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エンジニアやデザイナーの卵にこそ良いPCを、MSIが専門学校との協力に注力するわけ

ハイスペックノートPCでプログラム環境も快適に、MSI協力開催の学院祭を見学

 MSIといえばゲーミング向けの製品という印象が強いが、近年、同社はクリエイター向けのモデルや、ビジネス向けモデルなどにも展開しており、ゲーミングで培った技術をベースに様々な分野に製品を投入している。

 そうした取り組みの一つに、専門学校との協業があり、教育分野へも力を入れつつある。MSIが何を狙って教育分野に注力しているのか、また、専門学校がPCメーカーと協力することで得られるメリットはどのような部分なのか、MSIと専門学校の担当者にポイントを聞いてみた。

 話をうかがったのは、MSIでノートPCのマーケティングマネージャーを務めるFelix Hung氏と、京都コンピュータ学院でデジタルゲーム学系 主任を務める高橋 功氏。また、インタビュー日は京都コンピュータ学院の学院祭「11月祭」の開催日で、プロゲーミングチーム「SunSister」を招いてのゲーム大会や、学生が制作したゲームの展示なども行われていた。

 インタビューと合わせ、京都コンピュータ学院の様子なども紹介しよう。

京都コンピュータ学院
学院祭開催のタイミングに合わせMSIとの協力に関しての話をうかがった
京都コンピュータ学院ではMSIのモデルが多数使用されている


ミニインタビュー MSIが専門学校との協力に力をいれる理由ゲーミング分野の地位向上と、未来のプロ市場も視野にいれて活動

 専門学校とPCメーカーが協力することにどのようなメリットがあるのか、MSIのFelix Hung氏と、京都コンピュータ学院の高橋氏に話をうかがった。

 学生にもハイスペックPCを使うメリットを直接聞いてみたが、やはり快適さは重要との声が多かった。グラフィック系を先行する場合はもちろん、プログラミングを専攻する学生にもスペックは活かされており、コンパイル時に遅さを感じることがないので効率よく勧めたり、作業に集中しやすいとのこと。

 また、MSI製のゲーミングノートPCを個人で所持する学生も多く、学校のPCと連動させて使用したり、うまく活用している学生をみかけたのも印象的だった。

MSIのFelix Hung氏(左)と京都コンピュータ学院の高橋氏
VR関連の開発も見越して、ハイスペック仕様になっているMSI製の薄型PCが多数導入されている

――PCメーカーと協力することで専門学校にはどのようなメリットがあるのでしょうか

[高橋氏]サポートをかなり手厚くしていただけるのと、用途に合わせこちらが望んだスペックのカスタムモデルを用意してもらえる点が一番助かっているところですね。

――カスタムモデルは揃えるのは難しかったりするのでしょうか

[高橋氏]学校なのでまとまった数が必要ですし、そうした数のカスタム機を用意するのは難しいです。そもそもカスタム機が選べないメーカーさんも存在しますしね。

直近で導入したモデルは、スペースを取らずすっきりしたもので、なおかつVRなどの開発も行えるハイスペック機という要望を反映してもらったものになります。導入前にサンプル機をすぐ用意してもらえたのもありがたかったですね。

――機材の入れ替えのタイミングはどのくらいの頻度なのでしょうか

[高橋氏]だいたい4年で大きく入れ替えています。1年程度でスペックが足りなくなってしまうようでは問題なので、その時に選べる最上位クラスのハイスペック機を導入しています。1教室単位であるとか、小規模の入れ替えは毎年行っています。


MSI製のゲーミングノートPCと連携させて使用している学生もいた
VRや3DCGだけでなく、プログラミングもハイスペック機が有る無いかでは快適さが大きくことなるとのことで、コンパイルの時間がかなり短縮化されるとのことだ。

――学生からも学校にハイスペック機が欲しいという要望は多くあげられているのでしょうか

[高橋氏]ここ2年くらいはVR関連の開発をしたいという学生が増えています。PCだけでなく、VRヘッドマウントディスプレイも多く導入しており、そういった声にこたえるようにしています。

やはり、個人でVR環境を一式揃えるのは高価なこともあり、環境が整った学校でVR関連の開発を行いたいという要望は多いですね。

やりたいことにこたえられる環境が無ければ学生もストレスがたまりますし、ハイスペック機を導入することは重要です。

――ハイスペックPCが学校にあるというのは大きなアドバンテージになるのでしょうか

[高橋氏]行えるカリキュラムの幅が広がることはもちろん、これから入学してくる高校生や中学生に大きくアピールできるポイントにもなりますね。

本格的にPCを使うまでは、数値的なスペックを聞いても性能をイメージしにくい部分がありますが、非常に重いPCゲームのデモを見せたり、VRが快適に楽しめる部分を見せると、快適な環境が用意されている学校だと理解してもらえます。

若い層には非常にキャッチ―かつ効果的にアピールできるので、学生を広く集めるという点で武器になりますしね。

MSI Vortex G25、これをベースにカスタムされたモデルが学校では使用されている
会場内で同機の紹介ブースも用意されていた
ビジネス向けのP42とクリエイター向けのP65、こちらも専門学校生におすすめのモデルとなっている

