはジャギーの有無などでわかるが、VRLowとVRHighでは厳密に比較しないと差がわからないレベルだ。

 画質設定によってテクスチャやエフェクトなどが変わるといったことも無いようで、画質設定の差はアンチエイリアシングの効き具合の差といった感じだ。

DesktopLow設定。
VRLow設定。
VRHigh設定。

 テストしてみた限り、GeForce GT 1030でもフルHD解像度かつDesktopLow設定であれば、プレイすること自体は可能だ。

 ただ、VRChat内での描画負荷はユーザーの数や、ワールド内でのエフェクトなどにより変動するため、GeForce GT 1030では条件次第で20fps前後までフレームレートが低下してしまう場面にも遭遇した。本格的にプレイするのであれば、GeForce GTX 1050以上の性能のモデルを見ておいた方が良いだろう。

VRヘッドセットでのプレイはうって変わって重め、快適に遊ぶにはVRAM 6GBがほぼ必須

Windows MRヘッドセット「Acer AH101」

 続いて、VRヘッドセットであるWindows MRヘッドセットを利用した場合のパフォーマンスをチェックしてみよう。

 VRChatを始めとするSteamVR対応タイトルは、特に設定しなければSteamVR側でGPU性能に応じてレンダリング解像度が決定される。今回はSteamVR上でレンダリング解像度を100% (片目あたり1,593×1,593ドット)に固定してフレームレートの測定を行った。

 なお、Windows MRヘッドセットは、一定の基準に満たないGPUはリフレッシュレートが60Hzに制限される仕様となっており、今回のGPUではGeForce GT 1030とGeForce GTX 1050がこれに該当した。強制的に90Hz動作させることも可能ではあるのだが、今回は90Hzモードで正常な描画が得られなかったので、これらのGPUは60Hzモードでの動作となっている。

SteamVR上でレンダリング解像度を100% (片目あたり1,593×1,593ドット)に固定してテストを行った。これは、Windows MRヘッドセットの解像度(片目あたり1,440×1,440ドット)を僅かに上回る数字だ。
Windows MRヘッドセットでは、一定の基準に満たないGPUは60Hzモードでの動作となる。設定変更で強制的に90Hzモードにすることもできるが、性能が不足したGPUでは十全な動作は期待できない。
2Dディスプレイ利用時のフレームレート

 GeForce GT 1030では視点の移動に画面が追従できないなど明確なGPU性能不足となっており、GeForce GT 1050では視点への追従こそ可能ではあるものの、VRHigh設定ではVRAM容量不足によるカクツキが多発する操作困難な状況だった。

 VRヘッドセットでまともにプレイが可能なレベルにあったのはGeForce GTX 1060 6GBとGeForce GTX 1080だ。測定結果では両GPUともフレームレート上限に張り付いているが、実際には、より重たい場面ではフレームレートが大きく低下する場面もあり、そうした場面ではGeForce GTX 1080の優位性が発揮されていた。

描画負荷の高い場所ではGeForce GTX 1060でも60fpsを下回る場合があった。
同じ場所でGeForce GTX 1080を利用した場合。GeForce GTX 1060よりも高いフレームレートが出ている。

 VRAM容量2GBのGeForce GTX 1050がメモリ不足に陥ったことからも分かるように、高解像度でレンダリングを行うVRヘッドセット利用中のVRAM使用量は大きい。VRLowでも3~4GBのVRAMを利用し、VRHighでは最大で5GBものVRAMを利用していた。

 ミドルハイGPUのGeForce GTX 1060にはVRAM容量3GBのモデルも存在しているが、VRAM容量不足が致命的なパフォーマンス低下をもたらすことを考えれば、6GBモデルを利用するべきだろう。

VRHighで動作中のVRAM使用量。VRヘッドセットを利用する場合、なるべくVRAM容量の多いビデオカードを選択したい。

2Dで手軽に楽しむならエントリーGPUでも動作OKVRヘッドセットでのプレイはGeForce GTX 1060 6GB以上のGPUがおすすめ

 2Dディスプレイを使ってとりあえずVRChatを動かしてみたいというのであれば、エントリーGPUのGeForce GT 1030でも十分だ。GeForce GTX 1050があれば、フルHD解像度でVRChatを快適に楽しむことができる。

 VRヘッドセットを使ってVRChatをプレイするのであれば、GPU性能的にもVRAM容量的にも、ミドルハイのGeForce GTX 1060 6GB以上のGPUを選びたい。このクラス以上のGPUであれば、VRヘッドセットの魅力を損なうことなくVRChatを楽しむことができるだろう。