――今回、プロゲーミングチーム「SunSister」が学院祭に参加していますが、効果は大きかったりするのでしょうか

[高橋氏]学校にはeSports向けの学科はないのですが、プロを目指したいとか、プロの試合をみたりするのが好きな学生は多く、直接接することで得られる知識だったり、プロが求めるものがどんなものなのかを考えたりするきっかけになったりします。

また、こうした経験をモチベーションに変える学生も多いので、良い影響をあたえてもらえる点では効果が大きいですね。プロゲーマーやストリーマーに協力してもらえるというのも、MSIさんと協力するメリットの一つになっています。

――学生から見て、快適さ以外の点などでもハイスペック機を触っておく価値はあるのでしょうか

[高橋氏]実際にゲーム会社などで仕事をするようになった際、ハイスペック機に触れることになると思いますが、普段から慣れているのと、初めて触るのとでは大きな差がでてきます。

働きだしてからPCの操作感が違うと違和感に苦しめられたり、スペックが違いすぎて学校での経験が役に立たないといったことがあっては意味がないので、業務レベルのものに学生のうちから触るということは将来のためにも重要な部分になります。

関西ではクリエイターの集会なども頻繁に開催されており、そうした集会が開かれるときに中心になれる機会が増やせればと考えています。プロの現場で使わているものに触れているのであれば、近いレベルでの話もしやすくなりますしね。

――メーカーからの立場で見た場合、専門学校と協力する狙いはどのあたりにあるのでしょうか

[Felix氏]ゲームと聞くと、「良くないもの」とステレオタイプな考え方の人はまだまだ多いと思います。ゲームに関わる仕事でしっかりと生活していったり、将来性のある仕事であるといったことはなかなかイメージしてもらえません。

MSI自身もゲーミングジャンルに力を入れているメーカーです。ゲームは悪いものではないし、ゲームに関わる仕事でも安定して働いていけるといったような、良い面での認知度をあげることも目標の一つになっています。そうした取り組みを行わなければ悪いイメージのままですしね。

こうした部分は若い人の方が理解があり、特に専門学校生などはゲームジャンルの知識レベルが高いといえます。また、大人と比べて知識の吸収スピードや成長も速く、協力することでゲーミングジャンル全体への良い影響を生み出したり、理解のある人を増やしてくれる力もあると考えています。

今回の学院祭のステージイベントで使用されているゲーミングPCはすべてMSI製、こうした機材協力も行っている
京都コンピュータ学院の学生。学校ではMSI製のハイスペック機を使い、家ではMSI製のゲーミングPCを使っている学生も多いようだ

――メーカーとしてはこうした取り組みは広げていきたいと考えているのでしょうか

[Felix氏]学生と共同でイベントを行うことで、メーカーとしても刺激がもらえますし、個人的にも非常に楽しみな取り組みになっています。

京都コンピュータ学院さんには、発表会やイベントなどでも協力していただいており、非常に良好な関係が築けていると思います。ここを中心に、ゲームの開発やデザイン、eSportsなどを学生と一緒に盛り上げていきたいですね。今後もこの取り組みは広げていくので、MSIの活動に期待してもらいたいですね。

――専門学校側からは、サポート面でのメリットが大きいとの話がありましたが、具体的な部分ではどのような事例があるのでしょうか

[Felix氏]学校としてみた場合は大口のお客様でもあり、製品のアフターサポートや保証などは当然行うとして、そのほかには、学生向けのPC即売会を開催したり、PCの選び方などのセミナーをひらいたりといった部分ですね。

学生向けに特別なゲーミングノートPCを用意したり、PCにあまり詳しくない学生をサポートするといった部分が特別な活動になっていますね。弊社だけでなく、NVIDIAやIntelといったGPU/CPUメーカーや、「SunSister」のようなプロゲーミングチームとも協力し、サポート活動を行っています。

また、今回の学院祭のステージイベントで使用しているPCはすべてMSI製で、こうした機材の面でも学校をサポートしています。

――投入されているモデルはかなりハイスペック寄りだと思われるのですが、これは狙いがあるのでしょうか

[Felix氏]専門学校生にMSIの製品をさわって良いものだと感じてもらえた場合、将来プロになった際にMSIのモデルを選んでもらえるケースが増えると考えています。プロは使い慣れたものや信頼性が高いものを使用するので、できるだけ早い時期にMSIの製品に触れてもらうことと、より快適な体験をしてもらうことは重要です。また、そうした人はインフルエンサーにもなるはずです。

触れてもらった時にネガティブな印象になってしまっては意味がないので、なるべく快適なモデルと提供したいという思いもあります。

こうした取り組みはすぐに効果がでるものではりませんが、5年、10年と先を見た場合、意味のある活動になるはずです。製品の改良を続けることと合わせ、ユーザーから支持される製品を投入し続けるための重要な取り組みになっています。